歩くような速さで

ボカロCPの創作小説中心。レンリン、カイメイがメイン。
詳しくはメニューの「Read me」から。

ねむい…

2008-04-24 02:59:26 | 独り言
ああああああ、小説完成させたいよー。

学校始まったとたん、バイトに授業に、うまく時間が作れません。
今年は卒業がかかっているため、遅刻魔のアタシはあんまり夜更かしもできないし。
ホントは小説一気に片づけちゃいたいのにー。

とりあえず、今書いてるちょいアダルト気味なレンリンがもう少しで仕上がりそうなので。
明日か明後日には上げたいなあ。

バイト5連勤になっちゃったから、予定通り進行するか分からないけど。
うあー!絵も描きたいのに!!

てわけでおやすみなさい。

カイメイ掌編『危険な薬につき、取扱注意』

2008-04-15 03:53:50 | 小説
ふおおお、カウンタがクルクル回ってる…!
ボカロサーチ恐るべし!

そんなわけで、登録内容と違いが出てしまわないように、カイメイ投下w

なんか…微エロな雰囲気に…w
さーせん!自重します!!深夜に書くからこういうことに!



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ふわん、ふわん、いいにおい。
あまい、あまい、おいしそうなにおい。


『 危 険 な 薬 に つ き 、 取 扱 注 意 』


今日一日ずっと気になっていることがある。
めーちゃんだ。

いやめーちゃんが気になってるのはもうずっと前からのことで別にその日一日が特別に気になっているだけとかそういうわけではなくホント年中無休で気にしているっていうか意識しているっていうか大好きなんだけど、うん、大好きなんだ。うん、めーちゃん大好き。あれ?何の話だっけ、あ、そうそう。

めーちゃんの近くを通り過ぎるたびに、いい匂いがする。

ん、めーちゃんはいつもいい匂いだよ?香水付けてるわけじゃないのにさーホントいい匂いっていうかおいしそうな匂いがいっつもするの。食べちゃいたいよねー首筋に顔を埋めて深く呼吸してめーちゃんの香りで肺をいっぱいしたいねーそして体中まさぐってあの柔らかくてすべすべの体を堪能したいよねー全身くまなく愛したい。うん、めーちゃん大好き。

って違う、そういうことじゃなくて。
ああもうこれじゃ俺がただの変態みたいじゃないか!
話戻すよ!

そう、めーちゃんからいい匂いがする。
その匂いっていうのが、なんだろう、いつもよく嗅いでる気がするのに、思い出せない。
匂いの正体は何なのか思考を巡らすのだが、どうも思い当たるものがない。
それを突き止めるために彼女の近くを行ったり来たりしていたら、カイト落ち着きがないわよと諌められてしまった。

「なぁに?なんか用?」

ソファ越しにめーちゃんが、背もたれのあたりでウロウロとしている俺を振り返る。
いや、用ってほどのもんじゃないんだけどさあ。

「なんかめーちゃん今日いい匂いするね」

脈絡もなく飛び出た俺のセリフに、首をかしげるめーちゃん。
だが思い当たる節があったのか、すぐに納得したような顔をした。

「ああ、それバニラエッセンスだわ」

「バニラエッセンス?」

バニラエッセンスって、お菓子作ったりするときに使うやつ?
めーちゃんお菓子作ったりしたの?

