ラバーコート


LEICA X1

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時計ベルトのアンチスエット化を何とか自分で出来ないか、いろいろな方法を考えていた。
そのうちのひとつの案が、表面を液体ゴムでコーティングしてしまう方法だ。
ベルトの裏側に液体ゴムを塗布しようというのだ。

液状ゴムはいくつか製品が出ているが、抗菌剤入りのものが無いかと思い、ネットでいろいろ探していた。
ところが通常のスプレー式のラバーコート剤のカスタマーレビューに、すでに時計のベルトに使用して効果をあげている方のコメントが載っているのをみつけた。
先人がいたのだ。

それでは僕も実践してみようと、早速コーティング剤を買ってきた。
東急ハンズでメディコムのスーパーラバースプレーと米国製のプラスティディップというものを入手した。
どちらも溶剤系のスプレー式ラバーコート剤だ。
メディコムはスモークとクリアーの2種類を買ってきた。(下の写真)
(この会社の製品は、昔トイガンの表面を金属的に見せるスプレーなどを使ったことがある)



コーティングする対象のベルトは、コレクションの中から適当に数種類を選んだ。
いざやるとなると、裏面の材質など、ベルト側にもいくつか条件が必要なことがわかってきた。
たとえばモレラートの中でも高級なマニファッティのシリーズなどは、裏面がスエード調だったり、リボンが付いていたりと、作りが凝っているためにかえって加工が難しい。

マスキングテープを使用したが、何しろ塗布するのがゴムなので、厚みがある上に伸び縮みする。
乾燥後テープを剥がす時に、それにくっついてコーティング剤まで剥がれてしまう。
ベルトの前後方向は仕方ないとして、サイド部分は下手にマスキングしないで、ベルト面に垂直にスプレーを立てて、エイヤッと塗ってしまったほうが良さそうだ。
またベルトのコバ処理の顔料系塗料が、マスキングテープとともに剥がれてしまうこともあるので要注意。

何度か重ね塗りしてラバー層を厚めにして、糸目の部分も上からコーティングしたほうが良さそうだ。
遊革はあらかじめ外して作業するが、それが出来ない場合はマスキングに少しテクニックが必要になる(笑)
塗料は風通しのいいところで数時間放っておくと乾燥する。
溶剤の臭いが強いので換気には注意が必要だ。



左から、
モレラートのグラフィックのオレンジをプラスティディップのスプレーで処理。
J.C.ペランのカイマンのルビーをスーパーラバースプレーのクリアで処理。
同じくJ.C.ペランのカイマンのコバルトブルーをスーパーラバースプレーのスモークで処理。
右端はカミーユ・フォルネのクロコダイルのグレー(アンチスエット仕様ではないもの)をスーパーラバースプレーのクリアで処理したもの。

どうやらベルトの裏材の種類で、仕上がりに差が出るようだ。
どれもほぼ未使用の新品の状態で加工したのに、クリアタイプのスプレーは、全般に色が濃くなって使い古したような仕上がりになる。
カミーユ・フォルネだけは、裏材が液体の染み込みにくい材質なのか、かなり吹き付けたが色はほとんど変わらなかった。

仕上がりに関しては、かえって真っ黒になるスモークの方が気に入った。
面白いものでベルトの内部に入っている基材の形が、スプレーをかけると浮き出てきて、表面にむらとなって現れる傾向があった。
仕上がりはわずかにべたつきがあり、ざらざらした感触になる。

ちなみに下の写真は、フランス御三家各社のアンチスエット仕様。
手前からカミーユ・フォルネ自慢のカウチュ。(糸目が出ていないのがわかる)
真ん中がJ.C.ペランのラバー。
奥がジャン・ルソーのアンチスエット材(ラバータイプも選べる)
やはりプロの作ったものは、後加工よりずっと仕上がりがいい(笑)



まあ、これで汗が染み込まなくなり、さらにラバーと接している肌に問題が出なければ、アンチスエット仕様が自作できたことになる。
うまくいけば、もともとアンチスエット仕様ではない製品を夏でも使えるようになるから、選択肢が大幅に広がる。
またベルトの寿命も延びるかもしれない。
しばらく使ってみて、結果をレポートする。
コメント ( 4 ) | Trackback ( 0 )
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コメント
 
 
 
Unknown (alte uhr)
2012-06-08 15:50:49
こんにちは

時計ベルトコーディネーターの先駆者であられるcolkidさんに是非、お聞きしたいことがあります。

ジャンルソーの既成品では、ベルトの裏側にブランド刻印の無いものがあるのでしょうか?
いかにも安っぽいスタンプがプリントされているだけのものを見つけたのですが…
しかも尾錠も現行のように刻印が無く、普通の尾錠なのです。

ジャンルソーのものは購入したことが無いものでして。
是非、教えていただければ幸いです。
 
 
 
Unknown (COLKID@自分の部屋)
2012-06-08 21:47:05
私の持っているジャン・ルソーはアンチスエットの革(合皮?)で、ラバーではないんです。
そのため詳しくわかりませんが、確かお店で見たものは金色の文字が入っていたような・・・
ただ大きな会社の工業製品ではありませんから、恐らく作った年代でどんどん変化していると思います。
古い仕様のものなのではありませんかね。
特にジャン・ルソーは日本で職人さんを育てていますから、その工程で習作もあるかもしれません。
バックルは、買うときにお店で好きな色に簡単に付け替えてくれるくらいなので、オリジナルから付け替えられた可能性もかなりあると思います。
 
 
 
Unknown (alte uhr)
2012-06-08 22:25:13
仰るように金色のスタンプでブランド名が押されていました。
おそらく古い仕様のものなのでしょうね。
割と安く売られているので、もしや偽物か?と疑ってしまった次第です(笑)

では、初めてのジャンルソーを一本購入してみます。
 
 
 
Unknown (COLKID@自分の部屋)
2012-06-08 22:55:19
そうですか。
普通のカーフなどでしたら、それほど他のベルトと変わらないかもしれません。
また最近の製品の形状は迫力を増しているようにも思えるので、そちらもお勧めです。
 
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