映画鑑賞

昔の名画から最近上映の映画まで、国内外を問わず幅広く楽しんでいます(ハラハラドキドキのアクション系は苦手).

「恋愛小説家」

2012-05-27 19:14:25 | TV放映
1997年、アメリカ映画
監督 ジェームズ・L・ブルックス
出演 ジャック・ニコルソン ヘレン・ハント グレッグ・キニア

〜Amoazonの紹介文〜
ジャック・ニコルソンとヘレン・ハントが、年輪を重ねた者同士の「人生の綾」を体現し、ゴールデングローブ並びにアカデミー賞の主演男優賞と主演女優賞をあわせて獲得したヒューマンコメディだ。
ニコルソン演じるのは、恋愛小説で名を馳せた作家、だが素顔は病的なまでに潔癖症で、自己中心的な偏屈男だ。この憎まれ役が、ぜん息もちの息子と暮らすシングルマザー、ハント扮するなじみのウエイトレスとの恋を通じて、人間性を回復してゆく。隣りに住むゲイの画家(グレッグ・キニア)と愛犬との交流も重要で、3人(+1匹)のセッションが豊かなハーモニーを作りだしている。
当時60歳のニコルソンから男の色気とナイーブさを引きだしたのは、『愛と追憶の日々』で彼にオスカー助演男優賞(自らに監督賞)をもたらした名匠、ジェイムズ・L.ブルックスだ。


 私はジャック・ニコルソンのファンです。
 禿頭なのに渋い(失礼)。
 他の映画では「カッコーの巣の上で」「チャイナタウン」「黄昏に燃えて」など、彼の放つ魅力が味わえます。

 この映画でも演じる主人公は曲者。
 人気作家(恋愛小説家)にも関わらず、人間嫌いで強迫神経症で人付き合いは大の苦手。行きつけのレストランでも煙たがられる嫌われ者。
 その彼が周囲の人たちのトラブルに巻き込まれ、生活のペースが乱される一方で人間嫌いの壁が少しずつ崩れていく、というストーリー。

 印象に残るシーンがいくつかありました。

 彼の小説のファンである出版会社の受付嬢に「どうして私たち女性のことをリアルに描写できるのですか?」と聞かれ「男から理性と責任を省いただけ」と吐き捨てるように言ってエレベーターに乗り込む場面。

 ヒロインの女性が自分の母親に愚痴をこぼす場面で「自分の息子とイチャイチャするのは、スキンシップが欲しいから」と告白。
 
 まあ、ハッピーエンドなのですが、恋愛が彼の病気さえも治してしまうのを見るにつけ、こんなにうまくいくものかな、と穿った見方をしてしまう私。残念ながらニコルソンの演技以外に深いものは感じ取れませんでした。

★ 5点満点で3点。
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「センス・オブ・ワンダー」〜レイチェル・カーソンの贈り物〜

2012-04-03 07:09:27 | 手持ちの映画ビデオ・DVD
監督:小泉修吉 制作年:2001年

作品概要
 レイチェル・カーソンが、姪の息子ロジャーとの自然体験をもとにつづったエッセイ「センス・オブ・ワンダー」。その舞台となった米国メイン州に現存する、カーソンの別荘周辺の森や海辺に四季を訪ね、日本語版の翻訳者である上遠恵子さんが原作を朗読し、カーソンとロジャーの世界を追体験する、朗読ドキュメンタリー。


 何年も前に購入し、気になりつつもなかなか見る機会が無かったドキュメンタリー映画です。
 レイチェル・カーソン女史は自然への化学物質汚染に警鐘を鳴らした「沈黙の春」で有名な海洋生物学者。
 その人物に惚れ込み、精力的に翻訳した神遠恵子さんがカーソン女史縁の土地を訪問して女史の思索をたどるという内容です。

 何気ない自然の映像が淡々と流れていきます。
 しかし、退屈することなく新鮮な気持ちになれるのが不思議でした。
 「センス・オブ・ワンダー」とは「自然の神秘や不思議さに目を見張る感性」。
 大人になると失いつつある、子どもの無垢な感性を呼び覚ましてくれるドキュメンタリーでした。

 木々や星空を見るとき、そこに知識は必要ないのです。
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「タイマグラばあちゃん」

