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肝炎訴訟に関する雑考~3(追記あり)

2007年10月18日 17時54分24秒 | 社会全般
輸血や血液製剤等で感染された方々というのは、本当にお気の毒だと思います。国や製薬会社を責めたくなる気持ちも判ります。しかし、人間は全知ではないのです。判ることもあれば、判らなかったこともあるのです。全部を完璧に防ぐことなどできません。

詳しいことは知らないのですが、私が小学生頃(70年代)だと、輸血用の血液自体が今ほど多くストックされていなかったかもしれませんし、手術手技が未発達ということもあったりして、輸血そのものの適用範囲は限られていたかもしれません。そんな時代であると、本などにはABO式の血液型の説明なんかがありまして、「AB型はA型にもB型にも輸血できる」みたいなことが書いてあったように記憶しています(理屈上では不可能ではない)。多分足りない時には、そうした違う血型であっても輸血していたのかもしれません(タダの推測です)。今ではそんなことはまずないでしょう。でも昔は全ての面で医学的知見とかが劣っていたし、誰も詳しく正確なことなんて判っていなかったのですよ。ウイルス感染ばかりでなく、GVHDだって判らなかった。けれどやってみるしかなかったんですよ。今ほど詳しく判ってなくても、輸血できずに死亡したりするより、輸血してみるしかなかったのです。

HCVについてもあまり判っていませんでした。検査で確認できるようになったのは、ウイルスが同定されて以降の話です。献血中のウイルス存在を確認できなければ、どうやって混入を知ることができますでしょうか。また感染の予後については、長期経過例が確認できるようになってから、初めてその病態についても判ってきたのであって、それはつい最近(私が年寄りだからか?90年代以降は最近と思ってしまう)の話なのです。治療法の効果についても、色々とやってみたり研究成果が蓄積されてきて、どうやらIFNが効果があるね、ということがようやく判ってきた、という程度なのです。87年頃にはそんな知識は殆ど流通してなかった。一部の専門医とか研究者たちには知られている部分は当然あったが(だからこそ肝炎関連の分野の研究者たちがいたであろう)、それが製薬会社とか行政担当者レベルで判断したりできる程の確立された知見とはなっていなかっただろうと思います。

そういう現代の常識みたいな地点で振り返って、当時に同じくらい注意しておけ、ということを求めるのは難しい部分があるのです。インターネットも日本にはなかったし、文献検索だってなかったし、情報の壁というのは相当高かったのです。私は当時であっても防げたであろう肝炎の感染を救済しなくてよい、ということを言っているのではありません。けれど、それなりの注意義務を果たしていたとしても防げない部分はある、ということを、まず患者の方々にも国民にも考えて頂きたいのです。


かつて大きな社会問題となったHIV訴訟ですけれども、凝固因子製剤によって血友病患者さんに感染してしまったというものでした。
その後どうなっているか、ということについて、多くのマスメディアは関心を払ってはいないでしょう。危険性については、若干は報道されたりしているかもしれません。公共広告にも出てたと思いますし。訴訟提起された89年当時と今とでは、情報の獲得の容易さ、HIVに関する知見の量、一般の人々の関心度・認知度などを比較してみれば、今の方がほぼ全ての面で優位であると思われます。が、現実には、HIV感染者は増大していく一方なのですよ。血液製剤による感染被害よりもはるかに多くの感染被害が出ている、ということです。

よくお世話になる図録さんがわかり易い。
図録▽HIV感染者及びエイズ(AIDS)患者報告数の推移

報告例は凝固因子製剤による患者は除外された数字です。
凝固因子製剤による感染者は1420人と比較しますと、日本人だけのAIDS感染者数3130人、(発症前の)HIV感染者数だと日本人だけで6千人以上となっているのです。エイズに対する知識が社会に広まっているにも関わらず、昔よりはるかに感染者の拡大が続いているのです。単にこれまで埋もれていた人々が顕在化してきただけなのかもしれないですが、恐らく実質的な感染者の増加が続いているものと思われます。ウイルス感染の拡大というのは、その危険性が判っているのに起こってしまう可能性がある、ということです。このうち目を引くのは母子感染や感染ルートが不明の例です。母子感染は21例、不明例は598例にも及びます。決して少なくない数字でしょう。特に不明例というのは、一般人と同じような生活様式であって、特に海外旅行先で何かやってきたとか、不特定多数の相手と性交渉を持ったとか、そういう何らかの疑わしい要因というのが「思い当たらない」にも関わらず感染が確認された、ということなのではないでしょうか(統計の取り方が正確には判らないので間違いかもしれません)。

