雨の日にはJAZZを聴きながら

FC2 に引越しました。http://jazzlab.blog67.fc2.com/

西山 瞳 / Parallax

2008年11月04日 22時25分35秒 | JAZZ

少し前の話になりますが、10月9日にお茶の水NARU に西山瞳トリオ+馬場孝喜のライブを観にいきまいた。

今まで Spice of Life から発売された三作品はいずれも欧州の一流ミュージシャンとの共演盤だったので、今回の国内ミュージシャン、それも非常に若い方との共演には、正直なところ大丈夫だろうか、という不安がありましたが、そんな不安も杞憂に終わるほど素晴らしいステージでした。

ライブを観た時点では僕はまだ彼女の最新作『 Parallax 』を聴いていなかったので、次の日に勇んで買い求め、以後、mp3プレーヤーに入れて、通勤中に頻繁に聴いています。

今回のツアーは、最新作の発売記念であると同時に、渡米するドラマーの清水勇博さんの追い出しライブでもあったようです。ライブの始まる前に僕の近くで清水さんが話をしているのが耳に入ってきましたが、なんでも、米国での仕事が保障されているわけではないようです。現地で仕事を探すのでしょうかね。でもまあ、まだまだ若いですからどうにでもなるでしょう。応援しています。頑張ってください。

このドラマーの清水勇博さんも、ベーシストの坂崎拓也さんも、技術的には申し分なく、しかもイケメンで、まったく羨ましい限りです。西山さんもこんなイイ男と一緒に仕事ができてさぞかし御満悦のことと御察しします。

また今回、個人的にツボにはまったのが、ゲストで出演していたギタリストの馬場孝喜さんです。年の頃は30前後といったところでしょうか。まだまだ大学生っぽさが残る青年です。2005年のギブソン・ギター・コンテストで最優秀ギタリスト賞を受賞しているようです。大学は大阪大学ということですから、優秀な方でもあります。

終始、不気味にニヤけていたのが印象的でした。僕の経験から言わせてもらうと、こういったニヤけた掴みどころのない不思議な雰囲気をもった男は、天才的な才能を持った奴が多いのです。スタイル的には現代のNYあたりではやりの複雑なアウト・スケールを多用した浮遊系ギタリストです。ライナー・ノーツで尊敬する評論家、成田正氏が、「パット・メセニー似の音色とマナー」と書かれてますが、僕はむしろマイク・モレノあたりに似ているように感じました。かなり好きなタイプです。音楽的にも、おそらく人間的にも。

それにしても、西山さんは、作品を重ねるごとに、どんどん打鍵が力強くなり、また複雑でアグレッシブな作曲をするようになりました。2004年の自己制作盤『 I’m Missing You 』 の頃のような、 エンリコ・スタイルの消え入るよう陰影感が懐かしくなります。まあ、彼女の音楽的進化であると考えれば、喜ばしいことなのですが、個人的には 『 I’m Missing You 』 の ≪ Passato ≫ あたりにどうしようもなく惹かれてしまいます。そういえば、『 I’m Missing You 』 でも演奏していた 美しいバラード ≪ Blue Nowhere≫ を今回も演奏しています。両方を聴き比べると彼女がこの4年間でいかに変貌してきたかがわかります。

最後に、音楽と全然関係なくて、申しわけありませんが、実際に彼女を見て思ったのは、彼女の容姿って、

でも、でも、でもなくて....

ましてや、

ではぜんぜんない....ということが、わかりました。
でも、ナチュラルで飾り気のない、そんな彼女が、大好きです。

コメント (0) |  トラックバック (0) | 

心の清涼剤としてのジャズ・ヴォーカル

2008年11月03日 08時28分57秒 | JAZZ

 新ブログhttp://jazzlab.blog67.fc2.com/もご覧ください。

 

今日は朝5時に起きて、ひたすらヴォーカル物を
片っぱしから聴きまっくています。
というのも、次号の「ジャズ批評」の原稿依頼が来まして、
というか、とっくの昔にメールはいただいていたのですが、
全く手をつけられず、気がついたら締切は明日!
子供が起き出したら、うるさくて書けないので、
こうして休日早朝から眠い目を擦り擦り、
他にやるべき仕事が蓄積しているのに、
なんでこんなにまでして書かねばならないのか、
とも思いますが、まあ、好きですから、
なんとか午前中に仕上げようかと、思ってます。

ってな訳で、Dannielle Gaha ( ダニエル・ガー )の『 You Dont' Know Me 』を
取り出して聴いていましたが( 上の写真中央 )、聴きながらググッていたら、
この人、オーストラリア人ではありますが、現在は結婚されて、
名前も Gaha から DeAndrea に変え、LA に住んでいらっしゃるようです。
もともと、ポップス〜ソウル系の歌手で、UKでシングルを何枚かリリースして
いるようでして、ジャズの作品は今のところ、この一枚しかないようです。
ノラ・ジョーンズの爆発的ヒット以降、この手の、ボーダレスな歌手が
ジャズのフィールドへ大勢で進出してきていますね。
まあ、肌ざわりは悪くないけど、ちょっと飽きやすいかな。
以前にもこの作品取り上げてますので、もしよければこちらをどうぞ。


□ Viktoria Tolstoy / My Swedish Heart   2005 ACT
ヴィクトリアの作品は全てはずれなしで、毎回満足しているけど、
“ 一服の清涼剤 ” というキーワードで選ぶとなると、これかな。
ウルフ・ワケニウスのアコギが北欧の清々しい風景を想起させますねぇ。
ラストのモニカ・ゼタールンドの愛唱歌、≪ Jag Yet Dejltig Rosa ≫ で、
ニスル・ラングレンのトロンボーンが入りますが、これが泣けます。


□ Viktoria Tolstoy / My Russian Soul  2008 ACT
ヴィクトリアの最新作。今回彼女が目指したのは 母親の故郷である“ ロシア ” 。
ご存じのように、彼女の母親は文豪トルストイのひい孫ですからね。
ロシアの楽曲と言っても、取り上げているのはチャイコフスキーやラフマニノフ。
その他はトラディショナルを少し。
ピアノはヤコブ・カースゾンで、ニルス・ラングレンがプロデュース。
ストリングスがまたよいですなぁ。
最近仕入れたヴォーカルでは一押しです。
それにしても、ヴィクトリアも34才ですか。
目じりに皺が目立つも、やっぱり美しいですね。


□ LAZAREV , Bolshoi Symphony Orch. / Rachmaninov Symphony No. 2
ヴィクトリアの新譜の中で、ラフマニノフの交響曲第二番に歌詞をつけて
歌っているのが、すごく良くて、思わずクラシックの棚からこれを引っ張り出して
聴いてしまいました。ラフマニノフは個人的に一番好きな作曲家です。
人生の晩年に僕が聴いているのは、ジャズではなく、彼の音楽かもしれません。


□ Rigmor Gustafsson  /  Close To You  2004  ACT
ヴィクトリア・トルストイと同様、スウェーデン人でACT専属ヴォーカリスト、
リグモア・グスタフソン。
ちょっとハスキーでキュート。
決して美形ではないけど、歌っている表情は何だか妙にセクシーで魅力的です。
本作はディオンヌ・ワーウィックに捧げた作品で、つまりはバカラック集です。
無類のバカラック・ファンの僕としては、彼女の諸作の中ではダントツに好きです。
ジャッキー・テラソンの短いながらも煌めくフレーズを散りばめたバッキングも
聴きどころのひとつです。
このあと、ミッシェル・ルグラン集を出し、最新作はラーシュ・ダニエルソンの
プロデュースで自作曲集を出しています。
それにしても、ACT のヴォーカルは、どれも高水準ですな。





