中学校の時、僕は何の取り柄もなく冴えない、つまらないやつだった。
漫画や小説の世界では冴えないといっても平均以上の美少年に描かれる事が多いが、現実となると話は違う。
日記を読んで下さっている方々は、いま自分のクラスにいる、もしくは学生時代にクラスにいた「目立たないけど何となくキモイやつ」をイメージしてみてください。
僕は、そんな感じのやつだった。
いつもクラスの端っこでうじうじしていた。
無論、友達も少なかった。
特に女子と話すのは苦手で、話しかけられると変に口篭ったり挙動不審になってしまうので、クラスの大半の女子からは気味悪がられ、敬遠されていた。
人と話すのが嫌で、学校へ通うのが億劫で仕方なかった。
一方、そいつはイケメンだった。
銀魂に出てくる土方十四郎みたいな、ちょっとアンニュイでクールな顔立ちをしていた。
さらに運動神経抜群で体育の時間はいつも女子の黄色い声援を浴び、勉強も学年ではトップクラスで実力テストの合計点はいつも僕の倍だった。
中学2年のとき、クラス替えでそいつと同じにクラスなった。
万が一にも人気者のそいつとその他大勢の僕の人生が交わるはずは無いと思っていたが、なんの間違いか、僕はいつの間にかそいつと話すようになった。
きっかけはよく覚えていないが、多分班が同じになったとかそんなんだったと思う。
僕がギターに興味があると言うと、そいつは整った顔をくしゃりと歪めて「俺もなんだよ!」と嬉しそうに言った。
僕と違ってそいつにはたくさんの友達がいたけれど、そいつはそれ以来どういうわけか僕と仲良くしてくれた。
勉強を教えてもらったり、音楽やゲームの話をしたりした。
放課後の教室で、将来の夢をお互いに語ったりした。
クラスによくいる声の大きな仕切り屋のような「お前と仲良くしてやってる」といった押し付けがましい感じが全くしなかったので、僕もそいつのことを信頼した。
そいつと話すうちに、人と話すのが嫌ではなくなった。
学年が上がる頃には、一部の女子とも普通に話せるようになった。
そいつは、僕の住んでいた地区では一番レベルの高い進学校を受験し、容易く合格した。
成績にそこまで自信のなかった僕は、偏差値が上から二番目の高校を受け、何とか合格した。
お互いの高校は、電車が全く逆の方向だった。
卒業式の日、そいつは言った。
「あんまり会えんくなるけど、またちょくちょく遊ぼうな」
僕は「ああ、うん」と曖昧に返事をした。
『なぜ僕と仲良くしてくれたのか?』
訊きたかったが、訊けなかった。
これまでも何度も訊こうと思っていたが、その都度躊躇した。
「特別仲良くしてたつもりは無かった」
「社交辞令」
「自意識過剰じゃないの」
そんな答えが返ってくるのが怖かった。
マトモな中学生活が遅れたのはそいつのお陰だけど、そいつの真意を受け止める覚悟は無かった。
自身の卑屈な性格は最後まで変わらなかったのだ。
しかし、そいつはそんな僕の心の内を知ってか知らずか、僕の肩をぽんと叩いて言った。
「俺は、お前がいたから楽しかったよ、ありがとう」
驚天動地だった。
ははは、急になに言ってんの気持ちわるいよとその場は茶化した。
帰り道、卒業証書を片手に泣いた。
人目も気にせず、鼻水垂らして嗚咽漏らしながら泣いた。
「こいつは自分といて楽しいのだろうか」
「ひょっとして陰では馬鹿にされてるのかも」
「そうだ、そうに違いない」
そんなことをうじうじ考えていた自分が恥ずかしくなった。
―――――――――――――――――――――――――――――――
・・・とまぁこんな感じで、今回は昔日の思い出を掘り返して曲にしてみた次第です。
アホみたいなネタ曲だけど実はちゃんとバックグラウンドがあったり。
良かったら聴いてみてくださいね!
