いい国作ろう!「怒りのぶろぐ」

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社会保障改革を推進せよ

2007年07月12日 16時22分01秒 | 社会保障問題
いよいよ選挙戦がスタートらしいですが、演説は邪魔だな。交通障害でしかない。渋滞は環境悪化の原因となるよ、きっと。
それと、以前に「参院選は格差問題がないと戦えない」とか何とか言ってた人々は、ありゃ一体なんだったのよ、とは思うね(笑)。格差云々を前面に押し出しているところはあるのかね、よく知らんけど。


話変わって、私は過去に社会保障の一体的改革を行うべき、と何度も主張して来まして、これは現時点でもそう考えています。当然税制についても、抜本的に見直すということです。徴収方法を変えていかざるを得ないからです。

社会保障番号導入についても、何度もお願いして参りましたが、実現に向けての動き出しは大変鈍うございました。ですが、降って湧いた年金不安(笑)が、これまでの障害を一気に取り払ってくれそうな勢いです。政府側の意志としても、「導入を前提として進める」ということでしたので、何とか目鼻が付いてきたのかな、と思っております。私の基本的な考え方は、収入が少なく支援が必要な人々に対しては「行政サービスを付加」することで対応し、ある程度余裕のある方々については自力で色々と対応可能でしょうから、行政サービスを必ずしも必要とされなくてもいいでしょう、ということです。給食費や保育料未払い問題などについても、現金で与えると未払い金なってしまうので、住民税と相殺とかそういった形で行うのが望ましいと思っています。徴収コストも減らせますし。なので、行政サービスの現物給付の形を多くして、現金給付は減らし、住民税との相殺などを積極的に行っていくことが望ましい、ということを書いてきました。公営住宅の運営にしてもそうです。住宅補助を支給しておけば済む話ですので、順番待ちとかヤクザに占拠されるとか、そういった問題はなくせるはずです。

これらは、住基ネットの活用とか、社会保障番号導入などが必要なので、それを前提として考えています。ブログを書き始めた頃からのテーマです(カテゴリーの社会保障問題の項目に入っています)。

参考記事:
社会保障番号の導入

住基カードの使い方

いい国作ろう!「怒りのぶろぐ」 年金一元化を再び取り上げる


私がなぜ一元化に拘るのか、改めて書いておきます。
厚生年金や健康保険の加入から漏れている人たちというのは、かなり存在しています。特に問題なのは、非正規雇用の人たちでそれら社会保険がない人たちだ。夫の扶養に入っているパートの主婦とかならまだいいけれども、本人単独で国民年金と国民健康保険などに加入せねばならない人たちがいるのです。しかも雇用保険もないんですよ。失業したら、終わりではありませんか。そういう人々は本当に困っている人も多いのですよ。

また例で申し訳ありませんが、大雑把に仮定してみたいと思います。
税込み年収300万円程度の独身者がいるとしましょう。フリーターの中でも、かなり頑張っている方の人です。自分で国民年金と国民健康保険に加入せねばならないとします。すると、
国民年金:13600円×12ヶ月=163200円
国民健康保険:25000円×12ヶ月=300000円
くらい払うことになります。合計は463200円となります。
推定収入300万円の15.44%が「年金保険料+健康保険料」負担ということです。

ところで、国民健康保険の保険料は居住する市町村によって保険料率が異なりますが、控除後の総所得額が250万円、均等割+平等割+所得割(9.37%)で、京都市水準くらいの保険料としました。所得割の料率は8~9.5%程度と思いますが、自治体の状況によるでしょう。

こうして見ると、収入に対する負担は決して軽くありません。この他に所得税や住民税を払わねばならないのです。
条件を変えて、200万円に届かない水準の人ではどうなるか見てみましょう。
税込み年収が180万円ちょっと程度の人を想定してみます。月収は15万円でボーナスなし、みたいな感じですね。
国民年金:13600円×12ヶ月=163200円
国民健康保険料:16800円×12ヶ月=201600円
ということになります。合計は364800円です。推定年収180万円で負担率は約20.27%となります。
(所得割の控除後年収が150万円として概算で計算してみました)

つまり、低所得者ほど「社会保障負担が重い」ということなんですよ。国民健康保険料の上限は53万円ですから、年収が2000万円の自営業者の負担額は53万円で年収に対する負担率が2.65%にしかならないのです。年金保険料を払ったところで、全然大したことありません。日本の社会保障負担は、高額所得者ほど有利になっているのです。低所得者たちは、逆に高負担の為に「払えない」ということが起こりがちになっているのです。