「んーん、さっき冷蔵庫の中身の整理してたんだけど」

そんなに匂うかしら?と自分の手を合わせ口元に寄せ、クンクンと匂いを嗅ぐ。

「古くなったバニラエッセンス捨てようとしたら、うっかり手を滑らせてぶちまけちゃったの」

だからアタシだけじゃなくてキッチンもすごい匂いよー、と苦笑いを一つ。
なるほど、彼女から匂っていたのは、日ごろよく食べているバニラアイスの匂いだったのか。

「そっかあ」

よく分かったよめーちゃん、と彼女の横に腰掛ける。
大好きなめーちゃんが、大好きなアイスの匂いに包まれているなんて、なんて幸せな図式。

めーちゃん=大好き=アイス ゆえに めーちゃん=アイス が証明される

「いただきまーす!」

音よりも速くめーちゃんの腰に手を回して抱き寄せようとするが、

「待て待て待て」

光の速さで彼女の鉄槌が飛んでくる。

「いたぁあい!」

「いたぁあい、じゃない!」

めーちゃんが顔を真っ赤にさせて怒っている。
そんなめーちゃんも可愛い。

「もう!」

頬を染めて、目を潤ませて。
そんな顔で睨まれたら、どうにかしたくなるのが男の性だよ?
腰を抱くのは諦めたけど、手を取るのには成功した。

「ね、めーちゃんいい匂いだね?」

その取った手をパクと口に含む。

「こらっ…カイ…!」

チュウチュウと(わざと)音を立てて、めーちゃんの指を舌でなぞる。
甘い匂いのせいか、指もなんだか甘い気がする。

「おいしいよ、メイコ」

「~~~~っ!!!!」

上目遣いで視線だけめーちゃんにやると、案の定耳まで赤く染めた彼女が絶句してこちらを見ていた。
その反応にまた俺は嬉しくなって、すっかり力が入らなくなってるめーちゃんの指を一本一本丁寧に舐めとる。

「やめ…っ、カイっ…!」

こんな可愛い反応されて、やめられるわけがない。
据え膳食わぬはなんとやらでしょ?

「ね、チューしてい?」

「…っ…もう……好きにしなさい…」

「わーい」

うなだれる彼女の真っ赤な耳にチュと唇を寄せて、呟いた。


「メイコ大好き」


バニラの甘い匂いと、メイコの優しい匂い。
二つ合わさって、俺にとってこの上ない媚薬。



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うははは!これ以上は自重します!
というか恥ずかしくて無理ぽー!十分恥ずかしくなってるけど!

うちのカイトはオープンエロ。
ちなみにレンはむっつりだと思ってます。

レンリン掌編『ある夕暮れの帰り道』

2008-04-09 03:06:44 | 小説
就活の帰りに見かけたカポーがモデル。

なんだかんだで、彼女には逆らえない彼氏がかわゆかったです。
きっとアタシより年上だったけどw




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俺は、いつも、お前にはかなわないんだ。




『 あ る 夕 暮 れ の 帰 り 道 』




夕暮れ道。

今日はリンと二人で新譜の音合わせ。
今はその帰り道だ。

メイコ姉に頼まれたお使いも済ませ、エコバッグ片手に家までの道をリンとゆっくり歩く。
こんなささやかな時間も、俺にとっては幸せな瞬間である。
少しでもその時間を長引かせたくて、いつも以上にゆっくり歩いているっていうのは、俺だけの秘密だ。

リンはというと、先ほどの音合わせがなかなか上手くいったおかげか始終ご機嫌で、今もその名残か隣で新譜の曲を口ずさんでいた。

「あ!」

かと思うと、リンは急に駈け出し、自転車駐輪場のすぐ近くに出ている屋台の前で立ち止まった。
仕方ない、【唐突】とか【突然】とかはアイツの十八番だ。

「ねえ、レン!」

目を輝かせて、先ほどの音合わせの時以上の笑顔を見せるリン。
指をさす先には、タコ焼き屋の屋台。

「タコ焼き食べたい?」

や、食いたいの俺じゃなくてお前じゃねーか

「別に…」

もうすぐ夕飯だし別にいらn

「タコ焼き、食・べ・た・い?」

「…食べたいです」

「しょうがないなあ、優しいお姉さんが買ってあげる!」

溢れる笑顔で、期待で目をキラキラさせて、そんな顔されたら断れねえじゃんかよ。
分かってやってんのか、こいつ。

「はい、ありがとうございます、お姉さま」

リンは俺の持つエコバックから財布を取り出すと、屋台のおっちゃんに向き直って

「おじさん、タコ焼きひとつ!」

と、抑えきれない笑顔を見せた。
ああ、だらしねえ顔してんなあー(いやまあそれも可愛いんだけどなー)

「あいよー、お譲ちゃん元気だねえ」

「えへへー」

あー帰ったらまたメイコ姉に「無駄遣いしてー!」って怒られるんだろうなあ。
でもまあ、リンが嬉しいなら別にいいか。
惚れた弱みだよなー、まあこれはぜってえリンには知られねえようにするけど。

「ほい!出来上がり!熱いから気ぃつけな」

ものの30秒の職人技で出来上がったタコ焼きが、リンの手に渡される。

「おじさんありがとー!」

「おーまた来いなあーそっちの彼氏もなー」

「か、彼氏じゃないです!」

んもーと顔を赤くさせてるのは、夕陽のせいかそれとも。
俺も少しは期待していいのかねえ。

「見てーレン、ちょっとおまけしてもらったよぅ」

「やったなー」

「もっと喜んでよ!」

「はいはいはい」

俺は、タコ焼きが買えてテンションが上がりっぱなしのリンの手を強引に取り、歩を進める。
どうせタコ焼きばっかりに気が行って気付かないだろ、これくらいやったって問題ないさ。

