えいがのひ

映画の感想をつらつらと書いてます。

奇談

2005-11-26 00:22:23 | 映画感想
映画『奇談』

諸星大二郎の漫画が原作。
原作は未見だったので、予告を見た段階で霊界物っぽいシーンと、阿部寛ということで、チープな作りを予想して、笑いをとりに観に行ったものの…
ものすご怖かったです。重厚な作りにちょっとびっくり。

一瀬隆重プロデュース作品。
『リング』はともかく、『呪怨』は幽霊があからさま過ぎて、アップの化粧、でなく特殊メイクと相まってギャグになっていたので、またまた派手な脅かしのものだとばかり…いやぁ控えめすぎて反って怖かった。

1972年が舞台なんですが、小道具から車、バス、電車、と全てが力が入った揃え具合でした。チープだなんてとんでもない。失礼しました。
ラストはなんとなく拍子抜けでしたが、もーそこまでが怖い怖い。

冴えない彩りやBGMの少なさが緊張感をもたらします。
オーバーアクションもない分、じんわりと怖いです。
主人公の女優のモノローグが最初は不自然ぽく感じましたが、観ているうちに、70年代の雰囲気と相まって、とても作品に合っていました。

原作もたまっていることだし、1年に1回とか、これシリーズでやってくれないかなぁ。
この短めの上映時間がぴりりと引き締まっていい感じです。





予告編でのSony某計測器。
映画館での携帯、特にメール確認なんてもっての他、は絶対反対なので、はったり結構。
もっとどんどんやっちゃってくださいって感じです。
まぁSonyさんは今はCDの件でそれどころじゃないかもしれないけど…

親切なクムジャさん

2005-11-24 23:22:18 | 映画感想
映画『親切なクムジャさん』

韓国映画。『オールドボーイ』のパク・チャヌク監督。

幼児誘拐殺人犯として13年服役した女性、優しく親切で模範囚のクムジャ。だが彼女は自分を陥れた男への復讐の時をずっと待っていたのだった…

主演は『JSA』のイ・ヨンエ。
ちょっと最初はシーンのぶつ切り状態とか主人公を巡る人物関係が分からず、唐突な感じがして意味が分かりづらい所がありましたけど、後半はなんとかついていけました。

なんかこの監督の画面のモノローグの所の演出方法があまり好きではないかも。一歩間違えれば、ほっとするというより、下手なギャグっぽくみえてしまうところとか…なんであんな風に見せるんだろ?

初めはどこがR-15?と思ったんですが、さすがに後半は納得しました。
悲しくやりきれないシーンも多め。
何しろ幼児誘拐殺人犯の理由付けが弱い…そんなことが理由かい、って尚更やりきれなくなるし。

結局、主人公、真犯人、その他の協力者等の人間関係が今一つ掴めず、動きがあってもそのシーンではピンときませんでした。後半ぎりぎりでようやく分かった気になった程度。

でもこういう復讐は自分的にはアリです。
ってか、罪にはそれに応じた代価を支払わないとね。昨今の凄惨な事件の多さには、この手の、ある意味勧善懲悪は必要だと思う。
他人を、全て己の都合に合わせた物扱いでしか見ることが出来ない人間は本当に許せません。道徳教育にもってこいの、御伽噺の悪い人には不運を…ってな例えは、もう甘すぎる時代になってしまったようです。

あ。とても気になっていることが一つあって…
最後の娘との対話のシーンがちょっと理解不能で気になってます…あれって現実のことなんでしょうか?

