これが家で母と食べる最後の夕食かと考えながら、すき焼を食べ始めたとき先生から電話が入った。
手紙をいただけるつもりでいたので少し慌てた。「当人ビックリすると思います」と申し上げると「そこの処はよしなに考えてつないでちょうだいな」
と仰るので、母に「お母さんが会いたいとずっと思っていた方からだよ」というと、表情を変えて「もしかして先生?」という。
とにかく出てみて、というと母は電話口に座り、すぐに分かった。私は急いでビデオを取りに部屋に戻り3分あまりの話を撮影する事が出来た。
「昨日も息子に先生のお話をしたところでしたの、大先生のことは私は一日たりとも忘れた事はありません。」感激のあまり泣き崩れながら母は謝辞を述べ続けた。ビデオを持つ私ももらい泣きして手が震えた。
「どなた様が先生にお知らせていただいたんでしょう、どなたがが知らせになったにしても、先生の方から電話をいただけるなんて、私こんな幸せはありません、先生もお体にお気をつけて、会の皆様にもどうか宜しく、」といって電話を切った。
その後も母は興奮状態であった。
1時間程して先生に電話を入れ、「ありがとうございました。先生とお話しさせていただけた事で、なんか私は息子として最後にしてやるべき一番大切な事が済んでしまったような気がします。「そんな事云っちゃ駄目、貴方の携帯電話教えてもらったから、これから時々お母様のご様子をお尋ねするわ」「お歳だからそんなにすぐには進まないわよ、貴方も体に気をつけてね」というお話をした。
でも、母の人生の旅立ち前の思い出作りの最重要使命は本当に終わったのかも。










