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ボブ・ディランのノーベル文学賞

2016-10-16 14:39:02 | 日記・エッセイ・コラム

 ぼくにとってはボブ・ディランはフォークのさきがけと受け止めるほど衝撃的な印象を持っている。                                                                 しかし彼はまさに吟遊詩人なのだ。今年のノーベル文学賞に決まった理由は「偉大なアメリカの歌の                                                                 伝統に新たな詩的表現を作り出した」と選考委員会は述べていた。

 今年も受賞ならなかった村上春樹ファンをがっかりさせたかもしれないが、ボブのようなミュージシャンが                                                             受賞するなど想像していなかったから、選考委員会の慧眼と受け止めたほうがよいのかも知れない。                                                                「風に吹かれて」や「戦争の親玉」「激しい雨が降る」そして「くよくよするなよ」など数々のヒット作品を世に出した。

 ぼくはちょうど60年代半ばに仕事に付いたのだが、そのころ日本では高石ともやさんが主に関西をフィールドにして                                                   ギターを抱えて活躍し始めたころでよく大阪YMCAの廊下で弾き語っていたことを思い出す。

 時代は冷戦期を迎え、東西の対立はささくれ立っていて、アメリカのヴィエトナム戦争への加担への問題提起、                                                              良心的兵役拒否など、反戦活動や反権力闘争は世界に広がりつつあったときだ。                                                                                      為政者はこうした反社会的な活動に神経を尖らせ陰に陽に抑圧的な言動が随所に見せていた。                                                                          フォークソングはそんな陰湿的な空気を跳ね飛ばすようなブラック・ユーモア溢れる歌詞で若者の心をわしづかみにしていた。

 ボブ・ディランの活動はそのころから始まっていた。彼の歌は60,70年代の公民権、反戦運動の集会でよく歌われていたことが                                             日本にも伝わってきていた。彼の歌には普遍的な思想が流れていて多くの若者に衝撃的だったように思う。                                                              「Blowin' In The Wind」(風に吹かれて)はあまりにも有名だが、この歌詞は、いったいいつまで武器を持つのか、                                                     平和を本当に作り出す気があるのか、と厳しく戦争体制を巧みな詩で表現している。体制派は思想的に容認しなかった。

 40年を経た今、世界は本気で平和を確立しようというし姿勢はどこにもない。そしてもっと危険なのは、反社会的な言動を                                                    容認しない動きが大衆の間ですら起こりつつあることだ。いうまでもなく、時の為政者は言葉では巧みな表現で発信するが、                                                 背景にはじわっと翼賛的な体制絵作りに傾斜していることに危機感を覚える。

 ボブ・ディランが今もなお、受賞に一喜することなく、新しい曲を世に出してくれていることは源流を知る一人として                                                 うれしい限りだ。彼は75歳になる。実年齢を超えた彼の活躍は一層頼もしくなる。

やさしいタイガー

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