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一酸化炭素中毒死を考える

2006年07月19日 13時53分21秒 | 社会全般
今問題とされているパロマの不正改造等ですけれども、この危険性について少し考えてみたいと思います。

初めにお断りしておきますが、私は毒物の専門家などではありませんので、一般的な水準でしか書くことはできませんので、詳細とか正確な知識をお求めの方はご自身でお調べ下さいませ。


・一酸化炭素中毒死は珍しい?少ないの?

国内で最も多く見られているのは、恐らく自殺であろうと思います。特に近年のネット上の「自殺呼びかけ」で、集団自殺の場合に多く用いられる手段と思われます。昔は車の排気ガスを密閉した車内に引き込むということが多かったと思いますが、最近は練炭が多いのではないかと思われます。人口動態調査などの統計によれば、自殺手段として確か年間3千人以上の死亡があるかと思います。昔は半分くらいでした。

自殺方法では、まず意識障害(大体眠くなる、意識を失う)が先に起こり、その後の苦痛が少なく、方法としても簡便であるため、用いられやすくなってきたのではないかと思われます。飛び込み自殺や首吊り自殺などに比べても、苦痛や死亡後の汚損等が少ないからではなかとも思えます(決して、推奨しているわけではないので、絶対に自殺を考えたりしないで下さい)。


他には、火災による死亡のうち、熱傷ではなく一酸化炭素中毒死が死因となっていることも多くあると思われます。火災事故による死亡のうち、どれ位の割合がそうであるかはちょっと判りません。年間数百名規模ではないかと思われます。


これら以外では年間100~200名程度の死亡がありますが、統計には正確に出てない為にハッキリした数字は判りかねます。事業所等の産業事故などもあるかもしれません(恐らく労働環境の改善指導などで、その数は減ってると思われます。炭鉱等の危険度の高い業種も無くなっていると思いますし)。


・死体でどの程度判るのか?

年間数千人以上の死体が「一酸化炭素中毒死」のものであると考えられ、警察や消防等の職員が滅多に見ないレベルの事例ということは考えにくく、逆に、割とよく観察される死体ではないかと思われます。


一般に、一酸化炭素中毒死の場合、特徴的な死体である為に、判別がつきやすいということが言われています。色が「鮮紅色」であることが、その特徴となっています。一酸化炭素中毒死の死体というのは、見たことがあれば大抵見分けられる程度に「特徴的である」ということです。通常、不審死の場合には、警察か消防(救急隊)は呼ばれるので、死体検案書を必ず書くでしょう。そこで死因はハッキリすることが多いと思います。


・死亡数の水準は?

既に述べましたが、一酸化炭素中毒死で最も多いのは自殺であり、恐らく不慮の事故での死亡に比べ10倍~20倍程度多いでしょう。また、火災による死亡のうち、かなりの割合が一酸化炭素中毒死と考えられると思います。従って、パロマのガス器具の危険性による一酸化炭素中毒死よりも、火災などの発生リスクの方が高い可能性があります。

似たような事例では、松下の石油ストーブというのがありました。長い期間に渡ってリコール広告を出してますが、パロマに限らず、不完全燃焼や排気障害などによる一酸化炭素中毒は必ず発生リスクがあります。特に、冬期間にストーブ等の暖房器具などを使う地域では、そのリスクは高まるでしょう。火災の発生リスクについても、雪が積もるような寒い地域では高くなっているのではないかと思えます。


一酸化炭素中毒死に関する死亡統計は見つけられなかったのですが、厚生労働省の人口動態調査の区分で見ると、次のことが判りました。

統計データ・ポータルサイト

94年以前までは、<E868:その他実用ガス及びその他の一酸化炭素による不慮の中毒>という分類が用いられていたと思われます。その死亡数には自殺や火災は含まれていないはずです。この水準で見ると、84年頃は多くて246人でしたが、94年には129人に減少しています。おおよそ100~200の範囲の減少傾向でした。

95年以降では<X47:その他のガス及び蒸気による不慮の中毒及び暴露>という区分に変更となっています。以前と区分が違う為比較は難しいと思いますが、03年で男335人、女性50人となっています。

因みに自殺でのガス中毒死は約3500人(ここ数年で倍増してます)と、はるかに多い数です。都市ガスとかプロパンガスなどの中毒死は別だと思います。


年平均で1~2人の死亡があった可能性があるパロマの器具ですけれども、普通にストーブ等の暖房器具、ガスコンロやガス給湯器等を設置していて死亡する数よりは多分少ないと思われます。設置台数当たりの平均とかは判りませんので、死亡率がどうなのかは正確には評価できないのですが。


参考までに言えば、園芸用や農業用の肥料による中毒死は年間100~150人程度で、不慮の一酸化炭素中毒死と似たような水準ではないかと思われます。すなわち、過って園芸用農薬を摂取してしまって中毒死する数よりも、パロマのガス器具で一酸化炭素中毒死する数は圧倒的に少ないと推測されます。


・会社の責任

これは色々と非難が出ているし、無くなることはないのだろうと思われます。市場からは「不買」という社会的制裁を受ける可能性はあるかもしれません。不正改造について知っていたのに何もしなかったことは不作為の責任を問われるかもしれません。これはまた別な判断であると思いますので、今は触れません。

ただ、普通に生活していて、通常のコンロや暖房器具を改造などせずに用いたりしていても、一酸化炭素中毒死は発生しているだろうし、恐らくパロマの器具での死亡数よりもはるかに多い可能性が高い、ということは考えられると思われます。


これを防ぐには、一般の利用者たちに窓を開けて換気するとか、ガスを発生させる器具の基本的知識の啓蒙の方が多分重要なんだろうな、と思います。一酸化炭素中毒そのものの知識についても、そうかもしれません。


リスクをゼロにすることはできない部分もある、ということは考えてみて欲しいと思います。




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