喫茶 輪

コーヒーカップの耳

『ピンザの島』読後感

2016-06-30 15:51:46 | ドリアン助川さん
『ピンザの島』(ドリアン助川)を読み終えた。

今話題のベストセラー、『あん』とはまた違った趣の、いい小説だった。
内容には重厚感がありながら、文体は軽やかで読みやすく、終って深く考えさせられた。
ちょっと印象的だった台詞。
「子ヤギはたしかに可愛いです。できればこのまま大きくしてあげたい。(略)いずれにしろ、あの子は近いうちにつぶされる運命です。だから私は名前をつけないようにしていたんです。名前をつけた瞬間に、肉用のピンザから、その…命ある家族に変わってしまいますから」
物語の三分の一あたりで出てくる台詞だが、最後までこの言葉が奥の方で響いているような気がして読み進めていた。
コメント    この記事についてブログを書く
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 「名筆研究会展」 | トップ | 『点滴ポール 生き抜くとい... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

ドリアン助川さん」カテゴリの最新記事