小児アレルギー科医の視線

医療・医学関連本の感想やネット情報を書き留めました(本棚2)。

「百日咳ワクチン接種後脳症」は「Dravet症候群」(ドラベ症候群=乳児重症ミオクロニーてんかん)だった。

2016年01月15日 06時22分35秒 | 予防接種
 昨日(2016.1.14)、予防接種の講演会に参加しました。
 講師は渡辺博先生(帝京大学小児科教授)で、テーマは「予防接種の最近の話題~インフルエンザワクチン、不活化ポリオワクチンとポリオ根絶計画、および予防接種の安全性の問題を中心に~」です。
 その中で、件名のことを初めて知りましたので記しておきます。

 乳幼児が接種する四種混合(数年前までは三種混合)ワクチンには百日咳ワクチンが含まれています。
 百日咳ワクチンの歴史を紐解くと、1970年代に「接種後脳症」が社会問題化し、一旦停止されたことがあります。しかしその後百日咳そのものが流行し、合併症で亡くなる子どもが数百人発生し、改良された無細胞性百日咳 ワクチン(aP ワクチン)で再開され、現在に至るという経緯があります。

 改良前の百日咳ワクチンは本当に危険だったのでしょうか?
 確かに局所反応や発熱の頻度は高かったようですが、接種停止の直接の原因になったのは接種後脳症です。
 近年、百日咳ワクチン接種後脳症と診断された患者さんの遺伝子を解析したところ、そのほとんどが Dravet症候群であることが判明した、という論文が発表されました。

■ Effects of vaccination on onset and outcome of Dravet syndrome: a retrospective study.
 Lancet Neurol. 2010 Jun;9(6):592-8


 ワクチンの副反応とされてきた脳症は、実は先天性疾患であり、ワクチン接種の有無にかかわらず発症する性質のものであった、つまりワクチンにとっては冤罪だった、ということになります。
 改良前の全細胞性百日咳ワクチン(wP ワクチン)は発熱の副反応が多く、発熱がきっかけになりけいれん発作を起こす Dravet症候群が紛れ込んだのが実態です。
 これは一例ですが、ワクチンの副反応とされ社会問題化している症状も、本当に副反応なのか、紛れ込みなのか、科学的に検証する必要があると改めて感じました。

 百日咳に関する最新情報として、2015年の百日咳についてのWHOの見解からワクチン関連部分を引用しておきます(下線は私が引きました)。たぶん、翻訳者が医師では無いと思われ、ちょっとわかりにくい文章です。
 気になった箇所は・・・

・百日咳ワクチンの神経系副反応は否定されており、過去に問題になった病態は紛れ込みだった(前述)。
・wPワクチンと比較してaPワクチンは効果持続性に劣り、追加接種の効果も回数を重ねると共に短くなってしまう・・・すると5年ごとに一生打ち続けなければいけない?
・コクーン戦略の効果は妊婦接種に劣る。


<百日咳ワクチン:WHO の見解 2015 年 9 月>
2015,90, 433-460 No.35 8月28日版:神戸大学大学院保健学研究科 感染・疫学情報センターによる翻訳より)

*百日咳ワクチン:
 数十年間、百日咳ワクチンの計画は世界中の幼児の重度の百日咳を防ぐことに成功している。百日咳ワクチンには、全細胞性百日咳ワクチン(wP ワクチン)と無細胞性百日咳 ワクチン(aP ワクチン)がある。20 世紀半ば、wP ワクチンは先進国で広く紹介され、 1974 年の EPI に含まれた。ワクチンの反応性を減少させる手段として 1981 年(日本)に始まり、高所得の多くの国々で wP ワクチンの代わりに aP ワクチンに転換されてきた。個々のメーカーはワクチン開発のため、百日咳菌の様々な菌株を使用したが、細菌の菌株の研究はたやすく使用できるものではない。 それに加え、著しく不均質な研究が、異なったワクチンの効能と効果の比較を困難にした。80 以上の様々な百日咳ワクチン接種スケジュールが世界中で使用されている。百日咳ワクチンは他の抗原との混合で生産され、単独の百日咳ワクチンはない。

全細胞性百日咳(wP)ワクチン
・ワクチンの特性、内容、適量、投与、貯蔵
 wP ワクチンは加熱やホルマリンによって不活化された百日咳菌株の培養に基づいている。多くのワクチンは、効果や毒性、滅菌、細菌の密集を調べる大規模な試験を実施している。PT やリポポリサッカライド、TCT、ACT の生体内活性へのワクチンの効果や有効性は明らかになっていない。ほとんどの wP ワクチンはジフテリア類毒素とテタヌス類毒素の混合であるが、いくつかは、Haemophilus influenza B 型(Hib)や B 型肝炎ウイルス(HepB)、不活化ポリオウイルス(IPV)といった一般的に幼児期に投与する他のワクチンと組み合わせる。全ての wP ワクチンはアジュバントとしてアルミニウム塩を含み、 いくつかは防腐剤が含まれる。WHO は wP ワクチンの品質、安全性、効能について勧告を作成している。 それらのwPワクチンは、反応性についての懸念があるため、一般的に年長の子供へ使用されない。wP ワク チンの標準投与量は 0.5 ml であり、乳児では大腿部前外側、乳児以外は三角筋へ筋肉注射される。ワ クチンは 6 週目から使用開始でき、メーカーは 3 回投与し投与間隔は少なくとも 4 週間あけるように勧告しており、あるメーカーは追加抗原投与を推奨している。国によってワクチン接種のスケジュールが異なり、追加抗原投与の使用も異なる。wP ワクチンは冷凍してはいけない、2~8 °Cで保存されるべきである。