□ Fay Claassen  / Sings Two Portraits of Chet Baker Vol.1  2006 55 Records
2003年に発売されたイヴァン・パドゥアの2枚組ライブ盤で、
フェイの歌声を聴いて以来の大ファンです。
本作はチェット・ベイカーの生誕75周年記念盤で、当初、2枚組で発売されましたが、
国内盤ではジャケットも変えて2枚別々に発売されました。
Vol.1 はトランペットを含むカルテットをバックに歌っています。
一方、Vol.2 はチェット・ベイカー=ジェリー・マリガン・カルテットのチェットの
トランペット・パートをヴォーカリーズでフェイが歌うという高度でマニアックな作品です。
懐に余裕のある方はもちろん2枚とも買えばよいのですが、
ボーナスもカットされ、株で大損し、おこずかいを減らされた寂しい方(俺か)は、
迷わず Vol.1 を買いましょう。
最新作『 Red, Hot & Blue 』 ( 2008 Challenge ) も悪くはないのですが、
このチェットベイカー盤は、いつもより声が艶やかで伸びやかなんですよね。
一家に一枚、現代ジャズ・ヴォーカルを語る上で避けては通れない名盤です。


□ Stacey Kent  /  The Tender Trip  1998  Chiaroscuro
ステイシー・ケントはなんだかんだと買い揃えているうち、全部揃っちゃいました。
でも、どの作品も旦那のジム・トムリンソン( ts )を軸としたシンプルなサポートで、
作品ごとの差異が曖昧になってしまっているのが残念です。
特に最近の作品はやや飽きてきてます。
個人的には初期の諸作に愛着があり、特に98年の本作は、同年の私どもの
結婚式の入場で使わせてもらったので思い出深い作品です。
≪ In The Still Of Night ≫ や ≪ East Of The Sun ≫ など、
僕の好きな曲が含まれているので、そのせいもあり、よくトレーにのせます。
独特の透明感のある可愛らしい歌声は、一度聴いたら忘れられません。
いつも聴いているとなんだか気持ち悪くなってきますが、
それこそ半年に一度くらい、ムショウに聴きたくなるタイプの、女性です。
現実の世界でもいますよね。そういう女友達って。

コメント (4) |  トラックバック (0) | 

Kelly Eisenhour / Seek and Find

2008年11月02日 00時50分21秒 | JAZZ
≪ 今夜はこんなの聴いています ≫

ケリー・アイゼンアワー。
ソルトレイク・シティーを拠点に活動しているシンガーです。
今年新たに聴いたシンガーでは個人的にはベスト3にはいるほど
気に入っているんですが、
おそらく、日本でヒットすることは今後もないでしょうね。
癖がなさ過ぎる。
流行のファニー・ヴォイスでもないし、
いかにもジャズっぽいアーティスティックなボーカルでもないし、
それほど美形でもないし。
決して下手ではないのですが、これといった個性が感じられないのですわ。
でも、たまにはこんな巧くてサラッと聴ける
ピュア・モルトのような純粋な歌を聴いてみたくなるものです。
ボブ・ミンシャーが参加しているのですが、
これが輪をかけて癖がないので、なんとも清々しい作品に
仕上がっています。

そうそう、ギターがイイ感じだと思ってクレジットみたら、
ケンジ・アイハラという日本人でした。
チェックしておこっと。


コメント (0) |  トラックバック (0) | 

Gordon Goodwin's Big Phat Band / Act Your Age

2008年11月01日 17時32分42秒 | JAZZ

LA の売れっ子スタジオ系ミュージシャンにより結成された超馬鹿テク集団 Big Phat Band の二度目の来日コンサートが来週に迫っています。作曲兼編曲を担当するのは主にテレビや映画音楽のフィールドで活躍されている Gordon Goodwin ( ゴードン・グッドウィン )。有名どころでは『 Mr. インクレディブル 』や『 スピード 2 』などがあります。ディズニーリゾートで売られているCDにもクレジットされているのを見たことがあります。グラミー賞1回とエミー賞3回を獲得しており、名実ともにアメリカ西海岸を代表するアレンジャーです。

このバンドは18人編成で、リード・アルトは昔チック・コリア・エリクトリック・バンドで活躍した Eric Marienthal ( エリック・マリエンサル )、リード・トロンボーンは Andy Martin ( アンディー・マーティン )、そしてビッグバンドの要、リード・トランペットには西海岸で最も多忙なトランペッターと呼ばれている Wayne Bergeron ( ウェイン・バージェロン )を擁しています。

バンド・スコアやマイナスワンCDなどのラインナップも充実していて、アマチュア・ビッグバンドの世界では絶大なる人気を博しているようです。

結成は2000年とまだ新しく、現在までに計4枚のCDをリリースしており、最新作『 Act Your Age 』は先月に発売されたばかりです。日本ではまだまだ知名度は低いですが、ビッグバンド・ファンの聖地、銀座山野楽器では、以前からポップ付き面置きで売られており、知る人ぞ知る存在ではありました。最近では特設コーナーまで設けて大々的に売り出しているくらいです。

さて、11月4日から8日まで、Blue Note Tokyo でライブが行われます。今年の1月にパティー・オースチンをゲストに迎えて来日した時は、残念ながら聴けませんでしたので、今回は絶対観にいこうと思ってます。というわけで、予習も兼ねて、土曜日の長い夜、デビュー盤から順に聴いてみようかと思っています。

    2 songs upload
『 Swingin' For The Fences 』  2000 SILVERLINE 282002-2

2000年のデビュー作。一糸乱れぬアンサンブルとはこういうことを言うのだろうか。針の穴を通すような精度で超高速フレーズを聴かせてくれる。ハード・エッジでクリアなサウンドはひたすら爽快で気持ちがイイ。ジャズの持つ人間臭さをうまく排している。現代のビッグバンドはややもするとソリスト重視で、アンサンブルが希薄になりやすい傾向になるが、このバンドの素晴らしいところは、あくまでアンサンブルで聴かせるバンドであること。アルトゥーロ・サンドヴァル ( tp ) やエディ・ダニエルズ ( cl ) がゲスト参加している。のちにメンバーとなるエリック・マリエンサルやアンディー・マーチンもこの頃はまだゲスト・ソリストとしての参加だ。ブランドン・フィールド ( as ) がソロで参加しているのも、個人的には嬉しい。


   2 songs upload
『 XXL 』  2003 SILVERLINE  281206-2

2003年のセカンド。このアルバムからエリック・マリエンサル、アンディ・マーティン、さらにはトランペットのボブ・サマーズらが正式メンバーとして加わり、ほぼ現行の主要メンバーがそろった形となった。いつも豪華ゲストを迎えて制作しているゴードンだが、今回はマイケル・ブレッカー(1曲のみソロ)、 Take 6 、ジョニー・マティスら、大物を招き、ラテン、クラシックのカヴァー、スタンダードと、多彩な楽曲を演奏している。ちなみにゲスト扱いではないが、ピーター・アースキンが5曲叩いている。メンバーがそれそれ売れっ子スタジオ・ミュージシャンなのだから、それほどリハーサルの時間もとれないだろうに、どうしてこんなに音が気持よく合うのか、不思議で仕方無い。純粋に音楽的に凄いのか、と聞かれると何とも言えないが、少なくとも超高速でアンサンブルなどをキメられると、ちょうど鍛え上げられたアスリート選手の演技を観ているときのような理屈を超えた快感を覚えるのは確かだ。



    2 songs upload
『 The Phat Pack 』  2006  IMMERGENT  284404-2

2006年の3枚目。個人的には一番好きな作品。カヴァーは最低だけど。今回はデヴィッド・サンボーン、Take 6 、ダイアン・リーブスらがゲスト参加している。前作を踏襲する作風ではあるが、スピード感のある楽曲がやや多めなので車の中でよく聴いたCD。デヴィッド・サンボーンのフィーチャーされた曲、エリック・マリエンサルをフィーチャーした曲を聴き比べると、何度聴いてもマリエンサルの方が巧く聴こえるのだか….。この作品にはボーナスDVDがついていて、全曲の5.1 サラウンド・ヴァージョンをはじめ、レコディング風景、ライブ演奏などの動画、譜面などなど、盛りだくさんの内容である。


