映画鑑賞

昔の名画から最近上映の映画まで、国内外を問わず幅広く楽しんでいます。別世界へ連れて行ってくれる作品が好み(本棚6)。

「私が愛したヘミングウェイ」(2012年、アメリカ映画)

2015-02-11 07:56:43 | TV放映
監督:フィリップ・カウフマン
出演:クライヴ・オーウェン(アーネスト・ヘミングウェイ)、ニコール・キッドマン(マーサ・ゲルホーン)



番組紹介
文豪ヘミングウェイと戦時特派員ゲルホーンの波乱に満ちた恋愛を描いた大作ドラマ。ハリウッドの2大スター、ニコール・キッドマンとクライヴ・オーウェンが出演。 
「武器よさらば」「誰がために鐘は鳴る」「老人と海」などの名作を遺した文豪アーネスト・ヘミングウェイだが、豪放な性格と突出した行動力を持ち、生涯で4回も結婚した。本作は彼と3人目の妻ゲルホーンの情熱的関係を、世界各地を舞台に再現。監督は『ライトスタッフ』の巨匠P・カウフマン。監督にとってヘンリー・ミラーを描いた『ヘンリー&ジューン 私が愛した男と女』、マルキ・ド・サドを描いた『クイルズ』に続く“文豪シリーズ”第3弾。見ものは豪華キャストで、『めぐりあう時間たち』でアカデミー賞主演女優賞に輝く人気女優キッドマンがゲルホーン役、『インサイド・マン』の実力派男優オーウェンがヘミングウェイ役を熱演。ベッドシーンも辞さない迫真の熱演を見せた。記録映像とキャストを合成した精巧なVFXも圧巻。全米HBOで2012年5月28日に放送された本作を、未公開作をどこよりも早く贈る“WOWOWプレミア”で日本初公開。

<ストーリー>
1936年、戦時特派員のマーサ・ゲルホーンはキーウエストのバーで有名な作家ヘミングウェイと出会い、その豪快で情熱的な人柄に魅了される。2人は内戦が続くスペインで再会し、同じホテルの同じ階に泊まったこともあり、肉体関係を結んでしまう。ポーリンという2番目の妻がいながら、ヘミングウェイはゲルホーンと一緒にいる時間が増えていく。ついにヘミングウェイはポーリンとの離婚を成立させ、1940年、すぐにゲルホーンと再婚する。しかし、時は第二次世界大戦下。戦時特派員のキャリアを重視して海外に向かいがちなゲルホーンからヘミングウェイの心は次第に離れていき、2人はついに正面から衝突するようになって……。


 「ヘミングウェイ」と「ニコール・キッドマン」がキーワードとなって拝見。
 ゲルホーンがヘミングウェイに惹かれた、というよりヘミングウェイがゲルホーンに一目惚れ、という感じで描かれています。
 彼女の記者魂は、歴史を動かす英雄達の姿よりも、戦時下の一般市民の表情に向きがち。
 中国へ取材へ行った際、蒋介石、周恩来などに会うことになりますが、リーダー達の論理よりも場末で見た子どものことが気に掛かるのでした。
 彼女の仕事への情熱が強くなるほど、ヘミングウェイの愛情が希薄になる状況・・・男と女の関係はいつの時代も変わりないんだな、というシンプルな感想を持ちました。

★ 5点満点で3点。
 ニコール・キッドマンの美しさに頼ってしまった点が難、かな。

「千年の愉楽」(2012年、日本映画)

2015-02-01 19:23:01 | TV放映
監督:若松孝二 



(「Yahoo! 映画」より)
<解説>
昭和の作家・中上健次が故郷・和歌山を舞台に書いた小説を、『実録・連合赤軍 あさま山荘への道程(みち)』『キャタピラー』の若松孝二監督が映画化した人間ドラマ。若い男たちの奔放ながらも悲しい生と性(さが)を、この地で見つめ続けた老女の視点で描き出す。出演者は、『キャタピラー』の寺島しのぶのほか、高良健吾、高岡蒼佑、染谷将太など実力派俳優たちが顔をそろえる。常に衝撃的な作品を発表する若松監督だけに、ストーリーはもちろん俳優たちの見せる新たな一面にも期待が持てる。

<あらすじ>
年老いたオリュウノオバ(寺島しのぶ)の脳裏に、この紀州の路地で生まれ、女たちに愉楽を与え、散っていった男たちの思い出が駆け巡る。自らの美ぼうをのろうように生きた中本半蔵、生きることを強く望んだ田口三好、北の地でもがいた中本達男。彼らの誕生から死までを、助産師をしていたオリュウノオバは見つめ続けていたのだった。


 観終わった後で、原作が中上健次であることを知りました。
 彼の小説の“土着的濃厚さ”が猟奇的な方向へアレンジされていますね。

 知性・理性よりも本能・愛を選択して生きた色男達。
 ヘルマン・ヘッセの「知と愛」(ナルシスとゴルトムント)で扱われた古くて新しい主題でもあります。
 理性的に生き、地位を築き、周囲に尊敬されて生きる人生。
 本能の赴くままに生き、女達に愛され、しかし周囲からは半分蔑視される人生。

 どちらが幸せなのでしょう?

