徒然日記

街の小児科医のつれづれ日記です。

医師の「働き方改革」は可能か

2017年05月15日 07時12分20秒 | 小児科診療
 勤務医の労働環境は過酷で、明らかに労働基準法に違反しています。
 私も体調を崩して勤務医を辞めざるを得なくなった医師の一人です。

 昨今、「働き方改革」が謳われるようになりました。
 しかし医師の労働環境は例外とみなされ、5年の猶予期間が設けられました。
 それほど非常識な状況なのです。

 医師の労働環境を改善するために、諸外国ではよく「医師・病院のストライキ」が話題になりますね。
 一方日本には「医は忍術」という伝統があり、現場の医師は体を壊しドロップアウトするまで我慢して働き続けています。
 この機会に徹底的にメスを入れた大手術を行い、医師も人間らしい生活をできるようにして欲しいと思います。

 しかし、厚生労働省が考えることはちょっと違います。
 「勤務医が大変なら、開業医がもっと働くべきだ」
 として、開業医に24時間体制で患者対応を促すような仕組みをどんどん作るのです。
 「内輪もめさせて責任を逃れる」というありがちな手法ですね。
 もう、ボロぞうきんのように扱われていることを実感します。
 それから「医師だけ働かせる」という魂胆ですが、医師だけでは診療は成り立たないことを忘れていらっしゃる。看護師も事務スタッフも医師と同じように24時間体制で働くことになることに気づいていない。

 この歪みはどうしたら解決するのでしょう?
 24時間体制の医療システムを構築することを目指すなら、医師の数を今の倍以上に増やすしかない。
 すると医療費は現状より増えることは避けられない。

 政治家さん、どうする?
 医師に犠牲を求め続けることしか考えつきませんか?

■ 特集◎医師こそ働き方改革を《動き出す労基署》 聖路加病院に労基署、土曜外来を全科廃止へ
2017/5/10:日経メディカル
 労働基準監督署による立ち入り調査が行われ、改善策の実施を迫られる医療機関もある。「今の政権になってから、業種を問わず、労基署の立ち入り調査が増えた」と社会保険労務士法人名南経営の服部英治氏は指摘する。労基署がチェックするのは主に長時間労働の実態で、「昔は労基署に医師の仕事は完全に『聖域』という考え方があったが、今はそうではなくなっている」とも言う(元労働基準監督官へのインタビューは別掲記事参照)。
 実際、ここ数年、熊本大学医学部附属病院、沖縄県立北部病院(名護市)など地域の基幹病院に労基署の立ち入り調査が入った事実が報じられている。最近の立ち入り事例の中でもインパクトが大きかったのが聖路加国際病院(東京都中央区、520床)のケースだ。中央労働基準監督署が2016年6月、調査を実施。病院側は医師の時間外労働の削減などを求められ、その影響で診療体制の縮小を余儀なくされた。

◇ 救急車搬送の受け入れを抑制
 調査の結果、医師に関して指摘を受けたのは、
(1)長時間労働の常態化
(2)夜間・休日勤務に対する賃金の支払いの問題
──の2点だった(図1)。(1)については、昨年4~6月の時間外勤務が月平均で約95時間に達していた。



図1 中央労働基準監督署の指摘事項と聖路加国際病院の対応


 (2)については、これまで宿日直として運用してきた夜間・休日の業務がそうとは認められず、時間外労働として扱う必要があるとされた。
 年間1万1000件もの救急車搬送を受け入れる聖路加国際病院では、救急外来の医師だけでなく病棟の当直医も救急の応援に当たる。本来、宿日直は通常の勤務とは違い、夜間や休日の電話応答や火災予防のための巡視、非常事態発生に備えた待機など、「ほとんど労働を伴わない勤務」と定義されている。聖路加国際病院の勤務実態は、宿日直の定義には当てはまらないと判断された。そのため同病院は、過去に遡り本来支払う必要があった時間外の割増賃金と、実際に支給してきた宿日直手当の差額分を、個々の勤務医に支払うことになった。その総額や遡及期間は明らかにしていないが、過去2年以内について十数億円を支払ったようだ。

 労基署の指摘を受け同病院では、時間外労働を承認制にするなど残業時間のコントロールに乗り出した。また、時間外労働の負担の平準化を図り、60歳に近いベテラン医師にも準夜帯の勤務を担ってもらうことにした。さらに、夜間・休日の応需体制を縮小。今年5月には全科の土曜外来を廃止する。夜間については、これまで救急外来と病棟当直を合わせ1日17~19人の医師で回してきたが、今では12~14人体制に縮小。救急車搬送の受け入れも以前より抑えている。

 夜間の人員配置の縮小に伴い、これまで実施してきた夜間の患者家族への病状説明などを中止したため、患者や家族からクレームが出ているという。理解を求めるため、事情を説明した貼り紙を待合フロアに掲示している状況だ。


□ 聖路加国際病院院長 福井 次矢氏に聞く
「『自分の時間は患者のもの』は通用しなくなった」
 聖路加国際病院の医師たちはこれまで、朝6時くらいに出てきて夜は7時、8時くらいまでいるのが当たり前という感覚でやってきたが、労働基準監督署に時間外労働が長過ぎると指摘された。私自身、「自分の時間は患者のもの」という感覚で働いてきたが、そういう価値観を変えざるを得ない状況になって、すぐに改善策を講じることにした。
 必要な業務でなければできるだけ居残らないよう、院内の会議で何度もお願いしたことで、それまで95時間だった医師の月平均の残業時間が50時間に減った。これまでより早く帰宅できるケースは増えている。
 ただ、36協定では制度上、時間外労働が月45時間を超えられるのは1年のうち6カ月までとされている。残業を月45時間以内に抑えなければならない月は、その医師はほとんど夜勤に入れず、他の医師にしわ寄せがいくといういびつな形になっている。
 結果的に救急車搬送の受け入れを減らさざるを得なくなったが、そもそも高度急性期や救急医療を担っている病院と、回復期や慢性期の医療を担う病院の医師の労働時間管理のあり方は異なるのではないか。今後設置される新たな検討の場では、病院が担う機能の違いも勘案した、きめ細かな議論が行われることを期待している。(談)

■追記(2017.5.14)
聖路加国際病院は、日経メディカルの取材時点(2017年4月下旬)では、5月から全診療科で土曜外来を休止することを検討していましたが、調整の結果、土曜外来の休止は6月から一部診療科に限定して行うことになったとのことです。



 私は小児科医ですが、入院患者の急変や救急外来受診患者の緊急入院の他に、深夜に「患者さんの点滴が漏れたのでお願いします」という一本の電話でよく起こされました。
 病院内には内科系当直がいるはずなのですが、内科医は「私には子どもの点滴はできない」と拒否するので直接小児科医が呼び出されます。病院によっては看護師が点滴手技をマスターして夜間に対応してくれる施設もありますが、残念ながら私の勤務した病院は「点滴は医師の仕事であり、看護師は手を出さない」という看護部の方針がありました。
 重症患者の急変なら納得できますが、小児科医はただ「点滴漏れ」のために睡眠時間を減らされ、疲弊するばかりでした。これが他の科と異なるところです。
 わかってもらえないとわかりつつも看護師スタッフに愚痴をこぼすと「医者は高給取りだから・・・」と冷ややかな目で見ていることを思い知らされました。
 
 と、こんな感じです。
 小児科医を希望する医学生が増えないわけですよね。
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