オープニングタイトルの所は、シンプルなデザインと、その演出が斬新で、何が現れるのかと目が離せませんでした。
監督・スタッフは当たり前ですが、『オールドボーイ』からの役者も引き続き出演している人が多いみたいです。
自分は『オールドボーイ』、『復讐者に憐れみを』は未見なので、復讐三部作最終章と言われてもピンとこないので、比較することは出来ませんでしたけど…


春の雪

2005-11-24 23:18:50 | 映画感想
映画『春の雪』

三島由紀夫の完結していない小説の映画化。

悲恋でなかなかしみじみ…ってことなんでしょうが、自分的には男の不甲斐なさにイライラ。
意地っ張りもいい加減にしろという感じです。
共感も出来ないし…行動があまりにも子供っぽい。
こんな事態になる前に、5度以上もそれを止めることが出来る状態であったにも関わらず、自分勝手な意地から見て見ぬ振り。
引き返せないところまできてからいきなり慌てて動き出すって…
この男のキャラクターに、感情移入や好意がとことん持てないために、ちょっとうんざり気味でした。
何を今更、世界の終わりがきたみたいに騒いでるんだと、醒めた気分に…

友人からも言われてますが、ここまで徹底的な障害がなければ、彼はこんなに彼女に入れあげなかったんじゃないかなとも思えます。
普通の許婚状態だったら、冷ややかな態度で相手を試すようなことばかり仕掛けてそう…

自分はもっと密やかな恋かと思ったんだけど。
聡子の態度は初めからバレバレどころか、意外なほど積極的だし、恋仲になってからは更に人目も構わず…
そこもちょっと自分的にちょっとしっくりこなかったところですね。

映像的にはとても綺麗です。いかにも昔の風情。ドレス姿も着物も衣装全般美しいし。
人々のおっとりとした動作とか、雰囲気作りもなかなかです。

聡子の子役の百人一首の読み上げが綺麗な声で印象に残りました。

なんか及川ミッチーはこういう役が似合うというか、多いなぁ。
特に横恋慕役なんて。そしてただの引き立て役になりさがってしまうところが哀しい。
どうせならもっと往生際悪く、めいいっぱい出ずっぱりで、主人公達に意地悪でもして欲しかった。
ちょっと無理がありすぎの要望ですけど。


イン・ハー・シューズ

2005-11-24 23:14:33 | 映画感想
映画『イン・ハー・シューズ』

監督はカーティス・ハンソン。製作として、リドリー・スコットも参加。

質素堅実な姉(ローズ)と、仕事は長続きせずに男にだらしのない自由奔放な妹(マギー)。

トニ・コレットとキャメロン・ディアス、そして姉妹の祖母役シャーリー・マックレーンの3人の演技がうまく絡み合ってます。

どこかで見たことある設定に、エピソードの数々。
なのに、とても感動します。ささやかなシーンにジーンときたり、微笑ましく思えたり。
ありふれた話をとても感動作に仕上げています。

どのキャラクターも駄目な面を見せつけながらも厭味がなくて、共感できるところが多いです。
マギーなんていい加減な生き方で人に頼り切った甘ちゃんとは分かっていても、何故か憎めません。
難読症ってなんだ?文盲とはどう違うんだ?と疑問だったのですが、そんな障害もこのキャラクターを生かしています。

色々な話題作と重なってしまって、今一つ地味になっているのが残念です。
これはもっと話題になってもいいと思うんだけど…すごくもったいないなぁ。

タイトルが初めは何を意味するか分からなかったのですが、
そのものずばり!様々な靴がずらっと勢ぞろいです。
といっても、クローゼットの中にずらっと並べてあるだけなんですが…
姉が落ち込んだ時に、靴を眺めやって自分を慰めるというエピソードがとても引き立ちます。まず履くことはないけれど、そこにあるだけで慰められるという心理が妙に共感できます。
しかし、靴なんて人それぞれのサイズなのに、みんなよく人の靴履けるなぁ…

上に書いた難読症とは、能力に特に異常があるのではないのに、読書する時、文字を書く時などに、特定の文字を理解出来ない、といったことをいうらしいです。
なんとこれにかかってる人は結構多く、トム・クルーズ、オーランド・ブルーム、キアヌ・リーブス等も克服してるとか(映画サイトより)…
これにはびっくり。役者でこれは致命的ですよね。台本が理解できないんだから…それもこんな有名俳優達がそれだったとは。
よく克服できたなぁ。