・免疫原性、効能、効果
 wP ワクチンへの免疫反応は全細菌性抗原に対して作用する。様々な抗原への免疫反応が著しく異なる
ことが wP ワクチンの違いで観察されてきた。免疫原性データは解釈やそれぞれの wP ワクチンを比較することが難しく、臨床試験からのデータは非常に有効な wP ワクチンは必ずしも測定可能な最も高い抗体滴定量を導入していないことを示していた。PT への抗体の存在が防御の役割を果たすと信じられているが、百日咳に対する防御の免疫学的な相関は確立されていない。wP ワクチンの違いは抗原の内容や生成や制御方法も違う可能性があり、ワクチン接種後の免疫反応の違いを導いている。
 システマティックレビューから限られたエビデンスは、短期間の免疫反応(ワクチン接種後数週間から数か月)は投与回数と一緒に増加し、投与間隔が長いほど強く表れることを提示している。観察研究 では、初期投与 3 回(3p)よりも 2 回の初期投与と 1 回の追加抗原投与(2p+1)の方が、3 回目の投与後の 6~8 週間の抗体価がより高いことを報告している。
 百日咳ワクチンの効能および効果についてのシステマティックレビューは 49 のランダム化比較試験 と3つのコホート研究を含んでいる。子供の百日咳に対する wP ワクチンの効果は 78%でみられたが、 効果はワクチンによって変わる。DTwP ワクチンは 46%(RR, 0.54; 95%, CI: 0.46-0.63)から 92% (RR, 0.08; 95%, CI: 0.05-0.13)に及ぶ。セネガルの二重盲検化ランダム化比較試験では、wP ワク チンの 3 回投与が百日咳(21 日以上の咳、菌の検出、感染者との接触を定義とする)に対して 55% の効果があったのに対し、より厳格な WHO の定義(確証的な基準に加え 21 日以上の発作性の咳)で は 96% の効果が示された。 このことは効果を推定する際に定義の重要性を証明している。
 最新のシステマティックレビューでは乳児における 3 回の投与は生後 5 年間、百日咳に対して効果があると示している。また、限局的なデータであるが 2p+1(生後 3 か月、5 か月、10~13 か月)のスケ ジュールでの投与は生後 5 年間効果あることも矛盾はみられない。
 1~2 ヶ月の間隔で 3p 投与が行われている研究ではワクチンの効果に違いはみられなかった。効果についてのデータは約生後 2~3 か月から始まっているスケジュールの者のみ入手できた。百日咳は本来年少の子供の病気とされていたため、高齢者における wP ワクチンの効果はほとんど知られていない。
 また、wP ワクチンの反応性は年長の子供や、青年期、成人への日常的使用をするには高すぎる。

無細胞百日咳(aP)ワクチン
・ワクチンの特性、内容、適量、投与、貯蔵
 aP ワクチンは、1981 年に日本で開発され、次第に先進国で有力なワクチンとなった。それらのワクチンは、PT や FHA、PRN、FIM2 型、3 型といった別々に精製された抗原を一つ以上含んでいる。 抗原 内容の数や濃度だけでなく、抗原産物に利用された細菌のクローンや精製・解毒方法、補助薬の組み合わせ、防腐剤の使用の点で異なる。主に年少の子供に使用するワクチン中の百日咳抗原やジフテリアと テタヌス成分の量は製品によって異なる。個々の aP 抗原が免疫防御に寄与しているか不明確である。 WHO は aP ワクチンの品質、安全性、効能について勧告を作成している。一般的にジフテリア類毒素とテタヌス類毒素を混合して投与(DTaP)されるが、いくつかは、Haemophilus influenza B 型(Hib)や B 型肝炎ウイルス(HepB)、不活化ポリオウイルス(IPV)といった一般的に幼児期に投与する他のワクチ ンと組み合わせる。
 aP ワクチンの標準投与量は 0.5 ml であり、12 か月未満の子供は大腿部前外側、12 か月以上は三角筋へ筋肉注射される。aP ワクチンは 6 週目から使用開始でき、メーカーは 3 回投与し投与間隔は少なくと も 4 週間あけ、1 回または 2 回のブースター投与を推奨している。プライマリーワクチン接種のスケジ ュールがかなり異なっており、ある国では、3p 投与よりも 2p+1 を採用している。
 aP ワクチンは冷凍してはいけない、 2~8 °Cで保存されるべきである。