     2 songs upload
『 Act Your Age 』  2008  IMMERGENT  281147-2

先月発売されたばかりの最新作。メンバーはほとんど前作と同じ。そして今回のゲストは超豪華! チック・コリア、デイヴ・グルージン、パティ・オースティン、そしてリー・リトナー。リー・リトナーはプロデューサーとしてもクレジットされている。そして、パティー・オースティンの歌う E.W.& F. の≪ September ≫ 、チック・コリアがピアノを弾く ≪ Senor Mouse ≫、デイヴ・グルージンとリー・リトナーがフューチャーされた ≪ Punta Del Soul ≫ 、さらには、昔のアート・テイタムのピアノだけを抜いて、それに彼らがアンサンブルを加えたヴァーチャル共演曲 ≪ Yesterdays ≫ など、ものすごく話題豊富な内容だ。でも、う〜ん、洗練されすぎるのもいかがなものか。万人受けする聴きやすさは確かに増したのかもしれないが、アンサンブルが炸裂する元気な楽曲が少なめなのがちょっと残念。本作にもボーナスDVDがついている。

全部まとめて聴きたいときはこちら→
コメント (8) |  トラックバック (0) | 

Sofia Pettersson / That's Amore

2008年10月30日 22時27分26秒 | JAZZ
 新ブログhttp://jazzlab.blog67.fc2.com/もご覧ください。

≪ 今夜はこんなの聴いてます ≫

スウェーデンの歌手、ソフィア・パターソンの2004年の作品。
最近、通算4作目となる『 In Another World 』というタイトルで新作をリリースしていますね。
ジャズ・ヴォーカルではないのでしょうが、ノラ・ジョーンズ以降、
こういうフォークとジャズの混血ミュージシックが流行ってますね。
この人の持ち味は、やはりキュートで愛くるしい歌声でしょうか。
ノラ・ジョーンズを一晩、冷凍庫で凍らせたような涼しげな歌声です。

 2 songs upload
コメント (0) |  トラックバック (0) | 

百々 徹 / Do You Like Cappuccino ?

2008年10月30日 20時02分33秒 | JAZZ
 新ブログhttp://jazzlab.blog67.fc2.com/もご覧ください。

百々 徹(どどとおる)さんの2年ぶり、通算5枚目の作品。じつを言うと、つい最近まで彼の音楽を聴いたことがありませんでした。ちょうど3年前に、相互リンクさせていただいているブログ『 海辺で気まま日記 』のドラム小僧さんや、 『 Peopletime 』のなおきさんらが百々さんを大推薦されていたのね。 さらには『 電車で轟 』のfunky_alligator や『 My Secret Room 』のSuzuck さんもいいよ〜って言っていたから、ずっと気にはなっていたんだけど…。 どうせ買うならドラム小僧さんが推薦していた自主製作盤である99年のデビュー作『 Melancholy Cats 』を手に入れたいと思って、それなりに探していたのですが、全然お目にかかれず3年が過ぎてしまったわけです。しかたなく2作目の『 DODO 』を1か月ほど前に中古で購入(けっこう高値だった)。この2作目もなかなか市場に出回ってないように思うけどね。 3作目と4作目は今でも容易に手に入るけど、それじゃ、なんだか嫌なわけです。 で、この『 DODO 』があまりにも素晴らしく、この1か月間、mp3プレーヤーに入れて、毎日のように聴いていたのだけれど、いまだに飽きない。正直、この1か月間、ピアノ・トリオ物はこれしか聴いていません。 そんなわけで、そろそろ3作目と4作目も買おうかと思っていたら、なんとタイムリーなことに、5作目となる新作がリリースされたので、そちらを先に買ってきました。 『 DODO 』を聴いたときは、その恐ろしいほど確かな演奏力に腰抜かしました。こんな凄いピアニストが日本人にもいたのか、と。 NYで活動しているだけあって、いかにもダウンタウンあたりを遊び場にしているジャズ・ファンが飛びつきそうなちょっと難解なラインと複雑にうねるリズムは、どことなくアーロン・パークスを彷彿とさせました。ベースがルーベン・ロジャーズですから、そういった音楽です。 今回の最新作は、『 DODO 』よりも曲風が多彩になったようです。モンクがこの曲を参考にして ≪ Evidence ≫ を書いたことで知られるM-1 ≪ Just You Just Me ≫などでは、都会的な大人の洒脱感に溢れており、一方で、昨年他界した彼の親友であるドラマー鳥山健明さんに捧げた M-4 ≪ My Love Song ≫ ではチェロのデイヴィッド・エッガーを迎え、透徹な音で静謐な空間を演出。さらに坂本九の名曲 ≪ 見上げてごらん夜の星を ≫ ではレコードのクリックノイズをわざとかぶせ、エインシャントなスタイルでピアノソロを披露したりと、多彩な試みを行っています。ちなみに今回は百々さん初のセルフ・プロデュースで、自己レーベル“ DO&DO ”からの発売です。 とにかく、曖昧なタッチが全くなく、自信に満ち溢れたフレーズが次々と溢れ出る様は圧巻です。そしてどこを切り取っても彼の個性が浮かび上がってきます。 やっぱり生存競争の激しいNYジャズ・シーンで生きていくためには、高度の演奏力だけではなく、どんなスタイルの楽曲でも、独自の世界観を提示することのできる真の独創性も必要不可欠なのでしょうね。 というわけで、新作発売記念ジャパン・ツアーが来週から始まります。全国14か所のライブハウスで行われる予定ですが、僕は11月5日にお茶の水NARU に観にいこうと思ってます。 百々 徹 / Do You Like Cappuccino ? 2008 DO&DO 百々 徹 (p) 中村 泰史 (b) ジョセフ・ルポール (b) ロドニー・グリーン (ds) デヴィッド・エッガー (cello)
コメント (4) |  トラックバック (0) | 

Bohuslan Big Band feat. Nils Landgren @ B flat

2008年10月28日 19時53分35秒 | JAZZ

 新ブログhttp://jazzlab.blog67.fc2.com/もご覧ください。


Bohuslan Big Band feat. Nils Landgren & Jaqee
Friday, October 24, 2008. at B flat Akasaka, Tokyo
19:30〜

2nd set
1) Watermelon man ( Herbie Hancock )
2) Walk Tall ( Joe Zawinul )  
3) Sticks ( Cannonball Adderley )
4) Little Lullaby ?
5) Fragile ( Sting )
6) Red Horn ( Nils Landgren )
7) アルゼンチンの曲?
8) There was a Time ( James Brown )
9) Blues ( Everything I Have is Blues 〜の歌詞で始まる曲 )
10) Soulful な曲
Encore
11) Nils' solo

休憩をはさんで第二ステージ。一曲目が始まる前にちょっとしたハプニングがあり会場が大いに盛り上がる。一曲目はハンコックの ≪ Watermelon Man ≫。BBBはラーシュ・ヤンソンとの活動が長かったためジャズ・ファンクを演奏するイメージがなかったが、やはり何をやらせても巧いもんだ。

二曲目から今回の主役、ニルス・ラングレンが登場。キャノンボール・アダレイ・クインテットの名曲 ≪ Sticks ≫ と ≪ Walk Tall ≫ を立て続けに演奏し、観客は全員大興奮。ニルスは96年に FUNK UNIT 名義で『 Paint It Blue 』というタイトルのキャノンボール・アダレイへ捧げた作品を制作しているくらいキャノンボール好きである。二曲目の≪ Walk Tall ≫ と 六曲目のニルスのオリジナル≪ Red Horn ≫ では観客として観に来ていた村田陽一氏が飛び入り参加してニルスと熱いバトルを披露してくれた。美しいバラードやスティングの ≪ Fragile ≫ でお得意のヴォーカルを披露するなど緩急付けながら観客を飽きさせないステージは、トロンボーン奏者として一流であるばかりではなく、エンターテイナーとしても素晴らしかった。全体としては FUNK UNIT のビッグバンドアレンジ版といった趣向のステージだった。