もしも年収180万円であっても、厚生年金と社会保険のある会社に勤めているとしたら、どうなるか見てみます。
厚生年金の保険料率は14.7%くらいですので、従業員は折半ですから年収の7.35%払うものとします。健康保険料は大企業の健保組合水準であると約8.2%くらいですから(組合毎で若干異なっており、貧乏な組合では9%程度のところもある)、折半で4.1%です。合計は11.45%の負担率で済みます。年間で206100円です。しかも、事業主負担分があるのですから、年金としてもらう時には国民年金だと6万数千円程度でしかありませんが、厚生年金になれば10万円以上もらえることになります。同じ年収180万円であっても、こんなに負担も給付も変わってしまうのです。多くの企業では、フリーターや派遣などを利用するだけ利用して、こうした負担逃れをやっているだけなのです。オカシイと思いませんか?低所得者の方が、実質負担が20%を超えているのですよ?

だったら、保険料を廃止して消費税として今の5%の他に上乗せされても、消費税率が15%くらいまでなら逆に「負担軽減」効果が得られます。保険料未納もなくなるし、徴収コストで数百億円もかけなくても済むのですよ。資格停止とかもなくせるんですよ。企業には給与総額に対する税を納めてもらい、負担逃れをなくせばいいんですよ。今でも問題になっていますが、厚生年金保険料を納付していなかった企業とあるじゃないですか。税金ならば毎年確実に取れるし、未納をかなり防げるのですよ。

所得税と住民税の納付額が不変ならば保険料と消費税の比較だけでいいので、とりあえず面倒なので除外しておきます。
年収180万円のフリーターの人の保険料負担がなくなれば、180万円全部使うとして消費税に15%払ったとしても年間27万円です。現在の制度下での負担額だと、消費額1435200円(=年収1800000-保険料364800)の5%が消費税ですから71760円、この他に保険料364800円を払っているので、合計436560円ということになります。27万円との差額は166560円となります。この分だけ負担軽減効果があるのですよ。逆に厚生年金や社会保険のある企業でこの水準の給与という方々は若干負担増となるかもしれませんが、フリーターの数に比べて少ないでしょう。なので、保険料方式を止めて税方式にするだけで、増収効果はあるはずです。低所得層に付加的サービスが必要なのであれば、例えば住宅補助を出すとか、医療費の自己負担額の一回定額制(超えた分は補助する)などの支援をするとか、いくらでもできますよ。

高額所得者たちの消費額は収入に応じて増えるのですから、特に高額商品には金を出すのですから、それらの税率を上げたとしても何らの問題もないでしょう。保険料が上限制となっていることは、負担軽減という大きな特典になっているのと同じなのです。直接税である所得税は累進性をもうちょっと強化してもいいでしょう。再分配比率を上げた方がいいと多くの国民が賛成してくれるのであれば、現在の国民負担率よりも若干上げて、今までよりも「たくさん税金を集める」ことになりますけれども、分配先を変えていけばいいのですから。

この一元化をやることによって、企業は社会保障負担は正規と非正規の区分ができなくなりますから(給与総額で税を払うので)、働き方とかで雇用条件を変えていきやすくなるでしょう。女性にしても、扶養と扶養から外れる年収の壁を気にせずに働けるようになります。社内での従業員間で正社員とパートとか、そういった区別も不要になります。雇用保険もきちんと全員に行き渡ります。働ける人たちはたくさん働けばいいし、子育てと両立で半分ちょっと働きたいとかでもいいし、夫の給料が下がったので頑張りたいとか、色々とあるはずなんです。そういう自由が、社会保障負担の有無ということで選別されてしまっているのです。今は不当に、企業に労働力を搾取されているんですって。企業負担を逃れる為に、これらの社会保障制度の間隙をつかれているのですよ。これで、将来働く女性を増やしていけますか?パート扱いの女性が搾取されていくだけのようにも思えます。ちょっと良くて、派遣とか契約ですけど、厚生年金は別ね、とか、医療保険も別で、とか言われるんですよ。


だから私は社会保障の改革を、税制改革も含めて、きちんと考えていきましょう、と何度も訴えてきたのです。
地方の財政悪化とか人口減少で市町村の国民健康保険は耐え切れないと思いますよ。何で貧乏な人たちが、恵まれた条件の人たちよりもたくさんの保険料を払わねばならないんだ。財政悪化の原因を押し付けられて、払えない者は資格を剥奪されてしまう。無保険者たちや無年金者たちがどんどん生み出される。そんな社会がいいとは思っていない。将来必ず困るよ。