ニコニコ動画。
Youtube。
漫画や小説の世界では冴えないといっても平均以上の美少年に描かれる事が多いが、現実となると話は違う。
日記を読んで下さっている方々は、いま自分のクラスにいる、もしくは学生時代にクラスにいた「目立たないけど何となくキモイやつ」をイメージしてみてください。
僕は、そんな感じのやつだった。
いつもクラスの端っこでうじうじしていた。
無論、友達も少なかった。
特に女子と話すのは苦手で、話しかけられると変に口篭ったり挙動不審になってしまうので、クラスの大半の女子からは気味悪がられ、敬遠されていた。
人と話すのが嫌で、学校へ通うのが億劫で仕方なかった。
一方、そいつはイケメンだった。
銀魂に出てくる土方十四郎みたいな、ちょっとアンニュイでクールな顔立ちをしていた。
さらに運動神経抜群で体育の時間はいつも女子の黄色い声援を浴び、勉強も学年ではトップクラスで実力テストの合計点はいつも僕の倍だった。
中学2年のとき、クラス替えでそいつと同じにクラスなった。
万が一にも人気者のそいつとその他大勢の僕の人生が交わるはずは無いと思っていたが、なんの間違いか、僕はいつの間にかそいつと話すようになった。
きっかけはよく覚えていないが、多分班が同じになったとかそんなんだったと思う。
僕がギターに興味があると言うと、そいつは整った顔をくしゃりと歪めて「俺もなんだよ!」と嬉しそうに言った。
僕と違ってそいつにはたくさんの友達がいたけれど、そいつはそれ以来どういうわけか僕と仲良くしてくれた。
勉強を教えてもらったり、音楽やゲームの話をしたりした。
放課後の教室で、将来の夢をお互いに語ったりした。
クラスによくいる声の大きな仕切り屋のような「お前と仲良くしてやってる」といった押し付けがましい感じが全くしなかったので、僕もそいつのことを信頼した。
そいつと話すうちに、人と話すのが嫌ではなくなった。
学年が上がる頃には、一部の女子とも普通に話せるようになった。
そいつは、僕の住んでいた地区では一番レベルの高い進学校を受験し、容易く合格した。
成績にそこまで自信のなかった僕は、偏差値が上から二番目の高校を受け、何とか合格した。
お互いの高校は、電車が全く逆の方向だった。
卒業式の日、そいつは言った。
「あんまり会えんくなるけど、またちょくちょく遊ぼうな」
僕は「ああ、うん」と曖昧に返事をした。
『なぜ僕と仲良くしてくれたのか?』
訊きたかったが、訊けなかった。
これまでも何度も訊こうと思っていたが、その都度躊躇した。
「特別仲良くしてたつもりは無かった」
「社交辞令」
「自意識過剰じゃないの」
そんな答えが返ってくるのが怖かった。
マトモな中学生活が遅れたのはそいつのお陰だけど、そいつの真意を受け止める覚悟は無かった。
自身の卑屈な性格は最後まで変わらなかったのだ。
しかし、そいつはそんな僕の心の内を知ってか知らずか、僕の肩をぽんと叩いて言った。
「俺は、お前がいたから楽しかったよ、ありがとう」
驚天動地だった。
ははは、急になに言ってんの気持ちわるいよとその場は茶化した。
帰り道、卒業証書を片手に泣いた。
人目も気にせず、鼻水垂らして嗚咽漏らしながら泣いた。
「こいつは自分といて楽しいのだろうか」
「ひょっとして陰では馬鹿にされてるのかも」
「そうだ、そうに違いない」
そんなことをうじうじ考えていた自分が恥ずかしくなった。
―――――――――――――――――――――――――――――――
・・・とまぁこんな感じで、今回は昔日の思い出を掘り返して曲にしてみた次第です。
アホみたいなネタ曲だけど実はちゃんとバックグラウンドがあったり。
良かったら聴いてみてくださいね!
ニコニコ動画。
Youtube。