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なぜ日本はキリスト教を拒否する(1):「家」の壁?

2017年03月07日 | キリスト教を拒否する日本
日本にキリスト教が広まらなかった理由をテーマとして扱った本を私はほとんど知らない。一冊だけ『なぜ日本にキリスト教は広まらないのか―近代日本とキリスト教』(古屋安男)というタイトルの本があり、このブログでも取り上げた(★日本がキリスト教を受け入れないのはなぜ?)が、本の一章がこのテーマを扱うのみで、しかも牧師としての布教の立場から表面的に考察しているに過ぎない。

ウェッブ上では、宗教学者の島田裕巳氏が「キリスト教が日本で広まらなかった理由」というタイトルで論じているが、それほど長い論文ではない。今回は、この論文に触れつつ考えたい。

島田氏は、「日本のキリスト教徒はカトリックとプロテスタントを合わせても百万人程度で、人口の1%にも満たない」という事実にまず触れる。イスラム教となれば、日本人の信者は一万人程度で、要するに、世界に一神教を信じる人間がこれほど少ない国はほかになく、
「日本は一神教が浸透しなかった最大の国」であると指摘する。

しかも、キリスト教系の知識人・文学者が、曽野綾子氏などを除くとほとんどいなくなった。一時は一つの文学ジャンルを形成していたキリスト教文学はほぼ消滅しつつある。キリスト教は、「日本で信者を増やせなかったばかりか、知的な世界における影響力さえ失いつつある」という。

その上で島田氏は、「なぜこれほどまでにキリスト教は日本で受け入れられなかったのか。日本のキリスト教史を考える上で、それはもっとも重要な疑問であり、課題である」という。確かにそうなのだが、私はこの問いが、日本のキリスト教史の課題に限られるものとはとても思えない。「日本とは何か」という問の根本にかかわるものだと思う。日本文化の独自性とは何かという根幹にかかわる問いなのだ。

現在の世界ではいま、経済発展の著しい国を中心にプロテスタントの福音派が信者を増やしているという。キリスト教徒が30%を占めるようになった韓国でもそうだし、中国でささえ、地下教会という形で福音派が伸びているというのだ。

ところが日本では、経済発展が目覚しかった戦後その勢力を拡大したのは、創価学会や立正佼成会など、日蓮系の新宗教だった。創価学会は、経済発展が続く国々で福音派が果たしていることと同じことをやっていった。これでは福音派が日本に入り込む余地はない。つまり日蓮系の新宗教の活躍こそが、戦後も日本にキリスト教が拡大しなかったひとつの理由だと考えているようだ。

ただ、なぜか日本にはミッション・スクールの数が多い。宗教を背景とした学校849校中、565校がキリスト教系で、全体の66.5パーセントを占めるという。しかもカトリック系の学校を中心に熱心に宗教教育が行われており、学生・生徒に礼拝への参加を義務づけているところもあるという。しかし、生徒が洗礼を受けてキリスト教徒になる例はそれほど多くはない。つまり布教には成功していないのである。
 
それはなぜか。ミッション・スクールに子どもを通わせる親は、キリスト教の信者でないことが多い。そもそも信者数が少ないからだ。つまり卒業生の多くは、家族や親族のなかにキリスト教の信者がいない。しかもミッション・スクールに子どもを行かせる家は、家族親族のつながりが強く、冠婚葬祭の機会も多い。その関係で、キリスト教の信仰をもつことが邪魔になる場合も多く出てくる。それで信者が増えていかないのかもしれないと島田氏は指摘する。

この「家」の問題こそが日本にキリスト教が広まらない大きな理由かもしれないと島田氏は考えているようだ。「明治以降、キリスト教に入信するというときに、入信者の多くは若い世代であり、彼らは、自らは信仰を得ても、それを家族にまで伝えていくということができなかった。」彼らもやがて家庭をもち、冠婚葬祭かかわれば、キリスト教は邪魔になる。「日本人の宗教が、家を単位としてきたことが、キリスト教の拡大を妨げる大きな要因になっていた面がある」と島田氏はいう。

これは確かに重要な指摘だと思う。しかし、これとても日本文化の根底に横たわる独自性まで触れた説明になっていない。私は、日本にキリスト教が広まらない理由は、このブログのテーマである「日本文化のユニークさ8項目」のほとんどにかかわる問題だと思う。島田氏は、もうひとつの理由として神道や仏教との関係を挙げているが、この問題も含めて、次回にさらに突っ込んで考えてみたい。

《関連記事》
これまでこのブログで行った「なぜ日本にキリスト教が広まらないか」についての記事については、
★「キリスト教が広まらない日本」というカテゴリーを設けている。

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