徒然日記

街の小児科医のつれづれ日記です。

同時接種・混合ワクチン・混合接種の違い

2017年05月18日 05時49分53秒 | 小児科診療
 まさかこんなことが起こるとは・・・しかも小児科専門医?

■ <ワクチン>東京・品川の医師、数種を混ぜ乳幼児に接種
(毎日新聞 2017/5/16)
 東京都品川区は16日、区内の小児科クリニックの男性医師が別々に接種しなければならないMR(麻疹・風疹)、水痘、おたふく風邪などのワクチンを混ぜ、1回の注射で乳幼児に接種していたと発表した。区は記録が残る2012年4月以降、計358人に接種していたことを確認したが、健康被害の報告はないという。
 区によると、接種のためにクリニックを訪れた母親が、保健所に安全性を問い合わせて判明した。医師は4種混合と細菌性髄膜炎を予防するヒブワクチンを混ぜて接種していたことも認め、「注射する回数を減らしてあげたかった。保護者にも説明し、問題ないと認識していた」と話したという。
 子供の予防接種に詳しい新潟大学医学部の斎藤昭彦教授によると、欧米ではMRとおたふく風邪などの混合ワクチンが使われている。しかし、複数のワクチンを勝手に混ぜ、1本の注射器で接種した場合、それぞれのワクチンの予防効果や安全性は確認されていないという。日本小児科学会も予防接種ワクチンを一つに混ぜて接種しないよう公表している。


 実は、欧米では4種混合とヒブワクチン、それにB型肝炎ワクチンを一緒にした6種混合ワクチンが使用されています。
 しかしこのワクチン、6種類のワクチンを混ぜて調整した状態で開発・治験が行われ、その作用が確認され副反応が問題ないことが確認されているのです。
 そのような製品があるからと云って、目の前のワクチンを臨床現場で混ぜて接種することに、有効性・安全性は確保されていません。
 実際に混合ワクチン開発途中で、効果が得られない、あるいは副反応の頻度が高いという理由で消えていったワクチンも少なからず存在します。

 「日本小児科学会の予防接種の同時接種に対する考え方」を引用します。
 しっかり「複数のワクチンを1つのシリンジに混ぜて接種しない」と書かれています;

 日本国内においては、2 種類以上の予防接種を同時に同一の接種対象者に対して行う同時接種は、医師 が特に必要と認めた場合に行うことができるとされている。一方で、諸外国においては、同 時接種は一般的に行われている医療行為である(3)。特に乳児期においては、三種混合ワクチン、イ ンフルエンザ菌 b 型(ヒブ)ワクチン、結合型肺炎球菌ワクチンなどの重要なワクチン接種が複数回必要である。これらのワクチン接種がようやく可能となった現在、日本の子どもたちをこれらのワクチン で予防できる病気(VPD: Vaccine Preventable Diseases)から確実に守るためには、必要なワクチンを適切 な時期に適切な回数接種することが重要である。そのためには、日本国内において、同時接種をより一般的な医療行為として行っていく必要がある。
 同時接種について現在分かっていることとして以下のことがあげられる。
1)複数のワクチン(生ワクチンを含む)を同時に接種して、それぞれのワクチンに対する有効性につ いて、お互いのワクチンによる干渉はない。
2)複数のワクチン(生ワクチンを含む)を同時に接種して、それぞれのワクチンの有害事象、副反応 の頻度が上がることはない。
3)同時接種において、接種できるワクチン(生ワクチンを含む)の本数に原則制限はない。
 また、その利点として、以下の事項があげられる。
1)各ワクチンの接種率が向上する。
2)子どもたちがワクチンで予防される疾患から早期に守られる。
3)保護者の経済的、時間的負担が軽減する。
4)医療者の時間的負担が軽減する。
 以上より、日本小児科学会は、ワクチンの同時接種は、日本の子どもたちをワクチンで予防できる病気 から守るために必要な医療行為であると考える。
 尚、同時接種を行う際、以下の点について留意する必要がある。
1)複数のワクチンを1つのシリンジに混ぜて接種しない
2)皮下接種部位の候補場所として、上腕外側ならびに大腿前外側があげられる。
3)上腕ならびに大腿の同側の近い部位に接種する際、接種部位の局所反応が出た場合に重ならないように、少なくとも 2.5cm以上あける。

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