静岡県は、三島市と沼津市で2つの特別養護老人ホームを運営する社会福祉法人「大乗会」(三島市、遠藤篤子理事長)に対し、早ければ2月23日にも経営適正化などを求める業務改善命令を改めて出す方針を固めた。県は、改善報告が不十分と判断すれば、法人の理事と監事合わせて7人に対し、同県で初となる解職勧告も行う考えだ。
県の地域福祉室によれば、同法人の前理事長らが規定を大幅に上回る給料を得ていたほか、不適切な支出などの放漫経営も明らかになったため、昨年3月に1回目の業務改善命令を行ったが、1年近くを経ても状況は改善されていないという。
県は今回、特に借入金の返済や事故防止策を求めるという。昨年6月に同法人が運営を開始した沼津市の特養施設(80床)の経営が厳しいほか、三島市の特養施設(86床)も今年度、4期連続の赤字になる見通し。また県によれば、同法人は福祉医療機構(WAM)から借り入れを行っており、来年度から本格的な償還が始まるが、返済額は年間で6000万円以上に上るという。
また、沼津市の特養では事故やけがが頻発していることから、県ではこれについても改善勧告を出している。
同法人ではこのほか、伊豆の国市でも特養開設を計画。金融機関から融資を受け、1000平方メートル以上の土地を購入したが、許可が下りなかった。県は同法人に対し、金融機関への返済に充てるため、土地の売却を求めているが、売却は進んでいないという。
地域福祉室は、現行サービスの適正な提供を求めていく考えで、改善が見られない場合は解職勧告もあり得るとしている。
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