HIVはHBVに比べれば感染力は弱く、ウイルスそのものの不活性化も容易です。簡単にウイルスは死んでしまいます。なのに、これだけの不明例があるのです。日常生活を普通に送っていたとしても、知らないうちに何故か感染が成立してしまっていることは稀ではない、ということでしょう。HIVですらこうなのですよ。もっと感染力が強いHBVであれば、一体いつどこで感染したかわからないままに感染が成立することがあったとしても不思議ではないと思えます。後日取り上げようと思いますが、B型肝炎訴訟の最高裁判決には疑問点が残っているでしょう。


話を戻しますが、肝炎訴訟での問題点として、輸血用の血液とか血液製剤中のHCVは一体どこからやってきたのか、ということが問題となるでしょう。戦後間もない頃だと大した手術とかの技術も施設もあまりなかっただろうし、輸血だってあまりできなかったでしょう。昔は売血なんかが問題になった、とか微かな記憶がありますけれども、いつ頃の話だったかわかりません。フィブリノゲン製剤が登場する以前にどの程度のキャリアが存在していたのか、そういった人たちはどこから感染したのか、という謎が残るのですよ。これはまさしくHIV感染者の中の不明例と似ていて、特別な感染ルートが思いあたらない、ということです。栄養事情が悪くて免疫力が低下していたとか、母子感染とか、喧嘩や出入りで血液を浴びたとか、刺青入れたとか、工場の事故現場で血に触れたとか、何が理由か判りませんけれども、はるか以前から感染者が存在しない限り、輸血用の血液がウイルスに汚染されるということはありません。つまりは、輸血されずとも、血液製剤を投与されずとも感染は成立してきたのであり、そういうキャリアが世の中にある数だけ存在していたからこそ、キャリアの提供した血液が輸血や血液製剤として利用され、その結果感染者を生じてしまった、ということなのです。
では、輸血を受けたり血液製剤を投与されたりしなければ、肝炎に感染することはなかったのでしょうか?そのリスクにはどの程度の違いがあるのでしょうか?

◎輸血のない時代であっても、HCV感染者が確実に存在していただろう

この人々の感染ルートを特定することなどてきないでしょう。でも、言えることは「輸血されておらず、血液製剤を投与されていない人」であってもHCV感染者は存在するであろう、ということです。これはHIV感染者についても同様です。
そうした危険性が全く判らないのに、「C型肝炎は薬害の結果だ」とか「杜撰な医療行政の結果だ」みたいに言えるというのは、どうしてなのだろうかと思います。


それと、こちらのブログを発見したので、ちょっと読んでみました。

薬害肝炎訴訟 リレーブログ B型・C型肝炎患者の早期全面救済を!

言わんとしていることはわからないでもありませんが、何でもかんでも国の責任、製薬会社の責任、みたいな話にはならないと思うのですよ。しかも、政治的利権絡みのような部分もあったりして、胡散臭いだけです。

07年9月21日の記事の一部を引用します。

国会議員からは、社民党党首の福島瑞穂氏が会場に訪れ、原告を力強く激励してくれました。そのほか、当日、民主党衆議院議員 仙谷由人議員、民主党参議院議員 梅村聡議員、民主党参議院議員 外山斎議員、日本共産党参議院議員 小池晃議員、日本共産党衆議院議員 高橋千鶴子議員より熱い激励メッセージが届きました。
さらに、全国各地から激励に訪れてくれた支援者が挨拶し、東洋大学社会学部教授の片平洌彦先生からも激励のお言葉をいただきました。

