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日銀は予想屋と同じなのか(追記後)

2007年04月28日 18時24分16秒 | 経済関連
日銀のレポートが出てた。いくつか気になる点について、見ていきたい。

この前、「ちゃんと点検しとけ」と文句を言ってしまった(参考記事)ので、私自身がそれを見ていないとなれば「文句言う資格なんかないだろ」と日銀サイドから反撃を食らうかもしれませんね(笑)。それは冗談ですけど。


日銀の基本的見解はこれ。
経済・物価情勢の展望(2007年4月)

気になる部分を挙げていく。
(以下、引用部分は『』で示す)

①『成長率の水準は、2007年度、2008年度とも、潜在成長率を幾分上回る2%程度で推移する可能性が高い。』とあるが、潜在成長率の想定が2%未満であると解釈される。この根拠とは何か?

参考として、日銀のペーパーを見てみる。
GDPギャップと潜在成長率の新推計
ここで示される06年5月時点の想定では、06年度中にはほぼ2%に達する水準であると思われるが(グラフの感じから見て、ですけど)、いかがであろうか。書かれたのがそれより少し前だとして、06年3月頃の潜在成長率見込みは1.8~1.9%くらいではないかと思われます。05年末~06年初め頃の所謂「潜在成長率論争」では、吉川先生とかが1.7%程度、竹中大臣が2%くらいということを言っていて、日銀(福井総裁)はもっと低い1.5%くらいだ、というようなことを言っていたわけです。因みに同じ頃、経産省は「チーム+0.5%」を結成(これは冗談で、私が勝手に命名しただけです)して、潜在成長率を2.2%にするんだ、という目標を掲げていたのですよね。どの時点を考えての議論なのか、ということで多少上下はあるわけですが、少なくとも06年度末には05年度末の条件とは異なっているであろうと思われるのです。06年3月頃よりも現時点の方が潜在成長率は下がって行ってる、というのであれば、勿論「2%を抜けてない」ということも想定されるわけですが、それは考え難いのではないかと思います。

05年度末時点で考えられていた潜在成長率と06年度末での潜在成長率が同じ水準なのである、とか、2%には到達できない、とか、そういった根拠があるのであれば出すべきでしょうね。普通に考えて、経済活動は上向きであるし、成長率もこれまでよりは数値的に良くなっているわけで、あのグラフの傾き具合からすると、07年3月(06年度末)時点では、2%超えであっても不思議でも何でもないように思える訳です。あくまで素人考えに過ぎないので、専門の方々のご意見を伺ってみなければ判らないので、是非検討されることを期待します。少なくとも、日銀の公式見解に『潜在成長率を幾分上回る2%程度』なる表記を用いる訳ですから、それ相応の論理的根拠があることは当然なのであり、私のような素人が考えるのとは次元が違います。なので、正確性についても緻密さが要求されるのは至極当然でしょう。日銀の出す数字というのは大体の水準でいいのである、ということであれば、適当な解説をしている評論家やアナリストなんかと何ら変わりなし、ということでいいんですね?そうであるなら、その程度の裏付けしか持たないんだなと、理解することに致します。


②『ユニット・レーバー・コスト(生産1単位当たりの人件費)は、なお低下を続けているものの、賃金の緩やかな上昇のもとで、下げ止まりから若干の上昇に転じていく可能性が高い。』とあるが、これは05年末頃から同じことを言っていながら「依然としてマイナス」ということが1年以上の長きに渡り続いてきたのではないか。「ULCはプラスに転じていく」という見通しを立て、それを金融政策(量的緩和解除や利上げ)の理由の一部として使ってきたのに、結果は全然違っていたのではないか?つまりは「見込み違い」であったのであり、「判断は誤りであった」ということなのであろう?「理由に使ってきた」にも関わらず、「間違っていた」のではないですか?

