月の岩戸

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カノープス・29

2016-10-19 04:16:37 | 詩集・瑠璃の籠

馬鹿は嘘と盗みで
巨万の富を作った
まじめに勉強し
こつこつと金をためた
工員の懐から
永年の間金を盗み続け
それだけで自分の王国を作った

これだけのものがあれば
神の国をひっくり返せる
勉強ばかりするいいやつらより
馬鹿の方が偉いことにできる
だから正しいやつは全部馬鹿にして
いやなやつばかり人間にしてしまうのだ

それで馬鹿は
あらゆる人間の心臓をすり替え
人間をことごとく
馬鹿にしてしまったのだ
いいことばかりするようなやつらは
しらみつぶしに殺し
盗んだ金を馬鹿にやり
馬鹿ばかりが繁栄する
永遠の悪魔の国を作ろうとしたのだ

栄華は限りないものに見えた
未来は永劫に続くものに思えた
馬鹿のほうが偉くなれば
もうつらい思いなどして
勉強などする必要はなくなる
痛い思いなど二度としなくていいのだ
永遠に馬鹿でいられる

だが
その馬鹿の王国は
たった一人の真実の女が
愛を貫いて死んだだけで
もはやだめになった
金銀宝石と
美味と贅沢と快楽のみで作った
巨大な芋虫のような文明が
一瞬で無意味になった

ありとあらゆるものがあるのに
生きているだけで苦しい
馬鹿は馬鹿が作り上げた
永遠の世界を背負って
それでもまだ生きていかねばならない
すべてはなんのためだったのか
あらゆることが崩れていくのに
永遠の金で作った文明は
まだ崩れないのだ

阿呆が作った都市は
生きたまま死んだと言うのに
馬鹿はまだ生きねばならないのだ





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