2012-03-04 18:45:55 | TV放映
2004年、日本映画
プロデューサー:伊勢真一・菅原淳一
監督:澄川嘉彦(すみかわよしひこ)
撮影:太田信明ほか
音響構成:米山靖
音楽:三上憲夫
語り:小室等

あらすじ
 岩手県のほぼ真ん中にある早池峰山(はやちねさん)の麓に「タイマグラ」と呼ばれる小さな開拓地がある。戦後10軒あまりの農家が入植したが、東京オリンピックの頃にはほとんどの家が山を去り、向田(むかいだ)久米蔵・マサヨさんの二人だけとなった。
 それから20年あまり後の昭和63年、畑仕事にいそしむ向田さん夫婦の静かな暮らしに二っの事件があった。ひとつは夏に久しぶりのお隣さんができたこと。大阪出身の若者(奥畑充幸さん)が開拓農家の残した空き家を借りて住み始めたのである。もうひとつは、年の瀬になってタイマグラに電気がひかれたこと。昭和の最後に灯った明かりであった。
 自分が畑で育てた大豆を使っての豆腐作り、「お農神さま」への信仰、春一番の味噌作り 土に生きる素朴な暮らしぶりにかわりはないが、マサヨばあちゃんの歳月にはさまざまな出来事が起きてゆく。長年つれそった久米蔵さんの死、大雨にたたられた不作、奥畑さんの結婚、そしてばあちゃんが産婆をすることになった長男の誕生… 。
 2000年の春、ばあちゃんは心臓の発作で山をおり、一昨年の暮れに亡くなった。しかし、ばあちゃんの生きた証は消えない。タイマグラに住み続ける奥畑さんは家族とともにばあちゃんが教えてくれた味噌作りを受け継いでいこうとしている。


 NHK-BSで拝見しました。
 撮影は平成ですが、映像は昭和のにおいがプンプン。NHKの「新日本紀行」の雰囲気があります。

 山の中で畑を耕して自分たちが食べるものを作り、日が暮れると眠りにつき、日の出と共に活動を始める生活が延々と繰り返されます。
 なんだか、老夫婦が自然の一部として溶け込んでいるかのよう。

 あ、途中で電気が通ったのです。
 でもやっぱり、夜は暗くなると寝てしまう。

 山の動物たちもちょくちょく姿を現します。
 作物が荒らされてもばあちゃんは怒りません。
 「人間が勝手に入ってきて畑を耕してるだけ。もともとは山の生き物の場所だから」という考えなのです。

 じいちゃんは91歳で亡くなりました。
 死ぬ2日前までは自分でトイレを済ませ、大便後に「これでお終い」と云ったそうな。
 ほんとにそのまま逝ってしまった。
 山に帰ったのかな。

 春は味噌造り。煮た大豆を長靴を履いた足で潰して練り上げ、それを固めて屋内にぶら下げます。家に居着いた麹菌が発酵を担当します。
 秋はジャガイモを収穫し、それをヒモに通して乾燥させます。凍って溶けてを繰り返すとイモが粉末になりやすく、それを団子にして主食にします(米は収穫できないため)。
 冬は豆腐づくり。当然自作です。
 
 自然の中で生きていること。
 娯楽も楽しみもない生活だけど、じいちゃんとばあちゃんの穏やかで満足そうな表情が忘れられません。
 まるで昔話のよう。
 
 隣人の奥畑さんは、現在民宿「渓山荘」を経営しています。
 彼がタイマグラに来たのは昭和63年。
 私が大学を卒業して就職した年ですね。
 こんな人生もあるんだなあ。


★ 5点満点で4.5点。

受賞歴
・ サルディニア国際民俗学映画祭(イタリア)で大賞を受賞しました。
・2006年3月:アメリカ・ウインストンセーラムで行われた「第8回 リバーラン国際映画祭」において最優秀ドキュメンタリー賞を受賞しました。
・2006年3月:フランス・パリで行われた「第25回 民族学映画祭」において特別賞を受賞しました。
・2006年3月:スイス・フライブルグ市にて行われた「第20回 フライブルグ国際映画祭」において最優秀ドキュメンタリー賞を受賞しました。
・「2004年度第78回キネマ旬報文化映画ベスト・テン」第5位、そして「日本映画ペンクラブ会員選出 日本映画ノンシアトリカル 」第5位に輝きました。
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「バックドロップ・クルディスタン」

