小児アレルギー科医の視線

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花粉症緩和米/治療米~ご飯を食べるだけで花粉症治療ができる時代が来る?

2014年12月30日 06時29分23秒 | 花粉症
 この秋からスギ花粉症に対する「舌下免疫療法」がはじまりましたが、今度は「米を食べて治す方法」が登場しそうです。
 近年、「口から入ると免疫寛容」「皮膚から入ると感作」という説がメジャーとなり、これを利用した治療の開発が進んでいますね。

花粉成分含んだ米、毎日食べると花粉症が緩和?
(2014年12月28日:朝日新聞)
花粉症緩和米をつかった臨床研究
 スギ花粉の成分を含ませたコメを毎日食べると、花粉症を起こす体の免疫反応が抑えられた、とする研究を東京慈恵会医科大などがまとめた。免疫細胞が少しずつ花粉に慣れ、花粉を「異物」と認識しなくなった可能性があるという。研究チームは、コメから抽出した成分を薬として実用化することを目指している。
 このコメは農業生物資源研究所や日本製紙、サタケが遺伝子組み換え技術を使って開発した「花粉症緩和米」。慈恵医大の斎藤三郎・分子免疫学研究部長らは昨年12月から今年5月まで、花粉症患者30人を対象に効果を調べた。
 この結果、緩和米80グラムを毎日食べた人は花粉の飛散が始まってもスギ花粉に反応する免疫細胞がほとんど増えなかったのに対し、普通のコメを食べた人は、研究開始時に比べ3~4倍に増えていた。副作用は特になかった。
 アレルギーの原因となる物質を少しずつとり、体を慣れさせて体質改善を目指す治療法は減感作療法と呼ばれる。スギ花粉を原料とする薬も発売されている。
 農業生物資源研究所ではさらに効果を高めた「花粉症治療米」を開発した。コメのままでは安定して保管しにくく、薬局にも置きにくいことなどから、研究チームは、この米を原料にした花粉症の薬の開発を目指している。高野誠・遺伝子組換え研究センター長は「来年度にも治験を始めたい」と話す。
 国立病院機構相模原病院の海老沢元宏アレルギー性疾患研究部長は「血液中の免疫細胞の増殖が抑えられても症状が抑えられるかどうかはわからず、この点の検証が必要だ」と話している。

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