風薫る道

Who never feels lonely at all under this endless sky...?

陽春大歌舞伎 昼の部&夜の部 @平成中村座(4月9日)

2015-04-13 23:29:50 | 歌舞伎




昼夜通しで行ってきました。
昨年のコクーンが思いの他よかったので興味はあったものの、のんびりしていたらあっという間に完売。
試しにチケット松竹を見たところ良席が戻っていて、でもお値段高い・・・でも一度は行ってみたい・・・次回はこんな良席とれないかも・・・と、昼の部をポチ。それからすぐに夜の部も気になり再びサイトに行ってみると、やっぱり良席が戻っていて、思わずポチ。。今年の観劇予算は昨年の半額に抑えなきゃなのに、私のばかばかばかぁ~~~(>_<)!
しかし実際に行ってみて、この平成中村座を作っただけでも十分に勘三郎さんって偉大なのだなあ、と心から実感した一日となりました。
まあ私が歌舞伎を食わず嫌いになったのも、この平成中村座のためだったのですけど。昔NY公演の夏祭~のドキュメンタリーを観て、ラストのポリス場面で「歌舞伎は私には合わない」と思ってしまったのでございます。正直アレは今でもどうかと思っとりますが・・。
そんな私が十数年後にここに足を運ぶことになろうとは、わからないものですねぇ。

さて、今回のお芝居。
個人的には、魚屋宗五郎と幡随長兵衛が楽しかった♪ 次に妹背山と高坏♪
正直先月の歌舞伎座のように筆法伝授だけで一万八千円の価値ある!とまで感じた幕はありませんでしたが、入れ物(小屋)が大層楽しかったのもありトータルで大満足でした。

※一階竹席一列目(14,500円也)

以下、いつものようにネタバレありまくりですので、ご注意くださいまし。


【双蝶々曲輪日記(ふたつちょうちょうくるわにっき) 角力場】
与五郎(獅童)、カワユ こういう上方の若旦那好き~。
ゆったりどっしりな彌十郎さんの濡髪とのコンビが楽しかったです。
獅童は放駒長吉との二役でしたけど、ずっと与五郎でいておくれ、と思った笑


【勧進帳】
んーと・・みんなが少しずつニンから外れていたような・・・?そんな印象の勧進帳でございました。
そしてものすごい熱演なのに、関を通る(守る)命懸けの緊迫感がなぜか感じられないという不思議。。
あえて言うなら勘九郎の富樫が興味深かったですが、こういう根が誠実な役は本来勘九郎にぴったりだと思うのだけれど(黒塚の阿闍梨的な)、んー、思っていたより型どおりな富樫だったなぁ。初役だからだろうか。次回を楽しみにしています。
弁慶(橋之助さん)の引込みでは客席から手拍子が・・・。海老蔵、幸四郎さん、吉右衛門さんと見てきて、初めて遭遇。うーん、この場面での手拍子はワタクシは苦手です^^;


【魚屋宗五郎(さかなやそうごろう)】
勘九郎の宗五郎。演技がというより、話し方と声が勘三郎さんに本当にそっくり(今回はいい意味で)。
心のこもったあったかい声を出すんですよね。中村屋のファンの人達の気持ちがわかった気がしました。
そして実生活の”お兄ちゃん”な立場の勘九郎と重ねちゃって、ぐっときてしまった(七はピンピンして舞台にいるのだが。しかも妻役で)。
花道の引込みと再びの出のあの表情の迫力、素晴らしかったですねぇ。。。
私は菊五郎さんの宗五郎が異常に好きなので、どちらが好きかと言われれば大らかさと柔らかさと洒脱さのある菊五郎さんの方が好みなのですけど、心の底の怒りと悲しみをリアルに表出した勘九郎の宗五郎もとてもよかった。
亀蔵さん(太兵衛)の「呑んでるよ、呑んでるよ!」も、楽しかったです笑
三吉は、今回名題披露のいてうさん^^


つづいて夜の部~。
それまで仲見世をお散歩。





・・・のつもりが、あまりの人の多さに辟易し、早々に中村座へ逆戻り^^;