アンコールではニルスのソロを披露してくれた。演奏しながらベル管を外し、ついでスライド管を外し、さらにマウスピースだけで演奏し、最後には口唇だけを震わせ音をだすという、まあ、大道芸人的なパフォーマンスで観客を沸かせた。このパフォーマンスは You Tube でもほとんど同じ映像が見ることができるところをみると、おそらく、いつもやっているお得意の十八番なのだろう。大きなホールと違って、B flat に集まるような観客はけっこうコアなファンなので、休憩時間には「誰々のトロンボーンはウイリアムス製みたいだね」とか「 彼の楽器は62年製らしいよ」などといった楽器ネタの会話があちこちで聞こえていた。ビッグバンド・ファンやアマチュアのトロンボーン奏者も大勢観に来ていたのだろう。だから盛り上がり方も凄くて、やっぱりジャズは生が一番! をあらためて実感させられた。

そもそも、ビッグバンドなどは、CDというパッケージに収めることは不可能なのだろう。何千万もするハイエンド・オーディオと完全防音室を持っている人ならまだしも、僕のようにマンションの隣人を気にしながら、陳腐な装置で聴いていたら、ビッグバンドの醍醐味の十分の一も享受できないのだろう。やっぱりビッグバンドだけはライブ・ハウスに行かねば駄目だね。でも、都内でいつでもビッグバンドが聴けるところなんて東京ディズニーシーの「ビッグバンドビート」ぐらいしかないからなぁ。

余談だけど「ビッグバンドビート」は子供だけでなく大人も楽しめるよ。最後にミッキーマウスがドラムソロやるんだけど、結構上手くてびっくりする。あんな動きにくい着ぐるみ着て、よくバスドラのキックとか、できるよなぁ。僕はもうすでに4、5回観ているけど、いつ観ても興奮する。踊り子さんも可愛いしね。

ということで、今回のライブに関連したCDをちょっと紹介しておく。

  
Nils Landgren with Funk Unit  ( A Tribute to Cannonball Adderley )
『 Paint It Blue 』  1996 ACT
今回のライブでも演奏した≪ Walk Tall ≫が収録されたキャノンボール作品集。
ニルスの Funk Unit は94年に結成され、現在までに2枚のライブ盤を含む計7枚の作品がリリースされている。本作は96 ( 97 ) 年にリリースされた第2作目。
キーボードを弾いているのはE.S.T.の故エスビョルン・スヴェンソン。
ファンキーで強烈にグルーヴするフェンダー・ジャズ・ベースを弾いているのは、なんとラーシュ・ダニエルソン。めちゃくちゃカッコいい。
ゲストでブレッカー・ブラザーズが参加しているのも本作の魅力。
≪ Walk Tall ≫と、ブレッカー・ブラザーズ+ニルスの3管フロントが超レアな≪ You Dig ≫ を Anywhere.FM にアップしておきました。

   
The Cannonball Adderley Quintet ( Live at Operation Breadbasket )
『 Country Preacher 』 1969 Capitol
ニルスが演奏している≪ Walk Tall ≫ ( ジョー・ザビヌル作 )の原曲が収められているキャノンボールの後期の作品。キャノンボールというと、どうしても Riverside あたりに人気が集中してしまうが、Capitol 期にもなかなか良い作品を残している。
名盤 『 Mercy, Mercy, Mercy 』 の3年後のやはりライブ盤。
当時マーティン・ルーサー・キング・Jr の後継者として目されていたジェシー・ジャクソンの主催による 『 ブレッドバスケット運動 』 ( パン籠運動 )という民権運動大会でのライブ。ジェシー・ジャクソンの演説が冒頭に収録されている。ニルスの作品にもこれが使われているし、詳しくは知らないが、クラブ・ジャズ系の方にも声ネタとして抜かれたことがあるようだ。
このジェシー・ジャクソン氏、最近、あのオバマ氏にテレビのインタビューで、
Obama. He's talking down to black people. I want to cut his nuts off.
と言ってしまったことで大騒動になったのが記憶に新しいところ、ですね ( 記事はこちら )。

コメント (0) |  トラックバック (1) | 

Bohuslan Big Band feat. Jaqee @ B flat

2008年10月27日 22時34分40秒 | ライブ
 新ブログhttp://jazzlab.blog67.fc2.com/もご覧ください。

北欧一の実力を誇るスウェーデンのビッグバンド、Bohuslan Big Band ( ボーヒュースレン・ビッグ・バンド ) のライブを10月24日、赤坂 B Flat で聴いた。

7時30分開演のところ7時に入店。客席はほぼ満員。メンバーが徐々に店内に入ってきて、店の奥で各自思い思いの時間を過ごしている。スケール練習するミュージシャン、記念撮影をしているミュージシャン、家族同伴で来ているミュージシャン。僕の大好きなアルトのヨハン・ボルストレムはバナナに食らいついていた。

今回のB flat でのライブは、2ステージ制、入れ替えなしで7000円。なんと良心的なことか。しかもどこかのライブハウスのようにお客を詰め込めるだけ詰め込むようなことはせず、ゆったりとテーブルに座って食事もできる。

注文したピザとハイネケンを飲みながら、待機するミュージシャンたちを眺めていたが、お目当てのテナー、Ove Ingemarsson ( オーベ・インゲマールソン ) がいない! 森氏によると、今回は都合により来日できなかったとのこと。と、何処かで見たことのあるイケメン君がいるかと思いきや、なんとトランペットのKarl Olandersson ( カール・オランドルソン ) ではありませんか! サミュエル・オルソンが育児休暇のため代わりに加入したようだ。

定刻10分遅れでスタート。第一ステージはアフリカ(ウガンダ)生まれ、スウェーデン育ちの黒人女性歌手、ジャッキーをフューチャーしたライブ。華奢で小柄な女性だ。ネットで検索した限りではジャズだけを歌っているわけではなく、R&Bやポップスなども得意のようだ。声質は確かにあまりジャズ的ではない。美しいメロディーの曲を可愛らしくキュートに歌う美人歌手を好む日本のジャズ・ヴォーカル愛好家には、たぶんそっぽを向かれるであろう歌手だ。確かに巧いのだが、高音域での絶叫しながらの金切り声は個人的には受け付けなかった。

まず1曲目は昨年BBBがスティーブ・スワローと制作した『 Swallow Songs 』 の中から、スワローの名曲 ≪ Eiderdown ≫ を挨拶がわりに演奏した。

2曲目からはジャッキーが加わり、ビリー・ホリデイの愛唱歌を7曲歌った。彼女とBBBは昨年11月にビリー・ホリデイ集 『 Letter to Billie 』 を吹きこみ、つい最近発売したばかり。ライブで彼女の歌声を聴き、帰りにまだ日本には入ってきていないというその『 Letter to Billie 』を買ってきて何度か聴いたが、、、う〜ん、何というか、巧い下手の前に、この声ではどうしても感じない。

BBBの演奏は、したがってオールドスタイルなので、それほど面白みはないが、バリサクのニクラス・リードとバストロのアルベルト・ピントンのヘビー級格闘技のような掛け合いがすごくスリリングな ≪ Lady Sings The Blues ≫ はよかった。≪ God Bless The Child ≫ でのカール・オランドルソンのソロも切れ味鋭く、ファンキーな歌い回しで驚いた。チェット・ベイカーを彷彿させるマスクと歌声でSpice of Life から売り出しているカールだが、どちらかというと歌に比重をおいた作風のため、いま一つ彼のトランペットの巧さが伝わりにくい作品ばかりだった。しかし、彼は非常にトランペットが巧い。チェット・ベイカーというよりリー・モーガンのようだ。すっかり惚れ直してしまった。


