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熱闘!官業金融~第3R

2005年11月05日 13時50分36秒 | 社会全般
この問題については、金融族などもおられるでしょうから、与党の方でも色々と考えているでしょう。ド素人の私が首を突っ込むべきことでもありませんが、ちょっと考えてみます。


従来は政策投資銀行などが大型プロジェクトなどの主導的役割を果たしてきて、政策との整合性を図りながら業務を行ってきたのでしょう。特に昔のような社会資本整備が不十分である時には、様々な要求があったと思いますが、現在のような環境となって求められる役割は変わってきたのかもしれません。そういう意味では組織論として、旧来のままがよい、という結論には結びつかない面はあるでしょう。ただ、民間金融機関が出来ない部分をどうやってカバーするか、過去の蓄積された良い部分をどう生かすか、ということでは、議論の余地があると思います。


私は大企業に勤務した経験もありませんし、大型プロジェクトなどに関わったりしたことも当然ありません。新規商品開発といった分野さえありません。なので、現実がどうなのか、ということについては、「よく判らない」というのが本音です。ならば口出しするな、と怒られそうですが。考え付く範囲で述べたいと思います。いつものクセで、また例で考えてみたいと思います。

私のような一般人での経験では、最も近いのが住宅建設でしょうか(笑)。これは人生でもかなり大きなプロジェクトですね。面倒な人は建売や中古住宅を取得する場合もありますが、今は新規ということで新築を考えてみます。私の個人的経験では、マイホーム建築はそれなりに大変でした(笑)。自己資金との兼ね合い、資金調達プラン、用地取得、設計・施工、各種手続き等々、面倒なことが多いですね。私は出来るだけ簡単に済むように大手住宅メーカーの中から選択したので、労力は軽減されましたが、結果的にはコストがやや高くなってしまいますね。これは個人の考え方ですので、色々あると思いますが。通常素人では「どの建築方法が最も良いか」「どの建材が高すぎか」「手抜き部分はどこか」などという知識はほとんどないので、言われるがままになってしまいがちです。その点大手メーカーは平均的な質がある程度確保されると思いますが、設計士に頼んで任せるという方法もあります。

新規事業とかプロジェクトでは、「平均的大手メーカー」の役割をするような部門が存在していないので、この設計士としての役割が重要と思います。設計士は資金計画から用地・資材調達、業者選定、現場管理、諸手続きなどについて、プロジェクトリーダーというか、施工主の代理人的なコーディネーターとしての役割を果たします。この経験を積めば、「資金調達に無理がある」「このレベルの資材しか調達できない」「工事のやり方が悪い」などの評価が適切に出来るようになるでしょう。

一般人では、こうした経験が大体1度とか、せいぜい数回しかないので、評価ができるほどには中々なれないのです。例えて言えば、電気工事代金は適正だったが、実は水道工事代金はふっかけられた、ということも起こってしまうかもしれない、ということですね。そういう意味では、設計士という役割は大きいのですね。設計士は当然のことながら、水道工事が出来なくともよいし、電気工事が出来なくともよいのですね。でも、それがどういう業務であるか知っており、仕事のやり方や出来具合を評価できればよいのです。建具の平均的価格を知っていて、えらく高い見積を出してないかが判ればいいのです。そういう関係各分野の真の「専門家」ではないが、正しく評価出来ることが必要なのですね。


プロジェクト融資の際や、創生期の新規事業への融資についても、非常に似ていると感じています。それは、評価するべき材料・知識があって、事業見通しやリスクを適正に評価することが出来なければなりませんね。勿論その評価は完全ではないし、中には失敗という案件も生じるかもしれません。でも、貸し倒れや不良債権化する確率が低ければ、その評価は信頼性がある程度高くなります(「格付け」も似ていますね。ムーディーズやS&Pなどの評価は、一定の信頼性が得られていますね)。そういう知識や判断技術とか・・・色々あると思いますが、私は主として人的資源によるのではないか、と考えています。