★ 5点満点で3点。
 中上健次の雰囲気をもっと出して欲しかったなあ。

「ふたりのアトリエ~ある彫刻家とモデル」(2012年、スペイン映画)

2015-02-01 13:47:19 | TV放映
原題:El artista y la modelo
監督:フェルナンド・トルエバ



番組紹介/解説
若く美しい娘との出会いをきっかけにかつての創作意欲を取り戻した老彫刻家を、「髪結いの亭主」のJ・ロシュフォールがいぶし銀の魅力で味わい深く好演した人間ドラマ。
「ベルエポック」で第66回アカデミー外国語映画賞に輝いたスペインの名匠、F・トルエバ監督。彼がフランスの彫刻家アリスティド・マイヨールをモデルにして、今は亡き彫刻家の兄とともに早くから構想を温めていた本作の企画を、今回ついに実現。老彫刻家の主人公を名優J・ロシュフォールが味わい深く演じる一方、彼に新たな創作の息吹をもたらす若き女神を、以前にもトルエバ監督の作品に主演した経験を持つスペインの若手女優A・フォルチがフレッシュに好演。スペイン国内では数々の映画賞にノミネートされた。

<内容/物語>
1943年夏、ドイツ占領下のフランス南西部、スペインとの国境に近い村。次第にナチスの取り締まりが強化されるなか、老彫刻家のクロスは、生きる気力や創作意欲を失い、漫然と日々を過ごしていた。そんなある日、彼の愛妻リーが、市場で若くて美しいひとりの娘に目を留め、スペインから逃げてきた彼女メルセを家に連れて帰る。メルセを新たなモデルにして、クロスの心に火がつき、彼は再び創作活動に打ち込むようになる。




 全編モノクロ映像で、渋い映像です。
 裸婦像を一心不乱に描き彫刻する芸術家のこころを垣間見せてくれました。

 女性の美しさってなんだろう?
 なぜ豊かなバストやお尻に男性は魅力を感じるのだろう?
 学問的には「健康な赤ちゃんを産んでくれそうな女性の体に惹かれるよう遺伝子に組み込まれているから」と説明されてます(笑)。

 映像から読み取れることは・・・
 彼が「足のラインが上手く描けない」とデッサンをクシャクシャにする場面とか。
 彼女の裸に欲情してエレクトしてしまう場面では「最低だ!」と自分に怒ってスケッチをやめてしまう、とか。

 エロス以上の“美”があるんだろうか?
 ウ~ン、複雑。

 この映画で一番印象に残っているのは、老彫刻家がモデルにルーベンスのスケッチを見せて説明する場面です。
 それは、よちよち歩きの乳児を家族が見守る絵でした;

「この絵はどうだ?」
「ステキな絵ね」
「そんなことしか云えんのか?」
「・・・」

 そこから、彼の解説が始まります。

 脇で支える幼女は姉であろう
 彼女は乳児の顔を心配そうにのぞき込みながらしっかりと支えている
 おそらく、はじめて歩いた瞬間ではなかろうか
 逆側にいる大人の女性は母親であろう
 彼女は幼女ほど心配している様子はなく、どっしり構えている様子
 姉で経験済みだから余裕があるのだろう
 乳児が向く先には大人の男性が手を広げて迎えている
 我が子の初歩きを喜ぶ父親であろう
 通りがかりの男性はこれらの様子を微笑ましく眺めている

 フ~ン、一枚の絵からこれだけのことがわかるんだ・・・と感心しきり。
 いいものを見せていただきました。

★ 5点満点で4点。

「おくりびと」(2008年、日本映画)

2015-02-01 13:46:40 | TV放映
監督:滝田洋二郎



解説
ひょんなことから遺体を棺に納める“納棺師”となった男が、仕事を通して触れた人間模様や上司の影響を受けながら成長していく姿を描いた感動作。監督には『壬生義士伝』の滝田洋二郎があたり、人気放送作家の小山薫堂が初の映画脚本に挑戦。一見近寄りがたい職業、納棺師に焦点を当て、重くなりがちなテーマを軽快なタッチでつづる。キャストには本木雅弘、広末涼子、山崎努ら実力派がそろい、主演の本木がみせる見事な納棺技術に注目。

<あらすじ>
楽団の解散でチェロ奏者の夢をあきらめ、故郷の山形に帰ってきた大悟(本木雅弘)は好条件の求人広告を見つける。面接に向かうと社長の佐々木(山崎努)に即採用されるが、業務内容は遺体を棺に収める仕事。当初は戸惑っていた大悟だったが、さまざまな境遇の別れと向き合ううちに、納棺師の仕事に誇りを見いだしてゆく。


 話題になった映画を、ほとぼりが冷めるまで待って観てみました。
 ちょっと期待が大きすぎたせいか、あまり感動はしませんでした(苦笑)。

 「納棺師」という仕事に脚光を浴びせた功績はあり、映像の丁寧な作りが好ましい。
 観ている間は感動するのですが、観終わってしばらくすると醒めてしまっている自分に気づくのでした(m(_ _)m)。

★ 5点満点で3点。