・免疫原性、効能と効果
 ランダム化比較試験で 3 つ又は 5 つの成分からなる aP ワクチンと wP ワクチンの効果は、培養法で確認された発作性の咳が少なくとも 21 日間続く百日咳に対しては同様であった。この時、wP ワクチン と比べ 5 つの成分からなるワクチンの相対危険度は 0.85(95%, CI: 0.41-1.79)、3 つの成分からな るワクチンは 1.38 (95%, CI: 0.71-2.69)であり、咳の有無に関係ない百日咳での相対危険度は 1.4 (95%, CI: 0.78-2.52)と 2.55 (95%, CI: 1.5-4.33)であった。
 ドイツの研究では、4 つの成分からなる aP ワクチンで 83%(95%, CI: 76%-88%)の効果が典型 的な百日咳に対してあり、イタリアの研究では、3つの成分からなる2つの異なった aP ワクチンで 84% (95%,CI: 76%-89%)と 84% (95%, CI: 76%-90%)と効果がみられた。ドイツでの家庭内接触 に関する研究では、ジフテリア類毒素、テタヌス類毒素、無細胞百日咳からなる 3 成分(DTaP) aP ワ クチンの 初期投与によって、88.7%(95%, CI: 76.6%-94.6%)の効果があったと推定された。セネガルの二重盲検化ランダム化比較試験では、2 成分 DTaP ワクチンと DTwP ワクチンを比較された。感染者との接触由来で推定された絶対効果は、統計学的有意差はみられなかったが、WHO の定義を使用すると aP ワクチン 74% (95%, CI: 51%-86%)が wP ワクチン 92% (95%, CI: 81%-97%)より も免疫防御が弱かった。
 aP ワクチンの 3 つの大規模な二重盲検化ランダム化比較試験のシステマティックレビューでは、多成分の aP ワクチンは 1 成分および 2 成分よりも、典型的な発作性咳や軽度の百日咳の両方に対して高い免疫防御効果を持っている。同様に、システマティックレビューでは、1 成分および 2 成分ワクチンは 3つ以上の成分aPワクチンよりも絶対効果が低いと結論付けた(67%-70% vs.80%-84%)。スウ ェーデン、日本では 2 つ成分の aP ワクチンを、デンマークでは 1 つの成分からなる aP ワクチンを使用 した長期の大規模な観察研究では、それらのワクチンが抗原に関係なく百日咳の防止に高い効果がある ことが示された。したがって、臨床試験で多成分ワクチンが 1 つおよび 2 つ成分ワクチンと比べて高い効果があったことは注意して解釈すべきである。
 現在までの研究は aP ワクチンは 低い効果を持つ wP ワクチンよりも高い効果を持つが、高い効果を持つ wP ワクチンよりも効果が低い。成分数の異なった aP ワクチンに効果の違いがあるかどうかは十分なエビデンスはない。それらの効果は比較的短期間のフォローアップに関連している。
 イギリスで実践では、2 歳児に追加抗原投与を含まないスケジュールで DTwPーHib 混合ワクチンと比較し、多成分の DTaPーHib の混合ワクチンは臨床的に妥当である可能性を示している。
 最近のシステマティックレビューでは以下のように結論づけた。
(i)2p+1 のスケジュールでの aP ワクチンの投与は 3p スケジュールでの投与よりも、3 回目の投与までは 1 年間の臨床的防御と抗体価が実質上低い。
(ii)2p+1 スケジュールは 3p スケジュールより 3 回目の投与後は臨床的防御が優れている。
(iii)開始年齢と初期投与 3 回のスケジュールの間隔の長さは実質上、免疫原性に影響を与えない。
(iv) 初期投与 3 回の後、15-18 か月の間での追加抗原投与のタイミングに血清学的影響があることは明らかでない。

不完全な投与スケジュールでのwPまたaPワクチンの効果
 観察研究では wP または aP ワクチンの 1 回投与後は、乳児の重度な百日咳に対して約 50%の免疫防御
し、2 回投与は少なくとも 80%の防御
を一貫して示した。どの追加投与後も防御効果は増幅するが、百日咳ワクチンによって完全な防御効果を得るためには完全な初期投与を完了することが必要不可欠である。その後の追加抗原投与は防御持続期間を延長させることが示されている。