2012-03-04 07:22:25 | TV放映
2007年、日本映画
監督:野本大 
プロデューサー:大澤一生
撮影:野本大、山内大堂、大澤一生

Amazonの解説文
 日本、トルコ、ニュージーランド―。クルド人難民家族を追って、一人の若者が国境を越えて疾走する!
 2004年、映像系専門学校に通っていた24歳の野本大は、ひょんなことからクルド難民のカザンキラン一家と出会う。人間としての彼らに魅力を感じた野本は、彼らのドキュメンタリーを作ろうと決意。
 ところが、度重なる国連との衝突の末、やっと「難民」の認定を勝ち取ったはずのカザンキラン一家が強制送還されてしまう。なぜこんなことが起こったのか、どうしても理解できない野本は、カメラを片手に彼らを追いかけてトルコへと旅立つ。その先で、彼が知った衝撃の真実とは…。


 しばらく前に購入したDVDをふとしたきっかけから視聴しました。
 日本に難民申請をしても認められず困っているクルド人家族(カザンキラン一家)に寄り添う日本人野本が監督自身です。

 難民申請が受け入れられず、無許可のデモを行い、日本人を罵倒する家族を見ると、日本人の誰もが不思議に思うことでしょう。
 「なぜ日本へ来たんだろう?」
 「アフリカならまだしも、トルコで難民なんて発生するんだろうか?」

 日本では受け入れられず、国連へ訴えて難民認定を勝ち取った(?)家族。
 しかし、急展開して強制送還される事態に。
 ここにも「なぜ?」が発生し、疑問で頭がいっぱいになった野本(監督)はトルコに乗り込むのでした。

 トルコの都市部ではトルコ人の声を聞き、東部のクルド人居住地域に向かって親族・家族の話に耳を傾けました。
 すると、いろんなことがわかってきました。

 クルド人は国を持たない民族であること。
 居住地域は4つの国に分断されて存在し、どこでも主流派とはなり得ないこと。
 トルコ国内に最も多く住んでいるが、トルコ人からは差別されてきたこと(EU加盟の際に表立っては差別されないことになっている)。
 クルド人の過激派であるPKKの攻撃にトルコ政府は悩まされていること。


 などなど。
 つまり、クルド人は自国を持ちたいけど持てなくてあがいている悲しい民族。その軋轢の中で、カザンキラン氏はPKKに加担する運動に参加したため政府から目を付けられ、身の危険を感じて国外逃亡し難民申請をしたわけです。

 街のトルコ人はカザンキラン氏の行動に批判的な発言が多かった。
 印象深かったのが、カザンキラン氏の家族・親族の言葉でした。
 「馬鹿なことをやった」
 おしなべてこのような論調なのです。
 「確かに表立っては差別されていないことになっているが、細かいことを言い出すとキリがない。でも昔からクルド人はそんな生活を余儀なくされてきた。全くの自由なんてあり得ない。いろんなことに我慢すれば、ここでもそこそこの生活ができたはずなのに・・・」

 社会的な正義にこだわりすぎて自分のいる場所を失い、家族をもさまよわせることになってしまったカザンキラン氏。

 彼のしていることは正しいのだろうか、間違っているのだろうか・・・。

 間違いではないのでしょうが、我慢が当たり前と割り切ってトルコで生活している家族・親族や、身を捧げて反政府運動に参加するPKKの人たちを知ると、やはり「逃げ出した」感が否めません。
 もっとも、隣り合った民族がいがみ合う歴史を知らない日本人には計り知れないものがあると思われますので、私の浅はかな感想をこれ以上書くことは控えておきます。

★ 5点満点で3点

【受賞暦】
2007山形国際ドキュメンタリー映画祭アジア千波万波部門市民賞・奨励賞受賞
2008毎日映画コンクールドキュメンタリー映画賞受賞


 今を去ること20年前、私はトルコを旅行しました。
 イスタンブールのグランドバザールでTシャツを買わせようと日本人観光客を追いかける子ども達がクルド人でした。
 ガイドの通訳の女性は「クルド人は嫌い。汚いしずるい。」と云ってました。青臭い私は差別感情に反感を覚えましたが、あれが一般トルコ人の認識だったのですね。