都合よく自分を正当化。
こんなきっかけがないと手も繋げない自分のヘタレっぷりにつくづく溜息が出そうになるが、相手が究極に鈍いリンじゃ早々進展もしない。
今の俺たちにはこれが精一杯。

それに、こんな何気ないどうってことないやり取りも、俺にとっては充分すぎるくらいの幸せだ。
これ以上望んだら逆に罰が当たる。

「ほら、タコ焼き冷める前に帰るぞ」




そんな日常。そんな幸せ。





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うはー超掌編w
いいんだ、タコ焼きカポー会話のやり取りが可愛かったから、それ取り入れられればなんでもよかった。

アタシが物書くときの動機なんて、そんぐらい不純です。
次はカイメイもやりたいぞー。

小説INDEX

2008-04-08 08:27:57 | 小説目次

レンリン小説>>

SWEET!SWEET!(1)(2)(3)

ある夕暮れの帰り道

 

カイメイ小説>>

危険な薬につき、取扱注意

 

随時更新、追加されます。


レンリン小説『SWEET!SWEET!(3)』

2008-04-08 07:35:00 | 小説
意地でも終わらせようとしたら、ありえんほど長くなってしまった…!!
ごめんにゃ☆(←可愛い顔で)

下の矢印からです、どぞー。




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こんなに緊張したのは、初めての仕事のとき以来?
いや、きっと、それ以上。




翌朝目が覚めると、アタシはきちんと自分のベッドで布団を掛けて寝ていた。
一瞬あの出来事は夢だったんじゃないかって思ってしまったくらいだ。

しかしその思いも、レンの態度で見事に打ち砕かれる。

アタシはレンに徹底的に避けられた。
それはもう完膚なきまでに。

家の中では話しかけられもしなければ、目も合わせてもらえない。
こちらから話しかけても「さあ」とか「別に」とかそっけない返事しかもらえず、仕事中も必要最低限の会話しかしようとしない。
それどころか、一緒の空間にいるのさえ嫌がっているのか、ほとんど顔も合わせない状態である。

始めのうちは「やっぱり気まずいのかな?ほとぼりが冷めるまでほっとけばいいかな?」くらいの軽い気持ちだったのが、
そのうち「ていうか悪いのはレンじゃない!無視とか何!?感じ悪っ!」という怒りに変わり、
それも通り越すと後に自分に残ったのは「やっぱりあの空気で寝たアタシの無神経さに呆れて嫌われた…?」という後悔と自責の念ばかりであった。

カイト兄たちも、いつもと様子の違うアタシたちを心配しているし、おまけに今日は、プロモーションの撮影が終わった後スタッフさんに「喧嘩でもしてるの?」とまで言われてしまった。


アタシだって、仲直り出来るもんなら早くしたいよ…


しかし、頑なに態度を崩さないレンを前に、アタシはいつもの喧嘩の仲直りのとき以上に足踏みをしてしまった。



そうこうしているうちに日は経ち、唐突にその日はやってきた。


いつしか仕事の時間以外に考えるのはレンのことばかりとなってしまった。

早く仲直りしたい、どうしたら仲直りできるの、何がいけなかったの。

そればかりがグルグルと頭を巡り、本来楽観的で割と単純な思考を持つ(これ長所だからね!)アタシも、今回ばかりは参っていた。
そしてさんざん悩んで悩んで悩みぬいた末、今日絶対仲直りしよう、と決意した矢先のことだった。


その日アタシはピンで仕事をしていた。

仲直りを決意したアタシはいつも以上の集中力を発揮し早々に仕事を片付けた。
「いつもそれくらいのスピードで仕事してよぅ」というスタッフさんたちのからかいの言葉を軽く受け流し、家までの帰り道にあるケーキ屋でレンの好きなバナナチョコパイを買う。

買ったケーキを片手に、家路を早足で進みながらアタシは馬鹿みたいにいいことばかりを考えていた。


レンと仲直りしたら、この前見つけた可愛いカフェに一緒に行ってみよう!
前から二人で見に行こうって言ってた映画ももうすぐ上映が始まるから、その話もしなくちゃ!
そういえば明日は二人揃ってオフのはずだから、一日中一緒に遊べる!
最近ゲームもしてないから、久々に格闘ゲームで対戦とかしても楽しいかも!