【妹背山婦女庭訓(いもせやまおんなていきん) 三笠山御殿】
七之助のお三輪ちゃん。
七之助はこういう役が似合いますよねぇ~~~。正妻じゃなくお妾さん系。お姫様じゃなく身分の低い系。
こちらも、お兄ちゃんの宗五郎に負けない凄絶な迫力を見せてくれました。最後も哀れでよかったよ。
とはいえ私が最も好きな七之助は、蓮っ葉なチンピラタイプなのですけども(=福助さんが似合うタイプの役。福助さん、会いたいよぉ・・・)。
児太郎君の橘姫も役にピッタリでした。
豆腐買は、勘九郎&七緒八くん(初の女方なんですって^^)
花道で勘九郎に手を引かれた七緒八くんから「なかむらや!」って掛けられたときの七之助の素の微笑がなんだかとても良くて、ほっこりしちゃいました(*^_^*)
またこの演目は初めて観たのですが、糸巻(苧環)のような小道具や設定が幻想的で素敵だった~。


【高坏】
亀蔵さん(大名)の桜の花を見まわす明るい表情、いいですね~ 本当に花が見えるようでした。いや、実際描いてあるんですけども。
次郎冠者は勘九郎。勘九郎のこの手のアホ系演技は個人的にあまり好きではないのですけど、下駄タップの動きの綺麗さを楽しめました(ふんわり酔わせてくれる感は少なかったですけど)。
でもやっぱりこの演目を楽しめた一番の理由は、背景パカーン!による夜桜効果が絶大。
だって平成中村座のこのパカーン、一度観てみたかったんですもの~。やっぱりテンション上がりました~。澄んだ冷たい空気が一瞬に流れ込んでくるのがまたいいんだよねぇ。造花の夜桜の向こうにまだ僅かに花の残った本物の桜も見えて、名残の春の宵を味わわせてもらえました。真っ暗な空を背景にチラチラ降らせた花びらも綺麗だった。


【幡随長兵衛 「公平法問諍」】
座った席のおかげもあり、劇中劇場面がすんごい楽しかったです♪ 「お客様!困ります!」のお茶子さん、ナイス笑。
いてうさん(ここで名題披露のご挨拶)の公平もやる気のない立ち姿が最高に可笑しくて、新悟くん(頼義)&児太郎くん(柏の前)もいい感じ。
橋吾さんの舞台番も。怯えて客席に下りてきたときに真ん前にずっとおられて、橋吾さん好きなのでそれだけでも嬉しかったですし、橋之助さんはこっちに向かって話しかけてくれるしで、楽しいことこの上なかったです♪ 彌十郎さんのお大尽席からの登場も楽し~。
橋之助さんは、今回のお役の中でこの長兵衛が一番いいなぁと思いました。親分ぽさが出てた~。七之助の女房も切なかったです
彌十郎さんの水野はどうも素で卑怯な奴に見えてしまって、後味はあんまりよくなかったな^^;


以上、江戸時代さながら、朝から晩まで芝居小屋の中で歌舞伎を大満喫いたしました(*^_^*)
決して座り心地のいい椅子ではないのに歌舞伎座で通し観劇をするときより遥かに疲れなかったのは、やっぱりこの芝居小屋の居心地よさゆえでしょうか。トイレも小屋も想像以上にしっかりした作りで、吃驚。

そして、この日は小山三さんの告別式の日でした。喪主の勘九郎と七之助は参列できなかったけれど、七緒八くんが出席しご位牌を持ったのだとか(小山三さん、喜ばれているでしょうね!)。妹背山はその後に駆けつけていたのですね。
小山三さん、平成中村座の復活を見届けて、十七代目&十八代目のところへ行かれたのでしょうか。
小山三さんが舞台にいらっしゃるときにいつも感じていたことがあって、それは、今の若手といわゆる大御所の方々との間に感じる空気の違いと同じくらいの、大御所の方々と小山三さんとの空気の違いでした。
小山三さんが経験してきた時代の歌舞伎はこういう空気を持っていたのだろうかと、私が観ることのできなかった、でもすごく観てみたかった時代の舞台の空気の名残をリアルに感じさせてくださったのが小山三さんでした。そう多くの舞台を観られたわけではなかったけれど、四谷怪談の地獄宿の女房など、とても雰囲気があって好きだったなぁ。
次々と役者さんが亡くなられたり病気になられたりする中で、小山三さんの存在がどれほど舞台と客席に元気をくださったことでしょう。
ご冥福を心からお祈りいたします。



夜ごはんは、平成中村座仕様の天重1,000円也。甘辛の濃い味付けが好みでした。


幕間に立見席より


隠れ勘三郎さんみっけ。
ずっと上から睨んでおられました笑


終演後の平成中村座


まだまだ満開の夜桜

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