カラダよろこぶろぐ

山の記録と日々の話

初秋の南大菩薩・その2

2010-10-20 | ヤマのこと

つづきです。

道形不明瞭、という割には最初はどこにでもあるジグザグな登山道を降りていきます。
谷を沢の音のするほうへ降りていくのは、あまり気持ちの良いものではありませんが・・・



下山開始から20分くらいだったでしょうか?
ジグザグを終え、段々荒れた登山道らしく苔だらけの木や倒木も増えてきました。

5mくらい先を歩くダンナがなにやら叫んでいます、

「な~に?」

と聞き返すと、

「こっちは蜂がいるから右側を通れ!!」

右側を通れ、といわれても荒れた登山道、どこ歩こうか?キョロキョロ見回していたその数秒後、
前方で両手を振り回しているダンナの姿が?え?何事?
廻りに飛んでいる蜂の姿をロックオンした瞬間でした、



「ウッ・・」



今まで体験したことのない衝撃が身体中を走り、頭の先まで突き抜けて行きました。
瞬間、痛みのする方を見ると、



(画像は借り物です)
なんとこんなにでっかいスズメバチが、私の左ふくらはぎに止まっているではないですか?!
体長4センチ位、お尻のシマシマがクッキリハッキリ目に焼きついて・・・。


刺されとるーーー しかも食いついてる?!



持っていたストックでふくらはぎの蜂を必死に叩き落としますが、もうそこからは大パニック
とにかく早くここを逃げなきゃ、と走ってるつもりでもなかなか前に進みません。
一撃受けただけなのに、刺されたその瞬間からしびれる痛みの左足

そして・・・二発目の攻撃を受けました。今度は首の後ろ。


「痛ーーーーい!!!もうヤダぁーーーーー!!!」



半べそ状態です。
もっと刺されるのかも!?恐怖でぎゃーぎゃー言いながら走り下り・・・
もう追ってこないところまで逃げると、改めてすごい痛みに気づきます。
刺されたのは短パンとスパッツの間から出ていたCW-Xタイツの部分。
黒いタイツの表面が何かの液体か?色が若干変わっていました。


蜂に刺されたのも、生きているスズメバチを見たのも初めて。
刺された、というショックとジンジンしびれる痛みで冷静に判断することなど出来ない私。
今、頭の中にある「蜂に刺されたら」の情報が入っているはずの引き出しからは、
”1回目はいいけれど、2回目に刺されたらマズイ”ということしか出てこない。
じゃこの1回目の時はどうなの・・・

結局刺されたのは私だけ(怒)
こんなに痛いの・・・もしかしたらこのまま身体中毒が廻って死んでしまうのかも?!
ポイズンリムーバーも山歩きの初期に買ったけど、全然出番がないから、と、
持ち歩く事すらしていなかったこの頃。
恥ずかしながら記憶の引き出しの中はもうからっぽ、どう対処したらいいのか?わからない。
ダンナの引き出しには”オシッコかける?”しか入っていなかった_| ̄|○
ダメだ、とにかく一刻も早く人のいる場所へ出るしかない


気持ちばかり焦るが、沢沿いは柔らかい砂のような地質のところもあり、
進むほどに滑って落ちてしまいそうな悪路になって行く・・・。
腐った木の橋を渡ったり・・・これ以上の事故を起こさぬよう痛みに耐えながらも慎重に進む。
でもまたいつ蜂に遭遇するか解らないから気持ちは焦る。

刺された直後から顔が熱くなっていたのは自分でも解っていたが、更に汗までダラダラ。
蜂の毒でそうなっているのか?焦っているからなのか?自分でも解らない。
赤い顔をしてハアハア進む私に、さすがにダンナもちょっと心配した様で、
「生きてるか?」と聞いてきた。



生きてるよっ!
こんな携帯も通じない、人も通らない悪路でショック死するわけには行かない!
絶対生きて帰ってやる~~~!!
(この時はマジメにそう思っていました)


 
(刺されてないから余裕で写真撮ってたのか・・・ダンナ
ビリビリと痛む足をかばいながら、必死で歩くこと約45分・・・
やっと携帯の通じる林道についた。

下山途中、カラだと思ってた私の引き出しの奥から”蜂に刺されたことのある友人”情報が出てきた
アンテナが立って電話すると運よく繋がって、興奮状態で事情を話すと、
「死なないから安心してください」と温かい一言。
とにかく早く薬局か病院へ、とアドバイスもらった。



やっと車道に出た・・・・ほっ。
が、このエリア、商店すら見たことないんだもん、薬局なんて無理だよね。
人の姿もない、でも、歩いているんだから救急車呼ぶわけにも行かないし・・・
とりあえず温泉に行けば人がいるだろうから、と最初の目的の「田野の湯」へ5分ほど歩いていくと、
な~んと休み!!!

