徒然日記

街の小児科医のつれづれ日記です。

イタリア、予防接種を就学の条件に

2017年05月21日 08時40分02秒 | 小児科診療
 日本における予防接種は「受ける権利はあるが義務ではない」というスタンスです。
 米国では規定の予防接種を受けていないと入学や進学ができないと聞いています。
 今回、イタリアでも同様の政策が採られたようです。

■ イタリア、予防接種を就学の条件に
2017年05月20日:AFP
【5月20日 AFP】イタリア政府は19日、麻疹(はしか)患者の急増を受け、一連の予防接種を就学の条件とする新政令を承認した。
 パオロ・ジェンティローニ(Paolo Gentiloni)首相は同政令を承認した閣議の後、「(この動きによって)これまでは接種が推奨されるにとどまっていたいくつかの予防接種が義務化される」と語った。
 これにより、国立の保育園や小学校に入る6歳以下の子どもはポリオ、ジフテリア、破傷風、B型肝炎、ヘモフィルス・インフルエンザb型菌(Hib)、B型髄膜炎、C型髄膜炎、麻疹、風疹、流行性耳下腺炎(おたふくかぜ)、百日ぜき、水痘(みずぼうそう)の12種類の病気の予防接種を受けることが義務付けられる。
 イタリアでは6歳から義務教育を受け始めるが、この年齢を超えた子どもが予防接種を受けていない場合、保護者には罰金が科されることになる。
 予防接種義務化について教育省は多くを語ろうとせず、野党「五つ星運動(Five Star Movement)」は製薬会社への「贈り物」と非難している。
 ベアトリーチェ・ロレンツィン(Beatrice Lorenzin)保健相は、子どもが予防接種を受けていないことを主な原因として麻疹患者が3倍になったことを受け、この改革を進めてきた。
 保健省は、的外れな健康不安が急増していることが原因で、ありふれた病気の予防接種を受ける2歳児の数が数年前の90%超から2015年の85%にまで低下していると非難した。世界保健機関(WHO)は、危険な大流行を防ぐために予防接種率95%を目標値としている。
 ロレンツィン保健相は先月、子宮頸(けい)がんワクチンの副作用の可能性について問題提起する番組を放送したイタリア放送協会(RAI)を叱責した。
 イタリアは、麻疹、流行性耳下腺炎、風疹の新3種混合ワクチン(MMRワクチン)と自閉症との間に関連性があるとする信ぴょう性のないうわさが流布している国の一つでもある。


 予防接種賛成派と反対派の綱引きはイタリアでもある様子。
 ワクチンは予防医学なので、有効であれば何も起こらないから効果が実感しにくく評価されにくい。
 すると副反応だけが目につきがちです。
 さらにメディアが騒ぎ立てて恐怖心をあおるので始末に悪いですね。

 一般市民が求めている「100%有効かつ副反応0%のワクチンは存在しない」ことから啓蒙する必要があります。
 ワクチンの必要性を判断する要素は、

・その病気(感染症)の重症度
・ワクチンの効果・副反応

 等のバランス。
 一つだけ抜き出して強く主張する行為はナンセンスだと思います。
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