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Dag Arnesen 『 Norwegian Songs 』

2007年02月24日 21時03分22秒 | JAZZ

Dag Arnesen
(ダグ・アルネセン)の新作  Norwegian Songs 』をこのところ就寝する際に連日聴いていたのですが,あまりの気持ちよさにすぐに寝入ってしまい,最初の2,3曲は聴いたのを覚えているのですが,それ以後の曲は聴けずじまいでした。今日,やっと全曲通して聴くことができて,なるほどこんな気持ちがいい曲が並んでいたら快眠できるはずだと,へんな納得をしてしまった次第です。

まさに至福の子守唄集であり極上の睡眠導入音楽であります。どれも何となく聴き覚えのあるような郷愁を誘うメロディーを持つスローからミディアム・テンポの曲ばかり。ドラムもブラシュ主体で煩くない。こんな条件を満たしてるので子守唄には最適なわけです。

《 この作品で私は,自己の音楽的ルーツを再発見したいと思いました。この作品に登場するノルウェーのフォーク・ソング,それにエドヴァルド・グリークやオレ・ブルの音楽などに幼少期から触れてきたことで,私の音楽的な個性が形成されたのです。子供の頃,日曜の朝には両親がこれらの音楽をバイオリンとピアノで弾いていて,その音楽を聴きながら目覚めることがよくありました。そして驚いたことに,これらの音楽がモダン・ジャズのアレンジを施しても非常に美しい音楽であることに気付いたのです。これらの音楽は時間が経っても忘れられずに生き残った非常に強い楽曲ばかりなのです。》
                
                    Dag S. Arnesen

作品としての完成度という点すると, Time Enough 』や『 Movin’ 』に一歩譲るかもしれません。でも,ノルウェーの光と風と瑞々しさに溢れた快作ではないでしょか。

ここでちょっとアルネセンの現在までの作品を見てみましょう。

1) Ny Bris  ( 1982 Odin Records )
2) Renascent  ( 1989 Odin Records )
3) Speak Low  ( 1985 Taurus Records )
4) Thoughts  ( 1989 Taurus Records )
5)The Day After  ( 1990 Taurus Records )
6) Photographs  ( 1992 Taurus Records )
7) Movin'  ( 1994 Taurus Records )
8) Inner Lines  ( 1998 Resonant Music )
9) Time Enough  ( 2005 Trurus Records )

1) 『 Ny Bris 』
これは持っていません。1曲目の《 SULA-FU 》がスキャット入りのメロー・ブラシリアン・グルーブだそうで,クラブ系の方々には有名らいしです。ノルウェーの音楽サイト「 This Is Music From Norway 」こちらで試聴できます。ちょっとキワモノっぽい感じがしますねぇ~。

2) 『 Renascent 』
残念ながらこれも持っていません「 This Is Music From Norway 」試聴する限りではやや気難しい楽曲が多そうですが,なかなか良さそうです。

3) 『 Speak Low 』 4) 『 Thoughts 』
このあたりも全然しりません。ここからtaurus records への吹き込みが始まりました。サックスの Odd Riisneas という人とやっているようですが。

5)『 The Day After 』
Wenche Gausdal (ウェンチェ・ガウスダール)とおっしゃる女性ヴォーカルが入ったクインテット作品のようですが,これも持っていません(なんだ全部持っていねーじゃねーかよぉ。まあまあそうおっしゃらすに)。このデンマーク人の女性,どうもアルネセンの奥様のようです。アルネセンをバックにリーダー作も出しています。


6) 『 Photographs 』

     
上記の『 The Day After 』でも競演していたアルネセンの奥様,ウェンチェ・ガウスダールが再び参加しているヴォーカル・アルバムです。僕は女性ヴォーカルに関しては好みがはっきりしているので,この人のようなロック系,フォーク系の歌い方は苦手です。でもここでもアルネセンは最高です。モーダル・リリシズム的な硬質なフレーズ,音色で冴えわたっています。録音はご存知レインボー・スタジオです。ヴォーカルさえいなければ....。残念。

