櫻井郁也ダンスブログ Dance and Art by Sakurai Ikuya/CROSS SECTION

ダンスアートユニット《櫻井郁也/十字舎房》発。コンテンポラリーダンスとオイリュトミーのレッスン、ステージ、エッセイなど。

櫻井郁也ダンスソロ新作公演、一か月前

2016-10-01 | 新作ダンス公演 Next performance
新作ソロの公演(10/29〜30)まで、丁度あと一か月となりました。
劇場が待ち合わせ場所のように思えて、そこに、早く行きたくて仕方がなくなっております。

「踊り手には踊りの生まれる瞬間を決して観ること叶わず、
観客の心にだけ全ては映ります。
日々の行為ひとつひとつも、起きては消え、
何度も生まれなおすように生きなおしながら、ふつりと死を迎えるのかなと思うのですが、
そんな様子も、
自分には見えないけれど周囲の人の心に映っている。」

これは過去作の本番直前に書いたメモの一つだが、今回も接する気持ちがやはりあります。

稽古が重なるほどにイメージは嫌でも膨らむけれど、それが自身に見えているあいだは、まだ踊りになってない気がします。もう、サッパリ判らない、という極度の真空状態とか無茶苦茶のなかに、あるいは未知の白紙に立つときに、初めて肉体と視線の絡みが何かを発生させるような気がしてならない。

作品をパッパッパ〜ハイ出来ましたと出すのでなく、拵えても拵えても壊れてもう粉々になった、爆風の跡に立ち尽くして此処からどうするか、もう独りではダメだという地点に幕が開かないと、折角のご視線とキッチリ絡んで行けない気がしてならない。

そんな方向に差し掛かっております。

一回一回を新しく取り組んでいても、一回一回を新しく取り組んでいても、よしコレで行こうという感じでは何か古い。
書いたら消し、消しては書き、また全て消して、
未知数、白紙、、、に至るまでゼロ化した身体。真空体。というところで
舞台に挑みたくなるのです。

踊り手も作品もオドリなる未知数の素材、なのですが、少しでもイキのいい素材でありたい、刺身も良し煮ても炒めても良し、というお料理の食材みたいに成れるかどうか、みたいなことかもしれない。

自分でわかっていることや決め固めたものを人前に出すという踊りもあるのでしょうが、僕の場合は他の人の視線や気配や空気感の微細な変化と絡みながら踊っていきたい。
観る、つまりイメージや物語や世界観を自由に生成する楽しみ。その材料として、何か心の運動のファクターとして役割を果たしてみたい、という方向に歩いているのでしょうか。

表面的にはソロダンスなのだが、内面からは現場に発生する刻一刻の空気感とのデュエットだったりアンサンブルだったりするのかもしれません。

小理屈は置いといても、公演が近づいてくると、ご見所との向き合い方、立ち方、という、舞手としての抜き差しならぬ一点にビッと戻される。という生理が出てくるのでしょう。

ともかく、作舞という立ち位置から、演者という立ち位置へ、バッサリと反転する時期を迎えております。

もちろん現実的な作業は
稽古・音・照明・場作り・演出・運営事務と山積みになるのだが、意識の点では逆に全てを忘れてひたすら透明になろうと切望する時期。

ああして、こうして、アレを言いたくて、という意識が人の視線にまみえるには全て小賢しい邪念でしかないように思えて、今のイマまで思い煩い弄くり回してきたイメージだの想念だのを、ハンマーで叩き壊してしまいたくなる。

ハイこんな感じに出来ました。という舞台は最悪だ。どうせなら爆風の跡に立ち尽くしたところから、踊り始めたい。
そういう領域にカラダが入りたがるのでしょう。

出来るだけのことを全部やって、それをさらに全部ぶっ壊して、何もかも壊れた所に立った時に、初めて何かがキチンと開始されるように思えてならない。舞台は結果報告ではないから。何かが始まる所で、真空のカラダと視線が絡み合う。それが舞台だと思えてならない。です。

舞台が近づくたび、心理的にはやはり踊りというものが場というものが時というものが「一回しかない」刹那であるということを真剣に考えざるを得ない。

刹那であるからこそ、心の蓄えに、刹那であるからこそ明日の現実を迎えるエネルギー源になるのだと思う。戦国時代の侍は能楽や舞を観て出陣したと聞くが、なぜだったのか。

「消えゆくカタチとイノチ、
それを承知した肉体の熱が踊りなのかな、
と、思えば、ふと人生にも重ねてしまいます」

これも以前に書いたメモだが、やはり、いまも同じ、いや、もっとリアルになってきた。

とことん追い込んでいきます。早く本番を、と、ワクワクしております。

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STAGE information
10/29〜30上演!
櫻井郁也ダンスソロ新作公演『緑ノ声、ヲ』SAKURAI Ikuya Dance Solo ”Voice of Green” 2016.29〜30.Oct.・公式HOME PAGE

※席数に限りがありますので、お早めにお申し込み下さい。



参考:作品歴、ご感想リンクなど
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