『 Letter to Billie 』 Jaqee & Bohuslan Big Band  2008 Vara Konserthus


Bohuslan Big Band feat. Nils Landgren & Jaqee
Friday, October 24, 2008. at B flat Akasaka, Tokyo
19:30〜

1st set
1) Eiderdown ( Steve Swallow )
2) God Bless The Child ( A Herzog / B Holiday )
3) Me Myself and I ( Gordon / Roberts / Kaufman )
4) Speak Low ( K Weill / O Nash )
5) One for My Baby ( H Arlen / J Mercer )
6) Strange Fruit ( A Meerpol, B Holiday )
7) Lady Sings The Blues ( H Nichols/ B Holiday )
8) My Man ( C Pollock / M Yvain / A Willemetz / J Charles )

2nd set
1) Watermelon man ( Herbie Hancock )
2) Walk Tall ( Joe Zawinul )  
3) Sticks ( Cannonball Adderley )
4) Little Lullaby ?
5) Fragile ( Sting )
6) Red Horn ( Nils Landgren )
7) アルゼンチンの曲?
8) There was a Time ( James Brown )
9) Blues ( Everything I Have is Blues 〜の歌詞で始まる曲 )
10) Soulful な曲
Encore
11) Nils' solo
コメント (0) |  トラックバック (0) | 

最強ビッグバンドの来日が目白押し

2008年10月24日 17時49分42秒 | JAZZ
 新ブログhttp://jazzlab.blog67.fc2.com/もご覧ください。

Jazz Orchestra of The Concertgebouw のライブの興奮も冷めやらぬなか、早くも次のビッグバンドのライブが迫っています。まず、昨日(10月23日)から25日まで、スウェーデンのボーフュスレーン・ビッグバンドがトロンボーン奏者のニルス・ラングレンをゲストに迎えて来日しています。10月23日(木)と24日(金)は赤坂のB flat 。25日(日)は武蔵野市民文化会館です。さらに11月4日から8日まで、ウエストコーストのエンターテインメント系ビッグバンド、ゴードン・グッドウィンズ・ビッグ・ファット・バンドがBlue Note Tokyo でライブを行います。彼らの来日は2008年1月以来、2度目となります。そして、なんと来年の1月には Tokyo TUC にチャールス・トリバー・ビッグバンドが初来日です!  ボーヒュースレン・ビッグバンドは、夏にスティーブ・スワロー集『 Swallow Songs 』を出したばかりですが、今回はジェームス・ブラウンをテーマにしてライブを行うそうです。 ゴードン・グッドウィンズ・ビッグ・ファット・バンドもつい最近、4作目となる新作『 Act Your Age 』をリー・リトナーのプロデュースで出したばかりですが、率直な感想としては、旧作に比べて幾分上品になってしまったのが残念かな。チック・コリアやデイヴ・グルージンらなどの豪華ゲストが参加した分、美しい作品には仕上がっているけど、同バンドのデジタル臭のプンプンした超ハイスピードの楽曲がほとんどなくなってしまったようだ。エリック・マリエンサルやウエイン・バージロンの馬鹿テクは健在なので、その点は満足しているけど。近いうちに4作品全部のレビュー書きますね。 チャールス・トリバー・ビッグバンドは以前から生で聴きたいとずっと思ってたバンド。スタンリー・カウエル、ビリー・ハーパー、ビル・サクストン、ブルース・ウイリアムス、ジーン・ジャクソン、etc. と、信じられないくらい豪華なメンバーを引き連れてやってきます。狭いTUC がニグロ臭で充満こと必至。絶対行くぞ!  というわけで、仕事も片付けたので、これから B Flat 行ってきます。
コメント (2) |  トラックバック (0) | 

浅草ジャズ喫茶 『 がらん ( 伽藍 ) 』 閉店

2008年10月22日 18時08分12秒 | JAZZ

 新ブログhttp://jazzlab.blog67.fc2.com/もご覧ください。

ママ(有楽町)、ディグ(新宿、渋谷)、ファンキー(吉祥寺)、モダン(国分寺)、タウンホール(西荻窪)、門(神保町)、きーよ(新宿)、シャルマン(日暮里)、ポニー(新宿)、ジャズヴィレッジ(新宿)、オパール(有楽町)、木馬(新宿)、ろーく(銀座)、ダンディ(上野)、ニューポニー(歌舞伎町)、デュエット(渋谷)、オスカー(渋谷)、ジャズミン(新宿)、ブルーノート(渋谷)、スイング(水道橋)、ニカス(立川)、響(神保町)、ニューポート(お茶の水)etc.

60年代に都内でジャズが聴ける店は有名なところだけあげてもこれだけあった。あれから約50年あまり経った現在、都内で営業しているジャズ喫茶は吉祥寺の『 MEG 』や高田馬場の『 マイルストーン 』など、十件たらずとなってしまった。全盛期の何分の一かは知らないが、ジャズ喫茶が滅亡の一途を辿っていることだけは明らかだ。そしてここにまた一軒の老舗ジャズ喫茶が14年の歴史に幕を下ろした。

外国人観光客で賑わう江戸情緒を今に残す街、浅草。その街の中心地、雷門前の交差点すぐ傍の古びたビルの地下1階にジャズ喫茶『 がらん 』はある。『 がらん 』がオープンしたのは14年前。当時会社員(出版か新聞関係にお勤めだったと記憶している)であった里井幸康氏は58歳で退職し、この地に店を開いた。15人も入れば満席になってしまうほど小さく狭い店内に鎮座するのはJBLエベレストDD5500。この巨大な箱を駆動するのに里井氏はマッキントッシュC34V+MC7300 を選んだ。プレーヤーはオラクルのDELPHI MKII ( のちに別のものに変更になったかも)。

私が初めて『 がらん 』を訪れたのは確か5年ほど前だったと思う。それ以前から存在は知っていたが、見知らぬジャズ喫茶に入るのはそれなりに勇気がいるもので、なかなかドアを開けることができないでいた。たまたま浅草のすき焼き屋『 ちんや 』で食事会があり、その会の後に酔った勢いで入ったのが最初だった。以来、年に3〜4回のスローペースでジャズを聴かせてもらった。そんなわけで常連としてカウンターに座ることはなかったため、氏とは話をする機会はとうとうやってこないまま閉店してしまった。

高価な酒を飲ませて儲けるわけもなく、ライブで集客し儲けるわけでもなく、あるいは執筆業でアピールするわけでもない。14年間ひたすら無心に好きなレコードに針を落とし続けた。里井氏はそんな人だった。だから経営的にもきっと厳しかったであろう。しかしそれよりもまして70歳を過ぎた老体は限界にきていた。特に膝と腰の痛みはひどかった。彼は遺憾千万の思いを胸に9月12日、店を閉じた。

実は氏は『 浅草ヘラクレス 』というブログを2006年2月より運営していた。氏らしく、ジャズの話にはほとんど触れずに、淡淡と日常を綴っていく静かなブログだ。どこにも『 がらん 』 の名前が出てこないので、まさか管理人がジャズ喫茶のマスターだなんて、誰も思わないだろう。そんなブログを昨日、数か月ぶりに訪れたところ、閉店の告知が掲載されていたので驚いた。この半年ほど、忙しさのあまりお店に行っていなかったのである。知らないうちに閉店していたなんてショックだった。せめて閉店前に浴びるほどジャズを聴いてみたかった。

前田マリさんが書かれた 『 猫はジャズが好き 』 の中にこんな件がある。

≪ 浅草には『 がらん 』というジャズ喫茶がある。雷門のまん前だ。ここもやっぱり地下にある。はじめて店にはいるとき、階段を下りていくというのは、ミステリアスな反面、ちょっと勇気がいる。≫
≪ 『 がらん 』を知って、また浅草に行く楽しみが増えて嬉しいけど、がらんがらんで、閉店なんてことのないように心から祈っている。≫


