地方競馬のたどる道

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野口勲著「タネが危ない」-その2

2012年01月20日 | 読書感想
親と同じ形質を受け継ぐことが出来るのは遺伝子のせい。細胞内には核のほかにミトコンドリアがあり、このミトコンドリアも核の中の遺伝子とは別の遺伝子を持っている。なぜか、ミトコンドリア遺伝子は母親だけのものが子供に伝わっていくようです。ミトコンドリアは免疫機能を制御して生命の維持にも関係しているといわれている。なぜ精子のミトコンドリアが子に遺伝しないのか?卵子には約10万個、精子には約100個のミトコンドリアをもっているようですが、数少ない精子のミトコンドリアは卵子に到達すると、そのなかですぐに分解されてしまうそうです。精子の大きさからすれば、膣、子宮内の遠い道のりを旅してきて傷つき、疲れはれた、エネルギーの源である精子ミトコンドリアは用済みとみなされるわけで、それはそれで悲しい気持ちがいたします。


今売られている野菜のタネはほとんどがハイブリッド、F-1と呼ばれる1代雑種のタネ。これは雑種強勢という生物学の仕組みを利用したもので、これから収穫されたタネをふたたび植えても同じような形質のものは出来ない。したがって、毎年、種苗会社が販売しているタネを購入することになる。これが前回に書いた本の前半部分。人間界ではハーフがもてはやされる。犬の世界で今話題になっているのが、違う犬種をかけ合せたミックス犬です。人為的に操作するという点を除いて、それがなぜ危ないかとは理解しづらいところです。


1代雑種の利点。品質、大きさが揃っていること。出荷の時期にばらつきがないこと。生育が早いこと。耐病性にすぐれた品質が作れること。メーカーにとっては毎年タネが売れること。このほかにも数多くの利点が存在するようです。このF-1、1代雑種を作るには、当然のことながら、雌おしべに違う品質の雄のおしべを受粉させなければなりません。それは人間がわざわざ雄のおしべをちぎって勝手に受粉しないようにした上で、違う種類の花粉をとってきて受粉させるという作業が必要になります。ところが現在では違う方法で行なわれているようです。


それはタマネギから始まった雄性不稔という仕組みが利用されているとのこと。雄性不稔とは、植物のおしべが退化し、花粉が機能的に不完全になることをさします。広い畑で栽培している作物の一つに、ぽつんとおしべが異常なものが見つかる。花粉を持たない花です。自然界ではそういうものは淘汰され、子孫を残せずに自然に消えていく。しかし、人間はこういう異常な花を見つけ育て上げました。この花ならおしべをちぎる作業は必要ありません。1925年にある技師がこの変な株を見つけました。この株に他の花粉を人工的に受粉させることを繰り返して固定させる、それをF-1の母親株にすることでこの形質が代々受け継がれていく。なぜ、雄性不稔が生まれるのかといえば、どうもミトコンドリア遺伝子の異常によるものだそうです。ミトコンドリアが傷つくと、動物も植物も子孫を作る能力がなくなってしまうようです。タマネギを購入して、畑に植えてみると、咲いた花はいじけたような、すべてが花粉のでない花になるという。現在ではほとんどすべての野菜に、この雄性不稔が組み込まれ、タネとして売られているようです。そのタネからできた作物を人間が日頃食べているようです。


とうもろこし、キャベツ、ピーマン、ナス科の植物、すべてゲノムを超えて雄性不稔因子が組み込まれているようです。そして、雄性不稔の植物と 掛け合わせたい植物を少しだけ植えておいた畑にミツバチを放つのです。こうすると人間が行なうよりはるかに効率よくタネが収穫できるのはだれでもが理解できることです。さらにミツバチは蜜を集めてくれます。雄性不稔の植物の花の蜜を・・・


2006年頃に世界中のミツバチが消えたことがニュースに流れました。その原因はいまだに特定されていません。ダニ説、ウィルス説、遺伝子組み換え作物説、電磁波による影響説、抗生物質の多用説、地球温暖化による影響説、などが考えられているようです。著者の仮説を端的に言えばこういうことです。子孫を残せない雄性不稔の植物の蜜で育った女王バチは、世代を重ねるうちに異常なミトコンドリアを蓄積し、あるとき無精子症の雄バチを生む。巣の雄バチすべてが無精子症になっていることに気づいたメスの働きバチはパニックを起こし、巣の未来に絶望するとともに本能に基づく奉仕というアイデンティティーを失い、集団で巣を見捨てて飛び去っていった。そして、人間は本来やるべきでないことを、やっているのではないだろうかと著者はつぶやきます。


雄性不稔植物は花粉がでないから、周囲の近縁種を汚染しない、衣服が汚れない、そして最近では花粉症予防のためにスギにも雄性不稔形質を持たせようとの研究が行われているそうです。人間の未来は明るい。地球上の70億を超えようとする、かつてない人口の増加はそのうちに自然に減少に向うことは確実のような気がしてまいりました。
ジャンル:
ささやき
キーワード
遺伝子組み換え作物 地球温暖化 1925年 ミックス犬 悲しい気持ち 遠い道のり
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