ニヤニヤしながら歩くアタシは、周りから見たらひどく怪しかったと思う。
でも本当に久々に、晴れやかな気分だった。

いつもより家までの道のりが長く感じた。



「ただいまー!」

最後には早足からダッシュで帰ってきたアタシは、勢いよく家に飛び込む。
靴を脱ぐのももどかしい。ああ、こういうときに限ってブーツとか履いてるからっ。

玄関でバタバタしていると、リビングからミク姉がアタシを出迎えてくれた。

「リンちゃんお帰り!あのね…」

「ごめん、ミク姉、ちょっとアタシ急いでるから、またあとででいい?」

ブーツを脱ぎ捨て、アタシは何か言いかけたミク姉の言葉を遮って、自分たちの部屋へと急ぐ。

「レンー!レンー!!ちょっと話あんだけどっ!」


バタンと大きな音を立てて部屋のドアを開ける。

その瞬間に感じた違和。



アタシは一瞬で理解した。



レンの私物が、ない…



部屋の前で立ち尽くすアタシに、部屋まで追いかけてくれたミク姉が言いにくそうに口を開く。

「リンちゃんが帰ってくるまで待つように言ったんだけど、レンくん聞いてくれなくて…」

ついさっきだよ?出てっちゃったの。

ミク姉の声が震える。


ああ、せっかく仲直りできると思ってたのに…
仲直りをすることさえ、許してくれないの…?


力が抜け、その場にアタシは座り込んでしまった。


「ごめんね…」


ミク姉が謝ってくれたが、アタシが今一番欲しいのはミク姉の言葉じゃない。




「…れんのばか」


なによ、文句があるなら直接言いなさいよ


「男らしくない…」


それとも、顔見るのも嫌になるほどアタシのこと嫌いになった?


「ばーか、レンのバカチン」


どっちにしたって直接言えっての


「なんでアタシに黙って行くかなー」


勝手にいなくなるなんて


「レンの意気地なし」


ヘタレ


「意地っ張り」


よっぽどアンタの方が女々しいわよ


「でも…」


それなのに、

この状況になって、アタシはようやく分かった。


「………すき……」



あ、だめだ、口にしたら、



「レンが好き、レンが好きぃ…」



涙が止まらない。
アタシ馬鹿だ、こんなに何年も一緒にいるのに、今頃自覚するなんて。



「ばかぁ…何で黙って出て行くのよぅ…!!」



同時に、手遅れになってしまったことが悲しくて悲しくて。


全部遅かったんだ。
レンに伝えられなかった。


「うえ…ごめ、ごめんなさ…いぃ……れ…ん……ぇくっ…」



ごめんねも、ありがとうも、

言葉では足りないくらいのこの気持ちを、



「れん、好きぃ…大好き………」



だから帰ってきて……!!!