 集会の最後は、参加していた原告全員が壇上に上がり、薬害肝炎大阪弁護団事務局長の山西美明弁護士、薬害肝炎全国原告団代表の山口美智子氏が挨拶し、集会のテーマである「今こそ最終解決・全患者の恒久対策を!」を全員で大唱和し、熱気の中、閉会となりました。 

◇◇◇


写真入りで登場している福島党首とか、ずらずらっと議員さんたちの名前が並んでいるが、彼らはこれまで何をやってきた?よく調べ、よく考えてきたのか?何か一つでも実質的に有効な提言を出してきたのか?
ふざけるんじゃないよ。調子に乗ってるだけなんだよ。
彼らは問題について真剣に考えてなんかいない。タダ単に票稼ぎに結び付けたいだけなんだよ。こういうヤツラが偽善者ぶってることも、問題解決能力や社会に訴える能力も何一つないのに、闘争だけやって満足していることが腹立たしいんだよ。

こういう運動をやって、ひょっとすると一部の”薬害”肝炎患者だけは救済されるかもしれんが、肝炎患者の本体はもっと大きいのだよ。薬害を立証したとしても、その他大勢の肝炎患者は救済できんのだぞ?こういう政治的闘争みたいなものに利用している限り、或いは裁判などに勝利して国の責任を認めさせることに拘泥している限り、「その他大勢の肝炎患者たち」は医療費助成を受けられないんだよ。そういう闘争とは関係なく、政策的に考えるべきことなのであろう?もっと昔の時点でだって、議員立法でも何でもやろうと思えば出せたのではないか?それを今更になって、政治利用することだけしか頭にない連中ばかりなのだ。

私のようなボンクラ頭でさえ思いつきそうなことを、こんだけ議員が雁首揃えて誰一人思いつかない、行動できない、というのは何なんだ?


他人の不幸を政治的に利用するのはいい加減に止めろ。被害者たちを利用するな。国とか政府与党の攻撃材料だけに、被害者を利用するな。不毛な闘争に使うのはヤメロ。問題解決の為に真摯に取り組め。


ちょっと追加。

民主党案はインターフェロン治療に助成金で、自己負担1万円なんだそうだ。
確かにインターフェロン治療は高額なので自己負担額は重荷になるのだろうけど、これでは不十分だと思うが。
民主党の医師免許持ってる議員たちは、これでいいと思っているんだろうか?

C型肝炎の場合、インターフェロン療法の著効率というのは、ウイルスの遺伝子型によって異なっているはず。従って、効果の低い人にはインターフェロン療法が必ずしも選択されないかもしれず、そういうインターフェロン療法以外の患者さんたちは助成対象からみんな漏れることになる。更に、後々肝機能障害などが出てくるとか、肝硬変に進展してしまうとか、そういう場合に治療が必要になってもこれらは助成対象からみんな漏れる。即ち、インターフェロン療法で良好な予後であった人たちには、民主党案のような助成は意味があるかもしれないが、それで救済される人たちばかりではないってこと。もっと長期的にフォローが必要な患者さんも少なくないのに、インターフェロンだけやって、あとは知らんってか?

表面的な掛け声だけで考えるとこうなる、って見本ではないのか?
大体医師免許持ってる議員たちが揃っていながら、どうして誰もそういう普通のことを教えてやらんのだ?政治活動ばかりやってきたので、医療に関する知識は乏しいのか?そんな連中が厚生労働委員会の委員とかやって政策考えてます、ってのも迷惑な話だ。
まあ民主党案でやればいいよ。それで肝炎患者の団体も大賛成してくれて、選挙協力してくれることだろう。好きにやれば?
だが迷惑を蒙るのは、本当に困っている患者さんなんだよ。


因みに、東京都にもインターフェロン療法の助成制度ができたらしいよ。10月から。
本当に何も考えずに、国会議員たちはドイツもこいつも集票目当てだな。よく調べてみろよ。



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