wPワクチンとaPワクチンの効果の比較
 百日咳の再流行は wP から aP ワクチンに変わった数年後にいくつかの国々(オーストラリア、ポルトガル、イギリス、アメリカ合衆国)で発生した。イギリスとポルトガルでは、年齢でワクチンは受けられない者も含んでいるが、免疫防御のない乳児の百日咳の発症率の増加が観察されてきた。再流行を経験した国々では異なったワクチン接種スケジュールを使用し、aP ワクチンへの転換前後の経過のなかスケジュールもまた進化してきた。
 ヒトの疾患と近い百日咳のヒヒモデルからのデータと同様に、オーストラリア、イングランド、ウェ ールズ、アメリカ合衆国での最近の数学的モデリング研究では、wP から aP ワクチンへの移行が再流行に関連している可能性があるという仮説を支持している。ヒヒモデルでは、aP ワクチンは百日咳を防御するが、感染または他の動物への伝染に対しては効果が限られてきており、一方で DTwP ワクチンは感染と伝染を予防する効果がある。ヒトでない霊長類のように、DTaP ワクチンを受けたヒトの無症候性または軽症な感染が百日咳菌を他者へ伝染し、百日咳のアウトブレイクを引き起こす可能性があることは妥当である。自然感染および DTwP ワクチンへの免疫反応で Th1 と Th17 細胞の両方が働いているということがヒヒの研究で分かった。そのモデルは Th1 と Th17 の記憶反応は殺菌する粘膜免疫を産生するのに必要とされていることを示唆している。ヒヒでは、aP ワクチンはより高い Th2 を誘発するが Th1 と Th17 の反応は低く、百日咳菌を除去し、伝染を予防する効果は低い。ヒトにおける研究も必要である。
 百日咳の再流行の理由は複雑であり国によって異なることが分かっているが、免疫防御持続期間が短いことや感染と伝染に対する aP ワクチンの影響が低いことはおそらく致命的な役割を果たす。
子供における有効期間と追加接種の必要性
 イギリスの一般社会における百日咳罹患率の観測によると、ワクチンの有用性はワクチン接種後最初の年の 100%から低下し、4 年目では 84%、5 年目で 52%、6 年目で 46%であると示された。
 これらは wP ワクチンによる臨床的に有用な期間を示す限られた証拠であるが、時間の経過によるワクチンの有効性の低下と一致している。三種混合ワクチンの有効期間は 4~12 年であると推定される。 現在使用されているワクチンについて、2014 年のシステマティックレビューでは初期のワクチン接種後では毎年最大 13%、最小 2%の有効性の低下が示された。
 子供(生後 2、4、6 か月)の初期投与を完了して 6 年後の 2 種類の aP ワクチンに関するイタリアの大規模な調査では、異なった特異性の百日咳の 2 つの臨床的定義を用いてそれぞれ 76%と 85%の有効性があった。スウェーデンでは、12 か月の年齢に aP ワクチンを 2 回初期投与することで約 5 年間の百日咳に対する免疫が示された。
 観測されたワクチンの有効性の正確な低下率とそのメカニズムはあきらかになっていない。要因は抗体レベルの減少、あるいはワクチン接種が施されていない人々による自然免疫の漸進的な獲得、またはその両方であるかもしれない。
 現在、wP ワクチンよりも aP ワクチンを接種した個人において、aP ワクチンの追加投与による免疫力がより早期に弱まるというエビデンスが増加している。疫学データでは、aP ワクチンを接種している年 代である児童や青少年、若者において免疫力が低下していることを示している。米国における進行中の受動的監視によると、aP ワクチンを 5 回接種された 7~10 歳の子供たちで百日咳の発症の増加がみられた。2010 年に、幼年期のワクチン接種が高いカリフォルニアにおいて、52 年間で百日咳の症例の最多数を報告した。6 か月未満の乳児では 100,000 件中 168 件、7~9 歳の子供では 100,000 件中 28 件、10 ~18 歳の青少年では 100,000 件中 21 件が観測された。これらのデータは、aP ワクチンが低い発生率の地域で使用されるとき、3 回の初期投与と 2 年目の追加投与が 6 歳未満の子供にとって不十分である可能性を示している。したがって、就学時に管理された追加投与を行うべきである。またデータにより、 追加投与を繰り返すたびに有効性がより早く弱くなっていることを示している。対照的に、少なくとも最初の投与に使用される wP ワクチンは次の投与に関係なくより持続的に有効性がある。

ワクチンの安全性
 wP ワクチンは頻繁に局所部位や組織において副作用を生じ(2~10 回投与のうち 1 回)、発赤や腫脹、 硬化、発熱や興奮などが起きる。長時間泣き続けることや、熱性けいれんは珍しくない(100 回に投与 のうち 1 回未満)。筋緊張低下はまれである(1000~2000 回に 1 回未満)。異なった wP ワクチンの製品に大きく異なった反応性の違いがあるのかもしれない。3p スケジュールと比較して 2p+1 スケジュール を用いた時に 3 度目のワクチン投与後の反応性は比較的高くなるという限られた証拠がある。
 局所作用は年齢と接種数に従って増加する傾向があり、wP ワクチンは通常 7 歳以上の子供や、青少年、 大人への使用は推奨されない追加投与の反応性を減少させるために、抗原を弱体化させてある aP ワクチンは青少年や大人における使用に用いられている
 最初に aP ワクチンを接種することによる副作用の頻度は、ワクチン成分の数に関わらず偽薬グルー プで観測されたのと異なっていなかった。しかしながら、最初の接種の後に、副作用の頻度と重症度はそれぞれの連続したジフテリア・破傷風・百日咳ワクチンの投与量に従って増加する傾向がある。一時的に、時々四肢に良性の無痛の腫脹がジフテリア・破傷風・百日咳ワクチンを追加接種した子供の 2~6% で起きる。同様の腫脹はめったに他の小児期予防接種にはみられない。腫脹はわずかな後遺症もみられ ずいつも自然におさまる。
 wP ワクチンと aP ワクチンの比較研究では、若年者のジフテリア・破傷風・百日咳ワクチンの反応性が低いため、2、3、4 か月スケジュールで管理すると aP ワクチンの反応性はかなり減少した。
 wP ワクチンは長期にわたる神経障害を引き起こす副作用を生じる可能性があるという昔からの主張に関して大きな論争が行われている。1976 年、イギリスの国家小児脳症研究は、ジフテリア・破傷風・ 百日咳ワクチンが神経に異常のない子供ではめったに脳障害を引き起こさない可能性を示唆した。この 提唱は元の研究からデータを使用した追跡研究やその後の調査で確認はされなかった。事実、百日咳ワクチンと脳障害との関連性が全くないと示された再分析に関わらず、更新されず正しい情報の記載をしていない小児科の教科書には何年間も、これらは関連性があると書かれている。ますます精巧となっ 診断機器はドラベ症候群を含む小児ワクチンの副作用となる重症の神経障害の多くの別の原因を明らかにした。
 混合ワクチンはいずれも個々の成分で観測されてなかった副作用がみられていない。2012 年のコクラ ンのレビューによると、DTaP-HepB-Hib と DTwP-HepB-Hib の両方に関して、別々に接種するワクチンに対して混合ワクチンの使用が重篤な副作用発生の増加をもたらさない(RR 0.94; 95%、CI: 0.58–1.53) が、赤み(RR 1.09; 95%、CI: 1.01–1.18)や痛み(RR 1.09; 95%、CI:1.02–1.16)のような頻繁に 起きる小さな副作用をわずかに引き起こすことが示された。
 wP ワクチンおよび aP ワクチン接種による稀なアナフィラキシー反応を起こしたことのある者を除いて、 これらのワクチンの使用は禁忌ではない。

