霊会話

霊は生きています。霊の心に触れてみましょう。

訴える霊

2017-07-12 00:03:19 | 日記
或る大きなお屋敷を女が訪れました。
主人に招かれて来た霊能者でありました。

女は遠方から来ましたので、もう夜になっていました。
お屋敷で出される夕飯を頂いて、風呂に入り、寝室に案内されました。

入った途端、小さな仏壇が目に入りました。
お茶や食べ物を供えていないどころか、扉が閉じられて埃をかぶっています。
女は嫌な予感がしました。

案の定、眠っている最中にうなされて、だんだん目が覚めて来ました。
すると、目の前に、髪の長い女の顔が自分を覗き込んでいるのに気が付きました。
薄い緑色と薄い茶色の縦じまの着物を着て、正座をしています。
ところが、女は髪の長い女に気が付くとすぐに、また寝入ってしまったのでした。

翌朝に、女は朝食を頂いてから、子供の女の子の部屋に通されました。
子供は精神病になってしまって、長い間、学校に行っていませんでした。

「この通り、学校に行けなくなって、もうだいぶ経つのですが、
 家族とも話をしなくなってしまって、困っています。」
主人が女に打ち明けました。

「そうですか・・・。」
女は、子供に話しかけてみることにしました。

「こんにちは。」
子供は振り向きもしませんし、返事もしません。

女は、その理由が分かっていました。
もう、今ここで、昨夜の髪の長い女の霊に話しかける以外に手はありません。

「昨夜、あなたは私に何かを訴えようとしていましたね。」
女は、心の中で霊に語りかけました。

「私は、憎いのです・・・。」
女の霊が話し始めました。

「私は、このお屋敷の主人の先妻でした。
 私が死ぬと、再婚したまではいいのです。
 しかし、仏壇は汚れ放題。私の好きな食べ物を供えてくれることもありません。
 おまけに私にはできなかった子供まで作って、私の悲しみを顧みることもなく、溺愛しているのです。」
霊の怒りは相当なものでした。

「そうでしたか。
 確かに、酷いことです。
 私からご主人にお話ししておきますから、
 きっと、霊となったあなた様を大事にして下さるでしょう。」
女は霊にそう告げました。

女は別室に移り、主人に事の次第を話すと、最後にこう言いました。
「今現在の奥様が、先妻の仏壇を大事にできない気持ちも分かります。
 かと言って、あなた様が仏壇を大事にすることも角が立ちましょう。
 しかし、やむを得ず亡くなることになってしまった、女の気持ちもお察し下さい。
 子供を苦しめたくて苦しめているのではないのです。
 ただただ自分を思い出してほしい。
 霊になっても愛し合っていたい。
 その人間の情が、このような結果を招いているに過ぎないのです。」

主人は、黙ってうなずきました。

次の春が巡って来る頃、女に主人から手紙が届きました。
毎日、奥様が仏壇を掃除して、お茶とお菓子を供えていること。
まだ、子供は学校には行けていないけれど、家族で旅行するようになったこと。
そして、子供が取って来た菜の花を仏壇に活けていたこと。
そんな日常が書かれていました。

「霊は、亡くなっても生きている人間と同じように、霊人として生きています。
 身体は無くなってしまっても、姿は見えなくなってしまっても、
 愛情に喜び、無関心を悲しむのです。
 もう、いいから。と思われるくらいに、
 どうか、これからも亡くなられた奥様を大事にしてあげて下さい。
 これからも、ご家族の皆様のご多幸をお祈りしております。」

女は、そう手紙にしたためて送りました。
季節の移り変わりのように、女の霊もゆっくりと心が暖まるようになって行きました。




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