お昼の惨劇 ３

一刻も早く肩を入れなければならない。
タイムリミットは、近い。
なぜなら、脱臼した腕を抑えながら電話に出ることはできないからだ。
そして、時間がたてば部長も課長もお昼から帰ってきてしまう。
焦れば焦るほど、脂汗が出てくる。
まさに、わらをもつかむ思いだ。

ここでひらめいた。
何かをつかめばいいのかもしれない。
動き回るわけにもいかないので、とりあえずデスクの端をつかむ。
そして、渾身の力を込めて体を右側に引っ張る。

数秒間の痛みに耐えると、コリっという軽い音とともに、骨が動くのが分かった。
右手で左腕の骨の位置を確認。鏡で肩の高さもチェック。戻っているぞ！
…対処法は映画と逆なのだ。

同僚が、コンビニから戻ってきた。
「あれ、なんかすごい汗かいてるけど、カゼひいた？」
「ええ、まぁ」
と、精一杯の笑顔で答えてやった。

ミッションコンプリート。
１０分間の戦いは静かに幕を閉じた。

あれから２４時間、普通に生活できてます。
今週バイク乗れるかなぁ？


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