エリザベスタウン

2005-11-22 23:56:33 | 映画感想


映画『エリザベスタウン』

オーランド・ブルームがヒューマンチックな映画を主演。
シューズのデザイナーとして10億もの莫大な損失を出し、会社を首になった主人公、ドリュー。自殺しようとしたとき、実家のケンタッキー州に戻っていた父が急死したことを知らされる。

南部の滅茶苦茶親戚づきあいが強いところとかも、今の人々の繋がりの希薄さをみると、やっぱりこういう生活もいいもんだなと思えます。
まぁちょっと干渉されすぎそうなところが怖いけど…

ヒロインの最初の強引な干渉の仕方も南部人らしさをアピールしてるのかな?いくらなんでもスチュワーデスとして職権乱用というか、ちょっと押し付けがましすぎる、と思っていましたが、その後はそれほどでもなく、すんなり好感が持てました。うーん…最初が不自然すぎる程、強引な接触だよなぁ。

所々笑いの要素もあり。
押し付けがましくなくささやかに日常の様子を差し込むので、ゆったりと観ていられます。
観る前はこれは泣かせる映画かな?と思っていましたが、そこらへんもあっさりと人々の流れに任せています。
こういうくどくないもののほうがほっとするというか、優しい感じですね。

ヒロインのキルスティン・ダンストも、美人と言うより個性的な顔。映画中本人の台詞でもありますけど…でも、だからこそ妙に印象に残ります。出るたびにすぐ彼女だと分かるし。彼女はおいしいというか、いい役が多いですね。
父の死を前に、悲しむよりも先に不思議な顔をして観察する主人公がリアルです。
オーランド・ブルームも様々な役をやるようになったなぁって感じ。

車でのシーンが結構多いのですが、携帯電話しながら運転、余所見運転等々が多くて、こっちはビクビク。
殺風景というか、のどかで広い道路が多いあちらでは、あれでも大丈夫なんでしょうが、日本であれをやられたら危なくてしょうがない。

しかし。あの返品の山のシューズ。
あれってリコールでもされたのかな?
どんな理由であそこまでの損害になったか是非とも知りたかった。いつ原因を喋ってくれるのか心待ちにしていたんですが、とうとう最後まで具体的な事は分かりませんでした。
…う~ん気になる。
激しい運動をすると筋肉を傷める靴だったとかだったら分かるんだけど、単に「売れ筋じゃなかった」では、あそこまでの評判の悪さは納得いかないなぁ。真相は如何に?

さむい…

2005-11-17 23:45:56 | Weblog
いきなり寒いです…
あー、もうちょっと
ぬくい小春日和を感じさせてくれてもいいのにぃ。

今週、映画はやっぱり観に行けなかったし…
先週末から公開の映画、観たいの結構あるんだけど
時間に間に合わない状態。

来週からは仕事も楽にはなる!
…ハズ、なんだけど。
いまいち見通しが立たないのが哀しい。

まぁ来週は休みがあるからそこでまとめ観ようかなぁ。
…休日昼間は混むから避けたいんだけど。
う~ん…どうしよ。


ブラザーズ・グリム

2005-11-10 23:15:14 | 映画感想
映画『ブラザーズ・グリム』

19世紀フランス占領下のドイツでのこと。悪霊退治と見せかけて村人達から金を巻き上げ、詐欺で土地土地を渡り歩いている兄弟は、そのカラクリがフランス軍にばれ、命と引き換えにある村の少女行方不明事件を解決するようにと命令を受ける。

グリム童話でお馴染みの登場人物達がほんのちょい役で次々出てきたり、童話上のアイテムもあらゆるシーンでちりばめられています。

夢見がちな弟ジェイコブ(ヒース・レジャー)と、自分勝手のように見えて弟思いの兄ウィル(マット・デイモン)。
ありがちではあるけれど、なかなかいい感じです。
一人ちょっと浮いた感じの某キャラクターも最後にはびっくりするくらいフレンドリーだし。ってかいつの間にあんなに?

