ケロヨン


LEICA X1

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「バッハッハーイ!」

と、片手を振りながら挨拶してみたが、事務所の誰も反応しなかった。
何を言っているのか、さっぱりわからない・・という顔だ。

「知らない? ケロヨン・・・木馬座の・・・」

みな、顔を見合わせている。
本当に知らないようだ。
あれほど有名なキャラクターを知らないなんて・・・

僕の年齢が、ケロヨン世代に入る、ぎりぎりなのかもしれない。
もう少し歳をとった人にも聞いてみた。

「ケロヨンって、薬局にいる、あれでしょう?」

「違う! あれはコルゲンのケロちゃん、ケロヨンは木馬座のカエル」

「・・・」

幼稚園の頃、母親に木馬座の公演に連れて行ってもらった。
その時、舞台から降りてきた着ぐるみが、客席にいた僕を抱き上げたら、ギャーと激しく泣き出した・・とよく言っていた。

「そうでしたっけ? よく覚えていないけれど・・・」

と、母親まで忘れている。

「えーっ、あの時は泣き止まずに困ったって、よく言っていたじゃない」

「ケロヨンって、カルピスの藤城清治でしょう」

Youtubeでケロヨンの映像を見せた。
モグラのモグちゃんが車を運転するシーンが映った。

「ああ、このモグラは覚えているわ」

そう、このキャラクター・デザインの何ともいえぬ暗さ、少しグロテスクさを感じさせるリアリティがいいのだ。
登場する着ぐるみすべてに共通して、独特の雰囲気がある。
しかも、中に入っている人の動きが大袈裟で、その演技に感心させられる。
今見ても十分に面白い。

映像に合わせてケロヨンの歌を歌う。

「うれしい時はケロヨーン、悲しい時はケロヨーン・・・」

それなら知っていると、母親も口ずさんだ。

「パパにもママにも言えないことも、ケロちゃんになら、お話しできる・・・」

そうだ、ここの歌詞。
パパにもママにも言えないなんて、そんな秘密を持つこと自体が、とてつもなく悪い事のように、子供の頃に思ったのだ。
しかもそれを、得体の知れないカエルに相談するなんて・・・

最近、ケロヨンのことをほとんど聞かないが、とても不思議である。
あれほど一世を風靡したキャラクターが、滅多に話題に上らない。
何か理由でもあるのだろうか・・・
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