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第9回も実際にあった事例をご紹介したい。


S社の会長さんが入院したと聞き、病院へ駆けつけた。脳梗塞だった。かねてからの懸案事項である「会長からお孫さんへの株式の相続」を実現するため、会長の体調をみながら、遺言のことを提案した。

公証人さんに来ていただくことも提案したが、本人が大げさなことはいやだ、というので、文書による自筆遺言のイメージで、1時間もかけて1枚の紙に「会長から孫へ株式を遺贈する」ということを記載していただいた。
もちろん、これでは正式な遺言書の体裁をなしていないのでしたが、後日退院したら正式な文書を作成するということで、心残りながら病院を後にした。

それから数ヶ月後に、その会長さんが亡くなってしまった。訃報を聞いたとき、あのとき公正証書なりで作成しておけば良かったなあと反省した。
というのは、公正証書遺言かキチンとした自筆遺言証書ならば、誰にも侵害されることなく、会長のお孫さん(現在社長をしている)への株式の移動が確定するからである。
が、1枚の紙ペラだと、実は何の保証もない。

いろいろ検討した結果、相続人全員の同意もあったので、この1枚の遺言じみた用紙を裁判所に提出して、これが個人の遺言であることを証明していただいた。
裁判所の証明書とともに、無事相続税の申告も完了し、個人の願い通り、後継者のお孫さんに株式を相続させることができ、正式な文書でなくても、メモのようなものでも作成してあれば効果があることもあるんだなあと胸をなで下ろした事例だった。


公証人さんと病院に行って、公正証書遺言を作成する場面も多々ございます。我々コンパッソは、お客様に寄り添って、満足いただける仕事をすることが最大の喜びであります。


代表社員税理士 白井輝次


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