SHIN-GEN-SAI 【箴・言・彩】

珠玉の名言・箴言をイシューします。

ダマシ×ダマシ その5

2017-07-15 02:55:00 | 恋愛

十年間、彼と一緒だった。
ほとんどの時間を彼とともに過ごした。
それが、私にとっての彼だ。それで良いではないか。
もちろん、私が知らない彼もあった。
私と知り合う前から、彼は結婚していた。
私の前にいない時間は、それはもう宇宙が違うと考えるしかなかった。
それで、良かった。
自分には充分だったのだ。
彼が死んで、彼の妻にも会った。
彼女は、彼と私のことを知っていたはずだ。
それでも、お互いに頭を下げた。彼女は私に礼を言った。
それは、よく尽くしてくれましたね、という意味だったはず。
仕事のことではない。
女なら、それくらい絶対にわかっているはず。
小川も、後ろめたいところは欠片もなかった。
彼と共に働いて、同じくらい必死で愛したのだ。
離婚してくれなんて言ったことはない。一度も、彼の妻を恨まなかった。
自分だって、実は彼女に礼を言いたかったくらいだ。
最期まで彼の面倒を見てくれたのだから、本当に感謝している。
私も彼女も、いずれも正しいことをした。何も間違っていない。
それがわかっていたから、頭を下げた。

森博嗣「ダマシ×ダマシ」より。
これが核心か。
しかしこの展開、森博嗣らしくもない。
そもそも、ありきたりの男女間のロマンチシズムなんてこの手のミステリィのスパイスとしてどうなの。
と思ったら実はこれは伏線なんだな。
まさか最後にあんなの持ってくるとはね・・・。

 

ジャンル:
ウェブログ
コメント   この記事についてブログを書く
この記事をはてなブックマークに追加
« ダマシ×ダマシ その4 | トップ | ダマシ×ダマシ その6 »
最近の画像もっと見る

コメントを投稿


コメント利用規約に同意の上コメント投稿を行ってください。

数字4桁を入力し、投稿ボタンを押してください。

あわせて読む

トラックバック

この記事のトラックバック  Ping-URL
ブログ作成者から承認されるまでトラックバックは反映されません。