前田さん、非常に残念ながら、あなたの祈り虚しく、『 がらん 』は閉店してしまいました。


いつもカウンター内の壁にこれが飾ってあった。もちろんLPで。
常連さんがリクエストした時、たまたま居合わせて聴かせてもらったが、
鬼気迫るもの凄い演奏で、腰を抜かした思い出がある。

コメント (4) |  トラックバック (0) | 

Jazz Orchestra of The Concertgebouw @ Blue Note

2008年10月20日 18時01分18秒 | JAZZ
 新ブログhttp://jazzlab.blog67.fc2.com/もご覧ください。

2008年は日本とオランダの外交関係が樹立してからちょうど150周年にあたり、さらに2009年は両国の通商関係が400周年を迎える年であることから、現在 “Nederland in Japan 2008-2009(日本オランダ年2008-2009 ) ”と題した祝賀行事が行われている。そのイヴェントの一環としてこのたびオランダの新鋭ビッグバンド“ Jazz Orchestra of The Concertgebouw ”が初来日を果たした。

10月12日のホテルオークラをかわきりに、13日の三島文化会館(静岡)、15日のBlue Note Tokyo の計3回の公演が行われた。

私が観たのは15日のBlue Note Tokyo の 1st set 。ホテルオークラの公演は、6月にオープンしたばかりの本館1階の新宴会場である曙の間を使用して、2ドリンク、2オードブル、サービス料込で16000円。オークラにしては良心的な値段設定だったので、Blue Note にするかオークラにするか迷ったが、オークラはたぶんオランダ大使館の招待客で堅苦しい雰囲気だろうと思い、結局Blue Note のライブを観ることにした。

さて、いつものように30分前に入店したのだが、客席はすでに満員に近い状態だったため、不本意な席に案内されてしまった。予想以上に人気があるようで( ただ、ほとんどの客はヴァン・ルーラー目当てだと思うが )、ライブ開始時には超満員となり、立ち見のお客さんもでるくらいだった。

このビッグバンドはトランペットが5人の上にジェシー・ヴァン・ルーラーのギター、それに指揮者のヘンク・ムトーヘルトもステージに立つので、計18人の大所帯BBであり、ホーン・セクションの一番はじの人が小さなステージからこぼれおちそうなくらいだった。余談だが、ヘンク・ムトーヘルトのメンバー紹介を聞いていると、ヴァン・ルーラーは“ ジェシー ” ではなく 、 “ イェセ ”と発音されているように聞こえた。

選曲は昨年発売されたJOC の『 Riffs’n Rhythms 』から2曲。今年発売された JOC featuring Jesse van Ruller の『 Silk Rush 』から5曲と、ヴァン・ルーラーにスポットライトをあてたライブであった。 アンコールの“ Tokyo Jazz Party ”という曲は単純なテーマのB♭ブルースなので、即席で作った曲であろう。

圧巻は最後に演奏してくれた ≪ The Secret Champ ≫ だ。キーCのI-VI-II-V の循環コードによるブーガルーっぽい軽快な曲で、ヴァン・ルーラーの 『 Circles 』 や 『 Catch 』 でも演奏しているが、断然このビッグバンドのヴァージョンがカッコいい。まさにフィナーレに相応しい熱い演奏であった。

ヴァン・ルーラー以外にもソリストはみな凄腕そろいで、しかも非常に個性的なミュージシャンばかりだった。たとえば、アルトサックスで言えば、淡く憂いを含んだ乾いた音色をもつヨルク・カーイに対して、艶やかでスピード感溢れるマルコ・ケーゲルの対比。トランペットで言えば、メロディアスで抒情的なフレーズが持ち味のヤン・ヴァン・ダウケレンに対して、メカニカルで瞬発力のあるルート・ブルルスの対比。しかし、そんな超個性的なミュージシャンが個を殺して、一致団結して一つの曲を作り上げることに全神経を集中されることから生まれる強烈なスイング感は、どうしようもなく魅力的だった。

ヴァン・ルーラーを観るのは初めてだったが、期待どおりに素晴らしいテクニックを披露してくれた。注意深く音を追って聴き入ったが、ミストーンは皆無だったと思う。音色もクリアで太く、ホーン陣に負けない力強さがあった。また、ピーター・ビーツの体のデカさには少々驚いた。体型はもちろん違うが、オースカー・ピーターソンが弾いているようにピアノが小さく見えた。残念だったのは、ドラマーのマタイン・フィンクではなく、ロイ・ダッカスという人に変わっていたことか。

Jazz Orchestra of The Concertgebouw
Wed. October 15 in 2008 at Blue Note Tokyo 19:00〜

1) Riffs & Rhythms ( Henk Meutgeert )
   solo :  Ruud Breuls ( tp ) Bert Boeren ( tb ) Jorg kaaij ( as )
            Peter beets ( p ) Simon Rigter ( ts )
2) Amsterdam ( Jesse van Ruller )
   solo : Jesse van Ruller ( g )
3) Silk Rush ( Jesse van Ruller )
   solo : Marco Kegel ( as ) Jesse van Ruller ( g )
4) Vienna Night Express ( Jesse van Ruller )
   solo : Jesse van Ruller ( g )
5) Here Comes The Sun ( Jesse van Ruller )
   solo : Jesse van Ruller ( g ) Bert Boeren ( tb )
6) Somewhere Between The Stars ( Jan Van Duikeren )
   solo : Jan Van Duikeren ( flh )
7) The Secret Champ   ( Jesse van Ruller )  
   solo : Jan Van Duikeren ( flh )  Jesse van Ruller ( g )
<ENCORE>
8) Tokyo Jazz Party  
   solo : Peter beets ( p ) Juan Martinez ( bs ) Hansjorg Fink ( tb )
           Frans van Geest ( b )

Orchestra of The Concertgebouw については過去に拙ブログで二回取り上げているのでこちらをご覧ください。
『 Riffs’n Rhythms 』  2008年6月28日掲載
『 Silk Rush 』  2008年9月2日掲載
コメント (2) |  トラックバック (0) | 

