Poem City 1421

眩しさは 今も 此処に有るよ 

色褪せることなく 君の微笑みと共に・・・

<愛してくれと言ってくれ>より

2017-07-23 | cocorono iro
<愛してくれと言ってくれ>より





「出逢い」



・・・ある小道で、やっと見つけることができた。

「あ あたったよ、やっぱりホントじゃん」と 

紘子は真っ赤な見上げながら通り過ぎた。

じっと見上げながら通り過ぎていた紘子は、もう一度リンゴの木下に

戻ってくるともごうと決意した。

リンゴがなっている木の枝は高くて、手を伸ばしても紘子の背の高さ

では届きそうにない。ジャンプしてみたが、かすりもしない。助走を

つけても、指先さえ届かない。ついにしりもちをついてしまった。

その時、リンゴをもいでくれた、誰かの手があった。

リンゴをすっぽり包んでしまうほどの大きな手。

背がとても高く、端正な顔立ちをした見知らぬ青年が、リンゴを手に

しながら静かに紘子を見つめていた。

切れ長の優しく美しい瞳をしている。ネクタイを外したスーツ姿なの

に、なぜか足には皮のサンダルを履いている。彼はなにか物言いたげ

なまなざしで紘子を見つめると、リンゴを紘子の手にポンと投げてよ

こした。突然のことに、紘子は言葉が出てこない。立ち上がって、

はにかみながら 会釈するのが精一杯だった。その人は、軽く頭をさげ

ると、何も言わずにくるりと背を向けて行ってしまった。

紘子の手に残ったリンゴには、まだ彼のぬくもりが残っている。

一瞬の出来事に、紘子の心は大きく揺さぶられていた。





「僕の声」





三年後


「あれ、こっちじゃないかな・・・」

紘子は、あの木を探しながら、路地裏の道をあちこち歩いていた。

確かこのあたりだった。あの人と初めて出逢った場所は。上の方を

見渡した紘子は、やっと見つけたリンゴの木だ。「あったよ・・・」

あの時と同じように、赤くて美味しそうなリンゴがなっている。

紘子は、少し下がって助走をつけてリンゴに飛びついた。届かない

でも、あのリンゴを取れば、あのときのように何かいいことが始まる

ような気がする。今度はハイヒールを脱ぎ裸足で走った。懸命に飛び

ついたが、それでも届かない。もう一度飛ぼうとして、とうとうころ

んでしまった。立ち上がろうとした時に、リンゴを取る、大きな手が

あった。紘子の息が止まった。それは、なつかしい晃次の手だった。

晃次は、紘子にリンゴを投げた。受け取った紘子に、晃次はその優し

い瞳で微笑みかけた。

紘子も満開の薔薇のような笑顔を、晃次に返した。


パーティーが終わった会場の中央に、小さくスポットライトを浴びて

飾られている作品があった。それは晃次の絵だった。

三年前、晃次が夢中で仕上げた彼女の絵だった。

絵の中の紘子は、さっき晃次に見せたのと同じく

薔薇のような笑顔で微笑んでいた。










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