人っ子一人いない~~~

仕方ないからとにかく駅へ向かおうとバス停まで行くが、バスは二時間近くこない表示。
それならタクシーで、とタクシー会社3社に電話するも、
運悪くこの日は「笛吹マラソン大会」があったそうで、道路渋滞で行けたとしても1時間後だという・・・

もう・・・無理だ、駅まで1時間歩くよ。

と覚悟を決め歩き出すと、後ろから見たことのあるマイクロバス
市民バスだ!手を上げると停まってくれて、無事に10分で駅までたどり着くことが出来た。
ああ、神様はこんなところに


駅に着いたところで病院も薬局もないので、仕方なく何の処置もせず、
そのまま中央本線に揺られ地元へと帰った。
首の痛みはたいしたことはなかったが、足の激痛は治まることを知らない様子。
電車でじっと座っているのも耐えがたく、痛みで顔をゆがめながら刺されてから4時間後、
やっとの思いで地元の薬局へ。
頭痛や吐き気がないなら緊急性はないけど、明日足が今よりもっと腫れていたら、
病院へ行ってくださいとのこと。

----------------------

冷静になってからダンナに聞いてみると、木の根っこあたりに穴があり、
何かが動くので目が行くと、蜂だった。
「蜂がいるから!」と叫んだ直後に蜂がぶわ~~っと出てきた、という事らしい。
巣への距離は約1~2mくらい。


私の記憶では蜂の数は4、5匹だったと思う。
大群じゃなくてホントによかった・・・2箇所でよかった・・・
もっと刺されていたら、と思うとぞっとする。
人間、やっぱりどこでどうなるか解らないものだよね、毎日大事に生きなきゃダメだよね。

このまま死んだら悔しいので、ビール飲んで痛みをこらえた夜だった・・・(死なない、って言ってるのに)


-------


その晩、夜中に熱が上がったらしく、寒気がひどくて布団を何枚もかぶって震えていた。
夜中じゅう痛みに耐えた足は、案の定、膝が曲げにくいほど腫れて、
二本足歩行が出来なくなっていた。
やっぱり怖いので会社に連絡し、ストック付きながら翌朝一で病院へ。

皮膚科を案内され、次回から急患でも来るように!!と怒られて、(軽い症状で行くと怒るくせに・・・)
病院で取り扱っている中で最強のステロイド剤を処方された。
(テルモベート軟膏とリンデロンという飲み薬・どちらもステロイド剤)
幸いなのが私はアレルギー体質ではなかったこと。
アレルギー体質でもっと刺されていたら・・・1回目でもどうなっていたか解らなかったらしい。
次回もし刺されたら、1時間以内に病院へ行きなさいと言われた(無理だ・・・)




(お見苦しい写真スイマセン:病院にて)
真っ赤になったもともと太い足はこの後さらに腫れ、足首もなくなり、普通の靴は履けなくなった・・・
刺されて丸3日、足はまだ腫れている・・・痛みは消え、痒くてたまらない。
だがまだ安心は出来ず、蜂窩織炎(ほうかしきえん)のような体内の免疫システムが破壊され、
刺された内側の細胞が腫瘍のような状態にならないとも言い切れないらしい・・・
週末にもう一度病院で診てもらうまで、まだ安心は出来ないのだ


恐るべし蜂の毒!!!
色んな教訓を得た、今回の山歩きとなりました。


教訓:人の歩かない登山道を歩くのは、いろんな意味でやっぱり危険と隣り合わせ。


※ここには私の取った行動の事実を書きましたが、対処法としては全てNGです
もしスズメバチに刺されたら、即、病院に行きましょう。



おしまい。

10/22追記
今朝病院に行ったら脅威の回復力(笑)で腫れも引き、赤みもなくなったので、
もう大丈夫でしょう、とOK頂きました。
ご心配おかけしてスイマセンでした。

尚、抗体検査を行うとしたら2、3週後。
検査結果がアナフィラキシー反応出にくい、となったとしてもショック反応がある場合もあるし、
その逆もある。2回目大丈夫でも4、5回後に反応が出る時もある。
その時になって見ないとわからないので、検査は自由だけど(笑)
刺されないようにすることが一番!
と言われました。参考までに。





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45 コメント

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痛い~! (矢車草)
2010-10-20 22:38:51
cyu2さん、こんばんは☆

今日はこのレポを見るまでは寝れないと思って待ってました(笑)
でも、全然笑えないよ・・・大丈夫ですか?
蜂に刺されたことは無いけど・・・ほんと怖いね。それもよりによってスズメバチとは
痛かったでしょ~ね~!