※ ネットで見つけた「クルド難民」のわかりやすい解説;
 クルド人は「国家を持たない最大の民族」と言われ、その数は2000〜3000万人と推定されている。クルド人はその地理的状況から、常に周辺諸国の争いに巻き込まれてきた。第1次大戦後、敗戦国オスマントルコの分断に当たり、クルド人国家が成立する兆しもあったが、トルコ共和国の建国、石油を巡る欧州諸国の思惑もあり、クルド人が「クルディスタン(クルドの土地、クルドの国の意)」とよぶ地域はトルコ、シリア、イラン、イラクの国境にまたがって分断された。最大のクルド人人口(全人口の20%、推定1200〜1500万人)を抱えるトルコでは、建国の父、ムスタファ・ケマル・アタテュルクがトルコ単一民族主義を提唱したため、1923年の建国以来クルド人という民族の存在自体を認めない政策を打ち出してきた。近年までクルド語の使用、クルド語による教育、音楽は禁止され、クルド人は「トルコ人」として生きることを余儀なくされてきた。
 一時沈静化していたクルディスタン独立運動は、武装闘争を主とするPKK(クルディスタン労働党)が台頭した80年代に再び活性化。以降、クルド人はトルコ政府から激しく弾圧された。同時に国外へ脱出するクルド人も増加し、ドイツ等の欧米諸国を中心に、約90万人のクルド人が海外で暮らしている。日本でも90年代からクルド難民が入国し始め、現在では埼玉県を中心に約500人のクルド人が日本で暮らしているが、トルコ国籍クルド人の難民申請は日本国内では未だに1件も認められていない。
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「ねこばん」

2012-02-26 22:58:04 | TV放映
2010年、日本映画
監督:有馬顕
出演:伊武雅刀 , りりィ , 他

〜Amazonの紹介文〜
 無趣味で頑固な元鉄道員。 退屈な日常を変えてくれたのは、家にフラっとやってくる猫たちだった。根本勲(伊武雅刀)、60歳。電車の運転士を定年退職して3か月。妻の敏子(りりィ)は習い事を始め、昼間は留守がち。そんな時間を持て余す彼の家の庭には、毎日違う猫がフラっとやってくるのだった。 ある日、娘から5歳の孫ちずるの世話を任され困り果てる根本。まったく懐かない孫娘を横目に、妻からの指令で慣れない家事をこなして悪戦苦闘。そこに女性ものの下着を首に巻いた猫が現れて、あとを追って屋根に登ったはいいが、ハシゴが外れて降りられなくなってしまった!家の中には孫娘と沢山の猫たち。屋根の上に一人残された根本の運命はいかに!


 WOWWOWの放送で視聴しました。

 仕事一筋で無趣味の元鉄道員が主人公です。
 定年後、なにもすることがなく、家でブラブラ粗大ゴミ状態。
 家にはなぜかネコがたくさん遊びに来ます。
 いや、居着いているようなのでネコ屋敷?
 
 ネコと子守を任された孫と共に、のどかでスリリングな一日が始まり、終わります。
 ゆっくりした時間感覚がいいですね。
 仕事に疲れて、なにもしたくなくなった状態の私には一服の清涼剤となりました。

★ 5点満点で4点。
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「シャングリラ」

2012-01-23 22:48:19 | TV放映
2008年、中国映画。
監督:ティン・ナイチョン
音楽:櫻井弘二
出演: チュウ・チーイン, ウー・チョンティエン.他

〜Yahoo映画より〜
 1970年代生まれの中国、台湾、香港の女性監督10人が、雲南を舞台に映画を撮るシリーズ“雲南影響”の中の1作。幼い息子を亡くして悲嘆に暮れる女性が、美しい自然に満ちた雲南省チベット族自治州への旅を通し、再生していく姿を描いたヒューマンドラマ。監督は、F4のケン・チュウが初舞台を踏んだ作品の演出家としても知られるティン・ナイチョン。ヒロインの心の変遷と、カイロ映画祭で撮影特別賞を受賞した美しい映像に注目だ。


 NHK-BSのアジア・フィルムフェスティバル特集で視聴しました。
 ストーリーは今ひとつですが、雲南省のチベット仏教の聖地である「梅里雪山」の美しい映像が記憶に残りました。チベットの少年が口ずさむ歌は日本の民謡のようにも聞こえ、そこに暮らす人々をなんとなく懐かしく感じるのが不思議でした。
 やはりアジアなのですねえ。

☆ 5点満点でストーリーは2点、映像は3点。
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「明日の記憶」

2011-10-30 23:22:06 | 手持ちの映画ビデオ・DVD
2006年、日本映画。
監督: 堤幸彦
出演: 渡辺謙, 樋口可南子, 坂口憲二, 吹石一恵, 水川あさみ、大滝秀治他