7) 『 Movin' 』
      
オリジナルのジャケットは寺島氏に「最悪のジャケット。いい加減にしろ。」と酷評された蛇の図柄でした。上のジャケットは2003年に欧州名盤復刻レーベルとしてビデオ・アーツがら立ち上げられた「 Sarah 」から綺麗な脚ジャケでお色直しして復刻されたものです。1曲目《 Body and Soul 》からいきなりアルネセンの世界に惹き込まれます。演奏に深みとスリル感があり,それでいて耽美的なフレーズも織り交ぜつつ物語は進行します。テリエ・ゲヴェルト(b),スヴェイン・クリスチャンセン(ds)との有機的な絡みも素晴らしく,個人的にはアルネセンの最高傑作かと,思いますが。

8) 『 Inner Lines 』
     
これは失敗でした。ほとんど抽象的楽曲で,フリー・フォームに近い演奏もあり,何度か聴き返したものの,やっぱり受け付けませんでした。意味不明のジャケの図柄と『 Inner Lines 』というタイトルから内容が推し量れたはずなのに....。

9) 『 Time Enough 』
     
現在のレギュラー・トリオでの演奏です。ダグ・アルネセンのトリオはベースがテリエ・ゲヴェルトに固定し,さらにドラムがスヴェイン・クリスチャンセンからPal Thowsen (パル・トウセン?)に交代するに従い,段階的に完成度を増してきたように思われます。兎に角,このアルバムのキモはドラムです。特にブラシワークが素晴らしいですね。発売当時はかなり輸入盤店で売れたアルバムです。最近ではジャズ批評No133 『 ピアノ・トリオ vol.3 』でも紹介されました。




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6 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
これ、いいですよね。 (Marty)
2007-02-24 21:09:21
クリスさん、こんばんは。
このCD、私もお気に入りの1枚です。全作も良かったのですが、本作も、このレーベルのオーナーTerje Geweltとの相性もばっちりですよね。

ところで、JAZZ批評を買いに近所の書店に行ったのですが、どこにも売ってませんでした。残念です。
人柄が (monaka)
2007-02-24 22:09:45
クリスさん、こんにちは、monakaです。
この人、ピアノのタッチを感じるほどに、やさしい人柄を感じます。そんな人が演ってくれていると、疲れた人に本当に子守唄ですね。
こんばんわ。 (criss to marty)
2007-02-25 01:15:56
>このCD、私もお気に入りの1枚です。全作も良かったのですが

今回のは緊張感はないですよね。和み系の音かな。これはこれでよいのですが。

3月号のジャズ批評ですか?もう発売になったのですかね? また僕の記事,紹介されるようなんですけどね。前回,掲載された時はジャズ批評社から掲載された雑誌を贈ってくれたのですが,今回はまだないです。
TBありがとうございます。 (criss to monaka)
2007-02-25 01:27:41
>この人、ピアノのタッチを感じるほどに、やさしい人柄を感じます。

この人は技術をひけらかすタイプのピアニストではありませんからね。

このアルバム,正直言って,はじめ,カーステレオで聴いた時はあまりピンと来なかったのですが,自宅のメインのシステムで比較的大きめな音でちゃんと聴くと,その良さが見えてきました。
オーディオってやっぱり大切だなと思いましたよ。
TBさせていただきます。 (oza。)
2007-07-28 07:07:36
そうですか、睡眠誘発盤ということですね

たしかに、優しく包み込むような というか
そういう雰囲気ありますねぇ
こちらからもTBさせていただきます (criss to oza)
2007-07-29 23:07:27
『 Norwegian Songs 』も悪くはないですが、
もし機会があったら『 Time Enough 』も
聴いてみてください。イイですよ~。

ということで、こちらからもTBさせていただきます。