森の雰囲気もいいし、忽然と現れる塔もいかにもだし、侘しい佇まいの泥道の村もなかなか、と雰囲気作りは完璧。
そのわりに鏡の呪われた女王の結末が、あまりにも典型的であっさりしすぎたのが残念だけど…
やっぱりラスボスとは散々やりあってくれないとちょっと物足りないなぁ…

しかしともかく陰鬱な天候と底知れぬ森の深さとその色合いがとてもしっくりときていて綺麗でした。

マット・デイモン結構好きなんですよね。
利己的で軽くもありながらいいお兄ちゃんって役も似合ってるし。
実在のグリム兄弟はヤーコブとヴィルヘルムという名前で、ヴィルヘルムの方が1歳年下だとか。
とても仲がよい兄弟だったらしいですね。


ドミノ

2005-11-03 23:46:36 | 映画感想
映画『ドミノ』

実際にいた賞金稼ぎの女性、ドミノ・ハーヴェイのフィクションを取り混ぜた映画。
有名俳優、ローレンス・ハーヴェイとトップ・モデルの間に生まれたドミノ。
のちの母親の再婚で大富豪の娘になるも、その生活に満足できない。
不自由ない生活に、モデルの経験、でも彼女は危険と隣り合わせの賞金稼ぎの道を選んだ…

今時の賞金稼ぎ?ってかんじだったんですが、保釈金で外に出た犯罪者が行方を眩ませてしまうのを捕まえるという、保釈金保障の請負人。
なるほど今時の賞金稼ぎってこういうものなんだ、と納得。

画面のスライドや切り替え、フィルムの早回し等ちょっと目に煩く感じるところと、「実は…」と同じシーンを巻き戻してやり直す所など、初めのうちは意味する所が分かりづらく、どうも乗り切れなかったのですが、ラスト近くなるとさすがに盛り上がりました。
ラストはなんともいえない切なさを感じます。

まぁこれは実際の彼女が、映画の完成前の今年の6月27日に自宅の浴室で謎の死をとげているという知識があるからなんですが。享年35歳。
エンドロール最後に出てくる笑顔の女性がドミノ本人なのでしょう。
ラストの「思い出に捧ぐ」もほんの少し前まで実在していた人のことだけに胸に迫ります。
映画中でこの死に少し触れるかと思ったのですが、そこは匂わすこともなく終わりました。その分余韻が出ているかも…

映画の最初や様々な所で、どこまで真実かは重要じゃないというようなことをキーラ・ナイトレイの独白で聞かされるんですが、実在の人物の話だけに尚更に登場人物達のどこまでが本当の事なのか、反って気になってしまいます。
変にスタイリッシュっぽく作りすぎで、画面や音が煩い映画で分かりづらいと思っていたのに、終わってみると妙に印象が残る映画でした。

しかし。映画の字幕で30万とか1,000万とか書かれると、どうも円で考えてしまって、一瞬たったそれだけ?ってかんじだったんですが、次の瞬間に「あ、ドルだ、桁が違う」と、内心笑ってしまうこと度々…
陸運局ってすごい情報がいろいろ集められるんだなぁとちょっとびっくり。
キーラ・ナイトレイは相変わらず綺麗です。『パイレーツ・オブ・カリビアン』の続編も楽しみ。
ミッキー・ロークがチームリーダー、エドの役。本当にこういう役が似合う、というか、こういう役以外が似合わなくなりそうなくらいはまり役でした。
チョコ(エドガー・ラミレス)の女性に対する不器用さもなかなか切なくなります。うーん…ラスト切なすぎだなぁ…