〜Amazonの解説文〜
 『トリック 劇場版』の堤幸彦監督が、山本周五郎賞を受賞した荻原浩の同名小説を渡辺謙、樋口可南子共演で映画化したドラマ。若年性アルツハイマー病に突如襲われた50歳の働き盛りのサラリーマンと、そんな夫を懸命に支えようとする妻との絆を綴る。


 なんという映画でしょう。

 若年性アルツハイマー病に侵され、自分が自分でなくなっていく過程を描いた作品です。50歳前に発症した主人公がを到底受け入れられる現実ではなく、本人のみならず周囲の人たちも戸惑い、どうしていいのかわからない・・・自分が、社会生活が、家庭が壊れていくのを止めることができない葛藤は言葉では言い表せません。

 この映画のすばらしいところは、主人公を取り巻く全ての状況において二面性を表現しているところだと思います。
 妻からの愛情と憎しみ(仕事人間だった主人公は家庭をないがしろにしてきた)。
 娘との葛藤・別離と容認。
 会社の部下からの信頼と裏切り。
 ・・・物事は善と悪の二つにはっきり区別できない、価値観は相対的な物であることを示し、ストーリーに広がりを与えています。

 しかし、もがき苦しむ中にも生きることの喜びを描き込んでいます。
 孫の誕生、かつての師匠との再会。

 人間はいずれ土に還っていく存在です。
 ラストの背景に自然と陶芸(焼き物)を配置したのは心憎い演出だと思いました。

 私自身が主人公と同じ年齢層だけに他人事とは思えず、いつの間にか自分に置き換えて見ていました。
 「自分だったらどうするだろう・・・?」と。

★ 5点満点で5点。

 先日、文化功労賞を受賞した大滝秀治さんの演技が見事。
 彼の演ずる元気なボケ老人ぶりはテーマの暗さを喝破していました。
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「ねらわれた学園」

2011-10-10 22:55:19 | 手持ちの映画ビデオ・DVD
1981年、日本映画。
原作:眉村卓
監督:大林宣彦
主題歌:「守ってあげたい」(松任谷由実)
出演:薬師丸ひろ子、高柳良一、長谷川真砂美、手塚眞、三浦浩一、大石吾朗、山本耕一、峰岸徹他

〜Amazonの解説文〜
大林宣彦監督が、当時ヒット作を連発していたプロデューサー・角川春樹と組み、角川映画の看板娘・薬師丸ひろ子主演で眉村卓のSF小説を「きらめきたる映像と、心を揺さぶる音楽」で映像化した青春サスペンス。
進学校・第一学園に通う由香(薬師丸ひろ子)のクラスに高見沢みちる(長谷川真砂美)が転校してくる。生徒会会長になったみちるは、風紀を乱した生徒を取り締まる校内パトロールを組織して学園を作り変えていく。彼女の背後には、魔王子・京極(峰岸徹)が操る「英光塾」が控えており、由香と耕児(高柳良一)は陰謀を粉砕すべく立ち上がる。
大林お得意の、オプチカル合成とコミック・タッチの映像でにぎやかな作品になっているが、自称天才の有川に扮した手塚真や珍妙な衣装に身を包んだ峰岸徹の大げさな演技は、いささか失笑もの。だがアイドル映画して、主演の薬師丸ひろ子の魅力を見せるというポイントはしっかり押さえているあたりはさすが。


 この映画が公開された1981年当時、私は高校3年生。
 薬師丸ひろ子は押しも押されぬアイドル&映画女優でした(実は大ファン)。美人と云うより、ちょっと神秘的な魅力を備えた女の子というイメージで売り出していた記憶があります。

 彼女の出演作品は・・・
「野生の証明」(1978年)
「翔んだカップル」(1980年)
「セーラー服と機関銃」(1981年)
「探偵物語」(1983年)
「Wの悲劇」(1984年)
 等々。
 上記映画はすべて見ましたが、この「ねらわれた学園」だけは見た記憶がなく、今回中古DVDを手に入れて拝見しました。

 いや〜、「セーラー服と機関銃」のシリアスな雰囲気とは異なり、多分に漫画チックな造りです。ちょっと監督のセンスを疑いたくなるようなシーンもありました。
 学校の木造校舎が「昭和」という雰囲気を演出しており、懐かしさがこみ上げてきました。

