本棚3(漢方・食育・食養生)

漢方医学の魅力に取りつかれた小児科医です.学会やネットで得た情報や、最近読んだ本の感想を書き留めました.

第1回「日本小児漢方懇話会フォーラム」に参加してきました。

2017年07月17日 11時57分19秒 | 漢方
2017.7.16、主婦会館プラザエフ
テーマ「診療科の垣根を越える小児漢方」

故・広瀬滋之先生が主催していた日本小児漢方懇話会を後継する待望の会が始まりました。
連休中にもかかわらず、会場はほぼ満員で特別講演の新見正則先生が驚いていました。
テーマの如く小児科医だけでなく、外科医・耳鼻科医など多彩な講師陣。
内容も学問的な議論あり、雑談あり、笑いありと、不思議な雰囲気の会合でした。



<講演内容>

■ 「子どもと小児漢方の今とこれから」森蘭子(森こどもクリニック院長)
 森先生はこの会の代表幹事。
 私を小児漢方の世界へ引きずり込んでくれた(?)恩人でもあります。
 感染症が減り、こころの問題を抱える患者さんが増えてきた昨今、漢方薬によるサポートの可能性について彼女独自の考え方を話されました。
 子どものみならず母親もサポートする姿勢が感じられ、診察室の温かい雰囲気がにじみ出る内容でした。

■ 「モダンカンポウ〜愛と奇跡〜」新見正則(帝京大学外科准教授)
 TVでお馴染み、イグノーベル賞で有名な、あの新見先生です。
 TVではトライアスロンのユニフォームで出演していてそのイメージが目に焼き付いていますが、さすがに昨日はスーツ姿・・・かえって違和感がありました。
 彼の著作は何冊か読んだことがあります。
 あらためて、彼が漢方に出会いどう学んできたかを興味深く拝聴しました。
 とくに松田邦夫先生との出会いが大きかった様子。
 やはり「師」が大切なのですね。
 西洋医学に基づく発想で漢方を捉えた走りのような方ですが、その基礎となる漢方医学の知識がとても深いことをあらためて知りました。すごい先生です。

■ 「小児漢方における小児外科」八木実(久留米大学外科教授)
 早口でスライドも2秒間隔でどんどん進むので、紙芝居を見ているよう。メモをとる暇なんてありません。
 中でも「まくり」:鷓鴣菜(しゃこさい)・大黄・桃仁・紅花・桂枝・黄連・甘草各0.5という漢方薬が印象に残りました。
 それから、リンパ管腫に越婢加朮湯が有効であることを初めて知りました。
 この漢方薬は、赤く腫れて炎症を起こしている部位を治してくれるイメージで、私は花粉症で目の症状がつらいタイプや、虫刺されで腫れやすい子どもに処方しています。

■ 「ある日、突然、やたら漢方を処方したがる耳鼻咽喉科医院がオープンしたら〜その後、10年の経過報告」今中雅支(いまなか耳鼻咽喉科
 題名からして笑い取りに走っているのが見え見え(^^;)。
 彼の講演を以前にもこの会で聞いたことがあります(「耳鼻咽喉科領域の感染症の漢方治療〜責めたり、守ったり、してやったり〜」2010年)。
 中耳炎には抗生物質づけしがちな耳鼻科医の中にも、それから脱却すべく努力している先生がいるんだ、と感心したことを記憶しています。
 今回も、とても実のある内容で勉強になりました。
 鼻炎/後鼻漏/副鼻腔炎に葛根湯加川芎辛夷や辛夷清肺湯を使うのは私と同じですが、難治例には黄耆建中湯を併用するという技を知りました。
 それから、漢方薬の小児服用率が90%に達しているマジックに驚かされました。
 当院でもいろいろ工夫して漢方薬を飲ませる指導をしていますが、とても90%には届きません。
 何が違うんだろう・・・院内で試し飲みさせることと、あとは先生・スタッフのマシンガントークかなあ?

<参考>
□ 「耳鼻咽喉科領域における漢方治療」(第114回日本耳鼻咽喉科学会総会ランチョンセミナー、2013年)

■ 「あの日、思春期だった大人たちへ〜思春期の患者診療と漢方薬〜」池野一秀(長野松代総合病院小児科部長)
 ファンタジックなイラストを描く小児漢方医として有名な池野先生。
 「春の女神症候群」という概念と診療(柴苓湯がメイン)を中心に話され、彼の真面目な姿勢がにじみ出る内容でした。
 谷口ジローの「遙かな町へ」というマンガも紹介されました。
 とともに、彼のようなこころを診る診療は、数をこなさないと経営が成り立たない開業医では無理だなあ、とも感じました。

 もう一つ講演が残っていたのですが、会場の冷房で体が冷え切ってしまい、持病持ちの私は体調が怪しくなってきて退出せざるを得ませんでした。
 ぜひ、今後も参加したい懇話会です。
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