ワクチンの互換性
 原則として、最初に接種したワクチンの種類を統一して同じタイプの wP ワクチンまたは aP ワクチン を接種するべきである。しかしながら、限られたデータでは wP ワクチンから他の wP ワクチンの製品へ、 または aP ワクチンから別の aP ワクチンへ、もしくは aP ワクチンから wP ワクチンへの変更が安全性や有効性にどんな影響を与えるのかを示せない。したがって、ワクチンの前のタイプが未知であるか入手できないのであれば、ワクチンの有効性に従って、どんな wP ワクチンもしくは aP ワクチンでもその後の接種に用いられるかもしれない
 ワクチンの併用接種 一般に、不活化ワクチンの併用接種は認められている。肺炎球菌ワクチンや小児ポリオワクチン、ポリオワクチン、麻疹ワクチン、麻疹風疹混合ワクチン、麻疹風疹流行性耳下腺炎混合ワクチン、髄膜炎菌性髄膜炎やロタウイルス、水痘、Hib のような他の小児期予防接種を行っている場合に全細胞性もし くは非細胞性のジフテリア・破傷風・百日咳ワクチンの接種を同時に行ったデータでは、最初の接種においても追加接種においても、他の抗原反応や百日咳抗原に対する免疫反応に妨害は見られなかった。
 多くの研究によって、複数の同時ワクチン接種は最も反応が強いワクチンを単独で接種した場合と比べてわずかにだけ激しい副作用が引き起こるということがわかった。一方で、混合ワクチンは接種の回数を減らすことによって局所的副作用を減少させる。他のワクチンと百日咳ワクチンとの同時接種が百日咳ワクチン接種の予防効果を減少させるというデータは全くない。しかしながら、そのような状況においては減少する百日咳ワクチンの有効性は時折注意されてきた。

*早期乳児死亡率を防ぐための追加方策:
 青少年と大人の追加接種 オーストラリアやカナダ、フランス、ドイツ、アメリカを含むいくつかの国では、青少年や大人は破傷風トキソイドと投与量減少ジフテリアワクチンと aP ワクチンを混合したワクチン(TdaP)を追加接種する。これらのプログラム(妊娠している女性のワクチン接種は除く)には、ワクチン接種をした人々には影響があるが、乳児の激しい百日咳に重要な影響を与えたという実質的な証拠はまだない。wP ワク チン接種後の免疫持続時間に比例して aP ワクチン接種後の急速な免疫減少のため、それらは限定的な影響である。

新生児の免疫
 単独接種後のヒトとヒヒの乳児における激しい百日咳に対する免疫を示すデータをみると、新生児の免疫には追及する価値のある潜在的な戦略があると考えられてきた。しかしながら、新生児へのワクチ ンの安全性に関するデータが不十分であり、単独の aP ワクチン(他に結合する抗原がない)が使用で きないときに、現在この戦略は推奨できない。出生時のジフテリア・破傷風・非細胞性百日咳ワクチン の追加接種ではコントロールと比べてジフテリアトキソイドと 4 回中 3 回の百日咳抗原への反応がかな り低くなっているが、出生時の単独の aP ワクチン接種においてはそうではなかった。

