徒然日記

街の小児科医のつれづれ日記です。

稲田防衛大臣の蕁麻疹は抗マラリア薬の副作用 〜ワクチンはないの?

2016年09月18日 08時07分56秒 | 小児科診療
 先日、稲田防衛大臣が蕁麻疹が出たため海外視察を中止したというニュースが流れました。
 その原因は「抗マラリア薬に対するアレルギー」だそうです。
 具体的な薬剤名は公表されていません;

■ 抗マラリア薬副作用でアレルギー症状…稲田防衛相、南スーダン訪問を中止
2016年9月16日:読売新聞
 防衛省は15日、稲田防衛相が17日に予定していた南スーダン訪問を中止すると発表した。
 国連平和維持活動(PKO)に従事する陸上自衛隊部隊を視察する予定だったが、事前に服用した抗マラリア薬の副作用によるアレルギー症状が出たため、中止を決めた。


 なんとなく、「感染症対策にはワクチン」というイメージがありますが、残念ながらマラリアに対するワクチンは現時点で存在しません。
 開発は着々と進んでおり、日本の研究が一歩リードしているようです。

■ 世界初のマラリアワクチン誕生か?! 阪大がブルキナファソで臨床
2016-06-13:ganas
 世界初のマラリアワクチンが5年後にも日本から誕生するかもしれない。ワクチンの名は「BK-SE36」。BK-SE36の開発者である大阪大学難治感染症対策研究センターの堀井俊宏教授は「新ワクチンのマラリア予防効果は72%。承認に向け、本格的に動いている」と自信をのぞかせる。阪大は2015年から、西アフリカのブルキナファソで、このワクチンの臨床試験をスタートさせた。
 マラリアを予防するには現在、錠剤しかなく、ワクチンは存在しない。薬剤耐性をもつマラリア原虫も増えるなか、効果的な予防法がないのがとりわけアフリカで暮らす人にとって脅威となっている。BK-SE36の臨床試験の責任医師を務めるブルキナファソ国立マラリア研究センターのシリマ・エグゼクティブディレクターも「BK-SE36への期待は大きい」と語る。
 臨床試験の期間は15年6月~17年2月の1年9カ月。試験の対象となるのは、マラリア感染で最も重症化しやすい5歳以下の幼児およそ100人。BK-SE36は、マラリアの中でも致死率が高い熱帯熱マラリアに有効とされる。「熱帯熱マラリアは、5歳以下の幼児がかかると4人に1人が死亡する危険な病気だ」(堀井教授)
 BK-SE36は3~4週間の間隔をあけて2回にわたって接種する。マラリアの予防効果は1年間続くという。「ワクチン効果を高めるCpG-ODN(K3)という成分を添加すれば、有効期間を2~3年に延ばせる可能性もある」と堀井教授は話す。
 マラリアワクチンの研究は欧米を中心に進んでいる。だがこれまでのところ十分な効果が得られた報告はない。英国の医学雑誌ランセットによれば、12年に英製薬会社グラクソ・スミスクラインが開発した「RTS,S/AS01A」も予防効果は31.3%。米国食品医薬品局(FDA)への承認申請はまだで、WHOも推奨していない。
 世界保健機関(WHO)によると、全世界で15年に約2億1400万人がマラリアに感染。43万8000人が命を落とした。この7割(30万6000人)が5歳未満児だ。
 「マラリアワクチンの承認に課されるプロセスは厳しい。BK-SE36も、2年近くかかる臨床試験をあと1回は実施する必要がある。その際のスケールは7000人程度。それを終える5年後に、まずはFDAの承認を得ることを目指したい」(堀井教授)
 持続可能な開発目標(SDGs)は、2030年までにマラリアを世界から撲滅するという目標を掲げている。堀井教授は「72%の予防効果をもつBK-SE36を世界中に届けることができれば、目標達成に大きく貢献できる」と意義を強調する。
 BK-SE36の開発費は現在までに約15億円かかっているという。「承認までには合計で20億~30億円かかりそうだ。それでも民間企業の新薬開発に比べ格段に安い」と堀井教授。日本製薬工業協会と医薬産業政策研究所による製薬企業55社への調査では、1つの新薬の開発にかかる費用は484億円(2009年調べ)。臨床試験から承認に至る成功確率は18%と低い。


<参考>
□ マラリアについて
マラリアに注意しましょう(FORTH、厚生労働省検疫所)(ファクトシート
□ 抗マラリア薬
抗マラリア剤(JOHAC 海外勤務健康センター 研究情報部)
抗マラリア薬(旅行者のブログ)
抗マラリア薬研究の進歩(日本化学療法学会)
□ マラリアワクチン開発
世界を救う初のマラリアワクチン開発成功となるか?(2015.6.4:グローバルヘルス)
マラリアワクチンはなぜできないのか(三菱化学メディエンスFORUM、2007)
日本で開発されたマラリアのワクチンがアフリカで大活躍する可能性が大いに期待できます!!(五本木クリニック院長ブログ)
マラリアワクチンの臨床開発(Drug Delivery system, 25-1, 2010)
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