日々のできごと。生物準備室より

理科教育、生物教育に関して考えたことをぼちぼち更新。たまに授業実践報告をします。

フィードバックもいろいろ。

2017-03-28 21:04:57 | 最近読んだ本

 

フィードバック入門 耳の痛いことを伝えて部下と職場を立て直す技術 (PHPビジネス新書)
クリエーター情報なし
PHP研究所

部下が自分を変えようとしないならば、いわば「外科的手術しか方法はありません。それは、配置転換、降格、組織からの退出ということになります。フィールバックは、配置転換、降格、退出などの血生臭い人事施策とセットで考えるのが「鉄則」です。(p156・157)


 仮に学校内部に当てはめたとして、違和感がある部分は、この部分です。

 部下=フィードバックの相手が、児童・生徒であると想定した場合、
児童・生徒の育成そのものが学校組織のミッション(のはず)なので、鉄則にはならないと思うからです。セットで考えるべき組織は、ミッション達成のために、人材育成が不可欠だという位置付けなのでしょうか。仮定に無理がありました。

 部下=フィードバックの相手が、公立学校の教職員を想定した場合、
フィードバックを行う「上司」にどこまで権限がどのようにあるのか、ルールは見えても実際を私自身が知らないからです。



 安易に「外科的手術」に走らないことを重要だとは述べられていますが、スッキリせず読み終えました。
「外科的手術」でない治癒方法を模索する必要性を感じます。
また、教職員間で「外科的手術」に頼る風土があれば、
自ずと児童・生徒との関わりに適応する、影響するのではないかという懸念があります。

うーん、やっぱりスッキリしない 

 

 


形成的な評価のために

2017-03-09 18:32:17 | 最近読んだ本

名著復刻 形成的な評価のために

クリエーター情報なし
明治図書出版


1986年に刊行された書籍の復刻版。
復刻版だけあって、時代を考えながら読む必要がありましたが、
現在にも通じることはたくさんありました。 

 

<気になったところだけメモ>

 

P17 2 形成的評価の理念と思考
 L8 「まとめの評価、行き止まりの評価ではなく、そこからまた何かが始まっていくような評価、指導や学習の当面する課題や方向性等を指し示すような評価が、ここでは志向されている。別の言葉で言うならば、教師の側で持っているねがいやねらいの実現を目指す活動の中で、子どもがほんとうに変わっていきつつあるかどうかを見てとり、それを手がかりにして、ねがいやねらいがよりいっそううまく実現していくための手だてを講じていく、というのが形成的評価である。
 そうすると、先に述べた「評価という視点から教育を見直す」ということは、そのまま形成的評価の理念である。」

 

P19 行き過ぎた評価事例

  

P21 実践的な評価研究の手順とポイント

成長保障のためには、揺さぶりや子どもからの追求といった要素が、また、学力保障のためにはまとめと共有化、ドリルと定着化、等々の要素が、指導計画の中に組み込まれていなくてはならないだろう。

 

P27 表2 開・示・悟・入と指導方法・活動例

「『示』だけの教育にならないためのバランス作りのポイント」

「(3)先行学習でのつまずきや、先行学習で形成された整った構え、見方等を的確に診断し、それが当面の学習の障害にならなぬよう十分な手立てを講じているか。」

「(9)やればやったことだけのことがある、と子どもが効力感を持つよう、課題の出し方、言葉かけの仕方、小テスト内容や回数、等々に工夫を凝らしているか。」

 

P31 授業に期待されるもの

(1)「わかる・できる・おぼえるといった基礎学力を身につけさせる面(学力保障)と、体験する・育つ・形成する、といった個人的で人間的な成長の基礎づくりをする面(成長保障)のいずれをも十分に満足するような授業

(2)「計画な見通しと構造性」

(3)「児童・生徒を認知的情意的にゆさぶり、また豊かな体験性を多様な形で包括した授業である。」

(4)「『つもり』の指導、『はず』の指導に終わることなく、それぞれの目標に応じて授業の家庭での達成状況をモニターし」「それに応じて補充指導したり、次の段階での指導のあり方を変えたりする」

(5)「目標や計画を土台にし尊重しながらも、時にはそれを大きく乗り越えて展開する、といった跳躍的な授業である。あらかじめ定められていあるところをそのままなぞっていく、といった無味乾燥な指導や学習ではなく、児童・生徒にとっても教師にとっても授業の中で発見や創造があるような授業、十分な準備の上に立って臨機応変の、そして自由闊達な展開を測る、といった授業」

 

 

P38~ 新しい評価観への転換

・目標の明確化(目標分析:ねがい・ねらい)

・到達度評価(到達度の測定・評価:モニター・チェック)

・形成的評価(評価の形成的機能:次の手立て・今後の指導)

 

P46~ 学ぶ側の論理への「呼びかけ」

「一人ひとりの子どもが自分なりのねがいとねらいを持つようになる」「教える側がそのねがいやねらいをそのまま押しつけたり、教え込んだりしていくということではない。」「教える側と学ぶ側の基本的な違いとそれぞれの独自性を大前提にしながら、それぞれの目標意識を基本的な方向性としては一致させていく。

 

 

P70~ 評価は科学的合理的であればよいか

「評価というと、客観性を持ち、厳密であって、科学的合理的なものである、あるいはそうあらねばならない、と考えられがちである。」

「しかし、こういった科学性合理性が自己目的化したとき、評価を巡っての悲喜劇が生じる」

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<客観テスト法の進歩によってもたらされること>

「学力とは断片的な知識の集積である。という浅薄な学力観がはびこったことである。」「何ごとにもただの一つの正しい(あるいは望ましい)答えが存在する、という汎正解主義的教育風土を強化していかざるをえない」

 

 

P74~ 評価観を一新するための課題

(1)目標設定の問題

・達成目標(ex.知識・理解)

・向上目標(ex.論理的思考力・創造性)

・体験目標(ex.発見)

 

P76~

(2)指導と評価との関係

(3)目標と指導計画と実践の関係

(4)評価の方法と時期の多様化

 

P84~ 形成的評価の基本的な考え方

ブルームの「形成的評価」>>>マスタリー・ラーニングのためのもの

達成目標タイプのみ。単元末に実施される補充・深化指導の内容を指示する形成的テスト

 

P96~評価的な活動と効力感

「必ずしも得点化されない評価、記録として残るわけではない評価、成績づけに繋がっていくわけでない評価、そういった『柔らかい』評価こそが必要なのである。『柔らかい』評価によって学習する側と、教育する側の双方に、頑張っているかどうか、成果を挙げつつあるかどうか、を日常的にフィードバックしていくということこそが必要なのである。この意味において、記録やデータとしての評価からは、どうしても脱却しなくてはならないのである。」

 

P100~ 記録やデータから形成的な評価へ

「管理的で第三者的な評価感が支配的」

「結局、指導計画そのものが、体系的にきっちりと作成されなければならない。

「評価がそれのみで考えられるのではなく、どこでどのような評価をし、それをどう生かすか、が指導の流れの中に適切に位置付けられていなくてはならないのである。」

 

P121~到達度テストとその生かし方

 

P154 自由記述式の解答:観点例

(1)見方や考え方、論理の独自性

(2)記述の一貫性、論理性

(3)記述の説得力と実証性

(4)明確な課題意識と将来に向けての追求の発展性