小児アレルギー科医の視線

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(医学雑誌拾い読み)「小麦アレルゲン」

2017年07月03日 13時22分49秒 | 食物アレルギー
日本小児難治喘息・アレルギー疾患学会誌 13-1、37-41、2015
松尾裕彰(広島大学医歯薬保健学)

■ 小麦アレルギーの病型は多彩で、病型ごとに主要アレルゲンが異なる
1.即時型小麦アレルギー:経口摂取
2.パン職人喘息:吸入
3.小麦依存性運動誘発アナフィラキシー(WDEIA):経口摂取、経消化管感作
★ 加水分解小麦タンパク質が原因のWDEIA:経口摂取、経皮感作、眼瞼浮腫が特徴
4.小麦接触じんま疹:接触

■ 小麦アレルギーの有病率は、成人1000人あたり2.1人

■ 小麦タンパク質の分類
小麦タンパク質
→ (15%)塩可溶性タンパク質:アルブミン/グロブリン
→ (85%)塩不溶性タンパク質 → (60%)グリアジン(α/β、γ、ω1,2、ω5)
                → (25%)グルテニン(高分子量HMW、低分子量LMW) 
小麦粉に水を加えて捏ねるとグリアジンとグルテニンが重合しグルテンが形成される

■ 小麦アレルギー病型別主要アレルゲン
1.即時型小麦アレルギー:塩可溶性および塩不溶性タンパク質
2.パン職人喘息:塩可溶性小麦アレルゲンのα-アミラーゼインヒビター、アグルチニン、ペルオキシダーゼ、脂質輸送タンパク質(LTP)
3.WDEIA:ω5-グリアジン、γ-グリアジン、高分子量グルテニン

吸入や経皮的にアレルゲンが侵入すると、水様性のタンパク質に感作されやすく、経口では水様性・不溶性両方のタンパク質に感作されると推測される。
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