妊婦における百日咳への免疫
 多くの国(アルゼンチン、イスラエル、ニュージーランド、イギリスなど)で、予防接種できないぐらい幼い乳児の死亡率を減らすために妊娠中に母親への TdaP ワクチン接種を導入した。妊娠 7~9 か月 の間の aP ワクチンによる母体免疫が乳児を百日咳から保護するのに安全かつ効率的であり、予防接種できないほど幼い乳児の疾患率や死亡率に高い影響力をもっているかもしれないと最近の調査は示し ている。免疫原性の欠如、妊婦における有効性のデータ、大人での潜在的な高い免疫反応を考慮して、 この結論は wP ワクチンには適用されない。ヒヒの百日咳モデルにより、母体のワクチン接種は乳児に免疫を与えるということも示さている。
 イギリスでの妊婦へのワクチン接種は乳児の百日咳関連の死亡率への強い影響を与える。この結果は、 母体由来抗体の輸送により直接的に与えられた免疫がおそらく主として起因しており、母体内で周産期の百日咳罹患の可能性を減少させている。出生 7 日以前の母親へのワクチン接種の有効性はスクリーニ ング法を用いると 91%(95%、CI: 84%–95%)、症例対照研究では 93%であると推定されている。
 カナダ、イギリス、アメリカからのデータによると、百日咳やジフテリア、髄膜炎菌性髄膜炎、肺炎球菌の予防接種した母親の乳児で抗体反応がいくらか減少を示すが、Hib や破傷風菌では抗原反応の増加がみられた。これらの調査結果の臨床的意義は不確実であるが、これまでイギリスには 3~11 か月の 乳児における百日咳の危険性を増加させる証拠はない。再検討された証拠は妊婦における aP ワクチンの使用に限定され、免疫原性のデータは aP ワクチンを接種された乳児に限定される。したがって、母体免疫の結論は免疫原性と安全性のデータがない状態では wP ワクチンを接種した乳児について推定で きない。この戦略の価値は幼年期に aP ワクチンを接種された女性において、wP ワクチンの使用が早くて過密な低所得国や中所得国(LMICs)で評価する必要がある。

コクーン戦略
 コクーンとは感染源となりうる近親者のワクチン接種を通してワクチン接種ができないほど幼い幼児の感染を予防しようというものである。コクーン戦略は 2000 年代前半よりオーストラリアやフランス、ドイツ、アメリカを含む一定の先進国で推奨されており、最近になってチリとコスタリカで採用さ れた。チリ(未発表データ)ではコクーン戦略が採用された地域の 6 ヶ月未満の乳児での百日咳による 死亡が 84%防がれたが、他の国ではそれよりも下回っていたか効果がなかった。オーストラリアのニューサウスウェールズでは、両親がワクチン接種した時に乳児の百日咳の危険性が 51%(95%, CI: 10% –73%)減少した。アメリカにおいてコクーン戦略は少しの有益な効果も示さなかった
 直ちに広いワクチン接種適用範囲を達成できるなら、コクーンはいくつかの条件で病気の予防に役立つかもしれない。しかしながら、全体的影響と費用対効果は一度の接種だけを必要とする母体免疫のものより実質的に低い傾向があるが、コクーンは両親や家族のために最小限として複数回の接種を必要とする。広い適用範囲で効果的なコクーン戦略を実行するのは数か国で効果があると判明した。

医療従事者のワクチン接種
 いくつかの研究によると、医療従事者(HCWs)が百日咳の感染リスクを上昇させ、病院での伝染は乳児や免疫機能が低下している人にとってかなりの感染リスクを引き起こすものであると示している。
 多くの国では医療従事者への aP ワクチン接種が推奨されており、いくつかの国では患者への病原菌暴露が最小限になるために法的必要条件を満たす必要がある。この必要条件は、全ての医療従事者かもしくは妊婦や新生児、乳児との接触が多い医療従事者達のどちらかに適応されるものかもしれない。
 新生児や乳児への百日咳感染に考慮して医療従事者への aP ワクチン接種の防護効果に関する証拠は全く発表されていない。aP ワクチン接種が病院における伝染をどの程度予防するのかは明らかになっておらず、3 年前に TadP ワクチンを接種した医療従事者からの伝染は証明されている。したがって、医療従事者のワクチン接種は院内での感染伝播を防ぐことにおいて単に部分的に効果があると考えられて いる。

*費用対効果:
 先進国における百日咳ワクチン接種の費用対効果に関する論文はわずかであり、途上国においては全くない。1999 年、イタリアでの一般的な経済的評価は数学のシュミレーションモデルを使用した。50% より多くのワクチン接種適用範囲の拡大はわずかな正味の健康利益をもたらし、90%の適応範囲では追加ワクチン接種を受けた人あたり 42US ドルの直接的な純貯蓄をもたらした。この戦略による総純貯蓄は追加ワクチンを受けた人あたり 100US ドルを上回ったであろう。
 イギリスでは就学前の追加接種を加えることによる健康と経済的な影響を予測するために研究が行われ、生存年あたり 10,000 フラン未満で若年者グループにおいて罹患率と死亡率が 40~100%減少すると予測された。
 注意すべき点は、aP ワクチンは高い開発費と生産費が高いため、wP ワクチンの価格と比較して一回の接種にかかる費用がかなり高くなるということだ。
 最近の費用対効果研究は乳児の定期予防接種を補足となるように追加方策に焦点を合わせてきた。過少報告の未知数、未報告や診断未確定な病例の費用や罹患率の欠如、死亡率の限定的な情報などによる平均値の差によって、また、使用した方法の違いによって、費用対効果分析は制限される。その結果、 このような分析の結果はしばしば矛盾しているか相容れない。
 2014 年、いくつかの高所得国での系統的報告は、1 歳未満の乳児の百日咳罹患率および死亡率が減少している場所における妊婦、保護者(コクーン戦略)、大人、青少年、医療従事者へのワクチン接種の費用対効果について説明されていた。それによると、妊婦のワクチン接種は最も費用対効果に優れた戦略であり、コクーンよりも効果的であった。これらの調査は必ずしも低所得国と中所得国に当てはまるわけではない。

