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日本政府やマスコミが放射線・放射能の影響をごまかすワケ

2011-03-23 02:12:44 | ゲイ事情
枝野官房長官の記者会見では、必ず「直ちに人体に影響を与えるレベルではない」が繰り返されてるよね。NHKやその他民放も含め、メディアでも「直ちに」を強調。だけど、そこに年単位で住むことで被曝する放射線量の値と、X線写真やCTスキャンなど一瞬でしか被曝しないものを同列に比べて「だから問題ない」っていう言葉のレトリックで視聴者を「落ち着かせよう」としているのは悪意を感じる。だってそれを信じた人には、10年後、20年後に健康被害が出る確率が高くなるんだもの。

政府やマスコミが繰り返す「直ちに」が何を意味するかについては、中部大学の武田教授が、そのブログ「原発 緊急情報(21) 「直ちに」とは何か?「冷静に」とはなにか?」の中で鋭い指摘をしている。放射線被ばくの単位の説明について枝野官房長官やマスコミがごまかしていることも武田教授やその他の専門家は指摘している(参照:原発 緊急情報(10) 政府・マスコミ、ごまかし。危ない?!)。それに加えて、体外からの被曝と、放射能汚染された食品・飲料物を口にすることで発生する内部被曝の恐ろしさについても、いろんな人が指摘しているのに、政府からは一向に説明がない(参考:田中優氏広瀬隆氏原子力資料情報室。)

それに、普通に考えて、ホウレンソウが汚染されてるなら、その他の野菜も汚染されてるでしょう。乳牛が汚染されてるってことは豚や鶏も同じレベルの放射線・放射能に被曝してるってことだし。葛飾区の浄水場が汚染されてるってことは、そこら一帯にそれだけの放射性物質が飛来したってことだよ。普通に考えたらそうでしょう?

原発の事故が起きた当初から、日本政府や東電って情報を出さず、とことん国民の不信感を買ってると思う。だけど、こういう政府の「情報出し渋り」について、「それは国民の不安を煽らないためだよ」って本気で信じてる人があまりに多いのに、僕は唖然としてしまう。テレビや新聞でも「不安を煽ることはよくないので」なんて言うアナウンサーや「専門家」が登場するけど、事実を伝えずに、健康被害のリスクに多くの人をさらした状態で「不安を煽らないため」というのは目的を間違ってる。「事実をありのままに発表することで多くの人がパニックに陥る」危険性よりも、「事実を伝えず、多くの人の健康を危険にさらす」ことのほうが重大な過失だと僕は思う。事実を知らされることで人がパニックに陥るかどうかは不確実性が高いけど、このままだと多くの人の健康が10年、20年後に損なわれるという確実性のほうが高そう。まだ福島県内の放射能・放射線汚染について政府が発表してないことも気に食わないし、いまだに「直ちに」を繰り返す政府・マスコミも気に食わない。気象庁は花粉飛散予想をしててデータも技術もあるのに、福島原発からの風量・風向きを一向に発表しない。こんなときに納税者の役に立たないお役所って何?(政府が動かないので、研究者グループが独自にデータ収集してる:放射線モニターデータのまとめページ)

補足:ちょうど3月23日、原子力安全委員会が「放射性物質の拡散予測図を公表」したね。一方、東電は24日、「放射性物質の拡散シミュレーションは困難」 として今後も出しそうにない。そりゃーそだ。出したら自分の首を絞めることになるわけだしさ。

原発事故が起きてから最近まで、ずっとこの「ごまかし」や「情報の出し渋り」にふつふつとした怒りを感じて、いまだにその気持ちは同じなんだけど、最近、ふっと目覚めたことがある。

