「カミングアウトしたときに、されたら嫌な反応」リストはよく見るけれど、逆に、「こうされたら嬉しい」というリストはあまり見かけない。
私自身、自分のセクシュアリティを公言できない状況で人からカミングアウトされて、反応に困ることがある。
「全然いいと思うよ」「恋愛に性別は関係ないよね」あたりは「されたら嫌」リストに挙がることが多い。
「そうなんだ」と流してしまうのも冷たい感じがする。
「辛いことがあったら言ってね」は、辛いことがあるに違いないと思っているようで嫌だ。
嬉々として恋愛トークに入るのも大人げない。
ベストな反応は一体どれだ?と常々頭を悩ませていたのだけれど、先日、これは素敵だわーと思う出来事があった。
数年ぶりに、同業の友人と再会したときのこと。
仕事の話でひとしきり盛り上がった後、お互いの近況報告をはじめた。
実は去年から遠距離恋愛になっちゃって……と私の近況を話したところ、彼女が、
「まあ、coochinさんも色々あるだろうけど、多分、彼氏さん的にもさあ……
あ、彼女さんだっけ?」
と言った。
「彼女さん」と答えると、「そっか。じゃあ、彼女さん的にもさー」と何気なく話を続けた。
彼女との数年間の付き合いのなかで、自分の性的指向に言及したのはこれが初めて。
でも、このとき私は「カミングアウトした」という意識は全くなかったし、彼女も「カミングアウトされた」とは感じていなかったと思う。
それくらい自然な会話の流れだったし、女性を好きなことも、男性を好きなことも、それ以外の性の人を好きなことも、あるいは誰のことも好きじゃないことも、それ自体としては何ら特別な意味はないのだという共通認識が、そこには確実にあった。
ちなみに、彼女がヘテロセクシュアルであることも、私はこの日初めて知った(彼女も、一度も自分の恋人を「彼」と言ったことがなかった)。
当然ながらカミングアウトしなくていい状況が本当は一番望ましいわけで、「秘密」を打ち明ける時/打ち明けられる時のベストな振舞いなんてものは存在しないのだと、このとき改めて気付いた。
それが重大な「秘密」(=クローゼット)として存在してしまった時点で既に、どう言ったって、どう振舞ったって、緊張感をなかったことにはできない。
性的指向が「秘密」になるか否かは、それ以前からの関係性によって決まる。
「秘密」をどう扱うかという部分だけ抽出して考えても、満足のいく答えが見つからないのは当然だ。
それでは、私自身が他者に対して、そういう空気――つまり、性的指向を「秘密」として存在させない空気――を提供できているかというと、全く自信なし。
いや、きっとできていないと思う。
上記の友人は、豊富な知識と柔軟な思考力の持ち主であると同時に、サッパリとした、抜群に気持ちのいい人柄。
あの空気は、多分、彼女の人柄に由来するところが大きい。
彼女のような人柄になることはできないけれど、まあ、少なくとも、私自身が「秘密」という意識を捨てることはできるはずなので、まずはそこからかなー、と思っている。
そろそろここから出ようと思います(精神的に)