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日々アレルギー疾患の診療をしている小児科医です.読んだ本の感想やネット情報を書き留めました(本棚2)。

百日咳ワクチン関連の話題(2017年8月)

2017-08-08 15:53:49 | 予防接種
 目にとまった百日咳ワクチン関連の話題をアステラスのHP、「REUTERS Medical News」から。

 成人用百日咳含有ワクチン(Tdap:日本では未承認)は免疫がついても数年でなくなってしまう困ったワクチンです。
 そして百日咳が一番重症化しやすい年齢はゼロ歳、それも生まれたばかりの新生児。
 赤ちゃんをどうやって百日咳から守るか・・・たどり着いた答えは「妊婦への接種」です。
 母親に免疫を付けることにより母親からの感染を防ぎ、さらに胎盤を介して抗体を赤ちゃんへ移行させることにより赤ちゃんを守るという戦略。
 現在、米国、英国、オーストラリアを含む多くの国では、第3三半期以前の妊婦に対して、3か月未満の幼児を守るため、百日咳を含むワクチン接種を勧めています。
 日本の状況は・・・Tdapは未導入だし、当然妊婦への接種も話題にもなりません(T_T)。

 各報告ともに結構文章の量があるので、ポイントを要約しておきます;

1.「百日咳ワクチンを妊娠中に接種すると母親と乳児の抗体価が上昇する(2017-07-05)
 ワクチン接種の時期が現行の妊娠後半期ではなく妊娠前でも有効ではないかという内容です。しかし、そのように免疫をもらった赤ちゃんは、自分の接種スケジュールをこなした後に速やかに抗体がなくなってしまうという不思議な現象が観察されました。どういうこと?

2.「妊娠中の百日咳ワクチン接種で新生児を守れる(2017-04-03)
 妊婦がTdapを接種すると、その赤ちゃんが百日咳から守られる確率は91%(ただし生後2ヶ月まで)の高率という内容です。妊婦への接種は赤ちゃんへの「初回接種」と捉えられるほど効果がある、と。ただし、Tdapの効果持続期間は短いため、妊娠するたびに接種が必要になります。

3.「妊娠中のTdapワクチン接種の安全性が新たな論文レビューで確認される(2017-02-09)
 その「妊娠第2三半期または第3三半期に行うTdap混合ワクチン産前接種は、胎児および新生児にとって臨床的に意義のある害を及ばすことはない」と安全性を示した内容です。

4.「百日咳ワクチンを接種する妊婦が増加(2017-06-15)
 以上を踏まえた社会状況として「Tdapブースターワクチンを接種した米国人妊婦は、2014年にはわずか27%であったのに対し、昨年は約49%にまで増加した。でもまだ半分であり、乳児の2人に1人は百日咳に対する防御力を持たずに生まれている。」という内容です。

5.「百日咳感染の重症度は予防接種によって低下(2017-07-27)
 「予防接種をしても常に百日咳が予防できるわけではないが、ワクチンを接種すると、接種していない場合に比べて呼吸器症状は軽減され、重篤な合併症の確率は低くなる」という内容です。まあ、そうでなきゃやる意味がありません。
 具体的には「重篤な感染症の顕著な特徴である重度の嘔吐の確率が30%低下」したとのこと。



