シネマ日記

超映画オタクによるオタク的になり過ぎないシネマ日記。基本的にネタバレありですのでご注意ください。

ホワイトオランダー

2005-11-08 | シネマ は行
ホワイトオランダー(夾竹桃)…白い清楚な花だが、青酸カリよりも強い毒性を持つ。らしい。

このホワイトオランダーという花は主人公アストリッドアリソンコーマンの母イングリットミシェルファイファーそのものである。美しいが気が強く独善的で娘のアストリッドの世界を完全に支配している。しかし、それは暴力でもって強制されたような種類の支配ではなく、まるで生まれた時からの洗脳、ある種の宗教のようである。(それは、母にとっては愛情の示し方だったのだろうけど、、、)

その母と一緒に暮らしていたころはアストリッドもその“洗脳”を心地よく感じていたのだろう。母が自分を裏切った恋人を殺害し刑務所に入れられ、里親の下での暮らしを余儀なくされるまでは。

15歳のアストリッドは里親の下でなんとか新しい暮らしに慣れようとするが、ことごとく面会に行った母に自分の努力を非難されてしまう。母は自分以外のガイドを認めようとはしなかった。

ここで初めの里親スターロビンライトペンやら、ロシア人の女やらが出てくるんだけど、里親になれる制度ってこんななの?とちょっと驚いてしまう。スターは敬虔なクリスチャンだけど、どうみてもマトモな感じはしないし、トレーラー暮らしで自分の子ども以外を引き取って養えるとは思えない。お金の援助とかが出るのかな?それが目当て?と思えちゃうような環境だ。ロシアから来た女は、何人もの女の子を預かって商売(売春ではない。闇市みたいなの)に使ってるし、環境悪すぎじゃん。

と言っても、このロシア人の女のことはアストリッド自身がとても良さそうな夫婦よりもこの女を選んだんですよね。この時の彼女の心境は何だったんだろう。母へのあてつけか?堕ちるトコまで堕ちた自分がどうなるか、母から脱却できるか根性を試したかったのか?

その後、少しマトモな(後に情緒不安定と分かるが)若い夫婦のところに行くのだけど、ここでの“お母さん”レニーゼルヴェガーと仲良くなるアストリッドとの関係に嫉妬してか、ここでも母が邪魔に入る。その結果は悲劇となり、母の思いとおりになってしまう。。。繊細な神経の持ち主をレニーがうまく演じている。

なんと言っても、母親役のミシェルファイファーが素晴らしい。本当に“ホワイトオランダー”を思わせる透き通るような冷たい美しさにあのカリスマ性のある目。(本当に不思議な魔力を持っているかのような目だ)この母親のキャラクターにピッタリです。この人の影響下から逃れるには強い意志とアストリッドのような極端な行動が必要であったということにすごく説得力を与えています。

一人の娘の強大なパワーを持つ母親からの脱却。そのためには知りたくもない真実にも首をつっこんでいかなくてはならなかった。それでも。それだけの決意をアストリッドの表情に読み取ることができたし、最後に母親の一片の愛情をみることができたことも彼女にとっては救いだったろう。


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3 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
面白そう (lucky777_sw)
2005-11-08 15:29:58
これは、ミッシェル・ファイファーとレニーゼルヴェガーが出ているというだけでも魅力的な作品ですね。内容も面白そう!

里親になると援助金が出るという話は聞いた事があります。それを目当てで里親になる人も少なくないようです。そんな人でも里親になれるなんて審査が甘すぎる気がしますが、それでも必要なくらい里親を必要とする子供が多いという事かもしれませんね。
TBさせていただきました♪ (メル)
2005-11-08 17:23:59
この映画とても良かったです♪

それぞれの女性がとても丁寧に描いてあって

みんなそれなりに納得できたりしましたし。

おっしゃる通り、ラストも印象的でした。
やっぱり… (coky)
2005-11-08 19:05:50
>lucky777_swさんへ



やっぱそうなんですか。そりゃねぇ、一人の子供を預かるわけですから、お金はたくさんかかるし援助金があって当然とは思いますけどね、、、理想と現実ではなかなかというところでしょうか。実際誰かの里親に善意だけからなれなんてワタクシには言えませんしね。



>メルさんへ



確かな実力の役者が揃いましたよね。そうでなければ成功するのはなかなか難しい映画だったと思います。

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