政府の「ごまかし」「情報の出し渋り」の目的は、「不安を煽らないため」でも「混乱を引き起こさないため」でもないんじゃないかなぁ。少なくとも、それらが第一の目的ではない。もし、正しい情報を出して、東電の福島原発の事故、そしてそこから流れ続けている放射能・放射線の汚染の度合いと人体への影響を認めてしまうと、東電だけじゃなくって、日本政府がかぶらないといけない対策費用や補償費用の負担は甚大なものになってしまう。政府は、それを回避しようとしてるってこと。後々、福島県とその近隣の多くの人がガンになった場合、もし政府が今の時点で「人体に深刻な影響を与える可能性があるので、避難してください」と言ってしまうと、それが証拠として法廷で国・東電側にとって不利に利用されてしまう。「事件発生当時から、日本政府は放射能汚染の人体に与える深刻な影響について理解していた。にもかかわらず、対処を怠った」という論理で原告側はその情報を利用すると考えるのが当然。今の時点では、「直ちに人体に影響を与えるレベルではない」と言っておけば、後々、訴訟問題になっても、言い逃れができる余地が残されてるじゃない?この点については武田教授も同じことを言ってる大前健一も、「枝野長官は、後々「あの時、間違ったことを言った」と言われないように慎重に言葉を選びながら問題にならないように発言している」と言ってる。枝野長官って弁護士だしね。後で責任追及されないように、相当慎重になって踏み誤らないように発言してるよ、確かに。

フランスの教授もこんなことを言ってる:
(引用)また「日本の放射線防護政策は、何より原子力産業の保護を優先する」として、原発作業員が白血病などを発症しても、めったに労災と認定されないと批判。厚生労働省が今回の事故対策に限り、被ばく線量の上限を250ミリシーベルトまで引き上げたことについて「この緊急措置は、作業員が死亡することになっても(東京電力が)補償請求を免れるための方便である可能性がある」と指弾した。(引用終わり)

福島原発の問題について、政府の対応(と政府の指導と大手広告主の東電の圧力で報道しているマスコミ)を見るにつけ、国民を守るためにある政府だと思ってたけど、やっぱ、国っていうのはいざというときに弱者を犠牲にする組織なんだなぁって思い知らされたよ。国が今、一番守ろうとしているのって、日本経済と、今回の原発事故に対する訴訟対策。一般人の健康って文字通り二の次。10年後、20年後にしかわからない、しかも今回の原発事故と因果関係を証明することができない個人の病気なんかより、いまある一大事、つまり被災地の復興、日本経済への影響、諸外国からの訴訟や日本製品不買行動、日本経済への信用などへのダメージを最小限に抑えることなんだよね。「健康に害があります」と言ってしまった途端に、国民は、「じゃ、国としてちゃんと対策を取って」ってことになって、その費用は赤字で火の車の国庫を直撃することになる。被災地の復興もしないといけないしね。

今回の福島原発事故に関して、「国民の健康を守る」っていうことと、「国の経済を守る」っていう二つの利害が真っ向から対立してしまった感じ。そして日本政府は、「国の経済を守る」という利害を守ることにしたんだよ。だって「国民の健康を守る」っていうことは、人や企業が国の首都からいなくなってしまうかもしれないことを意味するし、全員に手厚い補償してたら、人は助かっても国の経済は沈没ってことだから。そこはやっぱり「合理的(reasonable)」な判断ってことになるんだろけどさ・・・。「国の経済を守る」ってことは回りまわって国民の生活を守ってるってことでもあるわけで。こう考えると、異様なまでの情報操作された日本の政府発表やマスコミの報道もその意図が透けて見えるべ。

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3 コメント

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Unknown (ジロドゥー)
2011-03-24 13:37:41
その武田教授って、トンデモに思います。専門でもないし。


人体への影響は、放射線量の体内への蓄積量で決まるようです。つまり、通常との相対値でリスクが高まる訳ではなく、あくまで絶対値で判断しなければなりません。また経年により、体内に取り入れられた放射性物質は代謝されますし、放射線によるダメージもある程度までなら修復されます。事故自体は二週間から一月の間に収束可能だろうと見られているので、日本のマスコミや専門家が心配するなと言っているのは、そこに論拠があるわけです。放射性物質は徐々に拡散するので。加えて言えば、海外メディアはやっぱり人事なので、控えめに言っても、やや誇張的な論調になる傾向があるようです。専門家の言う危険とは、どれだけのマージンを見込むかということですが、全く安全なところにいる人がマージンを大きく取るのは当然でしょう。