1.百日咳ワクチンを妊娠中に接種すると母親と乳児の抗体価が上昇する
 母親が妊娠中に百日咳ワクチン接種を受けると、接種後の妊娠で生まれた乳児と母親において百日咳抗体の濃度が上昇する、と研究者らが報告した。
 「現在、百日咳を含むワクチンの接種は、第2/第3トリメスターに受けることが推奨されている」と、University of Antwerp(Belgium、Wilrijk)のElke Leuridan先生はReuters Healthにeメールで伝えた。「この戦略をとることで、高い抗体価が胎盤を通して胎児に受け渡される。しかし、妊娠前のワクチン接種も、その後に生まれた乳児においてかなり高い抗体価を誘導し、もしかすると予防効果を示す可能性があることがはじめて明らかになった。」
 Leuridan先生のチームは、最初の妊娠後、母親86人に破傷風・ジフテリア・無細胞百日咳(Tdap)ワクチンを追加接種し、もう1度妊娠した母親58人および2回の妊娠で出産された乳児と兄弟において百日咳抗体を評価した。
 Tdap追加接種とその後の出産のあいだの間隔は中央値で16.8か月であった(範囲:6.2か月~56.49か月)。
 ワクチン接種の1か月後、女性の97.7%が線維状赤血球凝集素(FHA)およびペルタクチン(Prn)に免疫応答を示し、90.7%が百日咳毒素に免疫応答を示した。平均抗体レベルは、次の出産時点で大幅に低下していたが、すべての抗体に対しベースラインの濃度より高い水準を維持した。
 乳児予防接種プログラム開始前の生後1か月時点まで、2回目の妊娠で生まれた児では、きょうだいに比べ抗体レベルが大幅に高かった。
 初回接種シリーズとして3回の接種を受けた後では、2回目の妊娠で生まれた子では、最初の妊娠で生まれた兄弟に比べすべての抗体濃度が一貫して低かった(The Journal of Infectious Diseasesオンライン版6月15日の報告)。
 数学モデルによると、抗百日咳毒素抗体レベルが5 ELISA単位(EU)/mL未満に低下するまでの時間(中央値)は、最初の妊娠で生まれた子では1.21か月、2回目の妊娠で生まれた子では2.21か月であった。
 「我々のデータは、妊娠可能年齢の女性に対する追加接種の最小間隔を計算するための基礎となるものだ」と、Leuridan先生は述べた。「この研究は規模が小さいため、必要な間隔を正しく計算するにはより多くのデータが必要だ。しかし今回の研究により初めて、妊娠前の追加接種による母親の抗体価上昇が新生児にプラスの効果をもたらすことが確認できた。」
 「方針を変更するのは時期尚早だが、妊娠する少し前の追加接種に効果がないわけではないことがわかった」と、先生は述べた。
 「もっとも驚くべき結果は、母親へのワクチン接種後に生まれた乳児において免疫応答が低下したことだ」と、先生は述べた。「この結果が予防効果の観点で重要かどうかはわからない。というのは百日咳の予防効果との相関はみられていないからだ。同様に、妊娠中にワクチンを接種した後についても免疫応答の低下が報告されているが、乳児への初回+追加接種スケジュールを実施した後には消失する。」
 「低月齢の乳児を百日咳から守る手段として、母親が妊娠中に百日咳ワクチン接種を受けることの重要性を強調したい」と、先生は結論づけた。「母親のワクチン接種に関しより多くのデータと科学的根拠を提供する努力を続けていく中で、追加接種の推奨および成人のTdap追加接種の推奨に関する費用便益の計算について意味のあるデータを追加できたと思いたい。」


