何度も書いているが、奥日光から日光にかけての地形は、非常に急な斜面であるため水が勢いよく流れ落ちる。
川は崖っぷちに出れば滝となって何メートルも下に落下するし、せき止められればそこに沼や湖が生まれる。
ここは太古より自然界の大きな変動により形作られた土地で、それは今後もまだ起こる可能性を十分に秘めているのだ。

日光の町から山のほうに向かってちょっと歩いてみれば、いくつかの滝を見ることができる。
先日は寂光の滝(5月5日のブログに写真掲載)を見てきたが、今回は裏見の滝に出かけてみた。

裏見の滝というのは、滝の裏側から見られる、という意味なのだが、行ってみると今はそんなことは不可能で、普通の滝と何ら変わるところは無い。
調べてみたらここも明治35年の大災害で大きな被害を受けた場所のひとつで、それまでは滝の裏側に行けたのだが、土石流で岩が崩れて通行不可能になってしまったらしい。
今でもその痕跡が残っているのか、滝の裏側に鉄の棒がかけてあったりする。

古い地図を見ると、日光の中心を走る道は URAMI ROAD となっており、かつては代表的な人気スポットであったことをうかがわせる。
最初は「怨みロード」かと思って驚いたのだが・・・(笑)

D2X+AFニッコールED180mmF2.8
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お玉突き


田母沢の御用邸を見学した。
もともとは小林家という民間の住宅であったが、いくつかの増改築の後、大正天皇の即位に合わせて大規模な増築が行われた、広く迷路のようになった建物だ。
長い年月の間に、様々の時代の建築様式が取りれられているという。
大正天皇はここをこよなく愛されたと言われ、今の天皇陛下も疎開の間ここで過ごされた。
終戦後国有財産となっていたものが、大変な金額をかけて修復され、一般に公開されているのだ。
さすがに見応えがあり、なかなか面白かった。

で、このビリヤード台の置いてある部屋だが、これが正式名は「御玉突所」。
お玉突きねえ・・・(苦笑)
トイレまでが御厠などと「御」付きで公開されている。
庭でカエルが鳴いたので、あれも御カエルに違いない、などと言っていたら、何とあれはモリアオガエルだという。
本当に御カエルだったわけだ(笑)

D2X+AF-S DXズームニッコールED17-55mmF2.8G
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鱒釣り


もともと中禅寺湖には魚がいなかった。
自然の大きな力が地形を変え、川をせき止めたことで出来た湖だ。
高低差の大きい崖を、激しい勢いで落ちていく巨大な滝が、この湖を孤立させていた。

福田和美氏の力作といわれる「日光避暑地物語」によれば、この湖には以下のような歴史があったという。

明治6年、地元の人が下流から持ってきたイワナを放してみたところ、中禅寺湖で順調に繁殖することがわかった。
それまでこの湖には魚がいなかったのである。

ところがこの湖はニ荒山神社に属しているため、一切の殺生は禁止され、魚を獲る事は許されていなかった。
しかし大きく成長したイワナは当時の人たちにとって重要なタンパク源であり、当然のように密漁が相次いだ。
聖なる地での違法行為に心を痛めた地元の人の運動で、明治19年になって、養殖することを条件に漁獲の許可がやっと下りた。

鱒釣りはヨーロッパの紳士のたしなみである。
この湖に故郷スコットランドを見たトーマス・グラバー氏は、ここでの釣りに夢中になり、別荘を建て毎日のように釣りに通った。
あの長崎のグラバー邸で有名なグラバー氏である。
彼は外来種の鱒を放流することを計画し、コロラドから川鱒の卵を輸入し、中禅寺湖に流れ込む湯川に放した。
これがやがて奥日光を代表する品種になったという。

今ここで釣りを楽しむ釣り人たちは、彼の業績の恩恵を受けていることになる。

D2X+AFニッコール180mmF2.8
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クルージング


一度乗ってみたいと思っていた中禅寺湖の遊覧船に乗った。
単純に「楽しかった」(笑)

いやー、愉快、愉快。
何がどう面白いのかと尋ねられても困るが、とにかく高原の湖の上を走るなんて、実に爽快じゃあないか。
船首近くに立てば、タイタニックの気分である。
この船けっこうスピードが出て、風を切って進んでいく。
湖岸には大勢の釣り人の姿が見えるが、船が通った後に立つ波は、数分後に彼らのもとに届き、彼らの釣りをちょっとだけ邪魔するだろう。

中禅寺湖を軽く1周するおよそ1時間の旅。
新緑の季節か、紅葉の季節が、特に素晴らしいだろう。

D2X+AF-S DXズームニッコールED17-55mmF2.8G
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15時55分


