50年ぶりの町


D850 + SIGMA 35mm F1.4 DG HSM

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昨日は親戚の葬儀に参列した。
かつて・・と言っても50年以上も前の話であるが、僕の家があった地域のすぐそばのお寺で執り行われた。
僕が生まれてから幼稚園の途中まで住んでいた場所である。
少し早めに着いたので、母親と周辺を歩いてみた。

たまに車で通ることはあったが、電車で来て徒歩で回るのは初めてである。
本当に50年ぶりと言っていい。
町並みの記憶もほとんど無い。
地下鉄の駅で降りたが、そもそもあの頃は地下鉄がなかった。

品川の下町のごちゃごちゃした地域で、十数年前に車で通った時は、それでもかつての面影がけっこう残っていた。
しかしこの数年で新しい建物が増え、お洒落なお店や立派な住宅も建ったようだ。
車もポルシェやメルセデスが並んでいる。

だが本質的には庶民的な町で、東京の中では取り残された地域と言っていいかもしれない。
すべてが新しく入れ替わってはおらず、古いものと新しいものが混ざっている。
実際母親と歩いてみると、当時と変わっていないと母親が指摘した建物が、少数ではあるが残っていた。
もっとも我が家があったのは50年も前だから、それ以降に出来た建物もかなり老朽化しているのだが・・・

酒屋さんがまだ残っているとか、当時高校生だった叔母の同級生の家がここだとか・・・
そういった事を話しながら歩いた。
挨拶したい気持ちもあったが、いきなり黒い服で訪問する訳にもいかないだろう。

角に当時のままのタバコ屋さんがあり、入り口の引き戸に、腰痛でお休みしますと張り紙がしてあった。
母親はタバコ屋のおばさんが腰痛かと思ったようだが、年齢から言ってその人では無いだろうと話した。
確かに自分が80歳なのに、自分より年上の人はもうほとんどいないと母親も気付いたようだった。

僕の方はほとんど記憶が無かったが、花屋さんの前に立った時、その店構えから、時々夢に時々出てくるお店であることに気付いた。
昭和40年代の初頭に、ここでカブトムシを買ってもらった。
その当時でも、東京ではカブトムシはお店で売られていたのだ。
紐をつけてもらい、持ち帰ったのを覚えている。

この辺りにおもちゃ屋さんがあって、軒先に袋に入ったソフビの怪獣が吊るされていたとか、ダッコちゃん人形を買ってもらったとか・・・
そういう記憶の一場面が、次々に蘇ってきた。
自分にとって特別なことは、心の中にしっかりと刻まれているようだ。
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