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5 コメント

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消費税では? (ゆうくんパパ)
2007-07-12 19:59:16
はじめまして
たしかに、フリーターの場合は、消費税の方が負担が少ない場合もあるかも知れません。ただし、額はわずかでしょう。
まず、給与年収180万円なら、給与所得は102万円で、国保料の算定基礎額は69万円なので、国保料は13万円くらいでしょう。国民年金とあわせても30万円くらいです。
一方、社会保険料(事業主分は除く)を全廃して消費税に置き換えると、消費税は15%ではすまず、20%は必要です。それは、消費税を上げると物価が上昇する効果も計算しないとならないからです。
現在は保険料30万円+消費税7万円くらい。
置き換え後は、消費税36万円くらい。
あまり負担は変わりません。
一方で、年金生活の高齢者で年金額が180万円くらいの場合は、大幅な負担増になるでしょう。
保険料を払っていない生活保護受給世帯も、消費税増税だけが一方的にかかってくることになります。
「消費税に置き換えればうまくいく」ということには、ならないと思います。
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ちょっとよく判らないのですが (まさくに)
2007-07-12 20:44:25
給与が年180万円だと「給与所得は102万円」という意味がよく判らないのですが、78万円は何に使われるのでしょう?所得税と住民税でそんなに払ったりしないと思いますけれども。
国保保険料は、控除後所得は150万円(33万円控除後)としてざっとで計算してあります。一応、保険料が消費税に置き換わったとしても、税額が変わらないようにするものとして考えております。

>消費税が上がると物価が上昇する効果
これはあまりよく判りませんが、そういう効果があるのでしょうか?97年に5%引き上げられた後から、デフレとはなっていましたので、必ずしも「物価が上がる効果」というのが出ているようには見えないのですけれども。

記事中に書いておりますけれども、生活保護世帯に限らず、低所得層へは別な行政サービス付加で対応可能と思います。月額10万円の消費支出世帯で消費税10%アップでざっと1万円分が使えなくなるというなら、100万世帯に1万円分を給付しても年間1200億円にしかなりません。今の無駄な未納徴収コストを削減できるので、問題ないでしょう。報道のように、国民年金保険料未納分が約4割に達しているなら、約1.2兆円分相当ですので、桁が違います。

高齢世帯も同様に負担増になりますが、年金所得で一人当たり200万円とか300万円とか貰っている人たちはいますから、負担は止むを得ないでありましょう。若年層が180万円から負担させられるのに、高齢者であると300万円でも負担せずに済むというのであれば、厳しいのではないのかな、と思っています。
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ちょっと訂正と補足ですが (まさくに)
2007-07-12 21:06:35
>一応、保険料が消費税に置き換わったとしても、税額が変わらないようにするものとして

これは所得税と住民税は今と変わらないようにする、という意味です。

>97年に5%引き上げ

5%に引き上げで、「に」が抜けてました。失礼しました。
返信する
Unknown (2007-06-24 20:55:56)
2007-07-12 23:11:55
差し出がましく横から失礼致します。
その差額は税法上の「収入額」と「所得額」の違いかと思います。以下所得税に限定してお話を致します。
一般論として所得税は、次の段階を経て税額を確定させます。
1:収入(売上額とか)から必要経費を差し引いた額(所得)をまず求めます。
2:所得から諸々の控除を差し引いた額(課税所得金額)を求めます。
3:課税所得金額に税率をかけて徴収される税額が確定します。
4:税額控除の対象となる場合は3の税額から更に減算する場合があります。
上記1の段階で負の金額になる状態が所謂赤字です。
上記2の段階で0以下になると所得税は税額0になります。

ところで、給与で生活する人について税額を計算する場合には、基本的に必要経費を細かくチェックされません。
その代わり、法令で決まっている一定の額を必要経費に相当する額として一律に差し引く事で上記1の段階を終わらせます。
給与の税引き前の支給総額(収入)-給与所得控除(必要経費と一律にみなされる額)=給与所得(所得)となります。
実際の計算式は、180万円までは、収入金額の40%(ただし65万円以下になるときは65万円)と決まっています。

なので、必要経費とみなされる額は180万円×40%=72万円となり、収入180万円、所得108万円、給与所得控除(必要経費とみなされる額)72万円となります。
ゆうくんパパ様のおっしゃる180万円と102万円の差額78万円はこれですね。ってあれ?ゆうくんパパ様のおっしゃる所得額102万円(給与所得控除78万円)にならない。あれ、なにか間違えたかも。(?_?;)
でも理屈は上記のとおりです、確か。
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記事に書いてみました (まさくに)
2007-07-13 11:26:52
解説を有難うございます。
給与所得控除を税額計算ではなく、社会保険料算出にも用いるとは思えないのですが、如何でしょうか。
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