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階層意識って、本当に変わったのか?

2006年01月16日 00時54分21秒 | 社会全般
さっきテレビを観ていたら(爆笑問題と阿川さんが出てる番組)、下流社会の焼き直しみたいな説明が出てきた。違和感を感じた、ちょっと。まだ読んでないから、内容は全く知らなかったのですけど。他の人の書いた感想を読んだだけでしたので。ゴメンね、知ったような記述などをしてて。


判りやすく表を出していたが、そこでは「上」「中」「下」という区分で、74年と04年の比較では、「中」が減少し、「上」と「下」が増加している、という結論を出していた。で、出典は例の『下流社会』だった。これは???と思った。報道ならば、元の資料に当たるべきであろう?まあ、そういうレベルの番組なのかもしれんが。おまけにコメンテーターのモリタク氏も突っ込めば良いのに、変なコメントを述べてた。こういうのは、単なる煽りなんじゃないのかな?と思ったけど。「平均年収が100万円程度(ちょっと違うか?氏得意の300万だったか)しかないんですよ、女性の半分は非正規雇用ですから」と。これも???と思った。


まず、かつての中流意識が本当に崩壊しているのか、ということ。
上・中・下の区分があるというのは、そうなのだろう。だが、その数字だけを鵜呑みにするべきではないと思うが。「上」とは内閣府調査の「上」と「中の上」を合わせた数字だろう。「下」というのも「下」と「中の下」を合わせたものだろう。

これから言えることは、
「上と下の数字」が(74年に比べれば)増えている(=中が減少)
ということだけだ。これをもって「中流意識は崩壊しつつある」とか「格差は拡大した」とか、そういう結論を持ってくることは出来ない。


疑問に思ったので、内閣府の資料を探しましたよ。
元の資料を見てみよう。

生活の程度

このグラフを見ても、ここ10年くらいの単なる変動の一部でしかないと思えるが。また、「中の中」が高い割合(6割程度)であったのは昭和45~54年頃くらいしかない。昭和55年以降、そんなに大きな変動と呼べる変化ではないと思うが。せいぜい特徴的と言えるとしたら、「中の上」がやや増加したかな?というくらいで、元に戻りつつあるかもね、と。正確には時系列の統計の有意差検定でもしないと、本当に「有意な増加」とは言えないと思うけどね。

『下流社会』は機会があったら読んでみようかな、と思っていたが、こういう資料を使ってある意味読者を煙に巻く(酷い表現をすれば、「騙している」)というシロモノであるなら、読む価値なしと思った。こりゃ、特別「下流意識」が強まっているなんて言えないと思うよ。


メディアもさ、こういうのを使って喧伝するのはいいが、よく頭使ってみた方がいいと思うけどね。まんまと釣られて騙されて、一緒になって煽りの片棒を担いでいるんじゃないのか?(笑)


言うなれば、ある年と今年の降雪量を比較して、単純に数字が大きくなっていたら、「降雪量が増えていた」という現象をもってして、「遂には地球温暖化現象の影響で異常気象となった」という結論を持ってくるようなもんじゃないのか?単純な2つの比較だけで、そんな結論は言えないっての。


どうして、メディアの方々はこれに類する「数字トリック」と、そこからは到底言うことの出来ないような(いい加減な推論的)結論を断定するんだろうね。ある種、異常でさえある。変な断定が多すぎ。まずは一次資料を確かめることくらいやれよ。いつも「視聴率」という数字の「上がった、下がった」に支配されてるから、「数字が下がる=不人気な番組」とかってレッテルを貼られることに馴れすぎてるからか?(爆)「真実・事実を伝える」という報道の基本さえ判ってないんじゃないか?「数字トリック」から導き出した推論は、「事実」とは言えないと思うけど。


モリタクさんもね、「女性の半分は非正規雇用なんですよ」とか言ってたけど、それはどういう意味で言ってるのかな?と思いました。女性の労働力化率(労働力人口への算入割合)は年々上昇しているだろうから、かつて働かなかった女性が非常に多かった時代と、今とを比べたってあんまり意味がないですよ。専業主婦が全体に対する割合が高くて、就業女性の割合が相対的に少なければ、正規/非正規の比率は正規が多いかもしれない。なんたって専業主婦という「無職」が大勢いるんですから。どうせ解説するならば、正しく表現するべきですね。

また簡単な例を書いてみよう(全くのウソの数字ですからね)。

  専業主婦  正規 非正規
昔  500   400  100
今  200   350  350

こういう具合になっていたとしよう。これで、昔は「正規雇用が80%、非正規が20%」だったが、今は「非正規は半分」という結論になりますね。要は「昔は正規が8割もいたのに、今は半分に減った」とかって、強弁するんですね。ところが、本当の数字の意味は、専業主婦の減少と女性の人口減少との複合によるので、実際には別な結論(分析)かもしれないですね。なので、言えることは

・女性の労働市場への参入割合が増加(50%→77.8%)
・非正規雇用の拡大(実数も割合も)
・専業主婦割合の減少
・正規雇用の実数は減少(割合は40%→約39%で減少と言えない)

ということくらいでしょ。「非正規割合が半分」というのは、内容的に殆ど意味の無い説明ということです(前提説明が最低限必要でしょ)。変化を捉えた時に意味のある説明なのかどうかさえ考えていないと、そういう数字を取り上げてくると思うけど。「中流意識の崩壊」って言うのと同じ次元の統計数値の悪用とも言える。


世の中のマスメディアには、とんでもない説明が氾濫している訳ですね。こうして視聴者は過った認識を植えつけられていく、と。




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2 コメント

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明日証人喚問なのにライブドア (ayasu)
2006-01-16 19:41:21
どうもフジテレビのあの番組って妙な角度から物を見る癖があるようで。

この前は「女30代おひとりさま」とかやってたし、もっと前は「女30代マンションを購入」とかやってたし。。。 30超えても結婚しない女性を扱うのがフジテレビ大好きですよね。ま、どうでもいいや。



メディアが明日17日、証人喚問とライブドアのどちらを一発目に持ってくるか楽しみです。



Blogこれからも続けてください。

楽しみにしています。
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色々と騒動 (まさくに)
2006-01-16 20:42:42
最近のマスコミは「ネタ切れ」感が漂っていたので、きっと大喜びしてると思いますね。(笑)



爆笑問題の太田さんが、きっと「紳助」の後を狙っているのでしょう(笑)。



また宜しくお願い致します。
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