ところで因果関係が科学的に証明できないって、どういう意味かわかりますか?それはつまり、因果関係が存在しないということと同義です。一般の人の感覚では、今後原発近くの人が白血病になればそれは当然放射線のせいだとなるわけですが、もしその発症率が全国平均や世界平均と有意差がなければ、科学的には放射線の影響を認めることはできなくなります。因果関係を指摘できるのは、従って「宗教的・慣習的、或いは素朴な思い込み」によるドグマだけになります。つまり、気持ちの問題です。


因果関係を証明できないものは無視する方が合理的なのですが、専門家ももちろん間違えたりするために、「影響があるとは考えられない」閾値より、なお十分なマージンを取って考える必要があります。そして今の政府と専門家は、まだそのマージンを十分に保った上で警告を発していて、加えて事態が今後大きく悪化することはないと考えられますから、もちろん政治家が保身しか考えてないということは当然ありますが、そうであったとしても、今のところ公式の発言は妥当な範囲にあるだろうと考えられるのです。この妥当というのは、誤魔化しも含めた上での話です。
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Unknown (t。)
2011-03-25 19:02:12
ジロドゥーさん、長いコメントですね・・・。

言いたいことは分かるよ。やっぱり日本がこんな大惨事になって、日本人として悲しいし、早く復興して欲しいし、もし僕が日本に住んでいたらよりいっそう原発事故の被害は最小限に終わってほしい。

だけど、やっぱり日本の政府と東電の対応・情報公開はおかしいなと思ったのでこのブログを書きました。「安全の安売り」をしている当局に対する疑念を抱いたので、その理由を率直に意見したということ。事実、避難地域はどんどん拡大していく一方。それがすべて後手後手。今日は原発での作業員3名も重大な被曝をして、状況はまだまだ混乱した状態。だからこそ、国であっても東電であっても、そこから出てくる情報は完璧じゃないよね。所詮、人間がやってる作業だし。政府や大会社が完璧なんだったら、そもそも福島原発の事故は起こってなかった。だったら個人個人、いろんな情報源から状況を理解しようとするのは当然のことだと思うよ。それがより良い民主主義につながると思う。

それと、利害・利権で操作できるマスメディアや政府だけに情報を頼るのはやっぱり危険だと思う。水俣病や薬害エイズなど、国を相手にした訴訟が何十年という歳月がかかるのをみても、国に責任を認めさせるのが相当難しいことは明白。あと国も間違いを犯す、ということもね。

一方、インターネットで得られる情報も玉石混交だから、誤った情報もあってそれも危険だけどね。自分で判断して情報を取捨選択することが大事になるよね。なので、僕のブログも、ジロドゥーさんのコメントも、きっと情報リテラシーの高い読者の方であれば、さらにご自身のフィルターをかけて取捨選択してくれるものと信じてます。

「人体への影響は、放射線量の体内への蓄積量で決まるようです」と、ジロドゥーさんも又聞きの様子。僕も原子力・放射能の専門家ではないので、お互いに又聞きした情報でこまごましたことを議論するのは不毛だとは思う。専門家の間でも細かいことは意見が分かれるだろうし。だけど、「放射線量」は体内に蓄積しないよ。「放射能」や「放射性物質」は蓄積するけど。今日、作業員3人が被曝したのは、高線量の放射線による外部被ばく。だから放射線も強ければ人体に「直ちに」影響する。原発から離れた場所にいる人であれば、こういう「高線量の放射線」による外部被曝の可能性はほとんどなくって、食べ物に蓄積された放射能を体内に取り込むことで受ける内部被曝が深刻な問題になりうる。だから半減期が8日ちょいのヨウ素131よりも、 30年のセシウム-137が、そしてどんどん環境に蓄積されていく放射能が、今後ますます不安材料になる。

「その武田教授って、トンデモに思います。専門でもないし」、と書かれてるけど、やっぱりご自身が専門家でないのに、専門家を全否定するのはどうかと。武田教授も、次のように書いてる:

「私は長く原子力関係の仕事をしていたので、その間に「第一種放射線取扱主任者」の資格を持ち、業務をしていた。 別に自分がどうのこうのということではないが、「武田は素人だ」という人もいるが、皆さんに安心してもらうために、第一種放射線取扱主任者は「日本人を放射線から守る資格」としては最高のもので、オールマイティに業務を行えることを断っておきたい. このブログにも第一種放射線取扱主任者の方から多くのアドバイスをもらっていた。たとえ大臣といえども、放射線からの防御という点では第一種放射線取扱主任者の命令を聞かなければならない、そういう資格なのだ。」
http://takedanet.com/2011/03/16_3882.html

