何様のレストラン

食べ物に執着している人間の、食べ物中心のブログ。イラストレシピもあります。

「昭和天皇のお食事」のイチゴジャムのサンドイッチ

2015-04-10 23:17:51 | 作ってみた
「昭和天皇のお食事」より、イチゴジャムのサンドイッチが美味しそうだったので
作り方を真似てみました。

そしたらこんな見た目になった…ヽ(´Д`;)ノ


「昭和天皇のお食事」は、26年間、宮中で料理人をされた著者の渡辺誠さんが
大膳(皇室での食事を担当している部署)の独特の流儀や、
昭和天皇の日常召し上がっていたお食事、儀式の際に用意する御膳などのエピソードを
思い出を交えて書かれた本です。

昭和天皇はイチゴジャムのサンドイッチをお気に入りだったそうですが
このサンドイッチの作り方が、独特なのです。


イチゴジャムを裏ごしして粒々を除いたものを、
飴になる一歩手前まで煮詰めます。

バターを塗ったパンに、イチゴジャムを「そーっと流すようにして塗り」
もう一枚のバターを塗ったパンで挟みます。

これを時間をおいて落ち着かせます。

通常のジャムサンドだと、時間が経つにつれジャムがパンにしみてしまいますが
この方法だと、くっつかず、ジャムがパンにしみず、
美しい姿を保てるそうです。



本を読んでから、このジャムサンドの作り方に憧れを抱いてきました。
特に、ジャムを「そーっと流すようにして塗り」の所。

バターを塗ったパンの上を、とろりとなめらかなジャムが流れていく光景を頭の中で描いてみますが…
私の知っているイチゴジャムでは、決してできない方法です。
ジャムが違うのでしょうか?
裏ごしすれば流れるようになるのでしょうか?


家庭で揃えられる材料と方法で
試してみることにしました。
たまたま冷蔵庫にあったジャムが
サラッとした感じだったので、ちょうど良いです。


まず、イチゴジャムを裏ごしします。
裏ごし器がないので、目の細かい茶漉しとスプーンを使って
せっせと裏ごしします。

裏ごししたイチゴジャムは、耐熱の小皿に入れます。

次に、イチゴジャムの入った小皿をレンジに入れてラップをかけ、
強モードで10秒加熱しては、レンジを開けて様子を見る…と言う事を繰り返します。
何度も何度も繰り返します。


10数回も繰り返すと、ジャムがボコボコ沸騰して、とろみがついてきます。
濃度が濃くなったなーと思ったらOKです。
器が熱くなっているので注意しながら取りだします。

バターを塗った8枚切りの食パンの上にだーっとかけると
おおお、パンを傾けるだけでジャムが流れていく!面白い!
パン全面に広がるほどではないので、スプーンですーっと流すように塗り広げます。
バターを塗ったパンをかぶせて、ラップで包んでしばらく休ませます。


その後、パンの耳を落として切っていくわけですが、
このサンドイッチときたら、作り方の他に特徴的な事がもう一つあるんです。

美しく切りそろえられたサンドイッチが、びっしりと箱に入っているので
パンとパンとの境目が分からないほどだったそうです。
あまりにきれいに詰まっているので、
新人さんは「本当に切れてるんでしょうか」と聞くのがお約束だったとか。

しかも、切る際にパンの表面に指の跡がついたら、はいやり直しー。
どれだけ無理難題なんですか。

とりあえず、切ってみたのですが…
あえなく撃沈しました。

その結果が、冒頭の画像になります。

ともあれ、ジャムサンドができあがりました。

早速食べてみます。

しっとりと柔らかいパンに挟んだジャムは
煮詰めているので味が濃く、薄く塗っていても甘みが強いです。
そのジャムがバターの風味と相まって…
これは、今まで食べたジャムサンドとは一味違います。

おいしくて、全部平らげてしまったため、
時間がたってもジャムがしみないかどうかを確認できなかったのが残念です。

昭和天皇のお食事 (文春文庫)
渡辺 誠
文藝春秋


この本では、イチゴジャムサンドの他に、もう一つ試してみたい料理があります。
「黄芋丸焼」と言う料理で、名前からはどんなものかさっぱり想像がつかないのですが
紹介されている作り方からすると、
筒切りのサツマイモをくり抜いて器にした物に、スイートポテトを詰めて焼いたもの
…でしょうか。
「実に美味しいもの」で、昭和天皇もよくおかわりをされたそうです。
うわー食べたーい。


渡辺さんが大膳に入る前、プリンスホテルで料理人をしていた時代の章では
先輩のイジメから始まる流血の大惨事が書かれていて、驚愕しました。
え?それ相当なケガだよね?労災だよね?(´Д`;≡;´Д`)
もう想像するだけで痛くてたまらないです。痛いので、ここでは傷病の様子を書きません。

しかも、それが当時の料理界では普通だったとの事。
おっかねぇ。
でも、イジワルな先輩はその後どこへともなく姿を消し、
優しくしてくれた先輩は、料理長クラスになって活躍しているとの後日談もあり
「私もお天道様に顔向けできなくなるような事はやめよう…」と、思いました。

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