驚いて痛くてオロオロして急いで山を下るcyu2さんの
姿が目に浮かびますよぉ。
でも、バスが来て良かったね。
山の中の村・・・そんな時はどうしたらいいんだろうね。

足の腫れは少しは治まりましたか?
なんなら私の職場で点滴でも(*^_^*)
スズメバチ=死とちょっと思っていた私だけど、
私はアレルギーあるからヤバかったかもなんですね。

今日は一日cyu2さんは熊に追いかけられたか?とか
滑って沢に落ちたか(私ね)?とか色々考えちゃってました。

そういう腫れってなかなか治らないんだよね。
病院は週末でいいの?大きいとこ行ったんだよね?
心配ですけど、無理せずに大事をとってくださいね。

でも、旦那さまがいてくれただけでも良かったね。
これだから単独で行くのは陣馬高尾までかなって思っちゃうんですよ、私。
自分だけじゃどうにもならないもん。

笠取レポ明日頑張って書きますね。
でも、cyu2さん行けるのかな?
まあ、のんびりハイクだから大丈夫かなぁ。
紅葉もこの週末のほうがいいかもです。

はやく良くなりますように❤
お大事に
返信する
絶句・・・ (カルディナ)
2010-10-20 23:01:38
何事があったのかと思ったらスズメバチ!!!
クマの次に怖いものに遭ったんですね!

私は自宅のベランダで2回 蜂に刺されたことがあります。
あの痛みは言葉で表現できません。
側に人がいたらひっぱたいていたと思う。

私の場合 普通の蜂 スズメバチの痛みは想像しただけでおそろしや~。
よくぞ 自宅までたどり着きました!!

私も刺された手はグローブのように腫れました。

どうぞお大事に!!
返信する
Unknown (でっぱ)
2010-10-21 07:44:49
いや、びっくりです。
野尻湖で熊との遭遇はあるけどスズメバチは未体験です。
どうして良いか分からないくらいのパニックもないですが、自分がこの状況になったらどうするのか不安です。
アレルギーでなくて良かったですね。
ポイズンリムーバ、いつも入れてるけど未使用なのです。
焦らないように使い方を復習しておかなきゃね。

普通の蜂は身の回りで飛んでいてもへっちゃらだけど・・。
返信する
蜂でしたか・・・ (かわみん)
2010-10-21 09:42:22
うう~~~大丈夫~~???
痛かったでしょうに・・・

蜂の存在をすっかり忘れていたけど
そうだ。森の中歩く時、木の根っこ、倒木の傍を歩く時
必ず飛んでいる虫が居ないかいつもチェックしてるんだった。
森の中だと土の中、倒木、木の根っこに巣を多く作るようだから
気をつけなきゃいかんね~
スズメバチ。怖いよ~~~
そうそう。蜂が居る時期は白い帽子を被るようにしてるのも
黒のオスプレーのザックを背負わないのもスズメバチ対策です。
スズメバチ・・・まだ活発に活動してたか・・・
低山ではまだ要注意だね

刺された足は大分よくなったかな?
ブヨに刺されてもかなり腫れるもん、半端なかったでしょう~~
あ~~でも生きて帰って来てくれてよかった~~


返信する
矢車草さん (cyu2)
2010-10-21 11:26:53
おはようございます。
昨夜は良く眠れましたか?

いやいや、笑ってもらっていいんですよ、ホント(笑)
今なら笑えます。

>足の腫れは少しは治まりましたか?
なんなら私の職場で点滴でも(*^_^*)
スズメバチ=死とちょっと思っていた私だけど、
私はアレルギーあるからヤバかったかもなんですね。

ありがとうございます。ちゃんと近所の救急指定の大きい病院行ったから大丈夫ですよ。ありがとう♪
家から5分のところにあるのに、日曜に行けばよかった(>ω<;)


>でも、旦那さまがいてくれただけでも良かったね。
これだから単独で行くのは陣馬高尾までかなって思っちゃうんですよ、私。
自分だけじゃどうにもならないもん。

でも何の約にも立たなかった(笑)
私だけ刺されて私が機嫌悪いもん!ヤツは一人で帰りの電車の中でビール飲んで寝てましたもんヽ(`Д´#)ノ
夕飯だって私が家に帰って作ったんだよー!(って少しだけど)ヤツはスパルタなのだ!