*WHO の立場:
 百日咳ワクチン接種の主な目的は、百日咳の疾患率と死亡率が高い乳児と幼児における激しい百日咳の危険性を減少させることにある。HIV 陽性の子供を含む世界中の子供達が百日咳から免れられるべきである。あらゆる国が、6 週目、遅くとも 8 週目の年齢での迅速かつ時を得たワクチン接種を行い、全ての水準(国と地方)において、少なくとも 3 回の確かな品質の百日咳ワクチン接種を高い適用範囲(90% 以上)で維持しなければならない。これにより 5 歳未満の子供達を高い水準で保護することが可能であ ろう。どの適用範囲の減少も百日咳の病例の増加に繋がる。

ワクチンの選択
 wP ワクチンまたは aP ワクチンのどちらかを最初に接種することで、激しい百日咳から乳児や幼児を守ることができる。
 局所の免疫機能の副作用は wP ワクチンでより一般的にみられるが、aP ワクチンと wP ワクチンのどちらにおいても非常に安全であるという記録がある。wP ワクチンの副作用は短い時間ですぐに治まる。 得られた証拠には、認可された aP ワクチンと wP ワクチンは産まれて 1 年間は病気の予防に同等な初期の有効性を持っているが、wP ワクチンと比較して aP ワクチンはより急速に免疫が弱くなることや伝染への影響力が低下すると示してある。
 最初の接種を wP ワクチンから aP ワクチンへと移行させようする際、国家の免疫計画の全体的な目的を考える必要がある。産まれて 1 年間の病気による死亡率は最初の wP ワクチンまたは aP ワクチンを接種することでかなり減少させることができるが、年長の子供や大人の百日咳に対する免疫を回復させるには、より副作用の少ない aP ワクチンを定期的に接種することが必要である。
 wP ワクチン接種を現在利用している国は、最初のワクチン接種に wP ワクチンを使用し続けるべきである。調査とモデル化データは、aP ワクチンの使用が百日咳の再起をもたらすかもしれず、この再起はワクチン接種ができないほど幼い乳児の死亡率を増加させるかもしれないということを示している。百日咳の再起の大きさと時期は、ワクチンの適用範囲や自然免疫、ワクチンの種類、ワクチン接種のスケジュールなどの多くの要素により予測するのが難しく、継続して評価していくべきである。
 追加接種や母体免疫の国家的な免疫計画を保証し維持できる場合、つまり、aP ワクチンの非常に高い費用と多くの接種回数による主に経済的な負担のできる場合のみ、乳児への最初のワクチン接種を wP ワクチンから aP ワクチンへの移行を考えるべきである。さらに、追加接種の提供は百日咳の再起を防ぐために十分ではないかもしれない。
 現在 aP ワクチンを使用している国はこのワクチンを使用し続けるかもしれないが、百日咳の再起の場合に備えて更なる追加接種や母体免疫のような乳児期の命をまもる戦略の必要性を考えなければな らない。

子供の最初のワクチン接種と追加接種
 WHO は、早ければ産まれて 6 週目に最初の接種を行い、その後の接種は 4~8 週間は離し、10~14 週目と 14~18 週目の年齢に行うような 3 回のワクチン接種を推奨している。推奨される最初のシリーズ のワクチン接種は 6 ヶ月の年齢までに完了していなければならない。最初のスケジュールを完了していない人に関してはどの年齢でも早い機会に 6 ヶ月を過ぎてもワクチン接種が行われるかもしれない。HIV 陽性の乳児を含む全ての乳児に百日咳の予防接種が行われるべきである。
 最初のワクチン接種のスケジュールは、その地方の疫学に従った計画で、免疫学的計画の目的、特定の計画に関する問題を解決できるように調節される。最初の百日咳ワクチン接種スケジュールの変更は難しく、費用がかかり、プログラムの変更は同時接種された抗原へ影響を及ぼすかもしれない。
 最初の百日咳ワクチン接種に関して、スケジュールや戦略の変更、3p から 2p+1 のスケジュールへの移行を考慮することは、現在の地方の疫学状況や、異なる年齢とワクチンの適切な接種時期を達成できるワクチン適用範囲の状況での百日咳と Hib への潜在的影響のデータによって知らされるべきである。 これらは 3p スケジュールによる生後 1 年間の効力を維持し、免疫の早期減退の証拠はなく、そうでなければ 9 ヶ月より遅いワクチン接種を支持するかもしれない。1 度や 2 度のワクチン接種でいくらかの免疫を与えられているが、3 度目の接種により更なる免疫が得られる。9 ヶ月までの 3 度目の接種が遅れると、生後 1 年間で、ワクチンの全ての接種を完了させるのが難しくなり、激しい百日咳への総合的な免疫が減少する可能性がある。
 代替となる最初のワクチン接種スケジュールを使用し、十分に調査をしている国は、そのスケジュールを使用し続け、病気の流行を監視し続けなければならない。
 最初のワクチン接種による免疫保護期間は、地方の疫学やワクチン接種スケジュール、ワクチンの選択のような要素にかなり依存し変化する。したがって、地方の疫学によって他の方法が示されない場合、 追加接種は 1~6 歳の子供の時、特に 2 歳(最後の接種より 6 ヶ月以上経過)の時に推奨される。この時期に行うことで、やり忘れた他のワクチン接種を取り戻すこともできる。このスケジュールは aP ワ クチンを使用する国では少なくとも 6 年間の免疫保護を提供する。aP ワクチンを使用する国にとって、 免疫保護は 6 歳以降明らかに減少するかもしれない。
 ワクチンの連続接種を絶たれた子供に関しては、前回の連続投与を無視して再開されるべきである。 以前にワクチン接種を受けていない 1~7 歳未満の子供は 3 度のワクチン接種を受けるべきである。

