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法と正義 2

2004年11月13日 14時21分35秒 | 法関係
法と正義 1の続きです。前を読んでない方は読んで頂いた方が分かり易いと思います。
以前の記事(会計検査院の仕事)に書きましたが、会計検査院法というのがありましたよね。その条文をいくつか挙げてあったのですが、そのうちの一つをここで再び例として取り上げましょう。

参照条文は「会計検査院法」第27、34条です。以下がその条文です。

第27条 会計検査院の検査を受ける会計経理に関し左の事実があるときは、本属長官又は監督官庁その他これに準ずる責任のある者は、直ちに、その旨を会計検査院に報告しなければならない。
(1) 会計に関係のある犯罪が発覚したとき
(2) 現金、有価証券その他の財産の亡失を発見したとき

第34条 
会計検査院は、検査の進行に伴い、会計経理に関し法令に違反し又は不当であると認める事項がある場合には、直ちに、本属長官又は関係者に対し当該会計経理について意見を表示し又は適宜の処置を要求し及びその後の経理について是正改善の処置をさせることができる。


この二つの条文はいずれも「直ちに」となっていますね。
前回(法と正義 1)で書いたように、「動物の愛護及び管理に関する法律」ではどうなっていたかというと、「直ちに」が一番早くて、「時間を置かずに、すぐ」ということでしたね。「すみやかに」や「遅滞なく」よりも早いことを暗に示す(あくまで私個人の見解ですが)言葉が「直ちに」なのです。

ところが、この条文を運用する場合を考えてみましょう。

周知の事実となった警察裏金問題。領収書等を偽造したり、ニセの出張命令を作成したり、ニセの日当支払などを行っていたことが発覚してます(推測ですが、全国どこの警察でも行われているようなものでしょう)。この場合、本来は犯罪でしょうから、会計検査院に警察庁とか(監督官庁)が「直ちに」報告しなければならない義務があるのですが、警察庁は報告してないでしょうね。犯罪とは起訴されて裁判の結果、刑事責任が確定したものでしょうから、警察は捜査を放棄し勿論検察に書類送検せず、検察は起訴しないので犯罪にはならないんですね。つまり、警察が行う虚偽の領収書等の文書類作成は いくらやっても罪にならない !!!犯罪ではありません、ざんね~ん!ってことです。とてもうまくできてます。ホントはきちんと会計検査院に報告しなけりゃならないっていうのに、会計検査院の検査官に答えなかったり、虚偽の答えを言ったり、会計資料を紛失(わざと処分して書き換え)たり、検査妨害ばかりしてそれが許される。まあ、この問題はまた違う記事で。本題からズレてしまった。

34条については、よくない所が見つかったら、会計検査院は「直ちに」改善させるような意見を言ったり、処置を要求できるってことです。この「直ちに」は今までの流れで言うと、「超早く」ってことなはずなんですが、会計検査院の意見表示や改善要求は、この間小泉首相に報告書提出があったように、一年がかりなんですね。
これには多少訳があるのですが、検査結果をまとめるのに時間がかかるし、判定もしなくちゃならんし、そして検査官会議に諮る必要があるものがほとんどで、最終的な決定は主に検査官会議による。
でもね、この34条の規定というのは検査官会議の決定事項には入ってないんです。つまり、検査してる現場で「絶対これおかしいぞ」っていうことがあったり、「犯罪間違いなし」というようなことがあったら、すぐに改善するように要求したりできるんです。それで34条の条文には「直ちに」って書いてあると思うんだけど、現実は違ってて、検査結果を各監督官庁(省庁ってこと)に送り、相手からくる回答書を待って、向こうが検査院の意見に同意したら最終的な報告書として提出となる。だから、遅いんだよね。

34条の条文の精神というか趣旨からは外れてると思うんだけど。専門家じゃないからわかりませんが。私が少し調べて判るのってこの程度だし、素人考えだから正しくないかもしれません。率直に感じたことを書いてみました。

結局法律の条文に、たとえ同じ「直ちに」が記載されていても、全然「直ちに」じゃなくてもよいわけで、運用する(行政)側が勝手に都合よく決められるってことですね。これが「すみやかに」だろうが「遅滞なく」だろうが、結果は同じ。

法が正しいのではありません。運用する者に決定権があれば、運用者に依存してしまうことがわかったと思います。それに従わざるを得ない一般庶民や凡人は法によって守られるとも言えないし、法に正義があるとも思えませんね。

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