>笠取レポ明日頑張って書きますね。
でも、cyu2さん行けるのかな?
まあ、のんびりハイクだから大丈夫かなぁ。
紅葉もこの週末のほうがいいかもです。

明日病院なんですが、OKが出なければ行けないので焦らなくても大丈夫ですよん。
もう連休で山にいけるの12月までないのに・・・ショボーン・・・

お見舞いありがとうございました!
返信する
カルディナさん (cyu2)
2010-10-21 12:42:54
>私は自宅のベランダで2回 蜂に刺されたことがあります。
あの痛みは言葉で表現できません。
側に人がいたらひっぱたいていたと思う。

あ、よく洗濯物を取り込むときに・・・とか聞きますよね。
私は過去に全く未体験でした。
蚊もアブもブヨもノミも刺されてばかりですが。
私もダンナを引っ叩けばよかった(笑)

でもやっぱりあのエリアで病院に行くべきでしたねー。
東京の病院に行っても実際刺された人の症例が少ないから、
現地のほうがより詳しく解ったかもしれない・・・

後になって「ああすればよかった」
と思うことばかりで情けないですが。
良い経験をしたので次回からに生かせると思います!
多分・・・
返信する
でっぱさん (cyu2)
2010-10-21 12:46:18
>野尻湖で熊との遭遇はあるけどスズメバチは未体験です。

うお~~~~!そのほうが多分怖いです!
腰抜けそう・・・

>どうして良いか分からないくらいのパニックもないですが

蜂に対する警戒心も知識も何も持たないまま、
山に入った自分がいけないのです。
とっても反省しています。
あの場で水で洗うとか、それすらもしていませんでした。
大事に至らなくてよかったですが・・・

あのパニック振りは今考えると笑えます(笑)
返信する
かわみんさん (cyu2)
2010-10-21 12:55:48
ゴメンね、笑えなくて(笑)
でも、もう今なら笑えるので笑ってやってください
かわみんさんに突っ込んでもらわないと物足りない(爆)

>そうだ。森の中歩く時、木の根っこ、倒木の傍を歩く時
必ず飛んでいる虫が居ないかいつもチェックしてるんだった。
森の中だと土の中、倒木、木の根っこに巣を多く作るようだから
気をつけなきゃいかんね~
スズメバチ。怖いよ~~~
そうそう。蜂が居る時期は白い帽子を被るようにしてるのも
黒のオスプレーのザックを背負わないのもスズメバチ対策です。

かわみんさん、すごい!エライ!
さすがアウトドア歴キャリア長い!!

私はその中のひとつも実践していませんでした。
これは私の恥ずかしい記録として永久保存版です。

今回のことは相当なダメージとして私に記録されたので、
私も9~10月は黒いものを身につけるの止めます。
短パンも履きません。一般道を通ります。
秋だから秋らしい色合いで・・・
なんて街中のノリで服選びをしていた自分が情けないです。
派手な服は恥ずかしい、と思っていたけどもう派手、いいじゃないですかね~!
服の色には意味があるんだ!という気持ちでこれからは行こうと思います!!


・・・と言う意味をこめて翌日、初めてカラーパンツ買っちゃった♪
転んでもタダぢゃ起きないもんねーっだ

返信する
普通のハチなら (nobu)
2010-10-21 12:58:17
刺されたことがあるけれど
スズメバチなんて・・・・!!
こんなに凄まじいんですね・・・
よく我慢して帰ってこられましたね。
お見舞い申し上げます。
それにしても、これほどの痛みに耐えながら
どこか冷静なcyu2さんのレポがすごいな~と思います。
痛みに苦しむ姿をもう一人のcyu2さんが見ているような。
いや、やっぱりたくましいです。
返信する
そうそう (かわみん)
2010-10-21 14:00:20
刺された後、走って逃げたのは正解だよ~ん!
スズメバチって、『あいつが敵だ』って仲間がわかるように
液をかけるんだって。
その臭いがする奴は敵だぞ~!って教える為に。
だから、刺されたら既にその液を喰らっちゃってるから
ぐずぐずしてると総攻撃受けるんで走って逃げて正解らしい。
ためしてガッテンで言ってました(笑)

ただ、ブ~ンって飛んでる時は走らず
ゆっくり後ずさりしてその場から遠ざかるのがいいらしいでーす!
クマさんに遭遇も怖いけど、スズメバチの総攻撃はもっとイヤじゃー
返信する

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