青少年と大人の百日咳ワクチン追加ワクチン接種
 aP ワクチンのみが 7 歳以上の人に使用されるべきである。青少年期の追加接種は青少年の病気を減少させるが、乳児の百日咳を制限する手段としては通例推奨されない。
 地方の疫学における慎重な評価や、乳児の感染源として青少年がどれほど寄与しているかの評価、ワクチン接種の対象となる青少年や大人の選択を行った後に、青少年や大人への追加接種を推奨することを決定するべきである。このような計画の決定は発病率と費用対効果のデータを基になされなければな らない。青少年や大人へのワクチン接種導入の前に、乳児における高い接種率が保持されていなければ ならない。

妊婦と家族のワクチン接種
 妊婦へのワクチン接種は、ワクチン接種できないほど幼い乳児の病気を予防するための最も費用対効果に優れた追加方であり、コクーン戦略よりも有効であり好ましいようにみえる。百日咳の乳児罹患率や死亡率が高いまたは増加している国や状態での乳児への百日咳の定期予防接種に追加した戦略とし て、TdaP を 1 回(2 回目か 3 回目が妊娠の終わりの 3 か月間、できれば 15 日前となるよう)妊婦へワ クチン接種することが国家戦略として考えられるかもしれない。直ちに高い接種率を達成できるなら、 コクーン戦略はいくつかの状況で病気の予防への影響を及ぼすかもしれない。

医療従事者へのワクチン接種
 国が大人への百日咳免疫計画を実行する時、医療従事者は百日咳ワクチン接種を受けるための集団と して最優先されるべきである。百日咳の感染や伝染を予防するための戦略として医療従事者のワクチン接種が有効であるかどうかの証拠はまだ全くなく、免疫保護期間も定かではないが、もし高い接種率が可能ならば、医療従事者のワクチン接種は乳児への院内感染を防ぐのに役立つ戦略として利用できるかもしれない。産科での勤務または新生児や乳児の看護をするような妊婦と乳児患者に直接接触をする集団は百日咳ワクチン接種に最優先されるべきであろう。aP ワクチンを接種した人々の影響は評価する必 要があり、この推奨は調査の結果より見直されなければならない。

ワクチンの互換性と組み合わせ
 百日咳ワクチンの互換性に関するデータは限られているが、WHO は wP ワクチンと aP ワクチン間の変更は安全性やワクチンの免疫能の妨げにならないであろうと結論を下した。ワクチンの組み合わせを導 入する国、特に aP ワクチンを使用している場合において、サーベイランスが実施されるべきである。

ワクチン併用接種
 他の小児ワクチンを含む全細胞性か非細胞性のジフテリア・破傷風・百日咳ワクチンの最初の 3 回の同時接種に関するデータは、最初の接種期間であっても追加接種であっても他の抗原の反応性を妨害することはないと示している。子供の年齢やワクチン接種経験に適切な全てのワクチンが同時に管理されなければならない。特に不活化ポリオワクチンと五価ワクチン、肺炎球菌ワクチンの同時接種を支持する証拠がある。
 2 回の注射を連続で行うとき、別々の腕で行うことができる。3 回注射をするときは、2 回の注射は同じ腕で行い、3 回目の注射は別の腕で行うべきである。同じ腕で注射する際は局所反応を分割できるほど離れさせなければならない。一般的な習慣では 2.5cm 間隔をあけて注射をする。

調査
 百日咳の注意深い疫学調査、特に研究で確認された病気に関して疾病負荷と免疫的影響を世界中で監視することが推奨される。大発生の調査は貴重な情報が得られるかもしれないため奨励されるべきである。
 特に低所得国と中所得国での疾病負荷の調査と査定を行うことや、特に 1 歳未満の乳児死亡率や病院の調査を重点的に乳児免疫への影響を評価することが切迫して必要である。モデル化調査にとって、百日咳再起の必要条件や再起の防止に効果的な戦略を見つけ出すことは重要である。
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