Bireli Lagrene / Electric Side

2008年09月24日 21時04分53秒 | JAZZ
 新ブログhttp://jazzlab.blog67.fc2.com/もご覧ください。

ジプシーの血を引くフランス人ギタリスト、ビレリ・ラグレーンのエレクトリック・フュージョンに取り組んだ最新作。 2001年に“ Gypsy Project ”を結成してからは、マヌーシュ・スイング系のミュージシャンとの活動に軸足を置いていたので、ジプシー・スイングが苦手な僕は、しばらく疎遠になっていた。しかし今回、彼にしては比較的珍しいフュージョン作品であり、しかも超馬鹿テク・ベーシスト、エドリアン・フェローが参加していることもあり購入してみた。 ビレリが現在までにフュージョンを手掛けた作品は、知る限り本作品以外に2作品存在する。ひとつは95年にDreyfus に吹き込まれた『 My Favorite Django 』( 邦題:ジャンゴ・ライハルトに捧ぐ )であり、もうひとつは2000年に Universal に吹き込まれた 『 Front Page 』である。前者はデニス・チェンバース、アンソニー・ジャクソン、それからキーボードのクーノからなるカルテットでの演奏で、爽やか系のWR風フュージョンといった趣がる快作だった。後者は、デニス・チェンバースとドミニク・ディ・ピアッツァからなるトリオで、抜群のスピード感が心地よい傑作だった。 さて今回は、どんなフュージョン・サウンドを聴かせてくれるだろうか。メンバーは前述したようにベースのアドリアン・フェローの参加が何と言っても目を引く。ドラムの Damien Schmitt ダミアン・シュミット や キーボードの Michael Lecoq ミッシェル・ルコック はアドリアン・フェローのサポート・メンバーとして活躍しているミュージシャンである。また、サックスの Frank Wolf フランク・ウォルフ はビレリの“ Gypsy Project ” などで幾度となく共演している盟友である。スチールドラムのアンディー・ナレルが参加しているのが懐かしい。 収録曲は全9曲。そのうち7曲がビレリのオリジナル。意外にもダンサブルでポップな楽曲が並んでいる。アンディ・ナレルが参加していることから察しがつくように、アルバム全体に南国の香りが漂っている。しかし、緩くはない。ビレリはクリーンなサウンドと、フュージョン特有のオーヴァードライブ系のサウンドをうまく使い分け、多彩なサウンドスケープを作り上げる。フレーズも高速ビ・バップから、ジョージ・ベンソン風のクロマチック・ラインを多用したコンテンポラリーなものまで自由自在に織り交ぜ、聴く者の耳を釘ずけにする。個人的には9曲目 ≪ Hips House ≫ のベンソンズ・チルドレンを標榜したようなスタイルが気に入った。今更ながらアドリアンの超馬鹿テクにも腰を抜かす。もう、ここまでくると笑うしかない。スラッパーを別にすれば、今、世界で一番指が動くベーシストであることは疑う余地がない。マシュー・ギャリソン、ドミニク・ディ・ピアッツァを遥かに凌いでいる。ドラムのダミアンも手数が多く、かなりのテクの持ち主である。ただ、サックスのフランク・ウォルフが他のメンバーに比べて若干レベルが落ちるのが残念なところではある。 現代のジャズ界はあまりにも技術偏重傾向が強いのではないかと危惧する一方で、やはり「 超絶技巧の快感 」みたいなものは紛れもなく存在するわけで、ごく一部の天才的ミュージシャンにしか成しえない目も眩むような早弾きは、やはり失神するほど魅力的だ。 ハード・コア・フュージョンではないが、かなり聴きごたえのある硬質なサウンドであった。一度聴いただけではその真価が理解できないと思う。アドリアンのラインだけを傾聴しても、数十回は聴くことができそうな濃い内容だ。どうして日本にはこのようなフュージョン・バンドが生まれないのか、今更ながら悲しくなってくる。 Bireli Lagrene / Electric Side 2008 Dreyfus Bireli Lagrene (g) Hadrien Feraud (b) Frank Wolf (ts &ss) Andy Narell (steelpans) Damien Schmitt (ds) Dj Afro Cut-Nanga (dj) Michael Lecoq (key)
コメント (9) |  トラックバック (3) | 

Helge Lien Trio / Hello Troll

2008年09月22日 23時40分44秒 | JAZZ
 新ブログhttp://jazzlab.blog67.fc2.com/もご覧ください。

ノルウェー王国出身のピアニスト、ヘルゲ・リエンが放つ、前作 『 To The Little Radio 』 から 2年ぶりとなる、通算6枚目のアルバム。

正確にはヘルゲ・リエン単独名義ではなく、デビュー以来ずっと活動を共にしてきたベースのフローデ・バルグ、ドラムスのクヌーツ・オーレフィアールとの3人によるトリオ名義である。

彼らのWeb Site および Liner Notes によると、2007年5月に Bergen で開かれた Nattjazz Festival でHansa 賞を、また2008年7月に開かれたKongsberg Jazzfestival においはDnB NOR 賞という、ノルウェー国内の権威あるジャズ賞を立て続けに2つ受賞しており、ますます勢いに乗る彼ら。そんな付加価値もあり、聴く前から非常に楽しみな作品である。

彼らの旧作はノルウェーのインディペンデント・レーベル Curling Legs か、日本の Disk Union から発売されてきたが、今回は母国の Ozella Music という無名のレーベルから発売された。しかも、前作がスタンダード集であったのに対し本作は、打って変って全てオリジナルで勝負してきた。スタンダードが安易な選曲だとは思わないが、スタンダードにははじめからメロディーの持つ力、求心力が備わっているため、そこそこのアドリブでも聴き手を納得させるこどができるが、オリジナルはそうはいかない。相当の自信と覚悟ななければ全曲オリジナル集は作れない。そんなところから彼らの本作にかける意気込みの程が窺えるのではないか。

全9曲。3拍子と4拍子と5拍子が交錯する複雑な楽曲で幕を開ける。変拍子ではあるが、ヘルゲのアドリブはシンプル。静かな水面が微かに揺れるような静的ラインを刻んでいく。

2曲目は陰鬱なオスティナートが印象的なクラシカルな楽曲。クヌーツ・オーレフィアールのブラシュ・ワークは不気味なほど抑制されている。

3曲目はフリー・フォームのイントロを持った非常にゆっくりとしたテンポ(ルバート)の抽象的な楽曲。フローデ・バルグの完璧なテクニックに裏付けられたボウイングが美しい。

4曲目は速めのラテン・ビート。冒頭から静かな曲ばかりだったので良いアクセントになっている。が、クヌーツはまたしてもブラシュを持っているので盛り上がりに欠ける。

5曲目は再びクラシック・スタイルのピアノソロから始まる5拍子の曲。またもやクヌーツはブラシュ。とにかく、今回はクラシック、特にチェンバー風の楽曲が多い。3人とも元はクラシック教育を受けたエリートであるから、このあたりは流石に巧いが、どうも以前のような過激性、前衛性に欠けている。

結局、7曲目のタイトル曲 ≪ Hallo Troll ≫ だけが彼ら本来の刺激臭が漂う楽曲だった。まあ、2001年のデビューから8年もたつのだから、スタイルが変化していくのも仕方ないのだが、どちらかと言えば2005年の『 Live 』以前の作風の方が僕は好きだ。

でも、まあ、危険な鋭さみたいなものは随所に感じられ、そのあたりはプラグドとアンプラグドの違いこそあれ、E.S.T. 通じるものがあると思う。エスビョルン・スヴェンソン亡きあと、同じスカンジナビアンとして、彼の遺志を継ぐものはヘルゲしかいない。 次作に期待する。
コメント (8) |  トラックバック (3) | 

田中啓文 / 落下する緑

2008年09月21日 12時37分45秒 | JAZZ書籍
 新ブログhttp://jazzlab.blog67.fc2.com/もご覧ください。

ジャズ入門書や指南書の類は、巷に佃煮にして売れるほど沢山存在ますが、ジャズを題材にした小説となるとぐっと少なくなります。ましてやミステリ小説となると皆無ですね。僕の知る限りでは、ジャズ関連のミステリ小説を書く作家は田中啓文しかいません。

自身もテナー・サックスを吹く現役のジャズ・プレーヤーであり、関西で活動をしている“ ザ・ユナイテッド・ジャズ・オーケストラ ”のバンドマスターでも田中啓文は、93年に本書にも収録されている表題作 『 落下する緑 』 で 「 鮎川哲也の本格推理 」 に入選し作家デビューを果たした作家です。

彼の著書の中で、この永見緋太郎の事件簿シリーズだけがジャズがらみのミステリです。本書  『 落下する緑 』  ( 東京創元社 ) が発売されたのは2005年で、今年になり文庫版が発売になっています。上にアップした表紙は文庫本のものです。実は8月に永見緋太郎シリーズの第二弾 『 辛い飴 永見緋太郎の事件簿 』 ( 東京創元社 )が発売になっています。こちらもただいま熱読中ですが、滅多にお目にかかれないジャズ・ミステリですので、ゆっくり味わいながら読んでいます。

さて、このジャズ連作ミステリ小説 『 落下する緑 』 には7編の短編が収録されています。ほとんどが東京創元社が発行しているミステリ専門誌『 ミステリーズ 』に連載されていた短編です。 ジャズしか頭にない世間知らずのフリー系の若きテナーサックス奏者、永見緋太郎が、身近に起きた事件、謎をその鋭い推理力で次々と解決していくミステリです。隋書に散りばめられたジャズ用語は、ややもすると、ジャズの知識のない読者には抵抗感があるかもしれませんが、逆にジャズ好きにはたまらないスパイスとなり、臨場感、リアリティー感を増幅させてくれます。