定型的な判断基準に沿って(例えば数値だけによって機械的に判定する、というような)行うのだとすれば、リスクを最小にするようなものが出来るかもしれませんが、それはド素人が判断するのと同じことだろうと思いますね。常に安全なものだけを選別してしまい、新たなチャレンジなどが出来なくなる、ということですね。そういう意味では、公的性格の強い事業や政策的に必要な案件というものには、設計士のように評価する人材が欠かせないということになるだろうと思いますね。そういう人が政策投資銀行に多く存在するのであれば、人員をただ民間に放出するよりも、必要な部門に集約し、事業の公益性の評価も含めてプロジェクト全体を適正に評価できる「独立性」「公平性」を保つことが必要だろうと思います。


設計士に関わる問題としては、案外面倒なのが関係法令に関する知識ですね。民間銀行などで公益性の高い事業を担える、保証さえあればいいんだ、というのは、逆に危険性も生まれる可能性があることも考慮するべきですね。役所の悪い所でもありますが、いい面でもあるのは、関係法令には「ウルサイ」ということ。住宅であれば、建築法とか(そんなのないか?確かそういうような感じの法律だったような・・・)、市町村条例とか、現場の届出関係とか、建築申請とか、登記とか・・・その他モロモロの諸手続き関係が非常に面倒でありますが(私はメーカーの人に任せきりでしたが)、見るべきポイントは慣れてしまえば直ぐに判ります。「これは申請しても通らないよ」とかも。そういう法令関係にどれ位詳しいか、というのは実際に経験を積んだ人間じゃなければ「抜け」を生じやすいのではないかな。「お役所仕事」は大抵、そういう部分を見ることに慣れているだろうし、実は他にも使える制度があるんだよ、ということもコーディネーターには大切なことなのです。例えば、「住宅金融公庫融資だけだと資金が不足するなら、住宅財形とか年金住宅融資などが使えて、他の民間融資金利より安い」ということを「知っている」かどうかで、設計や事業そのものが大きく変わる可能性がある、ということです。


本当の大型プロジェクトになれば、それこそ様々な法令も制度・仕組みも組み合わせる必要があるのですから、そういう点で言うと、政府系時代に培ってきた知識・経験を有効に活かせる方法を考える必要がある、ということですね。民間銀行でも、各種制度とか法令に精通していればいいんですけれども、多分殆どダメだと思うよ。だって、投信販売でも、似たような他社商品についての知識も全然ないし、他との違いすら説明できない行員はごく普通にいるからね。郵便局で急に「投信販売」を始めても、「他との違い」「メリット」「特徴」などの説明がすぐにはうまく出来そうもないのと似ているように思う(現実がどうなのかは知りませんが、俄か仕込みではダメなことが多いんじゃないかな、と)。


保証を付けるとしても、仮に500億円のプロジェクトであるとして、半分は政府保証を付けましょう、残りは民間銀行もリスクを分担して下さいね、と言う具合にコーディネーターを中心に全体像の設計ができますね。民間だけで融資して、全額政府保証付きならば、民間銀行が丸儲けになってしまいます。美味しすぎですな。その代わり、リスクを取れない民間銀行は参加しなければいいのですし、A銀行は50億円までなら融資に参加出来るとか、B信金は20億円まで参加出来る、というふうに、それぞれに応じたリスク分担が出来るはずですね。民間だけにやらせると、談合であったように大きい所が中心になって、利益を貪るかもしれないし。民間だって、じゃあ残り250億円のうち、100億円分を債券化して販売しましょう、10億円分の業績連動型ファンドを作りましょう、という感じで工夫するようになるかもしれません。コーディネーターがリスクが大きくないと判断して、政府保証を外しても大丈夫、ということであれば、民間銀行に全部やらせる、といったこともできますね。カウベル効果がどうなのか、というのは正確に判りませんが、政策投資銀行が担っていた役割のうち大きなものは、そういう「設計士」的な全体のコーディネートだと思います。このような能力は、一朝一夕には作ることが出来ませんね。もしも民間だけで十分判断できるんだ、ということであれば、本来政府保証なんて必要ないはずですね(笑)。リスクを取れないなら貸さない訳ですし。


銀行とか金貸しの仕組みなどはよく知りませんけれども、大抵不足しているのは分野・業種を跨いだ知識とか判断材料なのではないかな、と思います。そういう意味では、政府部門が何を何処まで担うべきか、ということも考慮されるべきだろうと思います。



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