2.妊娠中の百日咳ワクチン接種で新生児を守れる
 百日咳は死に至る可能性のある呼吸器感染症であるが、それに対抗するワクチンを母親が接種すると、子供が百日咳に罹る確率が大幅に低下することが、米国の大規模研究で明らかになった。
 研究者らは、2010年~2015年にカリフォルニアで生まれた約149,000人の乳児に関するデータを検討した。破傷風トキソイド・弱毒化ジフテリアトキソイド・無細胞性百日咳(Tdap)ワクチンをブースター接種した母親の子供は、米国人乳児が一般に百日咳ワクチンの初回投与を受ける時点の前の、極めて重要な生後2か月間に百日咳に罹患する確率が91%低いことが、この研究で明らかになった。
 「妊婦が予防接種を受けることは、非常に大切である」と、研究筆頭著者でカリフォルニア州オークランドにあるKaiser Permanente Vaccine CenterのNicola Klein先生は述べた。
 「これは、乳児自身がワクチン接種できるようになる前に乳児を守ることのできる、極めて効果的なワクチンである」と、Klein先生は電話インタビューで述べた。
 多くの国の保健当局が、生後6週~3か月までのいずれかの時点から開始して3回投与するという乳児に関する勧告を出すだけでなく、妊婦にもワクチン接種するよう推奨している。また、ワクチンの有効性は時と共に弱まるため、妊娠のたびにワクチン接種するよう女性に推奨している国もある
 この研究に組み入れられた赤ちゃん全員が生まれた場所であるカイザーパーマネンテは、カリフォルニアで百日咳が流行した後、2010年に妊婦のTdapワクチン接種を奨励し始めた。米疾病対策センターは2013年初め、Tdapを過去に接種したことがあるかないかにかかわらず、全ての妊婦にTdapワクチンを接種するよう勧告した。
 これらの勧告が出される前の2006年~2008年においては、カイザーの病院で生まれた赤ちゃんのうち、妊娠中にワクチン接種した母親を持つ赤ちゃんは1%未満であったことが判明した。
 2010年にこの研究が開始された時点では、ワクチン接種した母親を持つ赤ちゃんは約12%であった。2015年までには、ワクチン接種した母親を持つ赤ちゃんは87%となった。
 乳児らが生後2か月から接種し始めた百日咳ワクチンの効果を調整した後でもなお、妊娠中にワクチン接種した母親を持つ赤ちゃんの生後1年以内の百日咳リスクは69%低かったと、研究者らは4月3日付けのPediatricsで報告している。
 これは対照を置いた試験ではなく、妊婦のワクチン接種が赤ちゃんを百日咳から守ることを証明できるようデザインされてはいないと、執筆者らは述べている。妊娠中にワクチン接種したほとんどの女性において接種時期が同じ頃であったため、この研究は、母親へワクチン投与するのに最適な妊娠期間中の時点を判定する一助ともならない。
 それでもなお、これは妊婦のワクチン接種が乳児を守ること、とりわけ乳児自身がワクチン接種することはない極めて重要な生後2か月間において乳児を守ることを示す、非常に有力なエビデンスを提供した初めての研究であると、この研究に関与していないカリフォルニアにあるスタンフォード大学医科大学院の小児感染症研究者、Yvonne Maldonado先生は述べた。
 さらに、2か月、4か月、6か月時点で乳児が接種するワクチンの効果が妊婦のワクチン接種によって低減する可能性があるとの懸念も、この所見によって軽減するに違いないと、Maldonado先生はeメールで述べた。
 「この研究はこれが事実無根であること、そして実際には、母親のTdap接種によるベネフィットが乳児のワクチン接種後でもなお存在するように見受けられることを証明している」と、Maldonado先生は述べた。
 全ての女性が妊娠中にこのワクチンを接種しているわけではなく、医師からワクチンを勧められない場合は尋ねるべきであると、この研究に関与していないオーストラリアにあるシドニー大学の公衆衛生学研究者Julie Leask氏は述べた。
 「このデータは、妊婦のワクチン接種は乳児のワクチン接種における『初回投与』であるとして、その論拠をさらに強めている」と、Leask氏はeメールで述べた。


3.妊娠中のTdapワクチン接種の安全性が新たな論文レビューで確認される
 妊婦における破傷風、ジフテリア、無細胞百日咳(Tdap)ワクチン接種の安全性に関して安心できるデータが文献レビューをした結果得られた、と研究者らは述べている。
 「妊娠第2三半期または第3三半期に行うTdap混合ワクチン産前接種は、胎児および新生児にとって臨床的に意義のある害を及ばすことはない、ということがエビデンスから示唆される」と、オーストラリア、アデレード大学Mark McMillan氏らが2月6日付Obstetrics and Gynecologyオンライン版で報告した。
 小児期でのワクチン接種率は高いが、百日咳の「復活」が多くの国で生じている、と研究者らは指摘している。2か月未満の幼児は能動免疫に十分耐えることができず、非常に影響を受けやすい。
 よって、米国、英国、オーストラリアを含む多くの国では、現在第3三半期以前の妊婦に対して、3か月未満の幼児を守るため、百日咳を含むワクチン接種を勧めている。しかし、産前ワクチン接種の母親、胎児、新生児に対する安全性に関する情報は限られている。
 これを調べるため、McMillan氏らは、百日咳抗原、ジフテリア毒素、破傷風毒素を含む混合ワクチン、あるいは不活性化ポリオ抗原ワクチンの産前接種後の妊婦、胎児、幼児における有害事象を報告した21試験の体系的レビューを行った。
 早産、SGA性低身長症、死産、出生時低体重、先天異常等の出生時有害事象を評価したところ、「妊娠後期第2三半期または第3三半期でのTdapまたはTdap-IPVの産前接種後にリスクが上昇することは示唆されなかった」と報告されている。転帰に対する95%信頼区間はすべて1.0まで及ぶと推定される。しかし、こうした観察結果は主に低レベルの回顧的データに基づく。
 高血圧性障害や早期陣痛の統計学的または臨床的に有意なリスクはない。研究者らによると、ある大規模レトロスペクティブ試験において絨毛膜羊膜炎リスクに関して小さいながらも統計学に有意な上昇が認められたが、早産、絨毛膜羊膜炎の目立った続発症リスクの上昇はなかった、統計的検出力を適切化した上でTdapワクチンの産前接種と絨毛膜羊膜炎の関連を検討した研究が求められる。
 「破傷風毒素ワクチン産前接種後の全異常に対する推定値は1.20から1.60であり、95%信頼区間はゼロと交差した」と、研究者らは報告している。「第1三半期ワクチン接種後の個々の先天異常転帰について報告した同種の研究も有益であろう。」
 また、レビューした試験には、ワクチン接種後の重度の反応を報告したものはほとんどなかった。最もよく認められた有害事象は局部反応であった。「発熱の客観的な発現率はわずか3%以下であり、全身事象としてもっと頻度が高かったのは頭痛、不快感、筋肉痛だった」と、報告には記述されている。
 研究者らは、多くの国で妊娠中のTdapワクチン接種の推奨変更があったことから、近い将来Tdapワクチン産前接種の安全性を検討した研究が増えるだろうと指摘している。
 「現在進行中の研究結果が今回のエビデンスにまもなく加わる予定である。Tdapワクチン産前接種実施国の市販後調査データから価値あるエビデンスが得られるだろう」と、研究者らは述べている。


