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日銀の自慢?

2009年03月05日 20時05分05秒 | 経済関連
マネーサプライが増えない理由とは何か?
明確な答えを探すのは難しいかも。


でも、日銀はミシュキンに罵られたように、恐らく本物の「God damn stupid」なんです。

人間はウソをつく。
だが、データはウソをつかない。
数字を見れば、何かが見つけられるかもしれない。


ごく基本的な話を書くと、

 マネーサプライ=信用乗数×マネタリーベース…①

という決まりになっています。信用乗数低下したことを書いたのだが、これは観察される事実であり、90年代から今世紀を通じて同じ傾向でした。量的緩和でマネタリーベースの一時的増額があったからだ、という見方はあるかもしれませんが、でも、運営が下手であることには変わりないでしょうね。


08年3月時点での信用乗数を見てみましょう。日銀統計のマネタリーベース(2008年3月):日本銀行より、

マネタリーベースは88.3867兆円、季節調整済値で88.0091兆円、08年第1Qの平均残で88.7859兆円。
「M2+CD」は734.0兆円だったので、信用乗数=(M2+CD)/マネタリーベース…② から計算(①式の変形だね)すると、ざっと8.30前後(8.27:1Q平均残、8.34:季節調整済値)ということになる。以前の10~12という時代とは明らかに異なっている。

言えることは、信用乗数が低いのなら、①式においてマネタリーベースを増やさないとマネーサプライは増加しない。仮に、マネタリーベースを増加させると信用乗数が減少してしまう、というような関係にあるのであれば、増加させることに意味はないだろう。だが、信用乗数をマネタリーベースの減少関数に書き換えられる、ということであるなら、①式は違った形になるのではないだろうか。そういう関係式が見出されていないのであれば、マネタリーベースを増やさない、ましてや減らすという意図が判らない。


マネタリーベースの85年~08年のデータを四半期毎に並べて見てみたら、流れが掴めますから。グラフ入れられる人は、是非とも作ってみたらいいですよ。前年同期比と、一つ前の期との伸び率を見ると、緩和的か引き締め的か判りますからね。幾つか特徴を挙げてみます。

ア)
86年までは前期比約7~8%の伸び率だったのが、87年第1Q以降には10%超となり、以後89年までこれが持続。90年第3Qでようやく9.16%の伸びという10%割れになるまで、14四半期連続で大きな伸びを示した。これが所謂「バブル」という状況になっていった局面でした。

イ)
91年第1Qに前四半期比でマイナスに転じ(前年比では約4%の伸び率と大幅に低下)引き締め効果が見られる。91年第3Q~92年第1Qまで3四半期連続でマイナス、前年比では92年第3Qまでマイナスが継続。この頃には、既に景気悪化が起こっていて「バブル崩壊」は過ぎていた。にも関わらず、引き締めがきつく効き過ぎていて、後遺症をもたらしたであろう。

ウ)
93年~95年第3Qまでは前年比伸び率が約4%程度と、かなり低目に押さえ込まれていたことが判る。この時期にもバブル崩壊の危機的ダメージは食らっていなかったし、デフレでもなかったので、脱出チャンスはあった。景気が回復基調となった96年には8~9%を超える伸び率が見られていた。90年代後半の金融危機が表面化した時期であっても、伸び率は高めで推移し、前年比では9%以上を記録していることは少なくなかった。

エ)
しかし、ITバブル期を迎えると2000年第1Qには前四半期比マイナスで引き締めに転じ、01年第1Qまでそうした引き締め傾向が続いていた。既に株価は急落してしまっており、日本のITバブルなんて消え去っていたにも関わらず、無駄に引き締めたのだ。ゼロ金利解除とか引き締めの失敗だった。これ以後には、深刻なデフレ不況が襲ってきて、量的緩和政策の実施に移行(01年3月に決定)していった。

こんな感じ。


また、数字の推移を見ていくと、四半期の速度感には若干の違いがあるものの、前年同期比の伸び率では経済成長率がある程度保たれている時期(景気が上向き)であると8~9%程度の伸び、10%を越えてくるとやや過熱気味の時期という感があり、5%を下回っている時期には「悲惨な頃」が多い。量的緩和実施後になると伸び率の目安が利かなくなるので一概には言えないだろう。

01年以降の第1Qのマネタリーベース金額を書くと、次の通り。

01   662169
02   846158
03   950134
04   1081709
05   1107369
06   1116179
07   887863
08   887859
  (単位 億円)

02~03年の当座預金残高の増額は判らないではない。けれど、04年以降にも100兆円を突破しているのに、そこから増量という意図がよく理解できなかった。まあ、「やり続ける」という決心を見せたかった、ということなのかもしれないが。でも、金が滞留していたのは銀行で、間接的には銀行に「バクチ資金」を供給するだけになってしまったのでは。これは、今は本題ではないのでおいておく。


06年3月に量的緩和解除となってしまったわけだが、その後の運営には大きな問題があったといわざるを得ない。緩和解除決定から3Qに至る僅か3ヶ月間程度に、一気に落とし過ぎたであろう。
解除前には約111.6兆円あったのを2Qには約96.4兆円と15兆円以上減らし、次の3Qには約88.4兆円まで落とした。半年程度でこの水準にまで、一気に減らしたのだ、ということ。これがまずかったであろう。その後、利上げが行われたし、07年の失速というのは、「既に後退期に入ってきていた」のに引き締めをやったせいで、世界中のどこよりも早く景気後退になったということだ。