 薬師丸ひろ子は私一つ年下です。
 同年代の彼女がたどったその後の人生は・・・1990年代に歌手の玉置浩二と結婚・離婚、2000年代前半は寡作でしたが、2005年の「三丁目の夕日」以降、演技派として評価されたのか、また映画に出演することが多くなりました。「バブルへGo!」「歌魂」なんかもよかったですね。
 年とともに演技に味が出てきたような気がします。
 同年代として、今後どんな活躍をしていくのか楽しみです。

 原作の眉村卓氏はSF作家。
 SF少年だった私はファンの一人でした。
 この作品やNHKドラマで人気があった「謎の転校生」等は少年少女向けの小説でしたが、それ以降に発表した「司政官シリーズ」が私のお気に入りです。宇宙を舞台に中間管理職の悲哀を描いた作品ですが、主人公の透明な思想感覚が好ましく、特に「消滅の光輪」(泉鏡花文学賞受賞)「引き潮の時」はジワジワ感動が沸いてきて、よかったなあ。

★ 5点満点で2.5点。
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「飛ぶ教室」

2011-09-20 06:52:30 | 手持ちの映画ビデオ・DVD
2003年、ドイツ映画

監督:トミー・ヴィガント
出演:ウルリヒ・ノエテン、セバスチャン・コッホ 他

〜Amazonの解説文〜
 エーリヒ・ケストナー原作の同名ベストセラーを現代風にアレンジして映画化したコメディドラマ。5人の少年たちが隠れ家の地下室で見つけた古い演劇の台本「飛ぶ教室」を、ラップなどを織り交ぜ、校内発表劇として上演するまでをユーモラスに描く。


 いや〜いいですねえ、この映画。
 子ども達の友情、寄宿生と通学生の反目、先生との信頼関係が爽やかに描かれています。
 なんといっても子ども達の個性が光っているのが素晴らしい。
 秘密基地ならぬ「隠れ家」が登場するもの、観る人の少年心をくすぐります。

 ヨーロッパでは寄宿舎のある学校がたびたび映画に登場します。
 ハリー・ポッターのシリーズもその一つですね。
 日本では少年期から寄宿あるいは寮生活をする習慣がなく、馴染みがありません。
 この映画を観ると、そこには子ども達の役割分担やプチ自治があり、派閥があり、上下関係があり・・・「自分と違う他人」を見つめて個性が育まれるよい土壌となっているんだなあ、と感じました。

 逆の視点からすると、寄宿舎生活をしている子ども達の性格が良すぎるような気がします。
 いろんな事情(主に大人の都合)で預けられた子ども達の心は、もっと屈折したところがあるはず。映画の登場人物は、その孤独をすべて乗り越えてしまっているかのように描かれ、少々違和感を感じました。

★ 5点満点で4点。
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「ニライカナイからの手紙」

2011-09-11 23:10:48 | 手持ちの映画ビデオ・DVD
2005年、日本映画

監督・脚本:熊澤尚人
主題歌:永山尚太 『太陽ぬ花』
出演:蒼井 優、平良 進、南 果歩、金井勇太、かわい瞳、比嘉愛未、中村愛美、斎藤 歩、前田 吟

〜Amazonの紹介文より〜
蒼井優主演のハートフルな物語。共演は平良進、南果歩、金井勇太ほか。能澤尚人がメガホンを取り、多感な少女の心の成長を丁寧に描いて話題を呼んだ。
 舞台は沖縄・竹富島。6歳のときに母・昌美(南果歩)と別れた風希(蒼井優)は、毎年誕生日に母から届く手紙を心待ちにしていた。いつしか父の形見のカメラで写真を撮り始めた彼女は、写真家になる夢を育みながら、母のいる東京へと思いを馳せるようになる。19歳の誕生日を迎えた風希に、今年も母から手紙が届き…。
 ストーリーは極めてシンプルだが、出演者の醸し出す雰囲気や間合い、映像の美しさが非常に雄弁で、知らず知らずのうちにぐいぐいと作品に引き込まれていく。なんといっても、風希=蒼井優のピュアな存在感に、強く心をつかまれる。


 優しさに満ちた映画で、見終わった後も爽やかな感動を覚えました。
 でも、ストーリーは平凡で、記憶に残る映画というほどでは・・・。

★ 5点満点で3点。
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