4.百日咳ワクチンを接種する妊婦が増加
 百日咳ワクチンを接種する妊婦が増加していることが、米国の研究で明らかとなった。
 破傷風・ジフテリア・百日咳を予防するTdapブースターワクチンを接種した米国人妊婦は、2014年にはわずか27%であったのに対し、昨年は約49%にまで増加したことが米疾病対策センター(CDC)の研究で明らかとなった。CDCが全妊婦に対して初めてこのワクチンを推奨したのは、2013年のことである。
 「Tdapワクチン投与が出生前管理のルーチンの一部となりつつあることが分かり励まされるものの、乳児の2人に1人は百日咳に対する防御力を持たずに生まれている」と、この研究に従事した、CDC、Immunization Services Divisionの研究者、Carla Black氏は述べた。
 「赤ちゃんを百日咳から守る最善の方法は、各妊娠の第三期にTdapワクチンを接種することである。妊娠中にTdapワクチンを接種すれば、生まれてから、赤ちゃんが自分で百日咳ワクチンを接種し始めることができるようになる生後2か月までの一番危ない時期に、赤ちゃんを守る一助となる」と、Black氏はeメールで述べた。
 妊婦がTdapワクチンを接種する確率が最も高まるのは、医師もしくは看護師がそれを推奨して注射を打つことを申し出た場合であることが、この研究で分かった。そういった状況では約70%の妊婦がワクチンを接種したのに対し、医療提供者からワクチンを推奨されなかった場合はわずか1.4%であった。
 医療提供者から患者へのワクチン接種勧告は行われたものの、注射は提供されなかった場合、ワクチンを接種する妊婦の割合が約31%となったことも判明した。
 ワクチンを接種しなかった女性のうち約13%は、ワクチンが赤ちゃんに危険をもたらすことを懸念していると答え、別の5%の女性はワクチンが自分にとって危険となる可能性があると不安に感じていた。
 「安全性に関して良いデータがある。そのデータからは、報告された副作用の大多数はワクチン接種後の腕の痛みであり、ワクチンが母親と赤ちゃんの両方にとって安全であることが分かる」と、この研究に関与していない、オーストラリアにあるシドニー大学の公衆衛生学研究者であるKerrie Wiley先生は述べた。
 医師が患者にワクチンを接種するよう告げ、尚且つすぐに投与できるよう注射が用意してある場合、患者が推奨されるワクチンを接種する確率ははるかに高くなることが、この研究で裏付けられている、とWiley氏はeメールで伝えた。
 「妊婦には覚えなくてはならないことが非常に多くあり、妊娠するととても忙しくなる。我々の研究に参加した多くの女性達は、予定、避けなければならない食品、そして妊娠が分かったと同時にやって来るその他全ての推奨事項を覚えなければならない、という情報過多について述べた。我々は、推奨されるワクチンを妊婦が覚えておけるよう手助けをする、ということだ」とWiley氏は述べた。
 Tdapワクチンでは赤ちゃんにとって十分な予防効果が得られないのではないかという懸念が最近まであった、とカリフォルニアにあるスタンフォード大学医科大学院、小児感染症科チーフYvonne Maldonado先生は述べた。
 「近年の研究から、母親のTdap接種によって、生後間もない乳児において良好な百日咳予防効果が得られることが示されている」と、CDCの研究に関与していないMaldonado氏はeメールで述べた。
 「妊婦と医療提供者の教育を向上させれば、母親のTdapワクチン接種率を増加させる上で非常に役立つだろう」と、Maldonado氏は付け加えた。
 ワクチン接種率を算定するため、研究者らは2015年8月1日以降のいずれかの時点で妊娠していた18歳~49歳の女性を対象として、2016年3月および4月にオンライン調査を実施した。この調査には、約2,100人の女性が参加した。そして、2014年と2015年のワクチン接種率に関するデータを収集する際にも、同様の方法で調査が行われた。


