紫のオルフェ~何でもかんでも気になる音楽、名曲アルバム独り言

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ロンが演じるスタンダード…ロン・カーター~ベース・アンド・アイ

2008-02-11 22:03:09 | ジャズ・ベース
皆さん、こんばんわ!
今日は、久しぶりに「ロン・カーター」のリーダー・アルバムを紹介しましょう。
演奏している曲目は、有名なスタンダード・ナンバーがメインで聴き易いです。
そして、編成は、ピアノ・トリオにパーカッションがプラスされた、変則のカルテットですが、とてもお洒落な演奏です。

それでは詳細に行きましょう。

アルバムタイトル…ベース・アンド・アイ

パーソネル…リーダー;ロン・カーター(b)
      スティーヴン・スコット(p)
      ルイス・ナッシュ(ds)
      スティーヴ・クローン(perc)

曲目…1.貴方と夜と音楽と、2.いつか王子様が、3.ブルース・フォー・D.P、4.いそしぎ、5.ミスター・ボウタイ、6.ダブル・ベース、7.アイ・リメンバー・クリフォード

1997年1月14日 ルディ・ヴァン・ゲルダー・スタジオにて録音

原盤…Somethin’else 5585  発売…東芝EMI
CD番号…TOCJ-5585

演奏について…オープニング曲「貴方と夜と音楽と」…「スティーヴン・スコット」の原曲を活かした哀愁のトーンから序奏が幕を開ける。
カデンツァに入り、「スコット」がダイナミズムをフルに活用し、思い切り弾いて行き、その後を渋く「ロン・カーター」が受ける。
ガッツリとした音では有るが、とても歌謡的にベースを歌わせて、この辺が「カーター」の真骨頂なんでしょう。
終盤では、センシティヴにリズムを刻む「ルイス・ナッシュ」と、超絶技巧で「カーター」をサポートする「スティーヴ・クローン」の二人のアドリヴ演奏が、彩を添えます。
オープニングに相応しい華々しいナンバーです。

2曲目「いつか王子様が」…「ビル・エヴァンス」が大横綱の名演とするならば、ここでの演奏は名小結くらいの品格と価値は充分に有ります。
ここでも「スコット」は、原曲のメロディを崩さずに、大事にきれいにソロを仕上げます。
特に「スコット」のアイドルは、「ウィントン・ケリー」らしいので、「マイルス」盤での「ケリー」の美演に肉薄している、素晴らしいソロです。
「カーター」も「ラファロ」ほど太っとくは無いが、ここでも歌心が充分に行き届いたベース・ソロを展開して、この曲の素晴らしさを表現しています。
1曲目同様、「ナッシュ」と「クローン」のリズム・サポートも充実していて…特に「クローン」のディズニー・サウンド?の様な星の音を表現している鈴の音が楽しくて…こう言っては失礼かもしれませんが、初心者向けの好演と言えば分り易いと思います。
勿論、ジャズに五月蝿い、通の方も楽しめる演奏です。

3曲目「ブルース・フォー…」は、「カーター」の自作曲で、盟友「デューク・ピアソン」へのオマージュとして作られた曲との事で、「カーター」がブルース魂全開で分厚く弾き切ります。
ここで、「スコット」は前曲と異なり、かなり泥臭いブルース・フィーリングを見せますし、バックの二人のノリも良いですよ~。

4曲目「いそしぎ」…これ程センスの塊りの様な編曲、演奏の「いそしぎ」…は余り聴いた事が無い。
特に「カーター」のコード・チェンジがノーマル・パターンの一歩いや、三歩先を行っていて、合わせる「スコット」のブロック・コード主体のアドリブもハイ・センスです。
終盤のアドリブは、コード・チェンジと半音崩しも有ったりして…オー!カッコイイぜぃ!!
ラストの方では、消え入る様に弾くんですが…何故かメロディは「イパネマの娘」を使用しているんですよ。
「ナッシュ」「クローン」は、あくまでも、どこまでも脇役に徹していて…この演奏の品格が5ランクくらいアップしている。
私的には、このアルバムで、ベスト・チューンに挙げたいですね。

5曲目「ミスター・ボウタイ」…ボサ・ノヴァ・リズムに導かれて、「スコット」がハイ・センスなフレーズをびんびんに決め捲る…。
重厚にサポートするリーダー「カーター」の演奏もすごいのは勿論ですが、ここでの主役は、何と言ってもパーカッショニスト「クローン」です。
ノリとテクニックは完璧な上に、様々な打楽器を効果的に用いて、「カーター」とのデュオ的なリズム・バトルを演ってくれます。
終盤に入ってから「スコット」と「クローン」の高速での凌ぎあいが…すごい!
ラテン+ジャズ(ピアノ・トリオ)の見事な融合です。

6曲目「ダブル・ベース」…原曲はかつて、某洋酒メーカー((サントリー)と言った方が良いかな?)のCMソングに使用されていて…その当時「ロン・カーター」(の名前)を知った方も多いのでは?(古いなぁ…年がばれそうや!!)
最初の数小節は原曲に忠実な演奏なんですが、その後、かなり大胆に展開して行きます。
特に「カーター」のアドリブ・ソロは…テクニック、感性とも素晴らしく、正しくベースのカデンツァだ!
この曲では非常に軽やかにブラッシュ・ワークを演じる「ナッシュ」のバック・サポートが超名演です。
終盤では、各人の遊びも出て来て…良いですね。

ラスト曲「アイ・リメンバー・クリフォード」…この曲も序奏は「スコット」が、美しい原曲をあえてそのまま弾き、スロー・テンポで進んで行く。
「スコット」以外の3人も、この曲自身の魅力を最大限に引き出すためなのか?「スコット」のピアノを全面に押し出し、小細工せずにリズム・サポートに終始する。
しかし、最後には、「カーター」がベースでこの曲のメロディを弾いて…しずかに成就させるんです。

聴き易い、名演奏ばかりで…こいつは本当にお薦めのアルバムです。




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