徒然日記

街の小児科医のつれづれ日記です。

大人の便秘診療ガイドラインが2017年秋にできます。

2017年08月20日 08時22分44秒 | 小児科診療
 女性の専売特許と思われてきた大人の便秘は、中年男性も悩ませています。
 快便だった私も、アラフィフを迎えて予想だにしなかった便秘になることも経験しました。
 加齢現象でしょうか・・・。

■悩ましい中高年の便秘=女性だけでなく男性も
medy:時事メディカル2017年8月19日
 便秘は女性に多いと思われがちだが、2013年の厚生労働省の調査によると、男性でも50代からの便秘が増加している。矢野外科胃腸科(神戸市)の矢野雅文院長は「便秘の解消には、生活環境を改善することが非常に大切です」と話す。

◇中高年に多い弛緩性
 便秘に明確な定義はないが、一般的には3日以上便通が無いと便秘と感じられやすい。便を送り出す大腸のぜん動運動が弱くなったり、腸の緊張が強くなったりする機能的な原因によることが多い。胃や腸は平滑筋という自分の意思では動かせない筋肉でできており、中高年は大腸の筋力が弱くなり、ぜん動運動が低下しやすい。
 「便が腸内に長くとどまると水分が過剰に失われて硬くなり、送り出されにくくなります。弛緩(しかん)性便秘と呼ばれるこのタイプが中高年には多いのです」と、矢野院長は指摘する。
 他にも、食事量が少なく腸が活発に動かない、水分の摂取不足により便が硬くなる、腹筋の力が落ちて便を押し出す力が弱まる、認知症など便秘を合併しやすい病気などが誘因となることも少なくない。
 また、高齢者ではトイレへの移動がおっくうになり、排便を我慢することで次第に便意を感じにくくなることもある。

◇薬と生活習慣で改善
 慢性化した便秘の治療は、下剤のほかにもさまざまな薬の組み合わせによる薬物療法で適切な排便を促すと同時に、「生活習慣を見直すことが重要」と矢野院長は言う。
 食事は、3食をなるべく決まった時間にしっかりと食べる。野菜、海藻、穀物、イモなど繊維質が豊富なもの、納豆やヨーグルトなどの発酵食品は腸内環境を整え、便秘の改善を促すという。また、ウオーキングなどの適度な運動は筋力を維持し、腸の動きを活発にする。排便を我慢しないことも大切だ。
 毎日便通が無くても、定期的に良好な排便があれば、それがその人のサイクルなので問題はない。だが、「下剤がないと排便できない、下剤の使用が長期に及び、次第に効かなくなってきたといった場合は、下剤が癖になる悪循環に陥っている状態なので適切な治療が必要です」と、矢野院長は指摘する。
 便秘がひどくなってきたり、便に血が混じっていたりしたら、大腸がんなどの悪性疾患が隠れていることもある。「気になる方は一度医療機関を受診してほしい」とアドバイスしている。



 小児では数年前に便秘診療ガイドラインが作成され、患者さん向けパンフレットもあります。
 成人の便秘診療ガイドラインは2017年秋に出来上がるようです。
 今回は治療に直結する新たな分類法を導入する予定、しかし正確な判断には「タイプか正確に見極めるには、専門の検査が必要になる。20個の小さなバリウムの粒を含む検査薬を服用し、5日後に腹部のエックス線検査を受ける」という検査が必要になるとのこと。
 たかが便秘、されど便秘・・・。

1.従来の分類法;
①「弛緩性」
②「けいれん性」
③「直腸型」

2.今回の分類法;
①「排便回数減少型」・・・さらに「大腸通過正常型」と「大腸通過遅延型」に細分類される
②「排便困難型」

■慢性便秘症に効くのは食物繊維?酸化マグネシウム?…「国際基準」で的確治療
2017年8月9日:読売新聞
 日本消化器病学会による国内初の「慢性便秘症診療ガイドライン(指針)」が今秋まとまる。日本だけで用いられ、「ガラパゴス化」していた便秘の分類を、国際基準に合わせて変更した。薬が有効でない便秘や、食物繊維の摂取で悪化する便秘などへの適切な対応が可能になる。
 現状で慢性便秘は、便を送り出す力が低下する「弛緩性」と、ストレスが原因の「けいれん性」、肛門や直腸の働きに異常がある「直腸性」に分類される。便の回数や量が少ないと医師が診ると、弛緩性と診断されることが多く、下剤が必要ない患者にも薬が処方され、副作用が問題になることもあった。

◇排便回数減少型か、排便困難型か
 今回作成された指針は、排便が少なくなる排便回数減少型と、肛門の動きや、肛門に近い直腸自体に原因がある排便困難型に分類。二つの型はさらに二つのタイプに分かれ、それぞれ治療法が異なる。
 まず、排便回数減少型は、食事の内容や量が便秘の要因になっている大腸通過正常型と、腸管の動きが悪く便が腸内に滞りがちな大腸通過遅延型がある。



 通過正常型は、多くは食物繊維や食事の量を増やすと改善する。だが通過遅延型は、食物繊維を増やすとさらに便秘が悪化する恐れがある。こちらの治療は排便を促す下剤を使う。
 どちらのタイプか正確に見極めるには、専門の検査が必要になる。20個の小さなバリウムの粒を含む検査薬を服用し、5日後に腹部のエックス線検査を受ける
 4個以上が大腸に残っていれば通過遅延型、3個以下なら通過正常型と診断する。ただ、この検査は健康保険が使えず、一部の医療機関が研究として、患者から料金を取らず行っている。
 ガイドライン作成に携わった 指扇さしおうぎ 病院(さいたま市)の排便機能センター長、味村俊樹さんは「この検査は正確な診断と適切な治療につながり、患者の体への負担も少ない。早急な保険適用を求めたい」と話す。
 下剤の選択も新しい指針で大きく変わる。下剤は、腸管を刺激して動きを良くする刺激性下剤が多く使われている。しかし、腹痛などの副作用が起こりやすく、島根大学第2内科教授の木下芳一さんは「指針では、高齢者に使いやすい非刺激性下剤の推奨度がより高くなっている」と話す。
 非刺激性下剤は、水分で便を軟らかくして排出を促す。代表的な薬は酸化マグネシウムだが、腎機能低下があるとマグネシウムが十分に排出されず、体に悪影響が出る。そこで、腎機能が低下した高齢者らには、近年発売されたマグネシウムを含まない非刺激性下剤の使用が推奨される。

◇排便困難型なら、手術が必要なタイプも


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 排便困難型には、手術が必要なタイプがある。器質性便排出障害は、直腸が女性器の膣側に膨らむ直腸瘤などが原因で、手術で直腸を元に近い形に戻す。
 もう一方の機能性便排出障害は、排便しようといきむと逆に肛門が締まったり、肛門近くの直腸の感覚が鈍ったりしているのが便秘の元になっている。
 これには、肛門の力の入り具合をモニターで見ながら締めたり緩めたりするバイオフィードバック療法や、直腸内で膨らませたバルーンを排出する訓練などの治療法が行われる。

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