5.百日咳感染の重症度は予防接種によって低下
 予防接種をしても常に百日咳が予防できるわけではないが、ワクチンを接種すると、接種していない場合に比べて呼吸器症状は軽減され、重篤な合併症の確率は低くなると、米国の研究から示唆されている。
 百日咳を発症した患者の4人中3人が最新の予防接種を受けていたことが、複数の州の疾病サーベイランスデータの解析から明らかにされた。
 乳幼児では重症百日咳の確率は60%低下したが、それは推奨される小児期百日咳予防接種を全て受けていた場合であった。さらに、最新の予防接種を受けていた場合、百日咳に感染したほとんどの小児及び成人で、重篤な感染症の顕著な特徴である重度の嘔吐の確率が30%低下した。
 「これらの結果は重要である。というのは、予防接種を受けても百日咳が完全に予防されるわけではないが、予防接種を受けた人に発生するブレークスルー症例が重症化する可能性が低いことを示しているからだ」と、米国疾病予防管理センター(CDC)(Atlanta)にある国立予防接種・呼吸器疾患センターの筆頭著者Lucy McNamara氏は述べた。
 「これはつまり、患者の入院や重篤な合併症が減少することを意味する」と、McNamara氏はeメールで伝えている。
 小児は生後2、4、6か月、15か月~18か月、4歳~6歳の5回にわたってDTaPワクチン(ジフテリアトキソイド、破傷風トキソイド、無菌性百日咳)の接種を受けることが、CDCにより推奨されている。11歳又は12歳には、青年期のTdap(破傷風トキソイド、減量ジフテリアトキソイド、減量無菌性百日咳)追加接種が推奨される。
 7月8日付けのオンライン版Clinical Infectious Diseasesに掲載された今回の研究では、生後3か月以上の米国人患者において2010年~2012年に発生した百日咳症例9,801件のデータを検討した。症例は、コネチカット州、ミネソタ州、ニューメキシコ州の全州感染症登録簿及びコロラド州、ニューヨーク州、オレゴン州の選択された郡から収集された。
 5例中ほぼ4例の感染症が年齢20歳未満の患者に発生しており、半数以上の感染症が12歳以下の小児に起こっていた。
 この研究の限界として、推奨される予防接種を全てスケジュール通りに受けた人は、それ以外の健康行動も百日咳に感染したり重度の症状を呈したりする可能性が低くなるものであると考えられると、著者らは注意を促している。
 そうだとしても、この結果は、現行のワクチンが機能していることを示す新たなエビデンスを提供していると、Baylor College of Medicine(Houston)にあるNational School of Tropical Medicineの学部長であるPeter Hotez先生は述べた。
 「CDCは1990年代のワクチンを全細胞DTPから現行版(DTaP)に変更した。DTaPは発熱などの副作用が少ない」と、Hotez先生はeメールで伝えている。
 百日咳症例の総数はDTaPにより漸増してはいるが、上記の結果から、乳児を重症百日咳から守るにはDTaPが優れていることが示唆されると、この研究に関与していないHotez先生は付け加えた。
 「米国の百日咳ワクチンプログラムがDTaPにより機能し続けていることを示すさらなるエビデンスが提供されているため、これはよいニュースである」と、Hotez先生は述べている。
 既発表研究の多くは小児期の予防接種に重点を置いているが、今回の研究では成人が百日咳に罹患しても百日咳ワクチンが有益な可能性があることを示していると、この研究に関与していないUniversity of Toronto公衆衛生研究者であるKevin Schwartz先生は語った。
 「百日咳にかかった成人にとって最大の脅威は、百日咳に関連する合併症や死亡リスクが最も高い、まだ予防接種スケジュールを終えていないか全く接種を受けていない幼児に感染を広める可能性があることである」と、Schwartz先生はeメールで伝えている。
 「ワクチンによる感染防御は段々と低下していくものではあるが、重症百日咳から乳児を守る最もよい方法は、全ての人が推奨される最新の百日咳予防接種を受けておくことである」と、Schwartz先生は付け加えた。
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