傲岸不遜な名ベーシストの所有する高価なベースが何者かに壊されてしまう話や、レコード会社の担当者を鼻で使う横行跋扈なジャズ評論家への復讐ミステリ、などなど、これは絶対モデルとなる人物がいるなぁ〜、きっと( ̄∇ ̄; とニンマリしながら読める面白い話ばかりです。 あまり読むのが速くない僕でさえ、面白さのあまり一晩で読み終えてしまったほどです。

それそれの短編の終わりには、ストーリーに関連したCD, LPが3枚づつ紹介されており、ジャズ・ファンには嬉しいオマケとなっています。まずは文庫化されて読みやすくなった本書を手にいれ、気に入ったら新作の単行本『 辛い飴 永見緋太郎の事件簿 』を買われてはいかがでしょうか。
コメント (0) |  トラックバック (0) | 

Roy Hargrove Big Band @ Blue Note Tokyo

2008年09月20日 22時58分30秒 | ライブ
 新ブログhttp://jazzlab.blog67.fc2.com/もご覧ください。

9月18日木曜日、Blue Note Tokyo にロイ・ハーグローブのビッグバンドを聴きに行った。5年ほど前にRH Factor で来日した時は観られたが、昨年の今頃、Quintet で来日した際は仕事の都合で観に行けず、悔しい思いをした。だから今回は大好きなビッグバンドを引き連れてくるということもあり、絶対にハズす訳にはいかないと思っていた。しかも今回は驚異のイタリア人歌手、Roberta Gambarini ロバータ・ガンバリーニもゲスト出演するということで、なんとも贅沢なステージである。これだけギャラ高のメンバーのステージなのにチャージが8.400円とは有り難い。しかも僕は Blue Note のメンバーになっているので、10% off の 7.540 円 で観られる。さらに先日行われた東京JAZZ のチケットの半券を提示すると2.000円分のギフトカードが頂けるキャンペーンがあったので、実質 5.500年ほどでニューヨークの一流ビッグバンドが観られるわけであるから、かなりお得なライブである。 はじめ、ロイがビッグバンドを立ち上げるのは今回が初めてかと思ったが、調べてみたら2006年にリハーサルバンドを組んで、 NYC の Jazz Gallery を拠点に活動していた時期があるようだ。そして、そのライブは All About Jazz の2006年度 Performance of The Year に選ばれている。当時のメンバーの半数ほどが今回も参加しているようだ。 ところで、ロイとロバータ・ガンバリーニの共演とはちょっと意外だが、どういう経緯で二人は共演に至ったのだろうか。長年ロイのマネージャー兼プロデューサーをしてきた Larry Clothier ラリー・クロージェは、ロバータ・ガンバリーニの作品のプロデュースも手掛けていたので、彼がこの二人を引き合わせたのかもしれない。そういえば、ロバータのデビュー作にはロイのバンドのピアニスト、ジェラルド・クレイトンも参加していたっけ。 僕が観たのは 7時からの 1st set 。客席はほぼ満員。まずはビッグバンドのメンバーがステージに登場してくる。CDでしか聴いたことのない憧れのミュージシャンがこんな間近に座っている。それだけで早くも軽い興奮状態になる。リード・トランペットのフランク・グリーンは想像していたより大柄だ。 Bob Mintzer Big Band や Gerald Wilson Big Band 、それから Village Vanguard Big Band などなど、様々なビッグバンドにハイノートヒッターとして参加してきたビッグバンド界の重要人物だ。意外に日本での知名度は低い。4th トランペットの席には大好きなダレン・バレットが座っている。髪を伸ばしてかなりイメージが変わっていた。リード・サックスは、個人的にはかなり注目しているジャスティン・ロビンソンだ。ピアノも天才肌の新人、ジェラルド・クレイトン。長いドレッドヘアーを馬の尻尾みたく後ろで束ねている。まだまだ少年ぽさの残る若者だ。お、バリトンのジェイソン・マーシャルと目が合ってしまった。コワッ! タイトル不明のおそらくロイのオリジナルで幕を開ける。(結局最後までMCがなかったので演奏曲目は全てアナウンスなし。) テーマが終わるといきなりジャスティン・ロビンソンの長尺なソロ・パートが用意されていた。通常、ビッグバンドにおいては、ソロのコーラス数はあらかじめ決められているものだが、このバンドは決まっていないのだろうか? ジャスティンのソロは永遠と続く。熱く激しいソロ。やっぱりこの人は巧い。2曲目はスタンダード ≪ September in The Rain ≫。台風13号によるドシャ降りの東京に合わせて選曲したのだろうか。ロイはヴォーカルまで披露。決して巧くはないが妙に味がある。2曲目が終わり、ここでロバータが登場。まずはしっとりと≪ Everytime We Say Good Bye ≫ を歌う。同然、ロイもフリューゲルに持ち替えて情感豊かに歌い上げる。それにしてもロバータはめちゃくちゃ巧い。ほんとにイタリア人かと疑うほど英語も巧い。何となくカーメン・マクレイを彷彿とさせる。玉石混淆の女性ボーカル界にあって、彼女は間違いなく本物だ。4曲目は一転、ラテン・アメリカ系の哀愁漂うナンバーをスペイン語で歌い上げる。どうも ≪ La Puerta ≫ という曲らしい。一度聴いたら覚えてしまいそうな美しいメロディーをもった曲だが、ネットで調べたところメキシコの “ ロス・トレス・アセス ” というボレロ系のギター・トリオが歌っていた曲らしい。ロバータは2曲を歌ったところでステージを降りた。続いての演奏曲は95年のロイの作品『 Family 』に収録されていた3部構成の組曲 ≪ Triology ≫ 。8ビートで盛り上がるこのファンキーな曲に乗せてギターのソール・ルービンのソロがフューチャーされる。これがなかなかカッコいい。ジョージ・ベンソン系のフュージョン・ギターだ。 ギター〜トロンボーン〜トランペットとソロが続くが、そのソロを煽り、盛り上げるバックリフがこれまたカッコいい。決して構成やアンサンブルが複雑ではないのだが、観客を楽しませるツボを押さえているから否応なしに体が揺れる。組曲の最後には再びロバータがステージに登場し、ロイとスキャット合戦で盛り上がる。続く8曲目はミディアム・テンポのファンキーな4 ビート物(タイトル不明)。 3rd トランペットのターニャ・ダービィがビッグバンドらしい爽快なソロを聴かせてくれる。髪が短く小太りなのでちょっとわかりづらいがターニャは“ 女性”だ。最後は、高速ラテンにアレンジされたロイの名曲 ≪ Public Eye ≫ 。怒涛のテュッティ! 煽るバックリフ! ここでフランク・グリーンの脳天を突き抜けるハイノート・フレーズも炸裂する。ここでいったん演奏は終了し、ロイはステージを降りるが、当然、万雷の拍手は鳴りやまず、アンコールに応えるため再登場。曲はこれまた unknown 。どこかで聴いたことのあるスタンダードのような気もするが、思いだせない。 結局、アンコールを含め10曲を演奏。演奏時間はなんと1時間30分にも及んだ。Blue Note のステージでこれだけ長いセットは初めての経験かもしれない。ロイのトランペット・ソロはあまり聴くことができなかったが、あくまでビッグバンドが主役なのでその点は仕方ない。でも、ロイは、沢山歌い、バンドを指揮し、時々踊り、終始観客を楽しませることを忘れなかった。こんな楽しいライブは何年ぶりだろう。嬉しさのあまりビールを4杯も注文してしまった。鳥肌が立ち、そして目頭が熱くなった。
コメント (2) |  トラックバック (1) |