「ところで因果関係が科学的に証明できないって、どういう意味かわかりますか?それはつまり、因果関係が存在しないということと同義です」、というのも異議あり。だって、『晩発』を引き起こす放射線量には閾値が存在しないんだもの。少しでも放射線を浴びれば、人体は影響をうけるわけで、可能であるなら被曝しないほうがいいというのはどの科学者も認めること。

それが、自然界から受ける放射線量に上乗せして、受けなくてもよい事故による被曝というならなおさら。原発事故によって余分に被曝したがために晩発を起こしてしまう人はゼロとは言えない。「因果関係が存在しない」っていうのは乱暴な言い方だと思うよ。「自然界から浴びる放射線と、原発から漏れ出た放射線を分けることができないから、因果関係を証明するのは難しい」というのがより正確な言い方だと思う。それに加えて、その人の家族の発がん率・病歴や、生活習慣など、いろんな要素が発がんには関連してくるから、原発から漏れ出た放射能が主な原因となってガンを発症した、と証明することが困難という意味。

「因果関係を証明できないものは無視する方が合理的」というのも、まさに国や東電はそういう考え方なんだよね。でも晩発してしまった人は泣き寝入りしかないのかと思うと、じゃ、できる限り被曝しないほうがいいじゃない、という話になってくる。

「海外メディアはやっぱり人事なので、控えめに言っても、やや誇張的な論調になる傾向があるようです、、、全く安全なところにいる人がマージンを大きく取るのは当然でしょう」ってことだけど、武田教授みたいに日本に住んでる人でも「誇張的な論調」の人がいるし、「他人事なので誇張」と言うなら、国益という自分たちの利害がかかわる日本政府が事実を矮小化して報じていると思わないのはどうして?

ジロドゥーさんのコメントを読んで、本当に気持ちは分かります。僕が書いたシニカルな意見に反対したくなる気持ち。でも僕のちょっと悲観的な意見表明は、政府・東電の後手後手の対応に対する批判であるという点を忘れないで欲しい。こんな大事故が起きてしまって、しかもそれを自然災害だけのせいにしようとしてる東電の社長のコメントとかを読んで、悲しみを通り越して憤りを感じてる僕の率直な気持ち。そう、この事故・事態は、日本人にとって未曽有の出来事で、誰もが気持ちを揺さぶられる、「気持ちの問題」でもあるんだよね。でもそういう国難であるときこそ、感情で判断するのではなく、ちゃんとバランスのとれた正しい情報を幅広く収集して、気持ちだけで判断してしまわないようにしないとね。
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Unknown (ジロドゥー)
2011-03-25 23:28:37
お返事ありがとうございます。長いコメントで済みません。僕って何故かいつも長文になるんですよね…。


まあ細かいところは触れませんが、原発に関しては、万が一の可能性もあるかも?と、ちょっとだけ覚悟してたら、あまり心配する必要はないと思います。


ただ、やっぱり一つ気になるかも。要因が多すぎて証明できないというのも、同じことなのです。僕が気持ちの問題と言うのは、科学が確認しないものをあるとするので、そうだと言うことです。放射線を浴びなくて済むなら浴びない方が良いというのはもっともです。でも、たばこや排気ガスやアルコール、一部の人工甘味料から予防接種まで、なくて済めばそれに越したことのないものは極めて多いですね。同じように、放射線は確かに目に見えないですし危険なものですが、いずれにしても要はリスクマネージメントの問題なのです。東北や関東を機能不全にすることで科学的に証明できないレベルのリスクを回避することが、合理的な選択だとはとても思えません。


まぁでも論点はそこじゃないのか。ごまかしが許せるか許せないかでしたね。即時的に隠蔽があっても遡及的に開示されるならOKだ、と僕は思います。政治判断ですね。政治はそれでいいし、個人はしたければそれに反対すれば良いと思います。ということでした。
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