「……お前それ、独り言恥ずかしくね?」

はあっ、と不意に溜息のような声が後ろから降る。
聞きなれた声音に、一瞬で涙が止まった。

恐る恐る振り返ると、そこにはミク姉の姿はなく。


「れ、ん…?」


出て行ったはずのレンがムスっとした表情で立っていた。


うそ、なんで…


「ばーか、言うのが遅ぇんだよ」


呆けるアタシの前に、レンがしゃがみ込む。
そして顔が目の前に来たかと思うと、次の瞬間額に鈍い衝撃。


「い、いたーい!!」


なぜかレンに頭突きを食らわされる。
違う意味で、涙がまたジワリと湧いた。


「うーるーせー!痛いのは俺もなの!」


頬を両手で押えこまれ、無理やり上を向かされる。
上げた視線の先には、おでこを赤くさせたレンがこっちを睨みつけていた。


「喧嘩両成敗!ハンムラビ法典!目には目を、歯には歯を!これでおあいこ!!」


早口まくし立てるレンに、アタシは思わずポカンとしてしまう。
その顔を見てアタシがいまいち意図を掴めていないと分かったレンは、また大きく溜息をついた。


「だから、その、無視して悪かった…」


ゴニョゴニョと尻すぼみに吐き出された言葉だったが、ちゃんと拾うことができた。
音楽記号で言うならデクレッシェンドだ。


「リンに嫌われたんじゃないかって思うと、すげー怖くなって、だから逃げた」

「……」

「でも、一人になってよく考えた。このままリンに会えなくなるかもしれないって思ったら、そっちの方が嫌だって……」


初めて聞いた、レンの本音。

それって、つまり……

心臓がドクドクと鳴っている。
今までにないくらい緊張しながら、レンの言葉に耳を傾ける。


こんなに緊張したのは、初めてのお仕事以来?
あ、でもその初仕事も、レンが一緒だったから緊張したけど怖くなかった。


次に放たれる言葉に対する期待と不安とが綯い交ぜになって、呼吸が変になりそうだった。

酷くのどが渇く。



「だから、戻ってきた」







「リンが好きだから、戻ってきた」







張り詰めた緊張の糸が、その一言でプチンと切れる。





「うれ、しい…」




一度止まったはずの涙が、ぶわあっと溢れ出す。

うれしいうれしいうれしいうれしい……




「れん、れん…あ、アタシも、あの、あのね、」


アタシもね、アタシもレンのことがね、


「うん?」


あのね、あのね、


「……アタシも…」


次の言葉を促すように、レンがアタシの両手をふんわりと握ってくれる。
それに勇気づけられ、アタシは見つめられた視線をまっすぐ見つめ返して、もう一度答えを口にする。



「…アタシも、レンが好き……」


レンの目がふっと細められ、表情がこれ以上にないほど優しいものに変わる。

あ、この顔、すごい好き…かも

ぼんやりと目の前の顔を眺めていると、


「ん、よく出来ました」


ゴシと、涙がレンの指で拭われた。

レンが優しくて、それが嬉しくて、涙は止まるどころか、涙腺が壊れてしまったんじゃないかと思うくらい次から次に水分が溢れ出す。


「もーなんで泣くんだよー」


アタシを慰めるように、レンが頭をポンポンと叩いてくる。
先ほどまでとは打って変わって、途端に甘くなりだした空気に、恥ずかしさと気まずさを覚えながらも、幸せな気分の方がそれに勝ってしまい、アタシはしばらくこの状況に甘んじることにした。


ふと視線を足もと落とすと、そこには見覚えのある白い箱が置かれていた。

「それ…」

アタシが漏らした声と視線の先にある物に気づいて、

「あー…これ」

急にレンの声が曇る。
だってそこに置いてあるのは、アタシがさっき買ってきたケーキ屋の箱と同じもの。

「レンも買ったの…?」

あのふわふわフリフリしたケーキ屋に行ったの?
女の子しか行かないような可愛らしいお店に一人で行ってきたの?

「その、お前が好きだっていう、オレンジのヤツ」

「たるとおらんじゅ…?」

「そう、名前覚えてないけど、そんなん」


レンの表情が、また先ほどと同じムスっとした不機嫌そうなものに変わり、


「カイト兄が、仲直りには甘いものが一番っつーから」


と思ったら、その顔がどんどん赤に染まっていく。


あ、どうしよ、

「…何笑ってんだよ」

嬉しくて、頬の筋肉がヘランと緩む。
きっとだらしない顔になってしまっているだろうけど、しばらくは直せない、かもしれない。

「だー!もう!!」

急に大声を出したかと思うと、自分が勝った方のケーキの箱を持ってレンが勢いよく立ちあがった。

「ほら!ミク姉とかに、仲直りの報告!!」

いい加減立て、とレンがアタシに向かって手を伸ばす。
顔だけにとどまらず、朱が耳にまで浸食している。

「…ねえ、耳まで赤く」

「うっせ!ニヤニヤすんな!」

レンに強引に引っ張られ、フラフラと立ち上がる。

「おら、行くぞー」

リンが勝った方のケーキも持てー、と促され慌てて腰を曲げて箱を拾い上げる。
でも繋がれた手は離さない。

「あーメイコ姉から何言われるか…」

ぼやきながら、口調とは裏腹にアタシの手をレンが優しく引っ張る。



二人の間に、繋がれた両手。

アタシの左手に、バナナチョコパイ。

彼の右手に、タルト・オランジュ。



アタシにとって、一番甘くて一番大好きな貴方と一緒に。

少し遅いおやつの時間にしましょう?




レン、すき、だいすき。





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ヘタレンも好きです。イケレンも好きです。
どっちの要素も捨てがたいです。