何のことは無いパワーショベルの写真である。

並び地蔵という、薄暗い場所に並んでいるちょっと気味の悪いお地蔵様を見学してから、川沿いの林の中の道を下ってきた。
今日はたった1日の日帰り旅行だったが、実に多くの場所を見て回った。
それにたくさん歩いた。

大谷川を渡る橋の直前で、この写真を何気なく撮った。
カメラには15時55分と記録されている。
その約5秒後である。

突然大地がゴォォォ・・・と低い周波数で唸り始めた。
僕は奥さんと顔を見合わせた。
山全体が唸っている。
25Hzくらいだろうか?と僕は思った。
効かせ過ぎのスーパーウーファーのようで、耳が圧迫されて痛い。
すごいエネルギーだ。
その間約3~4秒、橋の上を歩いていた地元のお年寄りふたりも、異変を察知してあたりの様子を窺っている。

その直後、ドンと下から突き上げられた。
橋の上のふたりはあわてて欄干につかまった。
もう一撃ドンときて電柱が揺れたので、危険を感じて側の広い場所に移動した。

でも結局それで収まった。
地震だろうか?
短い衝撃のような揺れだったので、爆発にも思えた。
あるいはダムの決壊、土石流の発生も考えられたので、すぐに橋を渡り、高いほうへ移動した。

途中家の母親に電話してみたら、栃木県北部で地震があったことがわかった。
向こうも心配して電話しようとしたところだった。

Mrs.COLKIDは栃木県の出身だが、子供の頃から空に虹を見ると、決まってその後に地震が起きたので、あの異様な虹を見た時から不安に感じていたという。
震源地は、今朝のあの虹の出ていた足尾のあたりらしい。
足尾の坑道の中で今日の地震に遭ったら、さぞや恐ろしいだろうと思う・・・

D2X+AF-S DXズームニッコールED17-55mmF2.8G
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虹のはじまり


驚異的な光景に、最初は我が目を疑った。
巨大な虹が、自分の立っている場所と同じ高さの空中に、大きくアーチを描いて現れたのだ。
その幻想的な美しさを、ただ呆然と見ているしかなかった。

虹のはじまりはどこだろう、というような歌があったが、まさにすぐそこに虹の始まりが見える。
気温は低く風は強く、雨はみぞれ混じりになってきた。
寒さに手がかじかんだが、巨大な虹の迫力に圧倒されて、夫婦でただその場に立ち尽くした。


朝早く家を出て、7時には奥日光に到着した。
中禅寺湖に突き当たるT字路を左折すると、道は半月山をクネクネと登り、頂上付近の大きな駐車場で終点になる。
途中までは日光市だが、最後は足尾町の土地となるこの道は、もしそこで終わりにならなければ、山を越えて足尾へと抜けていく、例のハイキングのコースに近いものになったであろう。

道の途中にある中善寺展望台からは、中禅寺湖、戦場ヶ原、それを囲む山々が一望できて、まさに絶景である。
一方終点のこの広場から見えるのは、反対側の足尾の山々の壮大な景色である。
その足尾の上に今巨大な虹が出ているのだ。

僕はこれを見ただけで早起きして来た価値があったと思った。
しかしMrs.COLKIDは何か不吉なものを感じ取っていたらしい。

D2X+AFニッコールED180mmF2.8
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悪猿


日帰りで日光に行ってきた。
またか、と言われそうだが、今後は当分、休日は日光周辺に出かけることになると思う。

本格的なイザベラ・バード研究家が大勢おられ、僕のような日曜研究家程度では何の役にも立たないことがわかってきたので、とりあえず対象を日光に絞ってみようと思ったのだ。
本業が忙しくて日曜しか動けないのが辛いところで、文書などを保管している施設はたいてい日曜休館なので、これはもう手も足も出ない。
せいぜい現地に出かけていって、写真を撮ったり、当時の資料を海外で入手したり・・・という程度の情けない研究ではある。

朝早く起きて日光に出かけ、夕方に帰ってきた。
1日のうちにこんなにいろいろな事ができるものかと感心してしまうくらい、盛り沢山の1日であった。
しかも今回はけっこう面白い体験をした。

このサルめは例によって明智平の駐車場でウロウロしていた悪猿である。
観光客からもらったのか、あるいは盗み取ったのか、握り飯を美味そうに食べながら、ふてぶてしく座っていた。
カメラを持ってジワジワと近付いてみたが、この直後、歯をむき出しにして威嚇してきた。

D2X+AFニッコールED180mmF2.8
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