家計への波及ということも似ているのであるが、賃金上昇とか、家計収入増とそれを背景とした消費増とか、そういうものの見通しとしては、日銀サイドの判断は「誤りであった」のだろう?誤った判断に基づいて、量的緩和解除や度重なる利上げに「自分勝手な思惑で」踏み切ったのですよね?最終的に出てきた数字が、「ほら成長率は大体イイ線行ってたじゃないか」ということであって、それはタダの「結果オーライ」ってやつだろ。競馬の予想屋だって、いくらでも理由は付けられるっての。結果的に「ホラ、1-5で当たったじゃないか」ということに、どのような裏付けがあるというのだ?日銀のやっていることは、適当にヤマ勘でやっているのと同じです。競馬の予想と同じレベルでしかありません。

ちょっと途中ですが、退席しますので。



戻りましたので追加です。


③『金融環境などに関する楽観的な想定に基づく、金融・経済活動の振幅の拡大である。企業や金融機関などの財務面での改善が進む中、実質金利が極めて低い水準にあることから、金融・経済活動が積極化しやすい環境にある。また、大都市で地価の上昇傾向が明確化してきているなど、資産価格の動きも、そうした行動を活発化させる方向に作用すると考えられる。』
『例えば、仮に低金利が経済・物価情勢と離れて長く継続するという期待が定着するような場合には、企業や金融機関などの行き過ぎた活動を通じて、中長期的にみて、経済・物価の振幅が大きくなったり、非効率な資源配分につながるリスクがある。』

少し引用が長いのであるが、手短に言うならば「お前らバブル気分に浸ってんじゃねーよ」ということです。乱暴でしたか?そうですね。『金融環境などに関する楽観的な想定』とは、低金利(の持続)ということです。『実質金利が極めて低い水準』=経済活動積極化(通訳すれば、バブルのにおいがプンプンです)、地価上昇もそうだろ、大都市圏では資産価格(土地・株)上昇でプチバブってるんだろ、と言いたいようです。低金利が長く続くという期待定着がイカンのだ、危険だ、ということを主張しているのです。

低金利が継続するのではないか、という期待というのが果たしてどれ程の効果があるのでしょうか?それは経済学的な説明が与えられているものなのでしょうか?低金利が継続するのではないかという期待は、バブルを引き起こす原因なのでしょうか?
正確には判りませんけれども、必ずしもそればかりとも言えないのではないかと思えます。一応、参考として米国のITバブル期を見てみることにしましょう。

FFレートの推移を大雑把に言うと、次のような感じです。
88年10%→92年末3%まで下げられ、これが94年初めまで続き、94年3%→95年春頃6.25%まで上げられました。その後5%前後が99年まで続き、99年4.7%→00~01年にかけて6.5%まで上げられました(ITバブル期)。その後バブル崩壊となり、01年末1.75%まで急速に下げられました。つまり01年には6.5%程度→1.75%という急速な緩和策が取られたということです。それ以後も調整期間があって、01年1.75%→04年1%と低金利期間が続きました。04年途中からは底入れして06年末までの上げトレンドとなり、今の5%くらいまで引き上げられました。
ITバブル期の本格化する99年直前の段階では4.7%くらいのFFレートで、数年は5%前後で安定していた時期であり、特に低金利が定着しているとか低金利持続が期待されていたとも思われません。それでも後年「ITバブル」と呼ばれるバブルは発生したのですよね。

実質金利を見てみると、98年4%超くらいだったのが、00年2.2%まで低下してきましたが、01年には3%くらいに上昇、その後バブル終焉となって緩和策が取られた為に02年には0%まで低下、その後の低金利期間にも実質金利低下は続き、04年の-1.8%まで低下したようです。つまり、バブル発生直前の段階では実質金利はむしろ高かったと思われるのです。01~04年の低金利期間には実質金利を敢えてマイナスにして、調整を進めることができたと見えなくもありません。

金利水準の期待ということよりも、やはり物価上昇率の影響の方が大きいように思え、「低金利が続くとバブルが云々」とか言うのであれば、日本のゼロ金利期間の長さを考えれば、もっと早くに経済が回復できたでしょう。現実には、金利が低いからといって投資が異常に活発となったりはしませんでした。日銀よりも、一般大衆の考えの方が経済学的合理性があるということなのかもしれませんね(笑)。デフレ期間においては、消費や設備投資に金を回すよりも「現ナマ」で持っている方が利益になるということなんでしょうか。

そういうわけで、日銀の見解というのは、未だに何の進歩も見られないのではないかと思います。過去の教訓を活かすことができないのは何故なのか、本当に不思議でなりません。









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