離脱期には「時間をかけろ」と忠告しておいたにも関わらず、慎重にいかなかった為に逆戻りになってしまったのだ。

量的緩和策導入頃のマネタリーベースの規模は約66兆円だったのだから、単年の伸び率が約8%水準だとして(85年~99年の平均でも約7.2%程度、これは不景気の頃やバブル崩壊の引き締め過ぎも入れて、の数字だ)、05年3月には約90兆円、08年3月には約104.7兆円の規模になるのだ。
ところが、06年に量的緩和解除後に88兆円規模に落とし、それ以降の06年第3Q~08年3Qまで9四半期連続で「88~89兆円で維持」していたのだ、日銀は。

08年なんて年頭から「サブプライム危機が本格的に来た」と世界中で大騒ぎになっていたのに、それでも「絞り続けた」わけですよ。日銀はバカなんですか?
日経平均は世界で一番落ち込み、ベア・スターンズ危機だのファニー&フレディの危機だの、経済失速のリスク顕在化がそこかしこにあってなお、「88兆円を維持」することに一体全体何の意義があるのですか?そうやって世界中が「流動性の危機だ」と騒ぎになっているのに、「10月までは絞り続けました~」という大マヌケが日銀なのだ。105兆円規模まで増加していても不思議ではありませんね、という時期でさえ、「88兆円死守」ってバカか?

まあ、年率で4%程度も伸びればいいよ、ということなら、08年でも87兆円くらいだから、それを目標としていたのかね。減量を急にやっては危険だ、ということの意味がまるで判ってないね。落とすピッチをゆっくりやれ、ってことだろ?普通は。上にも書いたけど、8%水準の増加があったものと見込めば、66兆円→105兆円なんだから、2年かけて10兆円の減量で済む、って話じゃないの。当座預金残高に30兆円超も積んでおくのはオカシイ、ということなら、銀行に「直で流れない」代替的な措置とか、それこそ「激変緩和措置」とかをやるのが普通なんじゃないの?

ところがどっこい、日銀のバカときたら、88兆円台に落とし過ぎたので、年末くらいには大慌てになってしまい、09年初めの急激な膨張というのは、こりゃ一体何ですか?(笑)
約94兆円まで「急激に増やしました」という、マヌケっぷり。

こういうバカにハンドルを握らせると、大変なことになるから。
急ブレーキ!!
と思ったら、今度は急にアクセルを踏み込む。
誰が、床が抜ける程にブレーキペダルを踏み込め、って言った?
もっとエンジンブレーキを利かすとか、惰性で速度を殺すとか、色々とあるのが普通だろ?
日銀みたいな運転の仕方では、凍結路面では即死亡だわな。
というか、本当は一生懸命やればできるんでしょ?
だって、9四半期も連続で「88~89兆円」という狭いレンジでやってきたんだから。

そういう職人芸を見せてくれ、って言ったんじゃないの。
あんたらはバカか?
適用禁忌なのに、「わざと低血圧」で維持、みたいなもんだろ、そりゃ。
喩えて言えば、収縮期血圧を「100以下に落とすと危険です」って術前に判っているのに、術中にわざと「低血圧麻酔にしてみました~、頑張って90以下を維持しております~」って、バカか?
戻すピッチを考えろ、これまでの薬剤効果(量的緩和だな)でマスクされていた部分が顕在化してくるかもしれないから、慎重に行け、っていうのが当たり前だろ。「90以下に維持できる能力」が一番大事なんじゃない。そんなもんは自己満足でしかないんだよ。
100以下になったらどうなるか、90以下になったらどうなるか、そういうことを事前に考える能力、危険を判断できる能力、そういったことの方が圧倒的に重要なの。薬を入れれば「90以下に落とせる」というのは当たり前だっつーの。「狭いレンジで維持」は職人芸的な能力は必要だよ、そりゃ。だけど、それでは本末転倒なんだよ。

本来、「決してやってはいけない場面」で90以下に落としてしまい、その「重大な欠陥」に気付けず、それを維持し続けるということの方が、はるかに害悪なの!それなら、狭いレンジに維持する能力なんかまるでなくて、「ありゃ、95になってしまいました~」「100に戻っちゃいました~」とかの方が、実質的被害は少ないんだよ。ダメージも食い止められる。でも、無用に低血圧を長期に維持したので実質的被害は拡大し、ダメージは蓄積されたんです。その結果が、「デフレに逆戻り」という大きな代償だ。落とすのが早すぎたし、大幅に落とし過ぎたんだよ。薬剤の減量ペースを考えられないようなヤツが、どうして薬剤調節を司っているのか不思議だ。

「ドンドーン、と90まで一気に落とし、後は長めの時間を一定範囲で維持」という発想がそもそも間違いでは。違うでしょ。ある量を落とすまでゆっくり時間をかけて、後は元からある状態(策の影響のない状態)に近づけるのでしょ。


日銀のヤツラは、判っていて、ワザとやったのさ。
意図的にレンジを定めて維持したんだろ。それがどんな最悪の結果をもたらすのか、ということを考えずに。言うなれば「患者のことを一顧だにせずに」、自分の満足の為に「ワザと低血圧」を選択したのさ。その選択は「自分の能力を示す機会」にはなれども、患者の為には全くならない、というものだ。

2人乗りのオートバイで、「オレはこんなカーブも高速で曲がれるぜ」と曲芸的コーナリングを見せてくれるのはいいが、後ろの同乗者の顔も手も足も皮がズル剥け(道路との摩擦w)で大怪我するんじゃ、意味がない。同乗者を大怪我させてまで、そんな腕自慢を見せるくらいなら、やらない方がマシ、ってこと。やる前から「同乗者がどうなるか」ということに気付かない運転者がオカシイし、怖い。無駄なコーナリング技術を自慢するくらいなら、怪我をさせずに安全な低速コーナリングをしてくれた方がいいに決まってる。

日銀は何が求められているか、ということさえ、うまく自力で考えられないのかもしれない。




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